要介護3と認定された方のケアプランと費用について、家族との同居、一人暮らし、施設入居の場合の3つの例についてご紹介していきます。
【例1】家族と同居する場合
家族と同居する場合の例として、要介護3と認定されたAさんのケアプランを見てみましょう。
Aさんは、誰かの手助けがないと、立ち上がりや歩くことが難しい状態です。同居している娘さんは、仕事で不在になる時間があるため、その間はデイサービスや、訪問介護サービスを利用することで、一人になる時間が少なくなるようにしています。
■家族と同居する場合
サービス |
回数 |
自己負担額(1割の場合) |
訪問介護 |
月に8回 | 2,536円 |
訪問看護 |
月に4回 | 2,096円 |
通所リハビリテーション |
月に4回 | 4,200円 |
通所介護(デイサービス) |
月に8回 | 7,608円 |
訪問入浴介護 |
月に4回 | 5,564円 |
短期入所生活介護(ショートステイ) |
月に2日 | 1,854円 |
福祉用具レンタル |
1か月間 | 1,608円 |
合計 |
| 25,466円 |
※上記はあくまでも一例ですので、本人の状況や家庭環境によってケアプランは異なります。
要介護3になると、要介護1や要介護2に比べて必要となる介護が増えるため、サービス利用回数も多くなり、費用負担もその分大きくなってきます。食事の介護が必要になってくるというのが、要介護1、要介護2と大きく異なる点でしょう。
―要介護1について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「要介護1ってどういう状態?他の要介護度とどう違うの?」
―要介護2について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「要介護2ってどういう状態?他の要介護度とどう違うの?」
参考:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護サービス概算料金の試算」
【例2】 一人暮らしの場合
例1でご紹介したAさんが一人暮らしの場合は、どのようなケアプランになるのでしょうか。
■一人暮らしの場合
サービス |
回数 |
自己負担額(1割の場合) |
訪問介護 |
月に12回 | 3,804円 |
訪問看護 |
月に4回 | 2,096円 |
通所リハビリテーション |
月に4回 | 4,200円 |
通所介護(デイサービス) |
月に12回 | 11,412円 |
短期入所生活介護(ショートステイ) |
月に4日 | 3,708円 |
福祉用具レンタル |
1か月間 | 1,608円 |
合計 |
| 26,828円 |
※上記はあくまでも一例ですので、本人の状況や家庭環境によってケアプランは異なります。
一人暮らしの場合は日常的に介護してくれる家族がいない分、介護サービスを利用する回数は必然的に増えます。月の半分程度は通所介護を利用し、食事や入浴といった身体的介護を受けることになると考えられます。一人暮らしだと、どうしても他人と交流する機会が減りやすいため、デイサービス施設などで他の人とコミュニケーションをとることが、本人にとってよい刺激となるでしょう。
前述したとおり、要介護3と認定された方の一人暮らしは危険が伴うため、介護サービスをうまく活用し、できる限り安全に暮らせる環境を整える必要があります。介護用品・福祉用具を使用して、転倒などの事故やけがを防ぐことも大切です。ケアマネジャーと相談して、本人のニーズに合うケアプランを作成してもらいましょう。
参考:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護サービス概算料金の試算」
【例3】施設に入居する場合
3つ目の例として施設に入居する場合の費用についてご紹介します。特別養護老人ホームに入居する場合と、介護付き有料老人ホームに入居する場合にかかる月額費用の例を比較してみます。
■施設に入居する場合の費用
内 容 |
特別養護老人ホーム |
介護付き有料老人ホーム |
介護サービス費(1割負担) |
26,756円 | 22,486円 |
家賃・食費・管理費など |
100,500円 | 160,000円 |
合計 |
127,256円 | 182,486円 |
※上記はあくまでも一例ですので、本人の状況や家庭環境によってケアプランは異なります。
施設に入居することで、介護のプロによる手厚いケアを受けることができますが、それ相応の費用がかかってしまうことの覚悟は必要です。介護付き有料老人ホームの場合は、上記に加えてリネンレンタル代金などの費用を自己負担しなければならないこともあるため、費用の詳細については入居前にしっかり確認しておきましょう。
ご家庭の経済状況などにより、費用がネックとなり施設選びに迷いが出ることもありますが、費用だけで施設を選ぶことはおすすめできません。施設ごとにそれぞれ特色があり、力を入れているサービス内容や雰囲気も異なります。入居されるご本人が安心して快適に過ごせる施設であるか、希望やニーズに合った施設であるかなど、費用以外のことも考慮しながら施設選びを進めていくことが大切です。
―介護サービスについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「介護サービスの種類と内容について解説」
―居宅サービスについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「居宅サービスの種類と自己負担額【2021年最新版】」
参考:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護サービス概算料金の試算」
要介護3の場合の在宅介護と施設入居の費用の比較
要介護3の場合にかかる月額費用を在宅介護と施設入居で比べてみましょう。
■要介護3の場合の在宅介護と施設入居の費用の比較
| 在宅介護 |
特別養護老人ホーム |
介護付き有料老人ホーム |
基本月額費用
(家賃・管理費等)
|
| 59,100円 | 243,500円 |
食費 |
60,000円(光熱費含む) | 41,400円 | 27,000円 |
介護サービス費 |
26,000円 | 29,083円 | 26,143円 |
医療費 |
5,000円 | 5,000円 | 5,000円 |
介護用品代(おむつなど) |
15,000円 | 15,000円 | 15,000円 |
合計 |
106,000円 | 149,583円 | 316,643円 |
※上記はあくまでも一例です。お住まいの環境や施設によって、費用は異なります。
上記の費用例を見ると、在宅介護と民間施設への入居では費用にかなりの差がありますが、特別養護老人ホームのような公的施設であれば、そこまで大きな差はないことがわかります。費用を抑えるために在宅介護を選ぶ方もいますが、介護する家族の身体的・精神的負担はかなり大きく、介護者が無理をしすぎて体調を崩してしまう恐れもあります。様々な介護サービスを利用し、介護する側の生活を守ることも大切です。自宅での介護をこれ以上続けるのは難しいと感じた場合は、ご本人と家族のためにも施設への入居を検討してみることをおすすめします。
―在宅介護と施設の費用について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「在宅介護と有料老人ホーム、費用面で比較するとどちらがいい?」
―在宅介護について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「在宅介護のアドバイスや利用できるサービスを紹介」