この記事の監修者
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フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
介護施設・老人ホームの入居にかかる費用について、費用の内訳や抑えるための控除や制度などを介護施設選びの参考になるようにご紹介します。
2023年9月28日
介護施設・老人ホームには、まず公的施設と民間施設があります。費用についてもそれぞれで大きく異なってきます。
公的施設は、国や地方公共団体、社会福祉法人などによって運営されています。民間施設に比べて費用負担が少なく、入居希望者も多いため、希望する施設になかなか入居できないという場合もあります。
<公的施設の種類>
●介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
●介護老人保健施設(老健)
●介護療養型医療施設 ※介護医療院へ移行中
●ケアハウス(軽費老人ホーム)
民間施設は、民間企業によって運営される介護施設のことです。公的施設に比べて費用は高くなりますが、その分、他の施設との差別化のために、それぞれの特性を活かした様々な要望に対応できるようなサービスや、質の向上を目指しています。施設数が多いので、比較的入居しやすくなっています。
<民間施設の種類>
●介護付有料老人ホーム
●住宅型有料老人ホーム
●サービス付き高齢者向け住宅
●グループホーム など
公的施設の中で介護保険サービスを利用できる施設を介護保険施設と呼びます。
(1)介護老人福祉施設:特別養護老人ホーム/特養
特別養護老人ホーム(特養)とも呼ばれる介護老人福祉施設は、日常生活の介護や機能訓練を受けながら長期入居できる施設です。入居できるのは、原則として要介護3以上と認定された方に限られています。
【初期費用】:不要
【月額費用】:約9万円〜13万円
―要介護3について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「要介護3ってどういう状態?他の要介護度とどう違う?」
(2)介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設は老健とも呼ばれる、在宅復帰を目指すための施設です。介護やリハビリなどのサービスを受けて、自宅での生活に戻れる状態かどうかが3か月ごとに検討され、難しい場合はそのまま入居、在宅復帰可能と判断されれば退去となります。平均的な入居期間は3ヶ月から1年となっています。
【初期費用】:不要
【月額費用】:約8万円〜14万円
―介護老人保健施設(老健)について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「老健とは?特養となにが違うの?在宅復帰を目指したリハビリサービス」
(3)介護療養型医療施設(介護医療院へ移行中)
介護療養型医療施設は、長期間にわたって介護と医療的ケアを受けられる施設のことです。介護療養型医療施設は、2017年度末で廃止となりました。これに代わるサービスとして介護医療院が創設され移行中です。
【初期費用】:不要
【月額費用】:約8万円〜15万円
(1)介護付有料老人ホーム
介護付有料老人ホームは、都道府県や市町村から特定施設入居者生活介護(特定施設)と指定を受けた施設のことで、主に介護を必要とされている高齢者が入居します。日常生活上における身体介護や生活支援などのサービスを受けることができます。
【初期費用】:0円〜数千万円
【月額費用】:約15万円〜30万円
(2)住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、安否確認や生活支援といったサービスが提供されます。施設の職員による身体介護サービスは提供されないため、介護が必要な場合は訪問介護などの外部サービスと契約する必要があります。
【初期費用】:0円〜数千万円
【月額費用】:約10万円〜20万円
サービス付き高齢者向け住宅とは、職員による安否確認や生活相談サービスを受けられる賃貸住宅のことです。60歳以上の方または要介護認定を受けた60歳未満の方が入居できます。施設と違い生活の自由度が高いのが特徴で、食事の提供や外出の付き添いなど、オプションサービスを提供しているところもあります。
【初期費用】:数十万円
【月額費用】:約12万円〜20万円
ケアハウスは、所得が低い方でも入居できるように、料金が低価格に設定されている施設です。一般型のケアハウスでは、食事の提供や日常生活を送る上で必要な生活支援サービスを受けられますが、介護サービスは提供されないため、介護が必要な場合は外部サービスと個別で契約することになります。一般型のサービスに加え、身体介護や機能訓練などのサービスが受けられる介護型は、特定施設の指定を受けているので、要介護度別の定額料金で介護サービスを受けることができます。
【初期費用】:一般型 0円〜数十万円 介護型0円〜約1,000万円
【月額費用】:約6万円〜17万円
グループホームは、認知症の高齢者を対象とし、スタッフのサポートを受けながら少人数で共同生活を送るための施設です。
【初期費用】:0円〜数十万円
【月額費用】:約10万円〜15万円
老人ホームの費用を見る時は、平均値だけではなく中央値を確認する方が良いでしょう。
平均値はデータの合計をデータ個数で割った値のため、有料老人ホームの中には非常に高額な高級施設があり、合計の金額が引き上げられる可能性があります。データの大小によって影響されやすい平均値と比べて中央値は、大きさ順でデータを並べた真ん中の値を見ますので極端な影響を受けません。そのため、費用相場について正しい情報を得るには、中央値を調べて確認するようにしましょう。
施設別 | 平均値 | 中央値 | ||
【公的施設】 | 入居 一時金 |
月額 利用料 |
入居 一時金 |
月額 利用料 |
ケアハウス | 34.6 万円 |
11.0 万円 |
0円 | 10.2 万円 |
【民間施設】 | 入居 一時金 |
月額 利用料 |
入居 一時金 |
月額 利用料 |
グループ ホーム |
8.0 万円 |
12.0 万円 |
0円 | 12.1 万円 |
サービス付き高齢者向け 住宅 |
22.4 万円 |
16.0 万円 |
10.0 万円 |
14.7 万円 |
住宅型有料 老人ホーム |
70.9 万円 |
13.5 万円 |
5.3 万円 |
12.1 万円 |
介護付有料 老人ホーム |
352.2 万円 |
34.2 万円 |
30.0 万円 |
19.7 万円 |
全国相場 | 平均値 | 中央値 |
入居一時金 | 93.3万円 | 10.0万円 |
月額利用料 | 17.3万円 | 13.5万円 |
都道府県によって介護施設・老人ホーム(有料老人ホーム・サ高住・グループホーム・ケアハウス)の費用はどのくらい違うのでしょうか?入居一時金および月額利用料の中央値に基づき、費用が安い/高い順で都道府県別の総合ランキングをまとめました。なお、地価が安い県は総じて入居一時金が低い傾向があり、青森/秋田/岩手/山形県、茨城/栃木/群馬県、富山/福井県、島根/鳥取県、四国4県、佐賀/長崎/大分/宮崎/鹿児島/沖縄県は、入居一時金の中央値が0万円です。(下記順位は0万円の県は除いています。)
順位 | 入居一時金が 安いランキング |
入居一時金が 高いランキング |
||
1位 | 新潟県 | 3.9 万円 |
東京都 | 28.5 万円 |
2位 | 山口県 | 4.0 万円 |
神奈川県 | 21.0 万円 |
3位 | 福島県 | 4.0 万円 |
京都府 | 17.9 万円 |
4位 | 北海道 | 4.0 万円 |
滋賀県 | 15.8 万円 |
5位 | 宮城県 | 5.0 万円 |
兵庫県 | 15.0 万円 |
順位 | 月額利用料金が 安いランキング |
月額利用料金が 高いランキング |
||
1位 | 宮崎県 | 7.5 万円 |
東京都 | 19.9 万円 |
2位 | 青森県 | 8.5 万円 |
京都府 | 16.9 万円 |
3位 | 大分県 | 9.2 万円 |
神奈川県 | 16.4 万円 |
4位 | 高知県 | 9.2 万円 |
千葉県 | 15.5 万円 |
5位 | 佐賀県 | 9.3 万円 |
兵庫県 | 15.0 万円 |
介護施設・老人ホームでは様々な費用が必要となります。
どのような費用が必要なのかひとつずつ紹介します。
入居一時金とは、施設入居時に支払う前払い金のことです。入居一時金は、契約時に決められた割合で、一定期間内に少しずつ居住費などにあてられる(=償却)ため、月々の利用料が安くなります。早めに退去することになった場合は、償却されていない分を返還してもらうことができます。契約から90日以内の解約であれば、クーリングオフ制度によって全額を返還してもらうことができます(※ただし入居期間中の居住費を除く)。
※敷金・礼金:サービス付き高齢者向け住宅の場合は、賃貸借契約を結ぶことになるため、入居一時金ではなく敷金や礼金という形で前払いすることになります。敷金は、入居時に担保として支払うものなので、退去時には修繕費などを差し引いた分を返却してもらうことができます。
公的施設の家賃(賃料)は、居室タイプによって基準額が定められています。民間施設の場合は、居室のグレードや立地、提供しているサービス内容によって賃料が異なります。
管理費は、共同施設の維持管理や事務費用などに使われます。施設によって、管理費に含まれるサービス内容が異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
公的施設の場合は、1日3食分の基準額が定められています。例えば外出して1食食べなかった場合でも、1日分が請求されます。民間施設の場合は、1日3食の定額制、1食ごとの料金設定など施設によって異なります。食べた分だけを請求する施設もあれば、人件費や厨房の維持管理費として食事回数に関わらず定額の食費を請求されることもあります。
介護サービス費は、介護保険施設や特定施設の職員によって提供される介護サービスにかかる費用で、要介護度に応じて定額となっています。基本の介護サービスに加え、管理体制の強化など認可を受けたサービスを提供している施設では、サービス加算として追加で費用が請求される場合があります。また、介護保険法で定められた人員配置基準以上にスタッフを配置し、手厚い介護を行っている場合は上乗せ介護費という費用が追加されます。
介護サービスを提供していない住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、外部のサービス事業者と個別で契約し、介護サービス(在宅介護と同じ居宅サービス)を受けることになります。この場合は外部サービスの利用に介護保険が適用されます。
―居宅サービスについて、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「居宅サービスとは?種類ごとの内容・自己負担額、利用の流れまで解説」
■光熱費・通信費
電気、水道、ガス、電話などの利用料です。
■生活用品購入費
ティッシュや歯ブラシなどの生活用品の購入費は、全額自己負担となります。おむつに関しては、特養などの公的施設であれば施設側が費用を負担してくれる場合もありますが、民間施設では利用者負担となっています。
■医療費
施設外の医療機関を受診した場合などにかかる費用です。
■アクティビティ参加費
アクティビティ参加費は施設内でのイベントやサークル活動などに参加する費用のことです。
―介護施設について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「介護サービスとは?種類ごとの内容や利用の流れを解説」
入居一時金は、月額利用料の支払いの一部として見なされるため、毎月かかる費用を安く抑えることができるのが一番のメリットです。介護施設・老人ホームに入居する期間が長くなるにつれて支払う額の合計が少なくて済むので、事前に長期間の入居になることがわかっているのであれば、入居一時金を支払っておいた方が良いでしょう。ただし注意点として、入居する最初の段階でまとまった金額を準備しておく必要がありますので、入居一時金の支払いをお考えの場合は意識しておきましょう。
入居一時金のデメリットとしては次のようなものがあります。デメリットを理解した上で
入居一時金が0円の施設を選んだ方が良いか、入居一時金を求められる施設にするか慎重に検討して決めるようにしましょう。
入居一時金のデメリットのひとつは、入居時の支払額が高額になる場合があることです。介護付き有料老人ホームの場合、入居一時金無しや10万円未満のところが数多くありますが、地価の高い高級な施設やホームになるほど、入居一時金が高額になる傾向があります。入居一時金が500万円を越えるような施設や1,000〜2,000万円以上の施設も一定数あります。初期費用として納入するには高額すぎて支払うことができないことが一般的で、支払いが可能であっても経済的に負担が大きくなります。
入居一時金の一部が初期の償却分というかたちで施設やホームの利益になるような仕組みになっていることもデメリットのひとつです。当然のことではありますが公的施設と違って、民間施設の場合はあくまでも利潤の追求が経営の目的になっていますので、入居一時金が施設やホームにとって利益を得る大切な手段として使われます。入居一時金は、もともと入居者のためではなく、施設やホーム経営のための制度だと考えておいた方が良いでしょう。
入居一時金をいったん納入すると、一時金をめぐって金銭的なトラブルに巻き込まれる可能性があります。現在ではクーリングオフ制度により、契約から90日以内なら解約しても全額返還が保証されている上、早期退去時も未償却分の返還が認められています。万が一施設やホームが倒産しても最大500万円まで返還される「保全措置」と呼ばれる制度もあります。ただし悪質なケースでは正当な返還がなされずに、行政指導や裁判に発展することもあり、返金を願い出ても、多大な時間や労力を要する恐れもあり得ます。トラブルを未然に防ぐためには、入居一時金が不要の施設やホームを探した方がいいでしょう。
将来のお金としての価値が目減りするのもデメリットです。これはどういうことかと言うと入居一時金を納入することは月額利用料の一部を前払いすることと同じで、将来に備えて支払う予定の金額を先に納めておくという考え方になります。しかし、将来のお金と現在のお金を比べると、現在の方がお金の価値が高いのが当然です。時間とともに物価が上昇することを考慮すると、今の300万円は将来的に価値が低下してしまう恐れがあります。また、入居一時金として300万円を最初に納めてしまうと10年経っても300万円のままで、資産運用して増額させることはできないため、価値は目減りする一方となります。
介護施設や老人ホームなどの利用料の支払い方法には大きく分けて、一時金前払い方式、 一部前払い・一部月払い方式、 月払い方式、 選択方式の4つの方式があります。それぞれどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。順番に解説していきます。
一時金前払い方式は、全額前払い方式とも呼ばれ、終身にわたり支払う家賃などの費用を一括前払いする方式のことを言います。
●メリット:一度前払いすれば、その後に高額な支払いをする必要がないので、経済的に安定した先の見通しを立てやすい。
●デメリット: 支払いが全額完了しているため、入所している介護施設・老人ホームの利用料が何らかの理由で値下げされたとしても、差額の返金は行われないケースが多い。
一部前払い・一部月払い方式は初期費用を支払う方式です。終身にわたり支払う家賃などの一部を前払いにして、他の費用を月払いにする方式のことを言います。
●メリット:返還金制度があるため、償却期間が終了以前に退去する場合、入居一時金として支払い済みの金額の未償却分を返金してもらうことができる。
●デメリット:上記の全額前払い方式と比べると、月々の支払いが高めに設定されていることが多い。
月払い方式は、初期費用0円プランとも言います。前払いは一切行わず、月ごとに家賃や必要なサービスの費用を支払う方式のことを言います。
●メリット:初期費用がかからないため、短期間に利用する場合に向いています。例えば、特別養護老人ホームなどの入居待ちをしている間に利用が可能。月額利用料が値下げされた場合は一時金前払い方式よりお得になることもあります。
●デメリット:月額利用料が値上げされた場合は、毎月の負担額が大きくなる傾向があります。
選択方式は、一時金前払い方式、一部前払い・一部月払い方式、月払い方式の3種類から、お好みの方式を選ぶことができます。自ら選んだ方式に則ったメリットとデメリットが当然あるので、予算・支払いの希望やニーズなどに最も適した方式をしっかり見極めたうえで、どの方式にするか判断するようにしましょう。
高齢になるに従って、介護と同時に医療も必要になる可能性が増します。継続して治療や入院をしなくてはいけない場合、どれくらいの費用がかかるのかをあらかじめ見込んでおいた方がよいでしょう。
【1年間にかかる医療費の目安】
高齢になるほど病気やケガの確率も高まり、医療費も必然的に多くかかります。厚生労働省保険局が令和3年1月に発表した調査によると、2018年度の一人当たり医療費は次のような結果でした。
■65〜69歳 46.4万円 ■70〜74歳 60.3万円 ■75〜79歳 76.9万円
■80〜84歳 92.4万円 ■85〜89歳 105.4万円 ■90〜94歳 113.4万円 ■95〜99歳 118.9万円
【平均入院日数】
年齢が高いほど入院日数も延びます。厚生労働省調査(2017年)によると、65歳以上は37.6日、75歳以上は43.6日、総平均の29.3日と比べ年齢があがると大幅に長期化するという結果がでています。
介護施設や老人ホーム、医療費や薬代など、介護を始めるにあたり発生する様々な費用があります。日本では介護費用の負担を軽減してくれる制度が数々整備されていますが、認知されておらず、上手く活用できていない制度や利用するための申請手続きが必要な制度も多々あります。介護費用の負担をできるだけ軽くするために、最低限把握しておいた方がいい控除や制度がありますので、理解しておきましょう。
介護保険が適用される以下の施設では、民間施設に比べて費用が安く設定されています。有効に活用しましょう。
【介護保険適用可能な施設】
・介護老人福祉施設(特養)
・介護老人保健施設(老健)
・介護医療院
民間施設の場合でも、介護付有料老人ホームのように一定の基準を満たして特定施設の指定を受けている施設では、日常生活上の世話や機能訓練、療養上の世話に介護保険が適用されます。
住宅型有料老人ホームの場合は、特定施設の指定を受けていないので、外部の介護サービスを個人で契約することになりますが、訪問介護や訪問リハビリなど、必要に応じて契約したサービスには介護保険が適用されます。
介護保険が適用されることで、自己負担額は費用の1割(所得に応じて2〜3割)となりますので活用しましょう。ただし介護保険が適用されるのは要介護認定を受けた方に限られます。要介護度によって、利用できる施設のタイプや介護サービスなども変わりますので確認が必要です。
要介護認定を受けていない方は、まず各自治体の窓口で要介護認定の申請を行いましょう。
―介護保険・要介護認定について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「介護認定調査とは?当日に心がけるべきこと」
▶ 「介護保険制度とは?仕組みやサービス内容など、制度について解説」
公的介護保険サービスの自己負担額は原則1割(所得応じて2〜3割)とされています。
高額サービス費支給制度とは、介護保険サービス費が毎月の限度額を上回った際に超過分を払い戻してくれる仕組みのことです。1ヶ月に負担する上限額は、個人や世帯の前年の所得などに応じて決められています。
対象者の所得条件 | 月々の負担上限額 |
生活保護を受給など | 個人 15,000円 |
前年の合計所得と公的年金収入の合計額 年間80万円以下など | 個人 15,000円 世帯 24,600円 |
世帯全員が市区町村税 非課税 | 世帯 24,600円 |
市区町村税〜課税所得380万円(年収約770万円)未満 | 世帯 44,400円 |
課税所得が380万〜690万円(年収約770〜1,160万円)未満 | 世帯 93,000円 |
課税所得が690万円(年収約1,160万円)以上 | 世帯 140,100円 |
なお、居宅サービス・介護施設サービス・地域密着型サービスは払い戻し対象となりますが、特定福祉用具購入や配食サービス、施設での食費・居住費などは、対象外のサービスも多いので、確認が必要です。
【申請について】
支給を受けるためには、介護サービスの利用開始から2年以内に申請が必要です。申請書に記入捺印のうえ、役所などへ郵送または持参してください。自治体ごとに申請方法が違いますので、手続きや必要品について事前に各自治体へ問い合わせましょう。一度申請すれば、その後の該当する月々の超過分は、指定口座へ自動的に振り込まれます。
高額医療費制度は高額療養費制度とも言いますが、医療費の家計負担が大きくならないように、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1ヶ月で上限額を超えると、超過額を支給する制度があります。ただし、入院時の食事負担や差額ベッド代などは含まれません。上限額は年齢や所得によって異なっています。70歳以上の場合は、世帯合算に加えて、外来のみの上限額も設定されています。また、医療機関1ヶ所で自己負担が上限額を超えなくても、同月の別の医療機関での自己負担分を合算して、1ヶ月の合計額が上限を越えれば支給対象になります。
特別減額措置とは、長期的に考えて、介護保険施設に対して支払いが難しいと判断される場合、居住費および入居中の食費を減額してもらえる仕組みです。所得や貯金額などが基準値を下回る際に、介護保険負担限度額認定証が自治体から交付されて、特別措置を受けることができます。
利用者負担軽減措置とは、利用者が経済的に困窮している場合、介護費用に対して25%の軽減措置を受けることができる措置です。ただし、施設を運営している社会福祉法人が利用者負担軽減制度の活用を申告済みの場合に限ります。介護費用の負担が75%になるため、できるだけ活用したい制度と言えます。希望の施設で実際に制度が使えるかどうかを、担当する自治体の福祉課へ事前に問い合わせておきましょう。
年金受給をしていても、生活が困窮していると認定されると、生活保護が受けられます。生活保護を受給すると介護扶助が適用され、自己負担が無くなります。また生活保護法のもと、指定の施設に入居することが可能になり、施設を探す際にも有利です。ケアマネジャー・ケースワーカーや自治体の生活支援担当窓口に相談しましょう。
厚生労働省の発表によると、令和元年度末の厚生年金受給者の平均受給額は月額146,162円、国民年金受給者の平均は月額56,049円となっています。公的年金だけで費用を賄うことができないわけではありませんが、入居できる施設の選択肢が少なくなり、厳しい状況と言えます。
年金以外の収入がなく、経済的に余裕がない場合は、入居一時金が不要な特養のような公的施設があります。所得に応じた軽減制度なども適用されるので入居できる可能性があります。ただし、待機者が多いこともあり、入居を希望してもすぐに入居できないことが考えられます。有料老人ホームのような民間施設は、施設数も増加していて比較的入居しやすいですが、入居一時金や月額費用を考えると公的年金だけで賄うのは厳しいでしょう。
―参考―
厚生労働省 令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
収入状況などの変化で介護施設や老人ホームの費用が払えないという場合があります。ただ、どうしても費用が支払えなくなったときでも、すぐに退去を迫られるわけではありません。3〜6ヶ月程度の猶予期間が与えられるのが通常となります。施設により猶予期間の規定が異なるため、事前に契約書や重要事項説明書をよく確認しておくことが重要となります。万が一の場合は、猶予期間内に、次の2つの方法で冷静に対処しましょう。
費用が払えないとなったら、施設のスタッフやケアマネジャーに相談しましょう。専門的な立場からのサポートや、いろいろな解決策を提案してくれます。現費用の一部を延期/分割できるかどうかの確認や、今の施設よりも負担の軽い施設の紹介、仲介業者などの紹介を頼めるかもしれません。ためらわずに早い段階から相談するようにしましょう。
―ケアマネジャーについて、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?選び方と付き合い方について」
支払いが難しい状態が継続しそうなときは、特別養護老人ホームなどの費用が安い施設へ早めに転居する方法が考えられます。ただ特養を含め安い公的施設は人気が高く、待機期間が長引く恐れがあります。単に安価であるだけで決めずに、ケアやサービスの内容をはじめ、家族が通いやすいかどうかなども検討したうえで選ぶようにしましょう。なお、入居中の施設の初期費用は、場合により一部返金してもらえますので、施設スタッフに必ず確認を取りましょう。
では、どのような施設であれば負担額が少なくなるでしょうか?次にその例をあげていますので参考ください。
介護施設や老人ホームは一般的に築年数が浅い施設と築年数が古い施設を比べると、古い方が設定料金を低めに抑えている場合が多くなっています。建物が古いから質が良くないというわけではなく、設備やスタッフに恵まれているところもありますので、事前に確かめておくことで料金は抑えられてしっかりとした施設を選ぶことができます。また駅に近い介護施設やホームは人気があり、土地の価格も高くなるのでどうしても費用が高くなりがちです。料金を抑えたいのであれば、不便にはなりますが駅から離れた場所を選ぶ方が良いでしょう。
郊外型の施設と都市型の施設を比べると、人口が多く便利で人気があり地価も高い都市部の方が費用は高くなる傾向があります。都市部は家賃自体が高いため、有料老人ホームなどの入居一時金も高額で設定されがちです。一方で郊外型の介護施設や老人ホームは、地価が安いという理由から家賃自体が低めに設定されていますので負担額を抑えるためには都市部を選ぶよりも、できる限り郊外の介護施設や老人ホームを探すようにしましょう。
全体的に民間施設の方が公的施設よりも価格設定が高くなり、居室タイプによって月額利用料が異なります。特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保健施設(老健)・介護医療院・ケアハウスなどの公的施設の中でも、個室やユニット型を選ぶと高額になるのはやむを得ません。ユニット型はやや広めの個室タイプで共用スペースもあるため、どうしても家賃設定が一層高くなりがちです。
費用を抑えるためには大部屋/相部屋タイプの多床室を選ぶのが良いでしょう。
介護施設や老人ホームの費用を誰が負担するのかは、あくまでもケースバイケースになります。親が費用すべてを負担する場合もありますし、子どもが肩代わりすることもあります。家庭の事情や経済状況などによると思いますので、前もって家族で十分話し合って、トラブルが起きないようにしましょう。ただし、税務上で贈与税の課税対象になって、高額な税金を払う必要が出てくる場合があるので、注意しましょう。
自立単身者が有料老人ホームに入居する場合の入居時および入居後に必要な費用を概算してみましょう。例として、68歳独身女性が今後のことを考慮して、介護付き有料老人ホーム入居時自立型を利用する場合で、余暇を楽しく過ごせるような設備が充実した施設を選択したと仮定します。また、一部家具/生活用品の持ち込みをして、生活用品費は押さえ気味にしてあります。
【入居時にかかる費用】
①入居一時金: 3,000万円 ②引越し費用:5~10万円 ③生活用品の費用 :10万円
【入居後にかかる費用(月単位)】
①月額使用料: 18万円 ②介護サービス費用 :なし ③その他 諸費用: 趣味/レジャー/交際費など
入居一時金は0〜数千万円まで幅広く設定されています。無料に近い設定の施設の場合、月額使用料に家賃が加算されているケースが普通で、毎月の月額費用が高額になります。今回のように入居一時金が高いのは、立地条件のよさや、サービス・施設の充実度に因るところが大きいです。長期の入居を考える場合は、入居一時金を支払い、月額費用を抑えた方がいいでしょう。
次に、要介護1の認定を受けた73歳独身男性が住宅型有料老人ホームに入居が決まった場合の費用の概算をまとめてみました。
【入居時にかかる費用】
①入居一時金(敷金) :1,000万円 ②引越し費: 6万円 ③生活用品の費用 :5万円
【入居後にかかる費用(月単位)】
①月額使用料: 15万円 ②介護サービス費用 :*16,765円(1割)、33,530円(2割)、50,295円(3割負担)
③その他 諸費用: 医療費/通院付添料
*居宅介護の料金体系により、区分支給限度額の上限まで使ったときの金額を示す
介護度 | 支給限度額 | 1割負担額 | 2割負担額 | 3割負担額 |
要支援1 | 50,320円 | 5,032円 | 10,064円 | 15,096円 |
要支援2 | 105,310円 | 10,531円 | 21,062円 | 31,593円 |
要介護1 | 167,650円 | 16,765円 | 33,530円 | 50,295円 |
要介護2 | 197,050円 | 19,705円 | 39,410円 | 59,115円 |
要介護3 | 270,480円 | 27,048円 | 54,096円 | 81,144円 |
要介護4 | 309,380円 | 30,938円 | 61,876円 | 92,814円 |
要介護5 | 362,170円 | 36,217円 | 72,434円 | 108,651円 |
次に息子夫婦と同居をする場合の介護保険負担額や、介護サービス費、医療費などの費用の概算をシミュレーションしました。
【設定】
・女性 81歳 要介護2
・自宅で暮らしたいが、できる限り家族に迷惑をかけたくないと思っている
・息子夫婦と同居
・夫婦の収入と年金 45万円
【1ヶ月の費用】 合計 393,000円
(1)生活費 350,000円 (2)介護保険自己負担額 19,000円
[内訳] ① デイサービス9回/月 9,000円 ②デイケア 5回/月 4,000円 ③訪問介護 13回/月 6,000円
(3)介護サービス自費(デイサービス食事代)
700円 × 13 = 9,000円
(4)医療費 15,000円
【1ヶ月の収支】
収入450,000円 ― 支出 393,000円 = + 57,000円
次に夫婦どちらかが在宅で介護をおこなう場合もどれくらいの費用がかかるのか、概算をシミュレーションしました。
【設定】
・女性 85歳 要介護3
・夫婦で年金暮らし 計18万円
・本人が自宅での生活を希望
・娘は遠方で暮らしているので、介護のために戻ることは困難
→介護費用に使えるお金が限られているため、介護保険の範囲内で介護保険サービスを最大利用する
【1ヶ月の費用】 合計 232,500円
(1)生活費 180,000円 (2)介護保険自己負担額 25,600円
[内訳] ① デイサービス17回/月 19,000円 ②訪問介護 13回/月 5,300円 ③福祉用具貸与(車いす/ベッド) 1,300円
(3)介護サービス自費(デイサービス食事代)
700円 × 17 = 11,900円
(4)医療費 15,000円
【1ヶ月の収支】
収入180,000円 ― 支出 232,500円 = -52,500円
上記はあくまでシミュレーションですが、想定されるケースに置き換え、イメージしておくとよいでしょう。
介護施設・老人ホームには様々な種類がありますがサービス内容や費用はそれぞれ異なります。よりよい老後生活を送るためにも、老後の住まいについてきちんと計画しておくことが大切です。無理のない資金計画を立てるためにも、まずは年金受給額や預貯金などを確認し、介護施設に支払える金額がどれくらいなのかを把握しておきましょう。それによって、入居できる施設がある程度絞られてきます。経済的にあまり余裕がない場合でも、入居一時金不要の料金プランを設定している施設もありますし、郊外へ行くと都市部に比べて費用相場が低い傾向にあります。経済状況や利用される方の要望に合わせて、住みやすい施設を探すようにしましょう。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
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