この記事の監修者
-
合同会社小森塾
代表 小森敏雄フリーランス介護講師
資格取得講座 運営兼校長
介護福祉士 准看護師 認知症ケア専門士
ケアプランは、介護保険サービスを利用するにあたって欠かせないものです。ケアプランの種類について、また、ケアマネジャーと自分で作成する場合の作成方法や流れと注意点などについてご紹介します。
2024年1月21日
ケアプランとは、介護を必要とする方とご家族の状況や必要に応じて、具体的な支援方法や利用するサービスなどを決める介護の計画書のことをいいます。要介護・要支援認定を受けた方は、介護保険を使い介護サービスを受けることができます。介護サービスを利用するときには、どのような内容のサービスを、いつからどのくらいの頻度で利用するかなどをまとめたケアプランを作成することが必要です。利用者本人が自立した生活を送るための目標を立て、目標達成に向けてサービスの種類や利用頻度などを考えていきます。このようにして作成されたケアプランに沿って、サービスが提供されます。
要介護と要支援のケアプランを区別するために、要介護の場合はケアプラン、要支援の場合は介護予防ケアプランと呼ばれています。
―要介護・要支援認定について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「介護保険制度とは?仕組みやサービス内容など、制度について解説」
▶ 「要介護認定とは?内容や基準・認定を受ける方法について解説」
ケアプランは、要介護と認定された方を対象とした、居宅サービス計画書・施設サービス計画書、要支援と認定された方を対象とした介護予防サービス計画書の3種類に分けられます。
居宅サービス計画書は、訪問サービスや通所サービス(デイサービス)、短期入所サービス、介護用品・福祉用具のレンタルなど、自宅で暮らしながらサービスを受けるために作成されるケアプランのことで要介護1〜5と認定された方が対象になります。
―要介護について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「要介護1ってどういう状態?他の要介護度や要支援との違い、認定基準や利用可能サービスまで解説」
▶ 「要介護2ってどういう状態?他の要介護度とどう違うの?」
▶ 「要介護3ってどういう状態?他の要介護度とどう違う?」
▶ 「要介護4とは?要介護3や5との違いや受けられるサービス、 給付制度などを詳しく解説」
▶ 「要介護5とは?要介護4との違いや受けられるサービス、 給付制度などを詳しく解説」
施設サービス計画書は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院(介護療養型医療施設)などの施設サービスを利用するために作成されるケアプランのことでのことで要介護1〜5と認定された方が対象になります。ただし、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、原則として要介護3以上の認定を受けた方でないと入所することができません。
介護予防サービス計画書は、介護予防サービスを利用するために作成するケアプランのことで、要支援1〜2の認定を受けた方を対象としており、要支援から要介護状態になるのを防ぎ、できる限り自立した生活を送るための支援を目的としています。
ケアプランは、介護支援の専門家であるケアマネジャーが作成するのが一般的で、介護保険が適用されるため利用者が費用を負担することなく作成することができます。
―ケアマネジャーついて、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?役割・選び方・付き合い方をわかりやすく解説」
はじめに、地域包括支援センターや自治体の窓口で相談をして、お住まいの近くのケアマネジャーを紹介してもらうか、ケアマネジャーが常駐する居宅支援事業所などを訪れ、実際にケアマネジャーと話してみるなどして自分にあったケアマネジャーを探しましょう。
ケアマネジャーが決まれば、利用者本人やご家族から最初の相談であるインテークを対面または電話で行います。続いて、利用者のご自宅を訪問し面談を行うアセスメントで健康状態や生活環境、家族の状況などを把握し、利用者本人やご家族が抱えている悩みや要望を聞きます。そして困り事の原因を探り、どういった支援が必要で、どうなることを望んでいるかを明確にしていきます。
アセスメントで確認した課題をもとに、ケアプランの原案を作成します。設定した目標達成に向けて、利用するサービスの種類や頻度、利用料金などを提案、そして検討を行い、具体的な計画を立てます。利用者の意思決定を尊重するかたちで、ケアプランの作成は進んでいきます。そしてケアプランの原案をもとに、サービス担当者会議を行います。サービス担当者会議では、ケアマネジャー、利用者本人とご家族、サービス事業者などの関係者が集まり、ケアプランの原案について内容の確認や修正を行います。
利用するサービスについて利用者とご家族に提案し、希望に合うものになっているかどうかを確認します。同意を得ることができれば、ケアプランの完成です。完成後はケアプランに沿ったサービスの提供が実施されます。実際にサービスの利用が始まってからも、サービス内容が適切であるか、目標達成に近づいているかなどを定期的にチェックすることをモニタリングといいます。モニタリングを通して、健康状態や介護ニーズなど状況の変化があれば、必要に応じて再アセスメントを行ってケアプランの修正をします。
ケアプランは、ケアマネジャーに作成してもらうだけでなく、利用者本人やご家族で作成する、セルフケアプランという方法もあります。自分でケアプランを作成する場合でも基本的には同じ流れで行い、必要書類をもらいに行くところから始まり、提出書類の作成やサービス事業所に関する情報収集、事業所とのやりとり、給付の手続きなどを全て自分で行う必要があります。サービスの利用を開始してからも、サービス事業者と直接連絡を取って予定の調整、毎月のサービスの利用実績の自治体への提出など、利用者本人やご家族の負担は大きくなりますが、自分でケアプランを作成するので介護保険制度について深く理解するきっかけになります。また、サービス事業者と直接連絡を取り合うため、予定の変更などが迅速に対応できるというメリットもあります。ただし、自身でケアプランを作成するケースは非常に少なく、専門的知識を持つケアマネジャーにお願いすることがほとんどです。
ケアプランを自分で作成することを地域包括支援センターや自治体の窓口で伝え、必要な書類を受け取ります。
利用者とご家族の現状を把握した上で、どのような生活を望むのか、今抱えている問題を解消するにはどのようなサービスが必要なのかを具体的に書き出し、それに沿った目標を立てます。
具体的に利用したいサービスの費用を計算します。介護保険サービスの費用を算出するには、サービスごとに定められた単位を使用します。この単位に地域ごとの単価を掛けて、実際にかかる費用を算出します。介護度によって利用できる上限単位数が決まっているので、利用したいサービスが限度を超えていないか計算して確認することが必要です。
必要項目を全て記入し終えたら、内容に不備がないか再度確認してケアプランを完成させます。完成したケアプランは、地域包括支援センターや自治体の窓口に提出し、その後サービスの利用を開始します。 利用を開始してからも経過観察も忘れずに行い、必要であればケアプランの見直しを行いましょう。
標準的な居宅サービス計画書は、第1表~7表によって構成されています。この7表の書類のうち、第4表と第5表を除いた5枚の書類は利用者やケアマネジャーと共有します。具体的な作成例については、以下の通りです。
名称 | 記入する内容 |
第1表:居宅サービス計画書⑴ | 利用者の基本情報 介護認定審査会の評価、サービスの種類の指定 利用者や家族の意向をまとめた総合的な支援計画 |
第2表:居宅サービス計画書⑵ | 利用者のニーズ 課題解決に向けた長期・短期目標と具体的な介護サービス内容 |
第3表:週間サービス計画表 | 介護サービスを組み合わせた週単位スケジュール表 利用者の主な活動内容 |
第4表:サービス担当者会議の要点 | サービス担当者会議での議論内容 家族の意向や結論など |
第5表:居宅介護支援経過 | 利用者の相談内容 事業所との連絡内容、調整事項など |
第6表:サービス利用表 | 各事業者のサービス実施計画の月単位のスケジュール |
第7表:サービス利用表別表 | 1か月あたりの介護サービスの利用単位数と費用 |
ケアマネジャーにケアプランの作成を依頼する場合は、任せきりにしないことが大切です。利用者本人や家族の状況を考慮し、適切な介護サービスを受けるための大切な計画書がケアプランです。納得のいくケアプランを作成してもらうためには、わからないことや不安に思うことはその場で質問して解決するようにしましょう。ケアマネジャーとの面談では、今困っていることや今後どんな生活を送りたいかの現状や要望、医師からの指示やアドバイス、家庭の事情についても具体的に伝えてしっかり把握してもらうことが大切です。その上で、うまく要望が伝わらない、納得できるケアプランを作成してくれないなど不満に感じることがあれば、ケアマネジャーの変更を検討してみるのもひとつの方法です。
ケアプランは一度作成したら終わりではなく見直し(ケアマネジメントプロセスのモニタリング)は常に必要です。月1回以上、ケアマネジャーが利用者の自宅を訪問して面談を行い、健康状態や生活状況などを確認します。サービスの利用が開始されてから見えてくる課題もあるため、サービスの内容や利用頻度などの変更が必要になることもあります。また、家庭の事情で在宅介護が難しい場合や、要介護度が変わった場合は、ケアプランの作り直しが必要となります。
ケアプランは、利用者の方それぞれに適した介護サービスを提供するための計画書です。ケアマネジャーに作成してもらう方法とご自身で作成する方法がありますが、ご自身でケアプランを作成する場合は、利用者の状態や、最新の介護情報などを本人やご家族が調べて把握するのは大変な作業となります。一方でケアマネジャーに任せる場合も専門知識がないからといって、全てをケアマネジャー任せにしてしまうと、利用者本人やご家族の意向とのずれが生じたり、思いが反映されない計画書になったりする可能性もあります。質の良い快適な生活を実現させるために、まずは担当するケアマネジャーと信頼関係を築き、協力しながら利用者を支えるバランスの取れたケアプランの作成を心がけましょう。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
商品やサービスに関するご質問、
ご相談にお答えしています。
商品やサービスに関するご質問、
ご相談にお答えしています。
まずはお気軽に資料請求を。
無料カタログをご送付致します。
今回発送いたしますカタログは、一部商品の仕様や価格など異なる場合がございます。ご了承ください。