この記事の監修者
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フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
介護保険の申請方法について、介護保険とは何か、申請方法や流れ、知っておきたいポイントなどをご紹介します。
2022年11月21日
介護保険とは、介護者の負担の軽減や高齢者の介護を社会全体で支え合うことを目的に創設された仕組みのことを言います。 高齢化が進み、要介護高齢者は増加、介護期間が長期化し介護のニーズは増大しています。一方で、核家族化によって介護する家族も高齢化し、要介護高齢者を支える家族の状況も変化してきました。 従来の老人福祉、老人医療制度による対応は限界を迎えてきたことから、1997年に介護保険法が成立、以後3年に一度見直しが行われ改善されています。
―介護保険について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。―
▶「介護保険制度とは?仕組みやサービス内容など、制度について解説」
介護保険を利用して介護サービスを受けるには以下の要件を満たす必要があります。
【介護保険を申請できる方1】65歳以上の方 第1号被保険者
寝たきりや認知症などでつねに介護を必要とする状態(要介護状態)や、常時の介護までは必要ないが身支度などに日常生活に支援が必要な状態(要支援状態)になり要支援認定または要介護認定を受けた方。
【介護保険を申請できる方2】40歳以上65歳未満の医療保険に加入している方 第2号被保険者
加齢に伴い生ずる心身の変化によって、要介護状態の原因である心身の障害を生じさせる、16種類の特定疾病と診断され、要支援認定または要介護認定を受けた方。
①がん(末期のがん)
がんの中でも特定疾病となるのは、医師が進行性かつ治癒が困難であると判断した末期がん
②関節リウマチ
全身のあらゆる関節に炎症が発生して痛みやこわばり、手足の変形などの症状が現れる病気。自覚症状の5項目と臨床検査の結果から総合的に判断されます
③筋萎縮性側索硬化症(ALS)
身体を動かすための運動神経細胞の異常によって筋肉の萎縮や筋力が低下する病気
④後縦靱帯骨化症
後縦靱帯と呼ばれる背骨の中を縦に通る靱帯が骨化する病気
⑤骨折を伴う骨粗鬆症
骨がもろくなり日常生活のちょっとした負荷や軽い転倒などで骨折してしまう状態
⑥初老期における認知症
認知症の中でも65歳未満で発症する認知症(若年性認知症)
⑦進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
筋肉のこわばりや静止時のふるえ、無動、姿勢反射障害などのパーキンソン症状が現れます。いずれも脳の神経細胞の減少によって引き起こされる病気
⑧脊髄小脳変性症
後頭部の下側にある小脳の障害によって生じる疾患
⑨脊柱管狭窄症
脊椎にある脊柱管が狭くなって神経が圧迫されてしまい、痛みやしびれを引き起こす病気
⑩早老症
遺伝子の異常によって引き起こされます。若年性白内障、白髪、脱毛、鳥様顔貌、軟部組織の石灰化など、実際の年齢よりも早く老化の兆候が全身に現れる病気の総称
⑪多系統萎縮症
自律神経症状、パーキンソン症状、小脳症状などが組み合わさり現れる疾患
⑫糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症は、糖尿病が進行して起こる三大合併症
⑬脳血管疾患
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など、脳血管の異常によって起こる疾患
⑭閉塞性動脈硬化症
動脈硬化により足の血管が細くなる、詰まるなど血流が悪くなる病気
⑮慢性閉塞性肺疾患
肺気腫、慢性気管支炎、気管支喘息、びまん性汎細気管支炎といった肺の働きが低下する病気
⑯両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
両側の膝関節・股関節が変形して動かしづらくなり、痛みや腫れなどの症状が現れること
―特定疾病について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。―
▶「特定疾病症とは?16種類の解説と、特定疾病症と診断されたときの対策を紹介!」
介護保険を利用するには、要支援認定または要介護認定を受ける必要があり、申請には時間も手間もかかります。
事前に、介護保険申請の要件に該当するかどうかを必ず確認するようにしましょう。
介護保険を利用したい場合は、要介護認定などを希望する申請者が、お住まいの自治体の窓口や地域包括支援センターに必要書類(申請書・介護保険の被保険者証・健康保険の保険証(第2号被保険者の場合))を揃えての申請が必要となります。
自治体の窓口は地域によって、福祉課、介護保険課、高齢者支援課など名称が異なる場合がありますので、わからない場合は、総合窓口でご相談ください。
事前に準備をしておくとスムーズに申請が行えます。
申請には以下の4つの書類が必要になります。
以下をご確認の上、申請をしましょう。
要介護(要支援)認定申請書は、お住いの自治体の窓口や地域包括センターで入手することができます。自治体によってはインターネットからダウンロードできる場合もあります。ダウンロードできれば事前に記入しておけますので確認の上、ご利用してみてください。
介護保険被保険者証とは、65歳になる前に自治体から送付される証書となります。
「第2号被保険者」といわれる40歳から65歳未満の方が申請する場合は、介護保険被保険者証はありませんので、代わりに健康保険証の用意が必要となります。
マイナンバーカードやマイナンバー通知書などのマイナンバーが確認できるもの(写しでも可能)が必要となります。
運転免許証やマイナンバーカードなどの身元が確認できる証明書を用意します。
顔写真が付いている身分証明書の持参が必要です。
本人が入院中など、ご自分で申請ができない場合には、ご家族や親族が代わりに申請することも可能です。
ご家族や親族の支援を受けての申請が難しい場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者や、介護保険施設に入所中の方や病院に入院中の方であればそれぞれの施設にご相談いただき代理で申請してもらうことも可能です。
申請の際は、代理人の方の本人確認書類も必要となりますのでご注意ください。
お住まいの自治体の窓口で要介護認定の申請をしたあとは、自治体の調査員がご自宅や病室などを訪問して介護認定調査が行われます。介護認定調査の後、一次審査、二次審査を経て判定され、認定調査の結果が通知されるという流れになります。
―介護保険申請後の流れを詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。―
▶サービス利用までの流れ | 介護保険の解説 【厚生労働省】
自治体の職員がご自宅に訪問し介護認定調査が行われます。調査では、心身の状況や生活環境、特別な医療の必要性など、全国共通の74項目の基本調査と特記事項が調査されます。具体的には、大きくわけて、以下のような5つの内容がチェックされます。認定調査員に正確な情報を伝えることができ、適切な認定を受けることができるため、ご家族も同席することをおすすめします。
【1.身体機能・起居動作】
身体の麻痺はあるのか、四肢の筋力低下はないか、日常生活を送るうえで必要な基本的動作に障害があるかどうか、チェックされます。
【2.生活機能】
食事状況や排泄行為、衣類の着脱、外出の頻度などに問題がないかなど、ひとりの力で日常生活を問題なく送ることができるのかどうか、チェックされます。
【3.認知機能】
今日は何日か、昨日は何を食べたのかなど、短期記憶に問題がないか、名前や生年月日などを正確に言うことができるかなどの意志の伝達状況を確認し、認知機能に問題があるのかどうか、チェックされます。
【4.精神・行動障害】
情緒不安定になることがないか、被害妄想などがないか、同じ話ばかりしたりしてないか、問題行動など、精神・行動に不適切な行動がなかったか、チェックされます。
【5.社会生活への適応】
服薬管理や金銭管理ができるか、集団に適応する能力があるか、買い物や簡単な調理ができるかどうかなど、社会生活を適切に送ることができるかどうか、チェックされます。
他にも、過去14日間に受けた点滴や透析、経管栄養や酸素療法などの特別な医療、家族や住まいの環境、現在受けているサービスや施設の利用状況などの聞き取り調査もされます。
―介護認定調査について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。―
▶「介護認定調査とは?当日に心がけるべきこと」
かかりつけ医の意見書は、自治体が主治医に依頼を行い、作成をします。主治医がいないという場合は、自治体の指定医の診察が必要となります。
意見書には病名や症状の記入、そして身体に関する細かい状態を記入してもらう必要があります。
そのため、本人を正しく理解していない医師には断られる可能性もありますので、注意しましょう。
一次判定は、介護認定調査での聞き取り内容をもとに客観的に公平な判断をするため、コンピュータによって行われています。
使用されるのは、厚生労働省が作成した全国共通の要介護認定ソフトです。この要介護認定ソフトを使用し、申請者がどれくらい介護に時間を要するのか(要介護認定等基準時間)が分析されます。算出された要介護認定等基準時間が長くなればなるほど、要介護度が重いというように判定されます。
【要介護認定等基準時間の内訳】
要支援1 25分以上32分未満またはこれに相当すると認められる状態の場合
要支援2 32分以上50分未満またはこれに相当すると認められる状態の場合
要介護1 32分以上50分未満またはこれに相当すると認められる状態の場合
要介護2 50分以上70分未満またはこれに相当すると認められる状態の場合
要介護3 70分以上90分未満またはこれに相当すると認められる状態の場合
要介護4 90分以上110分未満またはこれに相当すると認められる状態の場合
要介護5 110分以上またはこれに相当すると認められる状態の場合
このようにコンピュータの基準から時間を算出し客観的に公平に判断されるのが一次判定です。
二次判定では、一次判定の結果とかかりつけ医の意見書の内容に基づいて、保健・医療・福祉の学識経験者5名程度の専門家で構成される「介護認定審査会」によって、要支援・要介護度の判定が行われます。
二次判定に用いるチェック事項としては、介護認定調査の際に訪問した調査員が書いた調査票の特記事項、かかりつけ医の意見書に記入された・診療の状況・認知症の有無など心身状態に関する意見・医学的管理の必要性など介護に関する意見・特別な医療となっています。これらのチェック事項を各専門家によって介護が必要かどうか、その状態のレベルはどれくらいか、一次判定の結果が適切か否かなどを専門的にみての話し合いの上、二次判定が行われます。
介護認定調査の認定結果は、介護認定審査会の二次判定の結果をもとに自治体が認定し、通常申請日から原則30日以内に利用者へ通知されます。
遅れる場合、利用者に対して、見込み期間と遅れる理由の通知が届きます。
認定結果は「要介護1~5」「要支援1・2」「非該当(自立)」の8段階のいずれかの区分になり、要介護度が明記されている結果通知書と、被保険者証が一緒に届きます。
通常は、結果通知書を受け取り、介護度の段階を確認してから、介護(介護予防)サービス計画書(ケアプラン)の作成し、介護サービスの利用を始めます。しかし、ご本人の心身状態や住環境によっては、審査期間中から、介護サービスを利用したいという場合、結果が通知される前であっても、申請した日に遡って、保険給付を受けるという形で、サービスを受けることができます。
ただし、要支援または要介護の認定を受けることができなかった場合は、利用したサービスの料金が全額自己負担になってしまうため注意しましょう。また、要介護度の区分によって、支給限度額が違うため、想定していた介護度よりも低い認定を受けた場合、想定していたよりも、高い金額を支払うことになります。
想定よりも要介護度の認定が低く評価された場合など、届いた認定調査結果に不服がある時は、自治体に相談をすると、結果の理由を教えてもらうことができます。
それでも納得ができない場合は、以下の2つの対処方法があります。
認定結果に不服がある場合、自治体が設置している介護保険審査会に対して、不服の申し立てを行うことができます。ただし申し立てができるのは、結果の通知を受け取った日の翌日から、自治体が指定する期間内のみとなっていますので注意して行いましょう。申し立てを行うことができれば、最初からもう一度認定調査をやり直すことができます。ただし取り消しのための調査、介護認定調査をやり直すためかなりの時間がかかることを認識しておく必要があります。
もうひとつの対処方法は、要介護認定の区分変更の申請です。けがや病気の進行などによって現状認定された要介護度と対象者の状態が合わないといった場合に再度、自治体に申請することができます。
こちらは申し立てと違い、いつでも行うことができ、1ケ月程度で審査結果もでることから不服申し立ての代わりに区分変更申請が行われる場合が多くあります。
上記の「不服申し立て」「区分変更申請」をせず「更新」を待ったほうが良い場合もあります。更新については次の項目でご説明します。
認定結果には期限があり、定期的に更新する必要があります。有効期限は、原則申請日から、新規認定の場合は半年間、更新認定の場合は1年間となります。有効期限が過ぎてしまうと、認定の効力が消失してしまい、介護サービスも受けることができなくなってしまうため、注意しましょう。
更新は、満了する前日から60日前の間に申請をします。申請すると、再度、訪問調査が行われます。
介護保険の申請は、要支援認定または要介護認定を受けた65歳以上の方か、16種類の特定疾病が原因で、要支援認定または要介護認定を受けた40歳以上65歳未満の方が対象となります。
申請をすると介護認定調査が実施され、要支援1・2、要介護1~5に認定されると要介護・要支援の違いとその区分に応じた種類と量の介護サービスを介護保険で受けられるようになります。
介護保険制度は、介護を必要とする方に費用を給付し、適切なサービスを受けられるようにサポートする保険制度ですが、更新をしないと認定効力がなくなり、介護サービスを受けられないなど注意点もあります。
介護保険制度のことをしっかりと理解して申請、利用するようにしましょう。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
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