この記事の監修者
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フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
要介護2とはどういう状態なのか?認定基準や利用可能なサービス、他の要介護度との違いについて紹介します。
2024年6月27日
要介護2は、家事や買い物など日常の動作に加え、食事や排泄など身の回りのことにも日常生活の補助が必要な状態です。要介護1と比べて自力でできないことが増えるため、見守りや手助けが必要となります。
厚生労働省が定めた日常的な身体介助や歩行、機能訓練など介護にかかる時間の度合いを要介護認定の基準にした「要介護認定等基準時間」によると、 要介護2の場合、「要介護認定等基準時間が50分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態」とされています。 では要介護2と認定された場合、どのようなサービスを利用し、どのような介護用品・福祉用具が必要になるのでしょうか?
―要介護認定について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「要介護認定とは?認定基準や区分、申請~通知の流れを解説」
要介護2の認定にはどのような基準があるのでしょうか。
要介護認定には、客観的かつ公平な判定区分で認定するため、下記のような流れでコンピュータによる一次判定と介護認定審査会による二次判定の2段階に分けた審査が実施されます。
要介護認定を受ける本人やその家族に対して、心身の状態について聞き取り調査を行います。調査は、本人が住んでいる自治体の認定調査委員が行い、その結果からコンピュータが一次判定を行います。認定調査と同時に、主治医に依頼して主治医意見書を作成します。
一次判定が行われたのち、その結果や主治医意見書から介護認定審査会による二次判定が行われます。介護認定審査会が一次判定の結果を審査して、直近の介護の状況、心身状態も考慮にいれたうえで、要介護状態の区分が決定されます。
―参考―
▶ 「厚生労働省 用語の説明」
要介護度のコンピュータ判定(一次判定)は、要介護認定等基準時間に基づいて行われます。なお、これは実際に家庭で行われる介護時間とは異なります。
要介護2の場合、下記の表のとおり介護行為の合計時間が50分以上70分未満(またはこれに相当する状態)ということになります。
要介護度 | 要介護認定基準時間 |
要支援 | 5つの介護行為の基準時間が25分以上32分未満 (またはこれに相当する状態) |
要介護1 | 5つの介護行為の基準時間が32分以上50分未満 (またはこれに相当する状態) |
要介護2 | 5つの介護行為の基準時間が50分以上70分未満 (またはこれに相当する状態) |
要介護3 | 5つの介護行為の基準時間が70分以上90分未満 (またはこれに相当する状態) |
要介護4 | 5つの介護行為の基準時間が90分以上110分未満 (またはこれに相当する状態) |
要介護5 | 5つの介護行為の基準時間が110分以上 (またはこれに相当する状態) |
要介護2の認定を受けた方は、在宅で訪問介護を受けたり、通所サービスなどを利用したりする他に、直接施設に入居して介護サービスを受けられる施設介護サービスなど、本人や介護者の希望に沿った各種介護サービスを利用することができます。
要介護2の認定を受けた方は、主に都道府県の指定を受けている社会福祉法人や、医療法人、民間企業などで行われている介護保険サービスを受けることができます。主な内容は以下の表をご確認ください。
介護サービスの種類 | サービス内容 |
訪問 (訪問介護・訪問入浴介護・訪問看護・夜間対応型訪問介護・訪問リハビリテーション・定期巡回・随時対応型訪問介護看護・居宅療養管理指導) |
ホームヘルパーや介護職員、看護職員などが訪問し、日常生活の援助や入浴などの介助を受けられる。 訪問リハビリテーションでは運動機能の向上や栄養改善などのサービスが日帰りで受けられる。 |
通所 (通所リハビリ・通所介護・小規模デイサービス・認知症対応型通所介護) |
食事、入浴、排せつなどの支援や、リハビリ、機能訓練などを自宅から施設に通い、日帰りでサービスを受けられる。 |
短期入所型 (短期入所生活介護・短期入所療養介護) |
介護老人福祉施設、または医療施設へ短期入所して日常生活の支援を受けられる。 |
複合型 (小規模多機能型居宅介護・複合型サービス) |
居宅と短期宿泊を組み合わせたサービスが受けられる。 |
要介護2の方は、直接施設に入居する施設介護サービスを受けることもできます。介護施設の種類はいくつかあり、それぞれの施設で受けられるサービスの特徴は異なりますが、主に「民間施設」と「公的施設」の2つに分けられます。
民間施設 | 施設の特徴 |
介護付き有料老人ホーム | 施設の職員による日常生活の介護や介助など受けながら生活できる施設。 |
住宅型有料老人ホーム | 別途外部の介護サービス事業所と個別に契約したうえで、介護サービスを受けながら生活できる施設。 |
グループホーム | 主に認知症高齢者を対象に共同生活を行う施設。 |
サービス付き高齢者向け住宅 | バリアフリーが完備された高齢者向けの賃貸住宅で、安否確認や生活相談サービスが受けられる。 |
高齢者専用賃貸住宅 | 基本的に介護を必要としない高齢者に向けた施設のため、訪問介護を行う場合は外部のサービスを利用する必要がある。 |
公的施設 | 施設の特徴 |
介護老人保健施設 | 自宅復帰を目的としてリハビリテーションや日常生活の支援を行う。入居は原則として3~6か月。 |
介護医療院 | 要介護1以上の方を対象に、主に医療的ケアを行う施設。医師の配置が義務付けられている。 |
軽費老人ホーム | 他の施設と比較しても公的側面が強く、少額の費用で日常生活のサポートを受けられる。 |
民間施設は、企業によって様々なサービスの特徴があり、本人や介護者が希望するサービスを受けることも可能です。例えば、「レクリエーションなどイベントが充実している」「必要な設備が十分に整っている」などが挙げられます。
介護付き有料老人ホームなどは、施設数が多いため入居しやすいことがメリットですが、その分月額費用や初期費用が高額になることもあります。
一方で公的施設は、自治体などの公的な団体が社会福祉の観点から運営しており、営利目的ではないため民間施設よりも費用が安価であることが特徴ですが、その分入居を希望する方は多く、入居するまで何か月も待たなければならないという場合もあります。
※医療と介護両方のサービスが受けられた介護療養型医療施設は、2024年度3月末に廃止なり、その役割は介護医療院で引き継いでいます。
■通所介護(デイサービス) 週2〜3回 ■訪問介護 週2〜3回 ■訪問看護 週1回
※上記は一例です。個人の状態や家族の状況に合わせてケアマネジャーと相談の上ケアプランを立ててもらいましょう。
自立した日常生活を送るために介護に必要な福祉用具をレンタル、または購入するサービスもあります。要介護2の方が利用できる福祉用具の中には、入浴時の補助をするような用具や、トイレで腰掛ける際に調整できる腰かけ便座など様々な種類があります。
―参考―
▶ 「厚生労働省 特定福祉用具販売」
■歩行補助杖 ■手すり ■介護ベッドなど
※上記は一例です。個人の状況や住まいの環境により異なります。
一部の介護用品は、介護保険を利用してレンタルまたは購入することができますが、購入できる商品(福祉用具購入種目)が決まっています。保険給付対象となる介護用品・福祉用具は、レンタルと購入でそれぞれ異なりますが、要介護2の場合、どのような介護用品・福祉用具が対象となるのでしょうか?
(1)歩行器
(2)歩行補助杖(松葉杖や多点杖など)
(3)手すり(ただし、工事を伴わないものに限る)
(4)スロープ(ただし、工事を伴わないものに限る)
(5)車いす
(6)車いす付属品
(7)特殊寝台(介護用ベッド)
(8)特殊寝台付属品
(9)床ずれ防止用具
(10)体位変換器
(11)認知症老人徘徊感知機器
(12)移動用リフト(工事を伴わないものに限る/つり具の部分を除く)
(13)自動排泄処理装置(尿のみ吸引するタイプ)
―介護用品・福祉用具のレンタルについて、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「フランスベッド 介護用品・福祉用具のレンタル」
(1)腰掛便座(ポータブルトイレや和式便器の上に置くタイプなど)
(2)自動排泄処理装置の交換可能部分(チューブやタンクなど)
(3)入浴補助用具(入浴用椅子、浴槽用手すりなど)
(4)簡易浴槽(空気式や折りたたみ式のものに限る/工事を伴わないもの)
(5)移動用リフトのつり具
「特定福祉用具販売」の指定を受けた事業所であれば、上記の5種は介護保険を利用して購入することができます。
自力で移動できるあいだから車いすなどを使用すると、身体機能が低下してしまう可能性があります。個人の状況に合った介護用品を使用するようにしましょう。
要介護認定を受けた方は、要介護度の段階に合わせた介護給付を受け取ることができます。厚生労働省によって介護保険サービスを利用できる指標が単位となっており、要介護度の区分に応じて上限単位が定められています。これを区分限度支給額と呼び、限度額の範囲以内で介護サービスを利用すれば、自己負担額で原則1割(所得に応じて2〜3割)となります。
要介護2の場合、区分支給限度基準額が1万9,705円(目安として1単位を10円として計算)と指定されているため、月額で19万7,050円が上限金額となります。※
この限度額は、1回のサービスを利用することによってかかる限度額のことではなく、1か月にかかる費用の限度額であるため、もしも超えた場合には超過分を自己負担しなければなりません。
自己負担の金額は医療保険と同様に所得に応じて変わるため、自治体から交付された介護保険負担割合証を事前に確認しておく必要があります。さらに介護施設を利用する場合は、介護サービス費以外にも居住費などを負担する場合があるので注意が必要です。また、限度支給額は住んでいる地域や、要介護者本人の健康状態によって多少異なる場合があるため、こちらも介護サービスを受ける前に調べておきましょう。
※2019年10月より施行
要介護2で施設に入居している場合
要介護2で施設に入居している場合は、施設に支払う家賃や管理費、食費、光熱費、介護サービス費などの費用が必要になってきます。介護サービス費のように介護保険が適用されるものは、原則として費用の1割(所得に応じて2~3割)を自己負担することになり、食費や光熱費などの保険適用外のものは全額自己負担となります。要介護2になると、医療機関を受診する機会が増えることも考えられるため、医療費など介護費以外の負担も必要になってくるでしょう。
内 訳 | 自己負担額 |
月額利用料 | 170,500円 |
介護サービス費(1割負担) | 20,300円 |
その他(医療費・日用品代など) | 11,000円 |
合 計 | 201,800円 |
要介護2で一人暮らしをしている場合
要介護2で一人暮らしをしている場合は、介護できる家族がいないため、介護サービスを利用する機会が多くなります。要介護1に比べて自力でできないことも増えていくことから、日常生活を送る上で介護が必要となる範囲が広がっていき、1か月の半分以上介護サービスを受けることになるケースもよく見られます。自宅で安全に日常生活を送るための福祉用具を揃える必要もあり、レンタル利用料などの費用も必要になってくるでしょう。
サービス内容 | 自己負担額(1割負担の場合) |
訪問介護(月20回) | 6,540円 |
訪問看護(月4回) | 2,060円 |
訪問リハビリ(月8回) | 2,656円 |
福祉用具レンタル(1か月につき) | 1,325円 |
合 計 | 12,581円 |
要介護2で家族と一緒に暮らしている場合
要介護2で家族と一緒に暮らしている場合は、家族による介護が受けられるため、一人暮らしをしている場合に比べると、介護サービスの利用頻度が少ない傾向にあります。とはいえ、一緒に暮らす家族が仕事をしていると、日中は介護ができないこともあるため、ご家庭の状況によっては介護サービスの利用頻度が増えることも考えられます。日々介護に追われる家族が息抜きをするために、ショートステイの利用なども必要になってくるでしょう。
サービス内容 | 自己負担額(1割負担の場合) |
訪問介護(月4回) | 2,060円 |
訪問リハビリ(月8回) | 2,656円 |
ショートステイ(月2日) | 1,694円 |
福祉用具レンタル(1か月につき) | 1,325円 |
合 計 | 7,735円 |
要介護1は、要介護2に比べると食事や排泄など身の回りのことは自力でできることは多いですが、日常の複雑な動作が難しく、認知能力や運動能力の低下が見られ、立ち上がりや歩行が不安定なため、入浴など一部介護が必要となります。
―要介護1について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「要介護1ってどういう状態?他の要介護度や要支援との違い、認定基準や利用可能サービスまで解説」
■通所介護(デイサービス)週2〜3回 ■訪問介護 週2〜3回
※上記は一例です。個人の状態や家族の状況に合わせてケアマネジャーと相談の上ケアプランを立ててもらいましょう。
■歩行器 ■歩行補助杖
※上記は一例です。個人の状況や住まいの環境により異なります。
要介護2の場合はレンタル対象の福祉用具は13種類ありましたが、要介護1の場合は4種類に限定されています。
(1)歩行器
(2)歩行補助杖(松葉杖や多点杖など)
(3)手すり(ただし、工事を伴わないものに限る)
(4)スロープ(ただし、工事を伴わないものに限る)
介護保険を利用して購入できる福祉用具は、要介護2の場合と同じです。
「特定福祉用具販売」の指定を受けていない事業所で購入したものは、給付対象外となるため注意しましょう。
要介護1の場合、介護サービスを利用する際に支給される限度額は、月額16万7,650円※。
このうち原則1割(所得に応じて2〜3割)が自己負担額となります。要介護2と比べると、約3万円少なくなります。
※2019年10月より施行
要介護2では部分的な介護によって着替えなどができますが、要介護3は自力で立ち上がることや歩くことが難しく、食事や排泄など身の回りのこと全てに介護が必要な状態で、認知症の症状が見られることがあります。
―要介護3について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「要介護3とはどんな状態?受けられるサービスや他の要介護度との違いを解説」
■通所介護(デイサービス、通所リハビリ)週2〜3回 ■訪問介護 週5〜8回 ■訪問看護 週1回
※上記は一例です。個人の状態や家族の状況に合わせてケアマネジャーと相談の上ケアプランを立ててもらいましょう。
■車いす ■介護用ベッド ■徘徊感知機器
※上記は一例です。個人の状況や住まいの環境により異なります。
介護保険を利用してレンタル、購入できる福祉用具は要介護2と同じです。
要介護3の場合、介護サービスを利用する際に支給される限度額は、月額27万480円。 このうち原則1割(所得に応じて2〜3割)が自己負担額となります。要介護2と比べると、7万円以上多くなります。
【要介護4】・・介護なしには日常生活を送ることが困難な状態。食事、排泄、入浴といった日常生活の全面的な介護が必要で、意思疎通が難しく、理解の低下や問題行動が見られることがあります。「要介護認定等基準時間」では「要介護認定等基準時間が90分以上110分未満又はこれに相当すると認められる状態」とされています。
―要介護4について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「要介護4とは?3や5との違いや給付金、施設費用について解説」
【要介護5】・・最も重度で介護なしには日常生活を送ることが困難な状態。コミュニケーションが取れず、寝たきりのケースが多くなります。生活全般において全面的な介護が必要となります。「要介護認定等基準時間」では「要介護認定等基準時間が110分以上又はこれに相当すると認められる状態」とされています。
―要介護5について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「要介護5とは?要介護4との違いや受けられるサービス、給付制度などを詳しく解説」
要介護4以上になると身の回りの介護が常時必要となるため、介護者の負担が大きくなります。家族だけでの在宅介護に限界を感じ、施設への入所を検討するケースも多くなります。介護疲れによって家族が共倒れにならないよう、訪問介護やショートステイなど介護サービスの活用、施設入所を検討しましょう。
要介護4以上でレンタルできる介護用品のひとつに「自動排泄処理装置」があります。要介護3以下の場合は尿のみ吸引できるものがレンタル対象となっていますが、要介護4以上になると排便機能付きの装置も対象となります。 このように要介護度がひとつ変わるだけで、レンタル対象の福祉用具の種類が増えたり、支給限度額が変わったりと、介護保険で利用できるサービス内容が大きく変わります。どのようなサービスを利用すべきかケアマネジャーと相談し、本人や家族の状況に合わせたケアプランを作成してもらいましょう。
―ケアマネジャー、ケアプランについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?役割・仕事内容・資格について解説」
▶ 「ケアプラン(介護サービス計画書)とは?作成方法や文例、注意点を解説」
要介護2は、日常生活の補助が必要な状態で要介護認定を受ければ、介護保険が適用されるため、在宅サービスや通所サービスなどの介護サービスを受けることができます。歩行器や車椅子などのレンタルや、トイレ、入浴時に手助けとなるような介護用品・福祉用具を購入することも可能です。また公的施設や民間施設へ直接入居して、介護サービスを受ける選択肢があることも覚えておきましょう。本人の心身の状態や、支える家族の方の状況に応じて適切な介護サービスを受け、可能な限り自立した日常生活を送れるようにすることが大切です。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
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