この記事の監修者
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フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
要介護5とはどのような状態なのか?要介護5の場合に受けられる給付制度や介護サービス、ケアプランの相場などを詳しく解説します。
2023年12月26日
要介護5は、「要介護4の状態よりさらに動作能力が低下しており、介護なしには日常生活を営むことがほとんど不可能な状態」とされ、要支援1と2、要介護1~5の中で最も重度な状態となります。家事や身の回りのことを自力で行うことができなくなり、食事やトイレなどにも介助が必要で、症状が重度な場合は1日中寝たきりで寝返りを打つにも介護を要することもあります。さらに認知症の症状がある場合は認知症ケアも必要となるため、家族や介護者にかかる負担も非常に大きくなります。
要介護5の認定には、介護の必要性がどの程度であるかを判定する「要介護認定」が必要となります。コンピュータによる一次判定では、本人や家族に心身の状態について聞き取り調査(介護認定調査)をおこない、このデータと主治医の意見書を基にして客観的に算出します。身体介助や機能訓練などの行為ごとにかかる介護の手間を時間に換算し、一次判定の基準にした「要介護認定等基準時間」によると、要介護5の基準時間は、110分以上または、これに相当する状態とされています。そして二次判定では、保健・医療・福祉などの学識経験者によって構成された介護認定審査会で一次判定の結果を審査し、直近の心身状態や介護の状況を考慮した上で、最終的に区分が決定されます。
参照:(厚生労働省)
要介護5になる主な原因は、厚生労働省の調査によると、最も多いものが脳卒中で26.3%、次いで認知症が23.1%、高齢による衰弱が11.3%となっています。
脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりする血流障害により、脳細胞の働きが悪くなり脳の機能が失われる病気です。急に手足がしびれて動かなくなる、言葉が出なくなる、意識がなくなるなどの症状がありますが、要介護5の場合は、重度であることも多く、視覚障害の発症や手足の麻痺で立つことや歩くことが困難になることもあります。また脳卒中が原因となって血管性認知症となってしまうこともあります。2番目に多い原因の認知症の中でもアルツハイマー型の後期になると、認知機能の低下や運動機能の障害から、寝たきりの状態になってしまうため、要介護5と認定されることが多くなります。
参照:(厚生労働省)
要介護4と要介護5では何が違うのでしょうか?日常生活の状態の違いを見ていきましょう。
■要介護4
要介護認定等基準時間:90分以上110分未満またはこれに相当する状態
日常的な活動を1人で行うことが難しくなり、同時に認知機能の低下がみられます。日常生活の具体的な例としては、自分1人で立ち姿勢を保ったり、両足で立ったりすることが難しく、トイレや入浴、着替えなどほとんどの動作に介助を必要とすることが挙げられます。また、理解力や判断力などが低下していくので、意思疎通が困難になることもあります。
■要介護5
要介護認定等基準時間:110分以上またはこれに相当する状態
最も重度の介護を要する状態であり、全般的な認知機能の低下がみられることが多くなります。日常生活においては、昼夜問わず食事やトイレ、入浴や服の着替えなどほとんど全てのことに介助を必要とします。家事や掃除などもできず、立ち上がったり歩いたりすることが困難なため、寝たきりの状態も多くなります。
要介護4、要介護5ともに全般的に介助が必要な状態ではありますが、要介護5はその必要性がより高い状態となります。身体の状態で比較すると要介護4は、介護があれば自分でできることもありますが、要介護5ではほとんどの動作において介護が必要です。認知機能に関しても、要介護5は要介護4よりも意思疎通が困難であることが多くなります。
要介護5の場合に受けられる給付制度はどのようなものがあるのでしょうか?区分支給限度額、障害者控除の2つの制度についてご紹介していきます。
区分支給限度額とは、要介護者が介護保険サービスを受ける際に負担してもらえる限度額のことで、要介護度によって支給限度額が異なります。要介護5の区分支給限度額は、1か月あたり362,170円、利用者の自己負担額は原則として1割(所得に応じて2~3割)で計算すると36,217円となります。この上限金額内で介護保険サービスを受けることができますが、支給限度額はその月に受けたサービスの合計額で計算しており、1回の介護によるものではありませんので、注意しましょう。また、限度額を超える分は全額自己負担となります。
要介護5は最も重度の認定段階にあるため、優先的に介護施設に入居できるサービスがあったり、在宅介護を検討する場合であっても、訪問サービスや通所サービスなど自宅を拠点としたケアを受けたりすることができます。その際に必要な福祉用具のレンタルなどの介護サービスは、介護保険が適用され区分支給限度額まで自己負担額1割(所得に応じて2~3割)で受けることができます。
他にも、介護保険サービスの種類や利用頻度などによって、自己負担金額が変動する可能性や、地域によって支給限度額が異なる場合がありますので、注意が必要です。詳細はケアマネジャーや自治体の窓口に確認するようにしてください。
参照:(厚生労働省)
障害者控除とは、障害を持っている本人や同じ家計内で生活する家族が、仕事や日常生活に支障をきたす場合に一定額税金の控除を受けられる制度です。
障害者控除には障害者(障害者手帳を持っている方)、特別障害者(身体障害者手帳の等級1,2級または寝たきりで常に介護が必要な方)、同居特別障害者(特別障害者と同一の生計の配偶者または扶養家族と同居している方)の3つの区分があり、障害者の控除額は27万円、特別障害者の控除額は40万円、同居特別障害者の控除額は75万円となります。
しかし、要介護認定を受けていても必ず障害者控除が受けられるとは限らない為、注意が必要です。具体的な条件としては、身体的または精神的に重度の障害を持っていることが挙げられますが、要介護5認定を受けている方であれば、身体的、あるいは精神的な障害があり、日常生活を送ることが困難であることが多く、障害者控除の対象となる場合がほとんどです。
また、所得税法上の市町村長等が障害者控除対象者かどうか判断をする際に、要介護認定を受けているか考慮しなければならないことが多いため、障害者控除と要介護認定は別の制度ではありますが、間接的に関わっていると言えるでしょう。
要介護5の認定を受けた場合に受けられるサービスは以下のようなものがあり、区分支給限度額の範囲で、本人や介護者の希望に沿った「介護保険サービス」を受けることが可能です。
家事や介護を自宅で受けるサービス | 訪問介護 訪問看護 訪問リハビリテーション 訪問入浴介護 夜間対応型訪問介護 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 居宅療養管理指導 |
介護サービスやリハビリを施設や事業所で受けるサービス | 通所介護(デイサービス) 通所リハビリテーション(デイケア) 地域密着型通所介護 認知症対応型通所介護 療養通所介護 |
施設に入居して介護を受けるサービス | 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設) 介護療養型医療施設 介護医療院 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム・経費老人ホーム等) 介護老人保健施設(老建) |
短期間だけ施設に宿泊し介護(療養)を受けるサービス | 短期入所生活介護(ショートステイ) 短期入所療養介護 |
訪問や通いなどを組み合わせて利用できるサービス | 小規模多機能型居宅介護 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス) |
小規模な施設に入居し介護を受けるサービス | 地域密着型特定施設入居者生活介護 地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) |
福祉用具を利用するサービス | 福祉用具貸与 特定福祉用具販売 |
要介護5の場合、介護保険で利用できる施設サービスに制限はありません。自宅で日常生活を送ることが困難になるため、施設の入居を選択される方も多いでしょう。介護だけでなく医療のケアを伴うケースも増えるため、中でも特に利用が多いのは、要介護3以上から入居が可能な特別養護老人ホームや、特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム)などです。厚生労働省の令和4年度介護給付費等実態統計の概要によると、介護療養施設サービスを利用している中で要介護5が占める割合は47.7%となっています。
参照:(厚生労働省)
要介護5の場合のケアプランと費用相場を、1人暮らしをしている場合、施設に入居している場合、家族と同居の場合を例にご紹介していきます。
要介護5で1人暮らしをしている場合のケアプランと月額の自己負担額の例は以下の通りです。
サービス | 回数 | 自己負担額(1割の場合) |
訪問介護 | 月に32回 | 10,848円 |
訪問看護 | 月に4回 | 2,348円 |
通所介護(デイサービス) | 月に12回 | 14,004円 |
短期入所生活介護 | 月に4回 | 4,480円 |
福祉用具レンタル | 1か月間 | 2,428円 |
合計 | 34,108円 |
要介護5は、自分の意志で体を動かすことが難しい状態です。家族と同居してれば、日常の介助の一部を家族に行ってもらえますが、1人暮らしの場合はそれができません。そのため、1日2回以上の訪問介護が必要になります。また、お風呂を準備することや体を洗うことも困難なため、1か月の半分程度は通所介護を利用し、入浴サービスなどの身体的介護を受けています。1人暮らしでは人と交流する機会が少ないので、通所介護や短期入所生活介護に通うことで他の人とコミュニケーションがとれ、刺激を受けたり楽しさを感じたりしてもらうこともできるので良いでしょう。要介護5は最も重度の段階であることを認識し、様々な介護サービスを利用しながら安全に暮らせるようなケアプランを作りましょう。
要介護5で施設入居する場合のケアプランと月額の自己負担額をご紹介します。
特別養護老人ホーム | 介護付き有料老人ホーム | |
介護サービスの費用(1割負担) | 31,672円 | 37,738円 |
家賃・食費・管理費など | 100,500円 | 160,000円 |
合計 | 132,172円 | 197,738円 |
施設に入居すると介護のプロによる手厚いケアがあるため、家族にかかる負担は軽減されます。しかし、施設に入居する場合は、介護サービス費用の他に、家賃や食費など多くの費用がかかることがデメリットとなります。
特別養護老人ホームの月額料金は多床室、個室など居室のタイプにより異なります。また、公的施設のため、要介護度が重い方や低所得で経済的に困っている方の入居が優先されます。一方で介護付き有料老人ホームは、提供するサービス内容の他にも施設の立地や居室面積など、施設によって費用の設定が様々です。費用面を考えると、施設の入居を決めきれないこともあるかもしれませんが、介護者本人の意向や症状、家族の負担軽減などを考慮しつつ、安心できる施設選びを進めていくことが重要です。
要介護者5でご家族と一緒に暮らしている場合のケアプランと月額の自己負担額の例は以下の通りです。
サービス | 回数 | 自己負担額(1割の場合) |
訪問介護 | 月に16回 | 5,424円 |
訪問看護 | 月に4回 | 2,348円 |
訪問入浴介護 | 月に4回 | 5,744円 |
通所介護(デイサービス) | 月に8回 | 9,336円 |
短期入所生活介護 | 月に4回 | 4,480円 |
福祉用具レンタル | 1か月間 | 2,428円 |
合計 | 29,760円 |
要介護5で1日のほとんどを寝たきりで過ごしている場合、認知症の進行により、認知機能の低下がみられるため、コミュニケーションをとるのが難しい状態です。家族が働いている場合など不在になることも多く、訪問介護の回数を増やしています。具体的には、食事の介助や、入浴ができない時に体を拭いてもらう、排せつ時の介助、ベッドから車いすに移動する際の介助などのサービスを受けています。また、家族の介護負担を軽減するため、1泊2日の短期入所生活介護や、日帰りの通所介護(デイサービス)の利用もしています。
参照:(厚生労働省)
では、在宅介護と特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホームの月額でかかる費用にはどれくらいの差があるのでしょうか。
在宅介護 | 特別養護老人ホーム | 介護付き有料老人ホーム | |
基本月額費(家賃・管理費等) | 0円 | 80,000円 | 247,000円 |
介護サービス費 | 29,760円 | 31,672円 | 37,738円 |
医療費 | 9,000円 | 9,000円 | 9,000円 |
食費 | 6,000円 | 41,400円 | 27,000円 |
介護用品購入費 | 15,000円 | 15,000円 | 15,000円 |
合計 | 59,760円 | 177,072円 | 335,738円 |
費用例を見ると、在宅介護では家賃や管理費などの基本月額料が必要ないことから、最も費用を抑えることができますがその分家族にかかる負担や、本人の意向に沿わない可能性もあるため、金銭面だけを重視して在宅介護を選択することは避けましょう。要介護5は介護保険から給付される区分支給限度額も上がるため、その点を踏まえて施設への入居も検討が必要です。
公的施設である特別養護老人ホームは、民間施設に比べると費用が安く設定されているので比較的費用を抑えることができ、全国各地で一定基準の介護サービスが受けられるため安心感があります。
介護付き有料老人ホームは民間施設であるため費用はかかりますが、空室があればすぐにでも入居できます。施設によって金額やサービス内容に大きな違いがあるので様々な価格帯や介護サービスの中から、利用者が受けたいサービスや、家族のライフスタイルに合ったものを選ぶことができる点が魅力です。
要介護5の生活環境はどのようになるのでしょうか?よく利用される施設、1人暮らしや在宅介護を受けながら生活できるのかについて解説していきます。
要介護5の方の利用割合が多いのは、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームです。
要介護5の認定を受けると、日常生活の様々なシーンで介護を必要とするため日常的に手厚い介護を受けられる施設への入居が多くなります。特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホームは原則として、どちらも終身利用が可能で、一度入居すれば心身状態に変化があっても転居する必要がありません。
要介護5の場合、血圧のチェックやケガの応急処置、胃ろうや痰の吸引などの医療ケアが必要になる方が多く、緊急時や入院が必要になるケースでも医療機関と連携している施設であればスムーズに繋いでもらえるため、医療ケアの充実した介護付き有料老人ホームが多く利用されています。
要介護5で1人暮らしをすることや、在宅介護を受けることは不可能ではありません。実際に介護保険サービスを利用しながら1人暮らしをしている方もいますが、要介護5は最も重度の認定段階であるため、日々の生活も寝たきりの状態となり、自分でできることはほとんどありません。ケガや病気などのトラブルが起きても、認知機能の低下から助けを求めるのも難しく、家族などに連絡することもできないため、介護サービスを受けていない時間帯が非常に危険な状態であり、家族にかかる負担は大きくなります。また、要介護5は経管栄養などの医療ケアが必要になることも多く、そういった状況の中で在宅介護をするのはますます困難であり、介護施設や病院で生活することが望ましいでしょう。これらを踏まえると、要介護5で1人暮らしをすることや在宅介護を受けることは不可能ではないものの、非常に負担が大きく難しいと言えます。
要介護5では、ほとんど全ての介護施設を利用できますが、その分どの施設を利用すれば良いのか悩んでしまうかもれません。利用する施設選びのポイントとしては、まず利用者本人の意向、そして家族の希望に沿ったサービスかどうかを確認することが必要です。要介護5では意思疎通が難しくなることも多いので、早い段階で利用者本人がどのような介護を希望しているか確認しておきましょう。
施設の利用を必要としていても、在宅介護より多くの費用がかかるという点で、入居を決めかねているという場合は、比較的費用をかけずにサービスを受けられる特別養護老人ホームの入居を検討してみてはいかがでしょうか。特別養護老人ホームは入居希望者が多いため、すぐに入所できないこともありますが、要介護5であれば入居の優先度が高くなります。
その他にも、経管栄養や人工呼吸器など、状況に応じて医療ケアを提供してくれる施設かどうかを確認しておくことも大切です。医療体制は、要介護度が高まるに連れて重要視すべきポイントですが、医療体制が整っている民間の施設はそれほど多くはないため、どの施設が提供しているのか事前に下調べしておきましょう。
要介護5は、介護認定審査会の審査判定を経て判断される、最も重い認定段階です。立ち上がったり歩いたりすることが困難になり、認知機能の低下もみられるため、全般的な介助が必要な状態となる家族は、大きな負担がかかることが予想されます。
要介護5の認定を受けると介護保険を利用し、支給限度額内で受けられる介護保険サービスがたくさんあります。
訪問介護、在宅介護での利用、または在宅介護が困難と判断される場合は、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームなどの施設入居の利用を行い、利用者本人だけでなく、家族の負担も軽減するようにしましょう。
要介護5ではほとんど全ての動作に介助が必要となるため、介護用品や福祉用具のレンタルも必要になります。介護用品でのレンタルに加え、介護用品の販売、介護保険住宅改修を検討される場合は、40年以上の実績を持ち、専門の知識を持ったスタッフが対応するフランスベッドに相談してください。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
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