要介護1ってどういう状態?
他の要介護度や要支援との違い、認定基準や利用可能サービスまで解説
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介護サービスを受けるために必要な認定、要支援と介護度とは何か?
要介護1から5で何が違うのでしょうか?その違いを紹介します。2023年8月9日
要介護1とは?
要介護1とは、部分的な介護が必要な状態。食事や排泄など身の回りのことはたいていこなせますが、要支援に比べると日常の複雑な動作が難しく、認知能力や運動能力の低下が見られます。例えば、立ち上がりや歩行が不安定なため支えが必要になる、トイレや入浴などに一部介助が必要になるなどの状態が見られます。 介護の度合いを客観的にみて、どんな介護サービスがどの程度必要なのかを判断するのが要介護認定で、その中で要介護1は最も介護の必要性が低いとされる段階です。
厚生労働省の介護保険事業状況報告(暫定)の要介護(要支援)認定者数の調査によると、令和3年10月末現在、要介護(要支援)認定を受けている方は689万人。その中で要介護1と認定されている方は142万人となっています。これは要介護認定を受けた方の中で約2割の方が要介護1にあたることになります。
※参考 厚生労働省の介護保険事業状況報告(暫定) (第2-1表 要介護(要支援)認定者数 男女計)
―介護認定について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「介護保険制度とは?仕組みやサービス内容など、制度について解説」
要介護1の認定基準は?
厚生労働省が定めた「要介護認定等基準時間」と呼ばれる指標があります。要介護1の場合、日常的な身体介助や歩行、機能訓練などに要する時間を計算すると「要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態」とされています。 ではどのようなサービスが利用できるのでしょうか?またどのような介護用品・福祉用具が必要なのでしょうか?
要介護1の利用サービス例
要介護1と認定されたら利用できるサービスを一覧表にまとめました。 下記のサービスを組み合わせて利用することができます。
■要介護1利用サービス例
内 容 | サービス名 |
自宅で身の回りの世話や介護を受けられるサービス | ●訪問介護(ホームヘルプ)●訪問看護●訪問入浴●訪問リハビリ ●夜間対応型訪問介護●定期巡回●随時対応型訪問介護 |
施設に通って介護やリハビリを受けられるサービス | ●通所介護(デイサービス)●通所リハビリ●療養通所介護●地域密着型通所介護●認知症対応型通所介護 |
訪問・通い・宿泊を組み合わせて利用できるサービス | ●小規模多機能型居宅介護●看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス) |
短期間だけ施設に宿泊できるサービス | ●短期入所生活介護(ショートステイ)●短期入所療養介護 |
小規模施設に入居する | ●認知症対応型共同生活介護(グループホーム)●地域密着型特定施設入居者生活介護●地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 |
福祉用具を使用する | ●福祉用具貸与●特別福祉用具販売 |
※上記のサービスを利用するには、ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう必要があります。本人の状態や家族の状況に合わせて、どのようなサービスが必要であるかをケアマネジャーと相談し、最適なケアプランを作成してもらいましょう。
―ケアマネジャーについて、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?選び方と付き合い方について」
―ケアプランについて、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「ケアプランとは?介護に必要な計画書の作成方法と注意点について解説」
1.通所介護 デイサービスの場合
頻度:週2〜3回
内容:施設に日帰りで通い、食事や入浴、レクリエーションやリハビリなどのサービスを受ける
2. 訪問介護の場合
頻度:週2〜3回
ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事や入浴介助、掃除や洗濯などの家事、通院時の付き添いなどを行います。
上記はあくまでも参考です。ケアマネジャーと相談して個人の状態や家族の状況に合ったケアプランを立ててもらいましょう。
要介護1の場合に必要な福祉用具例
介護保険を利用してレンタルできる福祉用具は、要介護1の場合以下の4種類のみとなります。
・歩行器
・歩行補助杖(松葉杖や多点杖など)
・手すり(ただし、工事を伴わないものに限る)
・スロープ(ただし、工事を伴わないものに限る)
要介護1ではレンタル対象外の介護用品・福祉用具でも、医学的判断により特に必要と認められるものであれば「例外給付」を受けられます。市区町村で手続きが必要となるため、まずはケアマネジャーに相談しましょう。
―介護用品・福祉用具のレンタルについて、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「フランスベッド 介護用品・福祉用具のレンタル」
また、福祉用具の購入にも介護保険を利用することができますが、購入できる商品(福祉用具購入種目)が決まっています。以下は保険給付対象の福祉用具です。注意が必要なのは保険給付の対象となるのは「特定福祉用具販売」の指定を受けた事業所で購入したものだけです。指定を受けていない事業者から購入した場合は、給付対象外となります。
保険給付対象の福祉用具
・腰掛便座(ポータブルトイレや和式便器の上に置くタイプなど)
・自動排泄処理装置の交換可能部分(チューブやタンクなど)
・入浴補助用具(入浴用椅子、浴槽用手すりなど)
・簡易浴槽(空気式や折りたたみ式のもの/工事を伴わないもの)
・移動用リフトのつり具
支給限度額
要介護1の場合、介護サービスを利用する際に支給される限度額は、月額16万7650円と定められています※。
このうち原則1割(所得に応じて2~3割)が自己負担額となります。ケアマネジャーと相談し、適切なケアプランを作成してもらいましょう。
※2019年10月より施行
要支援、要介護は何が違う?
介護サービスを受けるにあたり「要支援」と「要介護」どちらに認定されるかによって、介護サービスの受けられる内容も違ってきます。「要支援」と「要介護」一体何が違うのでしょうか?
要支援とは
食事や排泄など日常生活の基本的なことは自力でできるものの、負担の大きい家事など部分的な支援が必要な状態のことです。
要支援の場合、「介護予防サービス」が利用できます。介護予防サービスは、地域支援事業として市区町村が主導。コミュニティサロンや体操教室、デイサービスや訪問介護の利用など、心身の状態を維持・改善して要介護状態を未然に防ぐことを目的としています。
要支援2とは?
要介護認定の審査判定には、前述したとおり「要介護認定基準時間」という指標が用いられます。その中で、要支援2と要介護1はどちらも「32分以上50分未満」と同じ基準時間になっています。では、どのような違いで要支援2と要介護1に分けられるのでしょうか?そのポイントとなるのが、認知機能の低下と状態の安定性です。下記2つの要件のうち、いずれかに該当する場合は、要介護1と認定されます。
・一定の介護が必要とされる程度の認知症である
・半年以内に心身状態が悪化し、要介護度の再検討が必要となる可能性が高い
上記の基準だけでなく、最終的には介護認定審査会という会議によって要介護度を決定するため、判定基準については参考程度とお考えください。また、たとえ同じ病気であっても、人によって症状や後遺症などが異なるため、同じ要介護度になるとは限らないことも覚えておきましょう。
要介護とは
日常生活における基本的な動作が困難で、介護を必要とする状態のこと。要介護1〜5まであり、数字が大きいほど重度になります。
要介護の場合、「介護サービス」が利用できます。訪問介護やショートステイ、施設入所など、介護者の負担軽減につながるサービスが受けられます。介護サービスは、介護保険により原則1割(所得に応じて2〜3割)の自己負担額で利用が可能です。要介護度によって介護保険の支給限度額が決められています。
要支援・要介護認定を受けるには、住まいのある市区町村への申請が必要です。詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
要介護2以降とはこう違う
今回のテーマである要介護1と、要介護2以降はどう違うのでしょうか?要介護2以上になると、日々の生活でできないことが増え、食事や排泄など身の回りのことへの介護がさらに必要となります。介護の負担もどんどん増えていき、家族だけでの介護が難しくなっていきます。
要介護1
食事や排泄など身の回りのことはたいていこなせるが、要支援2よりも認知能力や運動能力が低い。部分的な介護が必要。
要介護2
要介護1に比べ、日常生活でできないことが増え、理解力が低下している。食事や排泄など身の回りのことの介護が必要。
要介護3
歩行や立ち上がりなど日常生活における動作が困難で、食事や排泄など身の回りのことが介護なしではできない状態。
要介護4
要介護3よりも動作能力が低下し、介護なしでは日常生活を送れない状態。
要介護5
介護が無ければ生活が不可能で、意思の疎通が出来ない程に重度な状態。
※生活環境や本人の状態によって異なります。あくまでも目安としてお考えください。
要介護1の場合に在宅介護と施設利用で かかる費用の比較
介護が必要となったときには、在宅介護にするのか、施設へ入居するのか、本人の希望や生活環境、家族の状況などを踏まえて検討する必要があります。介護をするにあたり、費用がどれくらいかかるのか不安になります。在宅介護と施設利用にかかる費用を比較してみましょう。
要介護1では在宅介護の方が費用を抑えられる
要介護1の場合、在宅介護と施設入居でかかる費用の例を表にまとめてみました。
■要介護1の場合、在宅介護と施設入居でかかる費用の例
在 宅 介 護 | サービス付き高齢者向け住宅 | グループホーム | 介護付き有料老人ホーム | |
基本月額費用 (家賃・管理費等) | 121,000円 | 65,000円 | 188,000円 | |
生活費 | 133,000円 | 71,000円 | 82,000円 | 109,000円 |
介護サービス費 | 16,000円 | 18,000円 | 24,000円 | 17,000円 |
医療費 | 7,000円 | 7,000円 | 7,000円 | 7,000円 |
介護用品代 | 3,000円 | 6,000円 | 3,000円 | 6,000円 |
合計 | 159,000円 | 223,000円 | 181,000円 | 327,000円 |
※上記はあくまでも一例です。生活環境や本人の状態によってかかる費用は異なります。
在宅介護と施設入居にかかる費用を比べると、施設に入居するよりも在宅介護の方が費用を抑えられることがわかります。とはいえ、在宅介護となると、介護サービスを利用していない時間帯は家族がサポートする必要があり、介護のための時間を確保しなければなりません。一人暮らしの場合は、ヘルパーがいない間は全て自分で何とかしなければならず、たとえ住み慣れた家であっても転倒など事故のリスクもあるため注意が必要です。 費用の負担をできるだけ少なくしたいという気持ちだけで在宅介護を選んでしまうと、慣れない介護で思わぬ事故につながる恐れもありますし、慣れないうちはわからないことも多く、身体的にも精神的にも負担となって、ストレスに感じることも増えると考えられます。 本人と家族が協力しあって自宅での生活を続けられそうか、どれくらい費用を負担できるかなど、今後の介護について家族間でしっかり話し合い、在宅介護と施設入居のどちらにするかを考えてみるとよいでしょう。
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▶ 「在宅介護は大変?主な負担と事前に備える準備策」
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要介護1では健康型有料老人ホームの入居割合が高い
外部サイトが行ったアンケート調査によると、要介護1と認定された方の入居割合が最も高い施設は健康型有料老人ホームです、次いで軽費老人ホーム、ケアハウスも多くなっています。 健康型有料老人ホームは、スタッフや外部の業者が主な家事を行ってくれる施設で、トレーニングルームやシアタールーム、カラオケルームなどシニアライフを満喫できる設備が充実しています。レクリエーションへの参加、ガーデニングや麻雀などの趣味を楽しむなど、毎日をアクティブに過ごしたい人におすすめです。 要介護1の方が利用できる施設として、軽費老人ホームや高齢者向け賃貸住宅など他にも様々な施設がありますが、特におすすめなのがサービス付き高齢者向け住宅です。他の施設に比べて費用負担が少なく、利用したい介護サービスを自分で選ぶこともできます。生活の自由度も高く、自宅で暮らしているのと同じような感覚で過ごせます。
要介護1で介護サービスを利用する際の料金の例
では、要介護1と認定された方が実際にサービスを利用すると、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?今回は、サービス付き高齢者向け住宅を利用する場合と、一人暮らしの場合のサービス利用例をもとに、料金の目安をご紹介しましょう。
【1.要介護1でサービス付き高齢者向け住宅を利用する場合】
最初に要介護1でサービス付き高齢者向け住宅を利用する場合にかかる費用の一例をご紹介します。
■要介護1でサービス付き高齢者向け住宅を利用する場合にかかる費用の一例
内訳 | 費用 |
月額利用料 | 194,000円 |
介護サービス費用 | 18,000円 |
合計 | 212,000円 |
上記の月額利用料には、家賃や管理費、食費、水道光熱費も含まれています。一般的な有料老人ホームと比較すると費用の負担は少なく済みます。ただし、施設によっては月額利用料だけでなく、入居一時金として数十万円が必要となる場合もあります。また日用品購入費や嗜好品費は実費となるため、上記に加えて別途費用が必要となることも覚えておきましょう。理美容や役所手続き代行などといった月額利用料に含まれていないオプションサービスもいくつかあるため、必要となる料金については入居前にしっかりと確認しておきましょう。 今回は、1か月に210,000円程度の費用が必要となる場合をご紹介しましたが、施設の立地や部屋のタイプなどによって月額費用は異なります。利用する介護サービスによって金額も異なるため、上記はあくまでも目安としてお考えください。
【2.要介護1で一人暮らしをする場合】
要介護1で一人暮らしをする場合は、訪問介護や通所介護などのサービスを利用することになります。具体的にどれくらいの費用がかかるのか、要介護1のAさんのサービス利用例を挙げてみましょう。要介護1と認定されたAさんは、記憶力や理解力の低下が見られるため、訪問介護を利用し、買い物の際はヘルパーに同行してもらっています。足腰が弱いため、筋力維持のために訪問リハビリや通所リハビリも利用しています。
例1でご紹介したAさんが一人暮らしの場合は、どのようなケアプランになるのでしょうか。
■要介護1で一人暮らしをする場合
サービス内容 | 利用回数 | 月額(自己負担額1割の場合) |
訪問介護 | 月に12回 | 4,056円 |
訪問看護 | 月に8回 | 4,176円 |
訪問リハビリ | 月に4回 | 1,332円 |
通所リハビリ | 月に8回 | 6,200円 |
福祉用具貸与 | 1か月につき | 796円 |
合計 | 16,560円 |
※上記はあくまでも一例です。生活環境や身体状況によって、利用するサービスは異なります。
参考:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護サービス概算料金の試算」
先ほどご紹介したサ高住に入居する場合の費用に比べると、自宅で一人暮らしをした方が費用の負担は圧倒的に少ないと感じるかもしれません。しかし、自宅で生活を送ると当然のことながら、介護サービス費以外に家賃や光熱費、食費、生活費なども必要になります。場合によっては、施設入居でかかる費用とそこまで大きく差がないこともありますので、費用面だけで一人暮らしを選択せず、本人や家族の状況に合わせて判断しましょう。
要介護1なら一人暮らしでも施設利用ができる
要介護1は、要介護の中で最も軽度であるため、一人暮らしをすることは可能です。だからといって、施設に入るのは早いというわけではなく、サ高住や健康型有料老人ホームなどの施設に入居することも少なくありません。要介護度が比較的軽い人に適した施設など、様々な種類の施設があるため、まずはどのような施設があるのか情報を集め、気になる施設があれば実際に見学してみるなどしてみましょう。
要介護1についてのまとめ
要介護1は、部分的に介護は必要ですが、介護サービスや周りの協力があれば比較的自立した生活が送ることができる状態です。生活習慣の改善や、リハビリで「要支援」になるケースもあります。自力でできることを周りが手伝いすぎない、介護用品・福祉用具に頼りすぎないなど気を付け、身体能力の低下、要介護度の悪化につながらないようにしましょう。デイサービスや通所リハビリ、福祉用具レンタルなどの介護サービスをうまく活用し、現状維持・改善を目指しましょう。
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