この記事の監修者
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フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
介護を必要とする方をサポートする「介護保険制度」について紹介します。
2024年3月29日
「介護保険制度」とは、介護を必要とする方に費用を給付し、適切なサービスを受けられるようにサポートする保険制度です。自立支援や、介護する家族の負担軽減を目的としています。この制度のおかげで、要介護認定または要支援認定を受けたときに介護サービスを受けられるようになりました。
「介護保険制度」は、全国の自治体が運営主体となって、納められた保険料と税金で運営されています。40歳以上になると介護保険の加入が義務付けられ、保険料を納付することになり、被保険者としてサービスを受けるには、自治体の窓口で手続きをして受給できるかどうか審査を受ける必要があります。認定されると1割~3割(年金収入等の前年度所得によって負担の割合が変わります)の自己負担で介護サービスを受けることができます。
2000年4月にスタートした「介護保険制度」。
それまでは、市区町村などの自治体が主体となって行なっていた「措置制度」と呼ばれるものがありました。この制度は利用者や家族がケアの手法や入所施設を自由に選択することができませんでした。税金により成り立っていた制度でしたが社会保障費の増加で財政状況が厳しくなり、各自治体の負担がどんどん増えていきました。
この状況を改善するために1997年に「介護保険法」が制定され、2000年に「介護保険制度」がはじまりました。
「介護保険制度」が生まれたのは社会保障費の増大と家族をめぐる状況の変化が大きな理由です。
1960年代に老人福祉制度が誕生、70年代には老人医療費が無料化されました。その後、高齢化率は上昇し続け、医療費の高騰が深刻となりました。寝たきりの高齢者や、生活や介護の支援を必要とする高齢者の長期入院などが増え、大きな問題となりました。
さらに、核家族化の進行や介護する家族の高齢化などにより、自宅で高齢者を介護することが容易でなくなりました。
こうした背景から介護サービスのニーズが増大し、「介護保険制度」が誕生しました。
法律の整備もすすみ、 社会福祉法人や医療法人だけが行っていた介護事業に民間企業も参入できるようになることで、ビジネスとしての競争によるサービスの質も向上し、よりよい介護サービスを利用者本位で自由に選ぶことができるようになりました。また3年に1度、介護保険法の見直しが行われるので、社会情勢に合った有益なサービスを受けられるようになっています。「介護保険制度」は、少子高齢化や核家族化が進む日本において重要な社会保障のひとつになりました。
―介護保険制度の現状と問題点について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「介護保険制度の現状と問題点とは?」
介護保険の被保険者は、65歳以上の方(第1号被保険者)と、40〜64歳までの医療保険加入者(第2号被保険者)に分類されます。
第1号被保険者の保険料は、65歳になった月から徴収が開始されます。原則として年金から天引きとなり、自治体が徴収します。
第2号被保険者の場合、 健康保険に加入している方は、健康保険の保険料と一体的に徴収されます。介護保険料は原則として、被保険者と事業主が折半した金額が保険料になります。 国民健康保険加入者の方の保険料は、所得割と均等割、平等割、資産割の4項目を組み合わせて算出され、国民健康保険の保険料と一体的に徴収されます。
介護保険料額は、保険者(都道府県や市区町村など)ごとに設定する介護保険料基準額に、所得段階ごとに設けられた倍率を掛け合わせて計算します。
例えば、新宿区の第1号保険者の介護保険料基準額は月額6,400円で、所得段階が適用倍率1.2倍になる第7段階(本人の合計所得金額125万円以上250万円未満)だった場合の月額の保険料は以下になります。
6,400円×1.20=7,680円(月額)
なお、厚生労働省第8期介護保険事業(支援)計画期間(令和3年度から令和5年度)における第1号被保険者の保険料基準額は全国加重平均で月額6,014円となっており、所得段階別に0.3倍~1.9倍が適応されることが多いようです。一方で第2号被保険者の保険料の計算方法は、健康保険の加入状況によって異なり、国民健康保険の被保険者の場合は、世帯ごとの所得に応じて計算します。
―参考―
▶ 「新宿区 介護保険料の決まり方」
▶ 「厚生労働省 第8期計画期間における介護保険の第1号保険料について」
寝たきりや認知症などで常に介護を必要とする状態(要介護状態)や、常時の介護までは必要ないが身支度など日常生活に支援が必要な状態(要支援状態)になった65歳以上の方(第1号被保険者)と、64歳以下の第2号被保険者で、初老期の認知症、脳血管疾患など老化が原因とされる以下の特定疾病※により要介護(要支援)認定を受けた方はサービスを受けることができます。
介護保険でサービスを受けるには、自治体に申請して要介護または要支援認定を受ける必要があることを覚えておきましょう。
※特定疾病:
1.がん(末期)
2.関節リウマチ
3.筋萎縮性側索硬化症(ALS)
4.後縦靭帯骨化症(OPLL)
5.骨折を伴う骨粗鬆症
6.初老期における認知症
7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
8.脊髄小脳変性症
9.脊柱管狭窄症
10.早老症
11.多系統萎縮症
12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
13.脳血管疾患
14.閉塞性動脈硬化症(ASO)
15.慢性閉塞性肺疾患(COPD)
16.両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
―介護保険の保険者、被保険者について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「介護保険の保険者とは?」
介護保険被保険者証は、65歳の誕生月に交付されます。
介護保険制度の保険者(運営主体)は全国の各自治体にあたりますので、お住まいの各自治体の担当部署(高齢者支援課や介護保険課など)が介護保険被保険者証を交付する窓口となっています。
通常65歳以上の被保険者の場合は、介護保険被保険者証は郵送により各自に交付されますが、40歳〜64歳までの場合は自動的に交付されません。特定疾病に該当する方の場合は、介護認定を受けてから被保険者証を発行してもらうことになります。
いずれの場合でも介護保険被保険者証の交付を受けただけでは、介護保険サービスを利用することができませんので介護認定を受けるための手続きを忘れずに行いましょう。
高齢者が要介護または要支援と認定されると、指定されたサービスを介護保険で利用できるようになります。利用できるサービスは、以下の5種類です。
居宅サービス
要介護認定された方が利用できるサービス。ホームヘルパーや看護師が、高齢者の自宅を訪問し、介護や看護を行います。高齢者は自宅から介護施設に通ったり、数日間宿泊しリハビリや入浴を行ったりすることもできます。その他にも、福祉用具レンタルや購入の費用に介護保険が利用できます。
―介護用品・福祉用具のレンタルについて、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「フランスベッド 介護用品・福祉用具のレンタル」
地域密着型サービス
要介護認定された方が利用できるサービス。自治体が提供し、地域の特性に合った事業所の開設や、料金を設定しています。サービス内容は、夜間を含めた定期的な訪問介護や、少人数の介護施設などその地域に必要と考えられるものを用意しています。ただし、地域外の地域密着型サービスを利用することはできません。サービスを実施していない地域もあるのでお住まいの自治体に確認してみましょう。
施設サービス
要介護認定された方が利用できるサービス。24時間体制の介護やリハビリ、療養などを行うための施設に入所できます。中でも特別養護老人ホーム(特養)は利用料金が低く設定されていることもあり人気ですが、入所待ちの高齢者が全国で23.3万人以上(令和4年4月1日時点)※存在するため、申し込みから入所まで、数年待つ場合もあります。
介護予防サービス
要支援認定された方が利用できるサービス。高齢者を介護の必要のない自立した状態まで回復させることを目的とし、高齢者は施設へ通ってのリハビリやホームヘルパーの訪問サービスを利用できます。また自宅に手すりやスロープを取り付けて、生活に支障が出ないようにする住宅改修工事にも介護保険が利用できます。
地域密着型介護予防サービス
要支援認定された方が利用できるサービス。地域密着型サービスと同じで、自治体が主体となって提供する介護予防サービス。高齢者が利用できるサービスは、訪問介護や施設へ通ってのリハビリなどです。介護予防サービスと内容は似ていますが、こちらはそれぞれの地域に必要なサービスが重点的に提供されます。
介護保険は、介護度により支給限度額が決められています。介護度は、要支援1〜2、要介護1〜5の7段階に分けられ、数字が大きくなるほど重度で限度額も高額になります。
介護度 | 支給限度額 | 1割負担額 | 2割負担額 | 3割負担額 |
要支援1 | 50,320円 | 5,032円 | 10,064円 | 15,096円 |
要支援2 | 105,310円 | 10,531円 | 21,062円 | 31,593円 |
要介護1 | 167,650円 | 16,765円 | 33,530円 | 50,295円 |
要介護2 | 197,050円 | 19,705円 | 39,410円 | 59,115円 |
要介護3 | 270,480円 | 27,048円 | 54,096円 | 81,144円 |
要介護4 | 309,380円 | 30,938円 | 61,876円 | 92,814円 |
要介護5 | 362,170円 | 36,217円 | 72,434円 | 108,651円 |
通常、担当のケアマネジャーが限度額内で収まるようにケアプランを作成します。支給限度額以上のサービスを受けたい場合は、超過分を全額自己負担すれば利用可能です。
施設系サービスを利用する際に必要な光熱費や食費は自己負担となります。また、ショートステイ利用時の滞在費と食費も同じく自己負担となります。
ただし、特養に入所している場合は「負担限度額認定」により諸費用が免除されます。負担限度額認定は、 収入や資産が少ない家庭などを対象としており、お住まいの自治体で申請して認定されると認定証が発行されます。例えば、年金を含む収入が年間80万円以下の高齢者が特養を利用する場合、居住費は多床室で1日あたり370円程度、個室で490円程度になります。食費は1日あたり300〜390円程度で済み、低所得者でも安心してサービスを利用できます。
介護保険外サービスとは
介護保険外サービスとは、介護保険が適用されず、利用者が料金の全額を負担する介護サービスを指します。介護保険適用のサービスは、要介護者の最低限の生活を支援することを目的にしています。これに対し、生活をより豊かにするためのプラスアルファの支援を行うのが介護保険外サービスです。
サービスの内容
要介護者の健康状態に配慮した食事を自宅まで届けてくれる「食事宅配サービス」、介護を受けている方向けのヘアカット、ヘアメイクなどのサービスを提供する「訪問理美容」などです。ほかにも、部屋の掃除や家族の衣類の洗濯といった要介護者本人の利便に直結しない援助、花木の世話や大型家具の移動といった日常の家事の範囲を超えた援助など様々な内容が介護保険外サービスに該当します。
介護保険外サービスと保険内サービスによる混合介護
今後、介護保険サービスと介護保険外サービスを一本化して提供する「混合介護」が普及していくと考えられており、両者のメリットを合わせた、バランスの取れた介護が受けられるようになります。
介護保険サービスを受けるには、申請する本人が住んでいる自治体に申請して要介護(支援)認定を受ける必要があります。申請に必要なものは以下の4点です。
本人以外が代理で申請する場合は、印鑑を用意しましょう。
■要介護(要支援)認定申請書
役所や地域包括支援センターの窓口で入手できます。自治体のウェブサイトからもダウンロードができますが、難しい場合には電話で相談してみましょう。
■介護保険被保険者証
介護保険被保険者証は、65歳の誕生日を迎える月に自治体から交付されます。40〜64歳の方には原則として発行されませんが、特定16疾病により要介護認定を受けた場合には交付されます。健康保険被保険者証と介護保険被保険者証は別のものですので、間違えないよう注意しましょう。
―介護保険証について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「介護保険証はいつもらえて、どう使う?」
■個人番号(マイナンバー)
本人の番号が確認できるもの。
■身分証明書
運転免許証やパスポートなど顔写真付きのもの。
介護保険申請からサービス利用開始までの流れ。
要介護認定の申請は、申請する本人が住んでいる自治体の窓口で申請します。本人や家族のほか、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者などに申請を代行してもらうこともできます。
必要に応じて利用しましょう。
■主治医に意見書を書いてもらえるか確認
介護度を決定するために、医師の意見書が必要になります。意見書は自治体から医師に作成依頼を出すため、かかりつけ医に意見書を作成してもらえるか確認しましょう。
■要介護認定を申請
自治体にある介護保険の担当窓口に、介護保険申請書を提出します。申請書には、主治医、病院の名前、所在地、最終受診日など記入する必要があるので、それらがわかるようなメモや診察券も用意しましょう。
■訪問調査
申請後、調査員が自宅や施設を訪問し、申請者の心身の状態や日常生活の様子、住環境、家族の状況などを確認して聞き取り調査を行います。また、自治体が主治医に意見書作成の依頼を出します。
■審査判定
調査結果や主治医意見書をもとに、コンピュータにて要介護度の一次判定を行います。その結果と主治医意見書を参考に、介護認定審査会が要介護度の二次判定を行います。
■認定
申請から原則30日以内に要介護認定の結果が通知されます。非該当、要支援1~2、要介護1~5までのいずれかに分類され、受けられるサービスの判断基準になります。
■ケアプランの作成
地域包括支援センターや、居宅介護支援事業所に、介護サービス計画書の作成を依頼するために、担当してくれる介護支援専門員を決めましょう。依頼された介護支援専門員は、必要と思われる介護サービスや周辺の施設、本人とその家族の希望などを考慮して、適切なケアプランを作成します。
■介護サービス利用開始
ケアプランをもとにした介護サービスを受けられるようになります。要介護認定は、新規や変更申請の場合は有効期限が原則6ヶ月、更新申請の場合は原則12ヶ月です。有効期限を忘れずに、認定の更新をおこないましょう。また、介護者の状態に変化があるときは、要介護認定の有効期間中でも、要介護認定の変更の申請を行い、介護レベルを改めて判定してもらうこともできます。
―介護保険の申請方法について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「「介護保険」の申請方法と流れとは?申請できる条件や必要なものについても解説」
地域包括支援センターとは、地域の高齢者や家族が健康で安心して暮らせるように保健・医療・福祉などの面で支援してくれる機関で、市区町村または委託する組織が公的に運営しています。
地域包括支援センターには、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなど介護の専門スタッフが在籍しており、それぞれの得意分野を生かしながら連携を取り、解決策を提案してくれるので日々の介護の疑問や、生活の悩みなどを無料で相談することができ、必要であれば介護サービスや、様々な支援を受けるための手続きのお手伝いもしてくれます
要介護認定の申請をすると、はじめに自治体の職員や介護支援専門員等の調査員が自宅や施設等を訪問して心身の状態を確認する認定調査を行います。認定調査の内容は以下の5項目。
■身体機能・起居動作
生活する上で必要な身体機能に問題がないか、実際に体を動かしてもらったり、本人や家族からの話を聞いたりしてチェックし、視力や聴力、寝返りなど13項目があり、関節の動きに異常がないか、麻痺がないかなどを調査します。
■生活機能
日常生活で必要な動作ができているかどうかをチェックし、トイレや食事、衣類の着脱など、普段の生活で行う動きを調査します。
■認知機能
名前や生年月日などを正しく言えるかをチェックし、コミュニケーションがしっかり取れる状態か調査します。「今日は何月何日か」といった短期記憶もチェックします。
■精神・行動障害
過去1ヶ月の間に、不適切な行動や言動(突然大声を出す、物や衣類を壊す、感情が不安定など)がなかったかを調査します。
■社会生活への適応
薬の内服や金銭管理、買い物や簡単な調理ができるか、集団への不適応があるかどうかなどをチェックし、社会生活を送ることに問題がないかを調査します。
これらの聞き取り調査が終わると、コンピュータによる一次判定と、保健医療福祉の学識経験者が行う二次判定を経て要介護度が決定します。
認定された要介護度によって、給付される保険料が大きく変わり利用できるサービスも異なります。介護保険の仕組みや申請手順を正しく理解し、スムーズな手続きが行えるよう準備しておきましょう。
【要支援1】
日常生活は問題なく行えるものの、要介護状態を予防するために多少の支援が必要。
【要支援2】
立ち上がったり歩いたりすることが難しく、要支援1よりも身体能力にやや問題が見られる。
【要介護1】
食事や排泄など身の回りのことはたいていこなせるが、 要支援2よりも認知機能や運動能力が低い。部分的な介護が必要。
―要介護1について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「要介護1ってどういう状態? 他の要介護度や要支援との違い、認定基準や利用可能サービスまで解説」
【要介護2】
要介護1に比べ、日常生活でできないことが増え、理解力が低下している。 食事や排泄など身の回りのことの介護が必要。
―要介護2について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「要介護2ってどういう状態? 認定基準や他の要介護度との違い、利用可能サービスまで解説」
【要介護3】
歩行や立ち上がりなど日常生活における動作が困難で、 食事や排泄など身の回りのことが介護なしではできない状態。
―要介護3について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「要介護3ってどういう状態? 利用可能なサービスや他の要介護度との違いを解説」
【要介護4】
要介護3よりも動作能力が低下し、介護なしでは日常生活を送れない状態。
―要介護4について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「要介護4とは?要介護3や5との違いや受けられるサービス、 給付制度などを詳しく解説 」
【要介護5】
介護が無ければ生活が不可能で、意思の疎通が出来ない程に重度である。
―要介護5について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「要介護5とは?要介護4との違いや受けられるサービス、給付制度などを詳しく解説」
―要支援と要介護の違いについて、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「要支援と要介護の違いとは?認定基準と違いについて解説」
介護保険の給付には、要介護1〜5と認定された方が受けられる介護給付以外に、要支援1または2と認定された方が受けられる予防給付というものがあります。多少の支援があれば自立した生活を送ることができる状態の要支援1や2の方が、身体機能が低下して要介護状態になることをできるだけ防ぐためのものです。予防給付によって、デイサービスや訪問介護、福祉用具のレンタルなど生活機能の維持・向上を目指した介護予防サービスを受けることができます。要介護の場合と同じく所得に応じて1〜3割の自己負担額で利用することができます。自己負担額に関しては、認定後、自治体より「介護保険負担割合証」が送付されますのでそちらをご確認下さい。支給限度額は、前述の介護度別の支給限度額・ご利用者負担額表の通り、要介護に比べて低く設定されています。
介護保険制度の今後は、高齢化が急速に進んでいることから、財源不足や人手不足などのさまざまな問題に直面しています。2025年には、団塊の世代が75歳以上になり介護サービスのニーズが急増すると考えられ、介護給付額は15.3兆円、介護保険料は約7,200円になると予想されています。また、2040年にかけて、介護の現場や保険制度を支える現役世代が大幅に減少するため、介護保険制度そのものをどのように維持するかが課題になってきます。 介護の需要には地域差があるので、今後は全国一律の施策ではなく、それぞれの地域特性に応じた介護サービスの提供体制を整えることが重要になります。
介護保険制度の改正頻度
介護保険制度は、前述のとおり目まぐるしく変化する社会情勢に見合った制度を目指し、3年ごとに見直され、制度が改正されます。これまでの改正で変化があったものとしては、
・地域包括支援センターや地域密着型サービスの創設
・介護事業者の不正防止対策
・在宅介護と医療の連携強化
・特別養護老人ホームの新規入居条件を原則要介護3以上とする
・福祉用具の貸与と販売の選択制の導入 などがあります。
また、高齢化からくる要介護者の増加のため、介護保険の財源不足の問題もあり、財政面の改善に向けた見直しも行われています。介護保険制度がスタートした当時は所得に関係なく原則1割負担だった介護サービス利用料の自己負担額は、2014年の改正で所得に応じて1割〜2割に、2017年には所得に応じて最大3割負担に改正されました。財政的な問題に加え、介護現場の人手不足も深刻な問題となっているため、介護人材の確保に向けた介護職員の処遇改善なども改正に含まれています。
日常生活支援総合事業について
2015年の介護保険改正に伴い、「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」が創設され、2017年4月以降、様々なサービスが全国の自治体で始まりました。介護保険から切り離された要支援の介護予防給付の一部(訪問/通所介護)と、従来、自治体で実施していた介護予防事業が再編成された新制度です。介護保険サービスが全国一律であるのに対し、総合事業は各地域の自治体が主となって行う地域支援事業です。総合事業には、介護予防・生活支援サービス事業と一般介護予防事業の2種があります。介護予防・生活支援サービス事業は、要支援者と65歳以上の基本チェックリスト該当者、一般介護予防事業は要介護者と65歳以上のすべての高齢者が対象となり、自治体ごとに運営基準や利用料金などは独自に設定されています。総合事業のサービスを受ける場合は、自治体の相談窓口か地域包括支援センターに相談しましょう。介護事業者や民間サービスだけでなく、NPOやボランティア、町内会/住民などが地域で連携して高齢者を支援することが、総合事業の目的です。
保険外のサービス
介護保険外サービス(自費サービス)は、要介護認定を受けている人もそうでない人も利用することができます。公的なサービスでは提供できない部分をカバーするだけでなく、比較的元気な高齢者の介護予防にも活用できるため、高齢者やその家族の需要に合わせて幅広いサービスを受けられます。高齢者ができるだけ住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるように、医療・介護・生活支援・介護予防を一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築が進められています。介護保険外サービスの普及はこのシステムの実現に向けて大きな役割を担うのではないかと注目されています。
核家族化が一層進んでいる現代社会で、高齢者の介護を家族だけで行うことは難しくなっています。
介護保険制度は高齢者ご本人やその家族にとって社会全体で介護を支えることを目的としてつくられた制度です。
高齢者を含め介護や支援を必要とする方々、また家族にとっても、介護保険制度は心強い味方となるでしょう。一方で、介護保険は一定期間ごとに改正されるため、様々な手続きやルールが理解しづらいと言われています。内容が複雑でわかりにくく、審査を受けて介護保険の認定を受けるまで日数もかかりますので、面倒に思う方も多いかもしれません。しかし、介護保険制度は高齢者ご本人やその家族にとって味方になってくれる制度です。分からないことや不安なことは、お住まいの自治体、担当窓口または地域包括支援センターまでご相談ください。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
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