この記事の監修者
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フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
在宅介護について、その大変さ、事前に確認しておく必要があること、お役立ち情報などをご紹介します。
2024年3月8日
在宅介護とは、老人ホームなどの施設に入居せずに自宅で介護をする(介護される)ことです。ともに生活をしながら介護することは家族にとってメリットもありますが、負担が大きくなるといったデメリットもあります。在宅介護を行う場合でも、介護者の負担を軽減するために、在宅で利用できる介護サービスなどの支援を積極的に受けるようにしましょう。
在宅介護のメリットとしては、長く慣れ親しんだ自宅で過ごせるため、介護を受ける側の精神的な負荷がかかりにくいということが挙げられ、信頼できる家族と一緒に生活できることも安心感につながります。一方で、介護者側から見たメリットは、介護施設に長期間入居する場合と比較すると、在宅介護の方が安くなること、様々な介護サービスの中から介護度に合わせて必要なものだけを選択することで金銭的な負担を減らせることが挙げられます。
介護は事前に決まっているわけではなく、突然必要となることが多いため、準備が十分にできていないまま介護が始まってしまう場合がほとんどです。親の介護が必要になった場合は、自分でしてあげたいと考える方もいるかと思いますが、いざ在宅介護を始めてみると想定外のトラブルが起きるなど、大変な負担がかかる場合もあります。
精神的な負担はかなり大きくなります。介護が始まると自分の時間が取れず、休みなしで介護に追われる生活になることもあるため、ストレスを溜め込み気が滅入るなど、精神的負担につながってしまいます。認知症を発症している場合には、同じ話を何度もする、数分前に答えたことを繰り返し聞いてくるなどスムーズなコミュニケーションを取ることが難しくなり、ずっとそばで介護していると苦痛に感じることもあるかもしれません。
また、ケアマネジャー、介護サービスの職員などこれまで関わることのなかった方と接する機会も増えてきます。やりとりがうまくいかないことや、相性が悪いことがあると、人間関係にストレスを感じて精神的な負担になることも考えられます。
他にも、責任感やプレッシャーを感じやすく必要以上に頑張り過ぎてしまうタイプの方や、ひとりで抱え込んでしまうタイプの方は、介護うつになりやすいため注意が必要です。
―介護ストレス、介護うつについて、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
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身体的な負担も大きくなります。日々の介護で、食事や着替え、排泄、入浴などの介助、通院や買い物といった外出の付き添いも行います。介護度によって介助の内容も変わってきますが、ベッドから体を起こしたり、移動介助をしたりすることもあるため、介護者が足腰を痛めてしまうこともあります。場合によっては、自分より体格の大きい人を介助することになり、かなりの体力が求められます。在宅介護の場合は、夜間にトイレ介助やおむつ交換も必要となってくるため、徘徊の恐れがあると目が離せないこともあり、睡眠が十分に取れず、身体的な負担につながっていきます。
時間的な負担も大きくなります。介護を中心とした生活になるので、自分のための時間は、ほとんど睡眠だけと言っても過言ではありません。仕事をしながらの介護の場合は、急な早退や休みをとらなければいけないこともあるため、時間的な負担が大きくなりこれまでのように働くことが難しくなるでしょう。
経済的な負担も大きくなります。介護にかかる費用は、介護保険などを利用することで、ある程度負担を軽減することができます。しかし、おむつなどの介護保険が適用されない商品の購入費や生活費などの負担は残ってしまう為、本人の年金や預貯金を介護費用にあてるのが一般的ですが、介護をするために仕事を減らす、やめるとなれば、介護者の収入減少になり経済的不安が大きくなることも考えられます。
在宅介護で利用できる介護サービスには次のような種類があります。
■ホームヘルパーや介護福祉士が自宅に訪問して介助などを行う「訪問型サービス」
■通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)など施設に通う「通所型サービス」
■小規模のデイサービスや、認知症の方を対象とした「地域密着型サービス」
■ショートステイなど一時的に施設に宿泊する「短期入所型サービス」
■介護保険を利用して介護ベッドなどの福祉用具をレンタル、購入、または手すりの取り付けや床段差の解消といった、介護保険での住宅改修費の一部を支給する
※上記の介護サービスは、介護度によって利用できない場合もありますので事前に確認するようにしましょう。
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在宅で介護サービスを利用する際は、いくつかの手続きが必要となります。基本的には、要介護認定を受けていなければ介護サービスを利用することはできないため、まずは要介護認定の申請をおこない、認定調査を受けます。認定結果が出た後に介護支援専門員(ケアマネジャー)に依頼し、居宅サービス計画書(ケアプラン)を作成し、その後、在宅介護サービスの利用が開始されます。具体的な手順は次のような流れになります。
はじめに、住んでいる自治体の窓口で要介護認定の申請をします。要介護認定を申請するべきか迷っている場合は、地域包括支援センターに相談しましょう。要介護認定の申請をするのは、基本的に本人または家族が行いますが、難しい場合は代理人が申請することも可能です。
申請後は、自治体の職員が訪問し、聞き取りで認定調査を行います。これは介護や支援がどのくらい必要であるかの度合いを調べるために必要な調査で本人の身体や心の状態、日常生活について聞くこともあるため、認定調査の当日は、本人だけでなく家族も立ち会うことをお薦めします。
自治体の依頼によって、かかりつけの医師が主治医意見書を作成します。意見書には、日常生活での自立度や、認知症の症状など幅広く記入する項目があるため、本人の現在の状況を理解しているかかりつけ医が適任となりますが、かかりつけ医がいない場合には、自治体が指定した医療機関で医師の診察を受けることも可能です。
認定調査の結果や、かかりつけ医の意見書に基づいて、介護にかかる手間を時間として換算したものさしである「要介護認定等基準時間」が算出され、これらを基に一次判定が行われます。次に一次判定を原案として、保健・医療・福祉に関する学識経験者5名程度で構成される介護認定審査会で二次判定が行われます。
認定結果は、原則として30日以内に「要支援1・2」「要介護1~5」「非該当(自立)」の8つの認定区分の中から本人に認定結果が通知され、要支援、要介護の判定によって受けられるサービスは異なります。「非該当(自立)」と判定された場合は、介護保険のサービスを受けることができません。
認定結果を受けて、ケアマネジャーがケアプランの作成を行います。ケアプランとは、利用する介護サービスの内容をまとめ、今後の目標を設定する計画書のことです、ケアプランはケアマネジャーが作成しますが、利用者や家族のアセスメント結果に基づいて、今後の計画を立てるため、ケアマネジャーだけに任せず、本人や家族も一緒に考えながら作成することが大切です。
ケアプランに基づいた在宅介護サービス(または施設サービス)の利用を開始します。介護サービスを利用する際は、「介護保険被保険者証」と「介護保険負担割合証」を掲示する必要があります。自己負担の割合は基本的には1割ですが、一定以上の所得がある場合は、2割~3割負担になることもあります。
在宅介護を続けていると、介護者の心身の負担や、時間や経済面の負担が減らない限り、介護者のストレスや疲労が積み重なる一方となります。そのまま何も解消されない状態が続くと、介護者だけでなく要介護者にも悪い影響を及ぼし、次のようなリスクが考えられます。
現在の社会状況は、核家族化や少子化などが進み、介護の負荷が少数の子どもにかかることが多くなっています。介護者と要介護者ともに高齢状態である「老老介護」なども、見過ごせない社会問題になっています。
このような状況下で、介護者に多くの負担がかかり、追い詰められていくと、介護疲れで共倒れになる可能性があります。特に介護者がまじめで責任感が強い性格の場合は、全て一人で抱え込み、介護が長引くと休息が取れずに疲労がたまってしまいます。無理をしすぎると介護うつの発症にもつながりますので介護する際は、決して孤立しないことが大切です。専門家や家族・親族への相談や協力を仰ぐなど、様々なサービスを利用して、介護者が息抜きできるようにしましょう。
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介護と仕事の両立が難しくなり仕事を辞めて在宅介護に専念しなければならなくなることを、介護離職と言い、大きな社会問題の一つとなっています。介護離職すると、介護者が家庭の収入源を失うため、経済的な負担が大きくなるという最大のデメリットがあります。特に働き盛りで退職するのはその後の生活にリスクを負うことになりますし、無職の期間が長期化して、ある程度の年齢に達すると再就職そのものが困難になります。すぐに介護離職の道を選ぶのではなく、できる限り仕事を続けながら在宅介護に対応できるように、勤務先で介護休暇取得や介護休業制度など、各種の支援サービスの活用を確認した上で判断するようにしてください。
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在宅介護を実際に行っている人がどのようなことを大変と感じているのでしょうか?40〜50代の介護経験者1,100名(男女)を対象に、2021年7月に実施したアンケート結果※における1位から10位は次のようになっています。
1位は、相手とのコミュニケーションで、全体の51.7% (男性3位:39.8%、女性1位:59.7%)という結果になっています。在宅介護は心身に負担がかかる上、身内でもコミュニケーションが難しいことがあり、義理の間柄であれば、なおさら気を遣うこともあるでしょう。また、認知症を発症している場合は意思疎通が困難になり、ストレスがかかります。できるだけ相手の目線に立ち、肯定しながら話すようにしましょう。
2位は排泄の介助で全体の46.1% (男性1位:40.9%、女性3位:49.6%)で、男性の方が排泄や食事の介助を最も大変だと感じる方が多いようです。
排泄の介助方法は、おむつの着用、ポータブルトイレの使用、トイレへの誘導など、要介護者の状態によって対応が異なります。
排泄のケアでは防水シーツをベッド上や座る場所に敷く、おむつはまめに交換、清拭で清潔にする、使用済みおむつは臭わない袋に入れて密閉するなどの対策が必須です。
なお、昼夜逆転防止、睡眠時間の確保のため夜のおむつ交換は極力しない方がいいでしょう。
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3位は精神面で全体の42.7% (男性6位:28.0%、女性2位:52.5%)で、かなり男女差があります。女性の場合は相手とのコミュニケーションに次ぐ2位で、在宅介護では精神的に辛い思いをしている方が多いことがわかります。一方、男性は実務的なケアを苦痛に感じる傾向にあり、精神面は第6位という結果でした。一人で介護をする場合は、悩みを共有できないまま抱え込んでしまいがちになるため、介護うつや介護者自身の認知症を引き起こすリスクを避けるためにも、介護サービスを使ってリフレッシュする時間を確保しましょう。
4位は時間面で全体の41.4% (男性4位:34.4%、女性4位:46.0%)で男女ともに第4位、相手の都合に合わせて行う介護が生活の中心になり、介護を優先しながら、家事、仕事、子育て等もこなさなくてはならない大変な状況となっています。
このような中で長期的な介護をしていると心身が疲労してしまうだけでなく、時間を工面すること自体もストレスに感じてしまうかもしれません。家族や親族に協力を仰ぎ、少しでも自分のための時間を作りましょう。
5位は食事の介助で、全体の38.4% (男性1位:40.9%、女性5位:36.7%)で、特に男性は、排泄の介助と同率1位になるほど大変に感じるようです。
食事介助の流れとしては、まず要介護者の体調に合わせた食事を用意し、食事する環境を整えます。食事中は必ずそばに座って、誤嚥防止のためスプーンで少量ずつ口に運び、30分ほどで食事を終了します。食後は最低30分座った状態のまま安静にし、歯磨きや入れ歯洗浄で口内を清潔に保ちます。もし料理が苦手、料理する時間がないという場合は、配食サービスなどを利用するのもいいでしょう。
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6位は入浴の介助で、全体の32.8% (男性4位:34.4%、女性6位:31.7%)と、在宅介護で最も体力を必要とされ、転倒や溺れるリスク、寒暖差によるヒートショックや表皮剥離などのリスクも想定されます。
介護認定を受けている場合は、介護保険を利用して自宅の浴室で入浴介助サービスや訪問入浴介護を受けることができるだけでなく、住宅改修費の支給や、介護・福祉用具のレンタル・購入などによって、自宅の浴室を安全で機能的に整備することもできます。
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7位は、経済面で全体の29.7% (男性7位:26.9%、女性6位:31.7%)です。
要介護認定を受け、介護保険が適用されれば、自己負担は原則として1割(所得に応じて2~3割)で介護用品のレンタル・購入、自宅のバリアフリー化に伴う住宅改修などの費用を抑えることができますが介護保険が適用されない介護用の食事やおむつの購入などは全額自己負担となります。収入が不安定になると、生活に影響が出て困窮してしまうこともあるため、介護休業制度などの利用ができるか確認し、経済面での負担を軽減できるようにしましょう。
8位は、認知症のうち行動症状にあたる徘徊で全体の16.8% (男性8位:16.1%、女性8位:17.3%)です。
徘徊は転倒してケガをするといった危険な状況になる恐れがあります。長時間の捜索が必要になる場合、夏は熱中症、冬は低体温症を発症するなど、命の危険も伴うので注意しなければなりません。
実際、認知症による行方不明者は増加傾向にあります。警察庁の調査※によると2021年には17,636人になり、行方不明者全体79,218人のうち、認知症(徘徊)が原因となっているケースは22.3%でした。
▶︎「令和3年における行方不明者の状況 (令和4年6月)」 警察庁生活安全局人身安全・少年課
徘徊の症状が出始めたら、ケアマネジャーまたは地域包括支援センターに相談して予防策を検討しましょう。
―徘徊について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「徘徊とは?原因や予防法・対処法をご紹介」
9位は身だしなみのケアで全体の14.7% (男性9位:14.0%、女性9位:15.1%)です。
加齢とともに外見や身だしなみを気にしなくなることがありますが、特に認知症になると、不潔な状態でも気に留めないことが増えます。
服装や身だしなみに気を付けていると、前向きな気持ちになり、自分や他人に対して興味を抱くことがありますので数少ない中から洋服を選んでもらうなど、できるだけ自発的に身だしなみを整える環境を作ってあげることも大事です。
10位は、特にないで全体の6.9% (男性10位:9.7%、女性10位:5.0%)となっています。
現時点では要介護者の容体が比較的よく、在宅介護に問題を感じていない時期、あるいは家族や親族の協力体制ができていて、うまく分担されている状態なのかもしれません。介護の大変さは、介護度、家族構成、人間関係、介護者の年齢や性格、健康状態、住環境によって大きく変動することがあります。在宅介護には休日がないため、時間とともに大変と感じることも想定されるため、今のうちから今後の対策案を考えておくのもよいでしょう。
在宅介護の大変さを軽減するにはいろいろな方法があります。在宅介護で疲れや不安を抱えているなら、専門家や専門機関への相談や、必要に応じた介護サービスを利用しましょう。
ケアマネジャーや最寄りの地域包括支援センターなど専門家が揃っている相談窓口を利用して大変さを軽減しましょう。在宅介護を行う中で困っていることや悩んでいることがある場合は、遠慮せずに連絡をとれば、専門家のサポートを無料で受けられます。 介護で感じているプレッシャーや辛さを聞いてもらうだけでも、気持ちが落ち着いたり心が晴れたりします。また、プロのアドバイスや貴重な情報が得られるため、介護を進めるヒントや状況の改善につながる場合もありますので、決して一人で抱え込まずに、介護の悩みごとはできるだけ早く相談することが大切です。
レスパイトケアとは、介護者自身の気分転換を図るため、介護から離れる時間を提供して、心と体を休めてもらうことを言います。ケアマネジャーに相談し、まずは現在のケアプランの見直しをしてもらうことで、レスパイトケアが利用できるようになります。レスパイトケアにより介護サービスを活用すれば、介護者のリフレッシュが見込めます。 例えばデイサービスやデイケアの場合は、施設を半日〜1日利用することができ、ショートステイの場合は、数日〜最長30日間は施設に宿泊して介護を受けることもできます。他にも、要介護者の状態に応じて、訪問介護や訪問看護のサービスがあります。
在宅介護の負担が増加し、介護者による世話が困難になった場合や、認知症の発症・進行などにより在宅介護の継続に無理が生じた場合は、介護施設に入居することを検討してもいいでしょう。 公的施設なら、ケアハウス・特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保健施設(老健)・介護医療院などがあります。民間施設は、介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)・グループホームなど各種揃っています。 対象者の年齢や要介護度などに合わせて、様々な介護施設がありますので入居を希望する際は、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談して条件に応じた施設を探してもらいましょう。
―介護施設について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「介護施設・老人ホームの費用相場は?費用の内訳や抑えるための控除や制度を紹介」
突然、介護に直面することになり、慌てて情報収集し、手探りで介護を始めるということも少なくありません。いざ介護が必要になったときのために、事前に確認しておくことを知っておきましょう。
元気な間に、老後はどのような生活を送りたいか、要介護状態になったときはどうするかなど、家族で介護について話し合っておきましょう。本人の希望を確認しておき、希望に沿った介護ができるように準備を進められ、介護サービスを選ぶ際に何を重視すべきかの参考にもなります。在宅介護が始まると、介護する側もされる側もストレスがたまります。介護がきっかけで親子関係が悪化することもあるほどですので、少しでもお互いの心身の負担を減らせるよう事前に介護について話し合っておくことが大切です。
介護をひとりで行うことは、心身ともに負担が大きく、介護者自身が体調を崩してしまう恐れがあります。家族や親族など、介護に協力してくれる人を見つけておきましょう。兄弟や姉妹がいる場合は、介護が始まってからお金の問題や役割分担で揉めるケースが多いので、介護についての言い争いがきっかけで関係がこじれてしまうこともよくあります。事前にお互いの状況を把握しておき、介護の役割分担を決めておくことをおすすめします。
親族以外にもかかりつけ医(主治医)や看護師、ホームヘルパー、ケアマネジャーなど、介護を支援してくれる専門家たちに協力者になってもらいましょう。健康状態に不安を感じる、介護について悩みを抱えているなど、困り事があったときに相談できる専門的な協力者がいれば、心にも少し余裕ができます。介護をひとりで抱え込まず、いろいろな形で助けてもらいながら介護ができるように信頼できる協力者を見つけておきましょう。
在宅介護に向けて、安全に暮らせるように周辺環境を整えておきましょう。例えば、段差や滑りやすい床などは、転倒など事故のリスクにつながります。スロープや手すりを設置するなどして、安心して暮らせる環境作りを行いましょう。車椅子や歩行器などを使用する場合は、玄関や廊下の幅も重要です。移動の際に通る廊下のスペースをしっかりと計測しておきましょう。
介護ベッドを使用する場合、居室(普段いる部屋)の位置は階段を使う必要がない、部屋からトイレまでの距離が近い、日当たりや風通しが良いなど、安全性や過ごしやすさを考慮して決めましょう。家族の顔がよく見える場所にするとコミュニケーションが取りやすく、認知症や老人性うつの予防にもなるためおすすめです。ベッドやトイレ、浴室などに緊急用として、呼び出しチャイムやブザーを設置しておくと安心です。
住宅改修となると、利用者本人のことばかり考えてしまいがちですが、介護する側にも配慮したリフォームを行うことが大切です。例えば、トイレ介助を行うために介護者が一緒に入れるスペースを確保するなど、介護する側の視点も取り入れて周辺環境を整えましょう。
介護保険制度について知っておくことも必要です。介護をする中で、訪問介護やデイサービスなど、さまざまな介護保険サービスを利用することになります。こうした介護保険サービスは、介護保険制度により給付対象の方は費用の1割(所得応じて2〜3割)を自己負担するだけで利用することが可能です。一部の介護用品・福祉用具のレンタル・購入にも介護保険が適用されるため、在宅介護に必要なものを揃える際にも役立ちます。また、介護保険対象の住宅改修は要支援以上の認定が前提ですが、対象者は20万円以内で改修費の1割(所得に応じて2~3割)を自己負担するだけで利用することが可能です。介護者の負担軽減のために、介護保険制度についてよく知っておくことが大切です。
介護保険サービスの利用には、まず要介護認定を受ける必要があります。お近くの自治体窓口で要介護認定の申請を行いましょう。
―フランスベッドの住宅改修について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「フランスベッドの住宅改修」
介護が必要になったときのために、資金の準備をしておきましょう。在宅介護の場合、介護サービスの利用や住宅改修、介護用品・福祉用具の購入やレンタルの必要があります。介護保険を利用することで、費用の負担を減らすことはできますが、毎月一定額の出費は避けられません。お金のことについても事前に家族と話し合っておき、必要となる資金を準備しておくことが大切です。
在宅介護のメリットやデメリット、在宅介護を受ける際の流れや気を付けておきたいことなどを解説しました。在宅介護サービスを利用するためには、ご紹介した流れにそって要介護認定を受けましょう。要介護認定後は、ケアマネジャーに相談しながらケアプランを作成してもらい、在宅で利用できる介護サービスの中から介護度にあったサービスを利用しましょう。在宅介護を続けていく中で困難だと感じた場合は、一人で抱え込まずに、家族、ケアマネジャーなどに相談しながら介護施設の入居を検討するなど負担を軽減すると良いでしょう。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
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