吸引器を使用した たん吸引の手順は?おすすめの吸引器もご紹介

吸引器について、使用目的、たん吸引に必要なもの、基本手順、おすすめの吸引器などをご紹介します。

2021年4月27日

吸引器の使用目的

吸引器の使用目的は、加齢による体力の低下や病気のため自力でたんや唾液などの分泌物を吐き出せない方の手助けをして体外へ出すことです。人は空気と共にホコリや菌などの異物を無意識に吸い込んでいます。本来はこの異物が体内に入り込まないように、吸い込んだ異物をたんに絡ませ、咳などで体外へ排出されます。しかし、自力でたんや唾液を吐き出すことが難しくなると、たんが残され、呼吸が苦しくなり、窒息や呼吸困難を引き起こす恐れがあります 。たんには、細菌も多く含まれているため、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の原因など、病気につながることも考えられます。ですから吸引器の使用目的には、たんを取り除いて呼吸がしやすい状態にするだけでなく、肺炎などの病気の予防という意味もあります。

たん吸引に資格は必要?


たん吸引は、以前は医療行為に含まれるとされ、医師や看護師だけが実施を認められていました。しかし、「社会福祉士および介護福祉士法」の一部改正により、平成24年4月から喀たん(かくたん)吸引等研修を修了した介護職員は、たん吸引が行えるようになりました。

●たん吸引を行うための資格、喀たん(かくたん)吸引等研修とは?

喀たん(かくたん)吸引等研修とは、たん吸引と経管栄養を行うことができる資格です。この研修を修了することで、たん吸引が可能になるだけでなく、食事介助や誤嚥についての知識も身につけることができます。本人や家族の同意を得た上で、医療従事者の指示のもとに実施するという条件付きですが、この資格によって介護職員でもたん吸引を行えるようになりました。

喀たん(かくたん)吸引等研修は、第1号、第2号、第3号の3つに分けられており、それぞれ実施対象者や実施できる内容が異なります。

喀たん(かくたん)吸引等研修は、講義と演習を行う基本研修と、実地研修の2つで構成されています。実施対象が特定の人に限られる第3号研修は、第1号研修と第2号研修に比べて、基本研修の時間が大幅に短縮されています。


【第1号研修修了者】
対象者:不特定多数の利用者
実施できる内容:口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の喀たん(かくたん)吸引、経管栄養(胃ろう又は腸ろう、経鼻)の実施

【第2号研修修了者】
対象者:不特定多数の利用者
実施できる内容:口腔内と鼻腔内のみ喀たん(かくたん)吸引、経管栄養は、胃ろう又は腸ろうのみ実施可能。

【第3号研修修了者】
対象者:特定の利用者(ALSなどの神経筋疾患患者、重症心身障害患者など)
実施できる内容:口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の喀たん(かくたん)吸引、経管栄養(胃ろう又は腸ろう、経鼻)の実施

●家族によるたん吸引について

家族でも基本的に医療行為の実施は認められていません。しかし、例外としてたん吸引は、家族による実施が認められています。患者の療養目的であること、たん吸引が不定期で家族でなければ対応できないなど、一定の条件を満たしていれば、家族でもたん吸引を行うことが認められます。

たん吸引を始める前に
用意するもの


たん吸引を始める前に用意するものを確認しましょう。事前の準備がきちんとできていなければ、たん吸引をスムーズに行うことができません。以下を参考にして、必要なものを揃えましょう。

【たん吸引を始める前に用意するもの】
1.吸引器 2.吸引カテーテル 3.アルコール綿 4.水道水の入ったコップ 5.消毒液入りカテーテル保存容器(またはカテーテルが入る空の容器) 6.手袋 7.ゴーグル 8.マスク 9.エプロン

吸引器は、購入はもちろんですが、レンタルして利用することも可能です。フランスベッド では、吸引器の購入、レンタルのどちらにも対応いたします。在宅介護で吸引器が必要な場合は、一度ご相談してみてはいかがでしょうか。


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吸引器を使用した
たん吸引の基本手順

たん吸引の方法は
(1)口腔内から吸引する方法
(2)鼻腔内から吸引する方法
(3)気管カニューレ内部から吸引する方法
の3つがあります。いずれの場合も共通する基本の手順があります。

【たん吸引の基本手順1】 手指を清潔にする

石鹸で手指をきれいに洗います。指の間や手の甲、爪も忘れずに洗い、手を清潔な状態にしましょう。

【たん吸引の基本手順2】 意思確認をして体位を整える

吸引される本人の意思を確認して、たん吸引を行う環境・体位を整えます。仰向けに寝た状態になり、少し顎を上げるとチューブが入りやすくなります。このとき、口の周囲、口腔内、鼻腔内を観察し、出血や腫れ、乾燥などがないかチェックしてください。

【たん吸引の基本手順3】吸引カテーテルを吸引器本体のチューブにつなぐ

吸引カテーテルを取り出し、吸引器本体のチューブにつなげます。カテーテルを取り出すときに、先端が周りの机や壁などにぶつかり不潔にならないよう注意してください。吸引器本体のチューブに接続するときは、しっかりと奥まで挿入し外れないようにしてください。

【たん吸引の基本手順4】吸引器の電源を入れる

吸引器の電源を入れます。コップに入れた水を吸引できるかどうか確認しましょう。水を吸うことで、カテーテル内に水が通って滑りがよくなります。薬液につけて保管していたカテーテルを使用する場合は、水を吸うことで内部を洗い流してください。

【たん吸引の基本手順5】 吸引圧を合わせる

手順4の水をよくきり、アルコール綿でカテーテルの根元から先端までを消毒、吸引圧を合わせます。吸引圧については、医師または看護師に必ず確認してください。

【たん吸引の基本手順6】カテーテルを挿入する

カテーテルの先端から約10cmあたりを持ち挿入します。持ち手は親指、人差し指、中指の3本を使って、ペンを握るように持ちましょう。もう一方の手の親指でカテーテルの根元を押し曲げるようにして、吸引圧がかかっていない状態でゆっくりと挿入します。挿入前には必ず、吸引しますよと声をかけてください。

【たん吸引の基本手順7】 たんを吸引する

カテーテルの根元を押さえていた親指を放し、左右にゆっくり回転させながらたんを吸引します。たんの吸引は、約10〜15秒以内を目安に行いましょう。吸引した たんの色や量、粘さをチェックしてください。

【たん吸引の基本手順8】カテーテルをゆっくり引き抜く

カテーテルをゆっくり動かしながら引き抜いていきます。このとき、呼吸が苦しくないかどうか、爪や唇の色に異常がないかをチェックしてください。

【たん吸引の基本手順9】カテーテルを洗浄して外す

カテーテルの外側についた たんをアルコール綿で拭き取ります。その後、コップに入れた水を吸い、カテーテル内側を洗い流します。カテーテルにたんが残っていないことを確認したら吸引器の電源を切り、吸引器本体のチューブからカテーテルを外してください。

●カテーテルの保管について

カテーテルは、複数回使用することが可能です。
以下のいずれかの方法で保管しましょう。

・保管方法1:乾燥して保管する方法
空のコップに入れておくなど、乾燥した状態で保管します。

・保管方法2:薬液に浸して保管する方法(薬液浸漬法)
浸漬用消毒液の入った保存容器にカテーテル全体を浸して保管します。

気管カニューレ内吸引用の吸引カテーテルは、1回の使用が推奨されています。しかし、経済的な理由などで毎回使い捨てするのは難しいケースもあります。再使用する場合は、カテーテルを口腔鼻腔内吸引用と気管カニューレ用に分け、それぞれを消毒液入りの容器に保管、約24時間繰り返し使うことがあります。たんや唾液などが付着すると、細菌が繁殖してしまうこともありますので、汚れが落ちないときや、くすんできたときには、新しいものに交換してください。

口腔内のたん吸引の手順

口腔内からたん吸引を行うときの手順の1から5は基本手順と同様になります。手順6から詳細に記します。
1から5までは上記の基本手順と同様になります
【口腔内のたん吸引の手順1】 手指を清潔にする
【口腔内のたん吸引の手順2】 意思確認をして体位を整える
【口腔内のたん吸引の手順3】吸引カテーテルを吸引器本体のチューブにつなぐ
【口腔内のたん吸引の手順4】吸引器の電源を入れる
【口腔内のたん吸引の手順5】 吸引圧を合わせる

【口腔内のたん吸引の手順6】 カテーテルを挿入する

吸引します、と声をかけてから、カテーテルを喉元に向かってゆっくり挿入していきます。このとき、もう一方の手の親指でカテーテルの根元を押し曲げるようにし、吸引圧がかかっていない状態にしておきます。カテーテルを挿入する際に、カテーテルを舌で押しのける、噛んでしまうなどの拒否行動が見られる場合があります。口の中をしっかり覗き込みながらカテーテルを取り扱いましょう。咽頭後壁を強く刺激すると嘔吐反射が起きることがあります。食事を終えて時間が経っていない場合は、強く刺激しないよう注意しましょう。

【口腔内のたん吸引の手順7】たんを吸引する

カテーテルの先端が咽頭付近に届いたら、カテーテルの根元を押さえていた親指を放して、左右にゆっくり回転させながらたんを吸引します。喉の奥に溜まっているたんの吸引も忘れずに行いましょう。たんの吸引は、約10〜15秒以内を目安に行いましょう。吸引した たんの色や量、粘さをチェックしてください。

【口腔内のたん吸引の手順8】カテーテルをゆっくり引き抜く

カテーテルをゆっくり動かしながら引き抜いていきます。このとき、呼吸が苦しくないかどうか、爪や唇の色に異常がないかをチェックしてください。

【口腔内のたん吸引の手順9】カテーテルを洗浄して外す

カテーテルの外側についた たんをアルコール綿で拭き取ります。その後、コップに入れた水を吸い、カテーテル内側を洗い流します。発声や咳をしてもらい、まだたんが残っている場合は、息を整えた後にもう一度吸引を行いましょう。吸引を終える場合は、カテーテル内側にたんが残っていないことを確認して電源を切り、吸引器本体のチューブからカテーテルを外してください。

鼻腔内のたん吸引の手順

鼻腔内からたん吸引を行うときの手順の1から5は基本手順と同様になります。手順6から詳細に記します。

【鼻腔内のたん吸引の手順1】 手指を清潔にする
【鼻腔内のたん吸引の手順2】 意思確認をして体位を整える
【鼻腔内のたん吸引の手順3】吸引カテーテルを吸引器本体のチューブにつなぐ
【鼻腔内のたん吸引の手順4】吸引器の電源を入れる
【鼻腔内のたん吸引の手順5】 吸引圧を合わせる

【鼻腔内のたん吸引の手順6】カテーテルを挿入する

吸引します、と声をかけてから深呼吸をしてもらい、鼻の穴からカテーテルをゆっくりと入れていきます。口腔内のたん吸引と同様に、カテーテルの根元を親指で押し曲げるようにして、吸引圧がかかっていない状態で挿入していきます。入れ始めの数センチはやや上向きに、その後は下向きに入れていくイメージで奥まで挿入します。鼻腔から気管内へ進める際は、咳をさせ、カテーテルを引いたり、進めたりしながら入れていきます。無理やり入れる、何度も行うなどすると鼻の粘膜が傷つけられ、出血の原因になるため注意してください。カテーテルが入りにくいときは、反対側の鼻腔で行ってみるとよいでしょう。

【鼻腔内のたん吸引の手順7】たんを吸引する

カテーテルが15cm程度入ったら、カテーテルの根元を押さえていた親指を放し、こよりのように左右にゆっくりと回転させながら吸引します。たんの吸引は、約10〜15秒以内を目安に行いましょう。吸引した たんの色や量、粘さをチェックしてください。

【鼻腔内のたん吸引の手順8】カテーテルをゆっくり引き抜く

カテーテルをゆっくり動かしながら引き抜いていきます。このとき、呼吸が苦しくないかどうか、爪や唇の色に異常がないかをチェックしてください。

【鼻腔内のたん吸引の手順9】 カテーテルを洗浄して外す

カテーテルの外側についた たんをアルコール綿で拭き取ります。その後、コップに入れた水を吸い、カテーテル内側を洗い流します。一度でたんが取りきれなかった場合は、息を整えた後にもう一度吸引を行いましょう。吸引を終える場合は、カテーテル内側にたんが残っていないことを確認してから電源を切り、吸引器本体のチューブからカテーテルを外してください。

気管カニューレ内部の
たん吸引の手順

気管カニューレ内部からたん吸引を行うときの手順の1から5は基本手順と同様になります。手順6から詳細に記します。

【気管カニューレ内部のたん吸引の手順1】 手指を清潔にする
【気管カニューレ内部のたん吸引の手順2】 意思確認をして体位を整える
【気管カニューレ内部のたん吸引の手順3】吸引カテーテルを吸引器本体のチューブにつなぐ
【気管カニューレ内部のたん吸引の手順4】吸引器の電源を入れる
【気管カニューレ内部のたん吸引の手順5】 吸引圧を合わせる

【気管カニューレ内部のたん吸引の手順6】フレキシブルチューブのコネクターを外す

人工呼吸器を使用している場合は、気管カニューレからフレキシブルチューブ(フレックスチューブやカテーテルマウントとも呼ばれる)のコネクターを外す必要があります。人工呼吸器から空気が送り込まれて胸が盛り上がるのを確認したら、コネクターを外してきれいなタオルの上などに置きます。このとき、フレキシブルチューブ中の水滴が気管カニューレ内に落ちないよう注意してください。

【気管カニューレ内部のたん吸引の手順7】カテーテルを挿入する

吸引します、と声をかけてから、親指でカテーテルの根元を押し曲げて吸引圧がかからない状態にし、気管カニューレ内にカテーテルを挿入します。このとき、カテーテルが気管カニューレの先端を超えないように注意してください。
もうひとつ気管カニューレ内に吸引カテーテルを挿入する方法として、最初から吸引圧をかけた状態で挿入する方法もあります。どちらの方法で行うかは、医師や看護師の指示に従ってください。

【気管カニューレ内部のたん吸引の手順8】たんを吸引する

カテーテルの根元を押さえていた親指を放し、ゆっくりと回転させながらたんを吸引します。たんの吸引は、できるだけ短時間で長くても15秒以内を目安に行いましょう。吸引した たんの色や量、粘さをチェックしてください。 うまくたんが取れないときは、吸引圧の不足が原因ではなく、たんが上気道まで達していない、吸引孔の位置がずれているなどが理由の場合が多いです。たんの移動を促すために、呼吸理学療法や体位ドレナージ、咳嗽(がいそう)介助などを試みる、カテーテルの移動や回転などを行ってみてください。たんの粘稠度が高い場合は、水分摂取や加湿の調整、去たん剤の使用などで対処するとよいでしょう。

【気管カニューレ内部のたん吸引の手順9】カテーテルをゆっくり引き抜く

カテーテルをゆっくり引き抜いたら、すぐにコネクターを気管カニューレに装着します。フレキシブルチューブ内に水滴が付いている場合は、水を払い、気管カニューレ内に水滴が落ちないように注意しましょう。このとき、呼吸が苦しくないかどうか、爪や唇の色に異常がないかをチェックしてください。

【気管カニューレ内部のたん吸引の手順10】カテーテルを洗浄して外す

カテーテルの外側についた たんをアルコール綿で拭き取ります。その後、コップに入れた水を吸い、カテーテル内側を洗い流します。カテーテル内側にたんが残っていないことを確認してから電源を切り、吸引器本体のチューブからカテーテルを外してください。

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