介護保険制度って
知ってますか?

介護を必要とする方をサポートする「介護保険制度」について紹介します。

2020年4月22日

介護保険制度とは?

介護保険制度とはどんな制度?

「介護保険制度」とは、介護を必要とする方に費用を給付し、適切なサービスを受けられるようにサポートする保険制度。自立支援や、介護する家族の負担軽減を目的としています。この制度のおかげで、要介護認定または要支援認定を受けたときに介護サービスを受けられるようになりました。
「介護保険制度」は、全国の市町村および東京23区(以下市区町村)が運営主体となって、納められた保険料と税金で運営されています。40歳以上になると介護保険の加入が義務付けられて、保険料を納付します。被保険者としてサービスを受けるには、市区町村の窓口で手続きをして受給できるかどうか審査を受ける必要があります。認定されると1割~3割(年金収入等の前年度所得によって負担の割合が変わります)の自己負担で介護サービスを受けることができます。

介護保険制度とはどんな制度?

「措置」から「サービス」へ、「介護保険制度」は2000年にスタート

2000年4月にスタートした「介護保険制度」。
それまでは、市区町村などの自治体が主体となって行なっていた「措置制度」と呼ばれるものがありました。この制度は利用者や家族はケアの手法や入所施設を自由に選択することができませんでした。税金により成り立っていた制度でしたが社会保障費の増加で財政状況が厳しくなり、各自治体の負担がどんどん増えていきました。
この状況を改善するために1997年に「介護保険法」が制定され、2000年に「介護保険制度」がはじまりました。

介護保険制度が生まれた背景

「介護保険制度」が生まれたのは社会保障費の増大と家族をめぐる状況の変化が大きな理由です。
1960年代に老人福祉制度が誕生、70年代には老人医療費が無料化されました。その後、高齢化率は上昇し続け、医療費の高騰が深刻となりました。寝たきりの高齢者や、生活や介護の支援を必要とする高齢者の長期入院などが増え、大きな問題となりました。
さらに、これまでは同居する主婦が家族の介護をしていましたが、女性の社会進出がすすみ、自宅で高齢者を介護することが容易でなくなりました。
こうした背景から介護サービスのニーズが増大し、「介護保険制度」が誕生しました。
法律の整備もすすみ、 社会福祉法人や医療法人だけが行っていた介護事業に民間企業も参入できるようになりました。ビジネスとしての競争によるサービスの質も向上し、よりよい介護サービスを利用者本位で自由に選ぶことができるようになりました。また3年に1度、介護保険法の見直しが行われるので、社会情勢に合った有益なサービスを受けられるようになっています。「介護保険制度」は、少子高齢化や核家族化が進む日本において重要な社会保障のひとつになりました。

介護保険制度が生まれた背景

介護保険制度の仕組み

介護保険の被保険者は、65歳以上の方(第1号被保険者)と、40〜64歳までの医療保険加入者(第2号被保険者)に分類されます。 介護保険料について 第1号被保険者の保険料は、65歳になった月から徴収が開始されます。原則として年金から天引きとなります。市区町村が徴収します。
第2号被保険者の場合 、 健康保険に加入している方は、健康保険の保険料と一体的に徴収されます。介護保険料は原則として、被保険者と事業主が折半した金額が保険料になります。 国民健康保険加入者の方の保険料は、所得割と均等割、平等割、資産割の4項目を組み合わせて算出されます。国民健康保険の保険料と一体的に徴収されます。 サービスを受けられる対象者 原則として第1号被保険者のみです。寝たきりや認知症などで常に介護を必要とする状態(要介護状態)や、常時の介護までは必要ないが身支度など日常生活に支援が必要な状態(要支援状態)になった65歳以上の方が受給対象となります。ただし、64歳以下の第2号被保険者でも、初老期の認知症、脳血管疾患など老化が原因とされる以下の特定疾病※により要介護(要支援)認定を受けた場合はサービスを受けることができます。
介護保険でサービスを受けるには、市区町村に申請して要介護または要支援認定を受ける必要があることを覚えておきましょう。

※特定疾病:
1.がん(末期)
2.関節リウマチ
3.筋萎縮性側索硬化症
4.後縦靭帯骨化症
5.骨折を伴う骨粗鬆症
6.初老期における認知症
7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
8.脊髄小脳変性症
9.脊柱管狭窄症
10.早老症
11.多系統萎縮症
12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
13.脳血管疾患
14.閉塞性動脈硬化症
15.慢性閉塞性肺疾患
16.両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

介護保険制度で受けられる介護サービス

介護保険制度で受けられるサービス

高齢者が要介護または要支援と認定されると、指定されたサービスを介護保険で利用できるようになります。利用できるサービスは、以下の5種類です。

居宅サービス

要介護認定された方が利用できるサービス。ホームヘルパーや看護師が、高齢者の自宅を訪問し、介護や看護を行います。高齢者は自宅から介護施設に通ったり、数日間宿泊しリハビリや入浴を行うこともできます。その他にも、福祉用具レンタルや購入の費用に介護保険が利用できます。

居宅サービス

施設サービス

要介護認定された方が利用できるサービス。24時間体制の介護やリハビリ、療養などを行うための施設に入所できます。中でも特別養護老人ホーム(特養)は利用料金が低く設定されているので人気ですが、入所待ちの高齢者が全国で52万人以上(平成26年3月時点)存在するため、申し込みから入所まで、数年待つ場合もあります。

施設サービス

介護予防サービス

要支援認定された方が利用できるサービス。高齢者を介護の必要のない自立した状態まで回復させることを目的とし、高齢者は施設へ通ってのリハビリやホームヘルパーの訪問サービスを利用できます。また自宅に手すりやスロープを取り付けて、生活に支障が出ないようにする住宅改修工事にも介護保険が利用できます。

地域密着型サービス

要介護認定された方が利用できるサービス。市区町村が提供し、地域の特性に合った事業所の開設や、料金を設定しています。サービス内容は、夜間を含めた定期的な訪問介護や、少人数の介護施設などその地域に必要と考えられるものを用意しています。ただし、地域外の地域密着型サービスを利用することはできません。サービスを実施していない地域もあるのでお住いの市区町村に確認してみましょう。

地域密着型介護予防サービス

要支援認定された方が利用できるサービス。地域密着型サービスと同じで、市区町村が主体となって提供する介護予防サービス。高齢者が利用できるサービスは、訪問介護や施設へ通ってのリハビリなど。介護予防サービスと内容は似ていますが、こちらはそれぞれの地域に必要なサービスが重点的に提供されます。

介護保険の支給限度額について

介護保険は、要介護度により支給限度額が決められています。介護度は、要支援1〜2、要介護1〜5の7段階に分けられ、数字が大きくなるほど重度で限度額も高額になります。

介護度別の支給限度額・ご利用者負担額表(月額)

介護度 支給限度額 1割負担額 2割負担額 3割負担額
要支援1 50,320円 5,032円 10,064円 15,096円
要支援2 105,310円 10,531円 21,062円 31,593円
要介護1 167,650円 16,765円 33,530円 50,295円
要介護2 197,050円 19,705円 39,410円 59,115円
要介護3 270,480円 27,048円 54,096円 81,144円
要介護4 309,380円 30,938円 61,876円 92,814円
要介護5 362,170円 36,217円 72,434円 108,651円

※2019年10月より施行
(注)実際の支給限度額は金額ではなく単位できめられており所在地やサービスの種類によって1単位当たりの報酬額がことなります。
(注)上表は目安として1単位当たり10円として計算しています。

通常、担当のケアマネジャーが限度額内で収まるようにケアプランを作成します。支給限度額以上のサービスを受けたい場合は、超過分を全額自己負担すれば利用可能です。
施設系サービスを利用する際に必要な光熱費や食費は自己負担。また、ショートステイ利用時の滞在費と食費も同じく自己負担となります。
ただし、特養に入所している場合は「負担限度額認定」により諸費用が免除されます。負担限度額認定は、 収入や資産が少ない家庭などを対象としており、お住いの市区町村で申請して認定されると認定証が発行されます。例えば、年金を含む収入が年間80万円以下の高齢者が特養を利用する場合、居住費は多床室で1日あたり370円程度、個室で490円程度になります。食費は1日あたり300〜390円程度で済み、低所得者でも安心してサービスを利用できます。

介護保険の支給限度額について

注目の集まる、「介護保険外サービス」の活用、混合介護

介護保険外サービスとは 介護保険外サービスとは、介護保険が適応されず、利用者が料金の全額を負担する介護サービスを指します。介護保険適用のサービスは、要介護者の最低限の生活を支援することを目的にしています。これに対し、生活をより豊かにするためのプラスアルファの支援を行うのが介護保険外サービスです。
サービスの内容 要介護者の健康状態に配慮した食事を自宅まで届けてくれる「食事宅配サービス」、介護を受けている方向けのヘアカット、ヘアメイクなどのサービスを提供する「訪問理美容」など。ほかにも、客間の掃除や家族の衣類の洗濯といった要介護者本人の利便に直結しない援助、花木の世話や大型家具の移動といった日常の家事の範囲を超えた援助など様々な内容が介護保険外サービスに該当します。
介護保険外サービスと保険内サービスによる混合介護 今後、介護保険サービスと介護保険外サービスを一本化して提供する「混合介護」が普及していくと考えられています。両者のメリットを合わせた、バランスの取れた介護が受けられるようになります。

要介護認定の申請方法と利用開始までの流れ

介護保険を申請する方法

介護保険サービスを受けるには、住まいのある市区町村に申請して要介護(支援)認定を受ける必要があります。申請に必要なものは以下の4点です。
本人以外が代理で申請する場合は、印鑑を用意しましょう。

要介護(要支援)認定申請書

役所や地域包括支援センターの窓口で入手できます。市区町村のウェブサイトからダウンロードできる場合もあります。

介護保険被保険者証

64歳以下の場合は健康保険被保険者証を準備しましょう。

個人番号(マイナンバー)

本人の番号が確認できるもの。

身分証明書

運転免許証やパスポートなど顔写真付きのもの。

要介護認定の申請方法と利用開始までの流れ

介護保険申請の流れ

介護保険申請からサービス利用開始までの流れ。
要介護認定の申請は、本人がお住まいの市町村の窓口で申請します。本人や家族のほか、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者などに申請を代行してもらうこともできます。
必要に応じて利用しましょう。

主治医に意見書を書いてもらえるか確認

要介護度を決定するために、医師の意見書が必要になります。かかりつけの医師に意見書を作成してもらえるか確認しましょう。意見書は市区町村から医師に作成依頼を出すので、この時は確認だけで大丈夫です。

要介護認定を申請

市区町村にある介護保険の担当窓口に、介護保険申請書を提出します。申請書には、主治医、病院の名前、所在地、最終受診日など記入する必要があるので、それらがわかるようなメモや診察券も用意しましょう。

認定調査

申請後、調査員が自宅や施設を訪問し、申請者の心身の状態を確認して認定調査を行います。また、市区町村が主治医に意見書作成の依頼を出します。

審査判定

調査結果や主治医意見書をもとに、コンピュータにて要介護度の一次判定を行います。その結果と主治医意見書を参考に、介護認定審査会が要介護度の二次判定を行います。

認定

申請から原則30日以内に要介護認定の結果が通知されます。非該当、要支援1~2、要介護1~5までのいずれかに分類され、受けられるサービスの判断基準になります。

ケアプランの作成

地域包括支援センターや、居宅介護支援事業者に、介護サービス計画書の作成を依頼。依頼された介護支援専門員は、必要と思われる介護サービスや周辺の施設、本人とその家族の希望などを考慮して、適切なケアプランを作成します。

介護サービス利用開始

ケアプランをもとにした介護サービスを受けられるようになります。要介護認定は、新規や変更申請の場合は有効期限が原則6ヶ月、更新申請の場合は原則12ヶ月。有効期限を忘れずに、認定の更新をおこないましょう。また、介護者の状態に変化があるときは、要介護認定の有効期間中でも、要介護認定の変更の申請を行い、介護レベルを改めて判定してもらうこともできます。

要介護認定の条件

要介護認定の申請をすると、はじめに市区町村等の調査員が自宅や施設等を訪問して心身の状態を確認する認定調査を行います。認定調査の内容は以下の5項目。

身体機能・起居動作

生活する上で必要な身体機能に問題がないか、実際に体を動かしてもらったり、本人や家族からの話を聞いたりしてチェック。視力や聴力、寝返りなど13項目があり、関節の動きに異常がないか、麻痺がないかなどを調査します。

生活機能

日常生活で必要な動作ができているかどうかをチェック。トイレや食事、衣類の着脱など、普段の生活で行う動きを調査します。

認知機能

名前や生年月日などを正しく言えるかをチェックし、コミュニケーションがしっかり取れる状態か調査します。「今日は何月何日か」といった短期記憶もチェックします。

精神・行動障害

過去1ヶ月の間に、不適切な行動や言動(突然大声を出す、物や衣類を壊す、感情が不安定など)がなかったかを調査します。

社会生活への適応

薬の内服や金銭管理、買い物や簡単な調理ができるか、集団への不適応があるかどうかなどをチェックし、社会生活を送ることに問題がないかを調査します。

これらの聞き取り調査が終わると、コンピュータによる一次判定と、保健医療福祉の学識経験者が行う二次判定を経て要介護レベルが決定します。
認定されたレベルによって、給付される保険料が大きく変わり利用できるサービスも異なります。介護保険の仕組みや申請手順を正しく理解し、スムーズな手続きが行えるよう準備しておきましょう。

要支援1

日常生活は問題なく行えるものの、要介護状態を予防するために多少の支援が必要。

要支援2

立ち上がったり歩いたりすることが難しく、要支援1よりも身体能力にやや問題が見られる。

要介護1

食事や排泄など身の回りのことはたいていこなせるが、 要支援2よりも認知能力や運動能力が低い。部分的な介護が必要。

要介護2

要介護1に比べ、日常生活でできないことが増え、理解力が低下している。 食事や排泄など身の回りのことの介護が必要。

要介護3

歩行や立ち上がりなど日常生活における動作が困難で、 食事や排泄など身の回りのことが介護なしではできない状態。

要介護4

要介護3よりも動作能力が低下し、介護なしでは日常生活を送れない状態。

要介護5

介護が無ければ生活が不可能で、意思の疎通が出来ない程に重度である。