この記事の監修者
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フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
特別養護老人ホームについて、メリットとデメリット、有料老人ホームとの違い、入居条件や費用負担、サービス内容、組織体制、居室のタイプなどをご紹介します。
2023年9月15日
特別養護老人ホームは、介護保険法では「介護老人福祉施設」という名前で、略称では「特養」でも知られており、常時介護を必要とし自宅での生活が難しい要介護状態の高齢者のための公的な介護保険施設のことを言います。厚生労働省の定義では、特別養護老人ホームは要介護高齢者のための生活施設で、入浴・排せつ・食事などの介護、その他日常生活の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うとされています。民間の介護施設と比較して、介護保険が適用され費用的に負担が軽くて済むので人気がありますが、入居条件は非常に厳しいと言われています。
特別養護老人ホームの特徴は主に下記の3つです。
(1)比較的費用負担が少ない
特別養護老人ホームは、介護保険が適用される介護保険施設のため民間の介護施設に比べて費用負担が少ないことが特徴です。
(2)看取り対応が可能
特別養護老人ホームは、長期入所を前提とした施設となっています。看取りの対応も行われているため基本的には終身利用が可能です。
(3)地域によってはなかなか入居できない
特別養護老人ホームは人気の高い介護施設です。地域によっては入居したくても入居待機者が多くてなかなか入居できないこともあります。入居待機者が多いため2015年より入居条件が厳しくなり、一時期に比べて待機者が少なくなりました。待機者の総数は減りましたが、待機期間が1~2ヶ月程度のところもあれば、数年かかるところもあるなど地域差が大きくなっています。
―介護サービスの種類やその他の施設について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください―
▶ 「老健とは?特養となにが違うの?在宅復帰を目指したリハビリサービス」
特別養護老人ホームは大きく分けて「地域密着型」、「広域型」、「地域サポート型」の3種類になります。
【1.地域密着型】
定員が29人以下と小規模な施設。原則として施設と同じ自治体に住民票がある方が入居可能。
【2.広域型】
定員が30名以上で、居住地がどこであっても入居可能。
【3.地域サポート型】
施設のある地域で在宅介護によって生活している高齢者の見守りやサポートをしてくれるサービス。
特別養護老人ホームは、公的施設のため入居一時金などの初期費用は必要ありません。ただし、居室タイプや入居者世帯の収入状況などの条件によって費用が異なります。
要介護度に応じた居室タイプ別の費用について、居住費/食費/日常生活費の項目も含めた料金表にまとめました。
ユニット型個室 | ユニット型 個室的多床室 |
従来型個室 | 多床室 | |
要介護1 | 19,560円 | 19,560円 | 17,190円 | 17,190円 |
要介護2 | 21,600円 | 21,600円 | 19,230円 | 19,230円 |
要介護3 | 23,790円 | 23,790円 | 21,360円 | 21,360円 |
要介護4 | 25,860円 | 25,860円 | 23,400円 | 23,400円 |
要介護5 | 847円 | 27,870円 | 25,410円 | 25,410円 |
居住費 | 60,180円 | 50,040円 | 35,130円 | 25,650円 |
食費 | 43,350円(1,445円/日) | |||
日常生活費 | 10,000円 | |||
合計 | 133,090〜141,400円 | 122,950〜131,260円 | 105,670〜113,890円 | 96,190〜104,410円 |
※上表は目安として1単位当たり10円として、30日換算、介護サービス費を自己負担率1割で計算しています。 次に、特別養護老人ホームでかかる、介護サービス費、居住費、食費、日常生活費の4つの費用について詳しく解説していきます。
介護サービス費とは、施設の職員によって提供される介護サービスに対する費用です。介護サービス費には介護保険が適用され、原則としてかかった費用の1割(所得に応じて2~3割)が自己負担額となります。基本の介護サービスは、要介護度と居室タイプによって基準となる費用が定められています。
従来型個室・多床室 | ユニット型個室・ ユニット型個室的多床室 |
|||
日額 | 月額 (30日間) |
日額 | 月額 (30日間) |
|
要介護1 | 573円 | 17,190円 | 652円 | 19,560円 |
要介護2 | 641円 | 19,230円 | 720円 | 21,600円 |
要介護3 | 712円 | 21,360円 | 793円 | 23,790円 |
要介護4 | 780円 | 23,400円 | 862円 | 25,860円 |
要介護5 | 847円 | 25,410円 | 929円 | 27,870円 |
※上表は目安として1単位当たり10円として計算しています。
上記に加え、管理体制の強化や緊急時の対応など認可を受けたサービスが追加されると介護サービス加算として別途費用が発生します。
居住費とは、特別養護老人ホームの家賃にあたるもので、居室タイプによって金額が異なります。居住費については低所得者向けの負担軽減制度が設けられており、世帯収入に応じた負担限度額が定められています。負担軽減制度が適用されるのは、下記のうち第1段階~第3段階に該当する方です。
所得状況 | 預貯金等の資産状況 | |
第1段階 | ・生活保護受給者 ・世帯全員が市町村民税非課税の老齢福祉年金受給者 |
・単身の場合1,000万円以下 ・夫婦の場合2,000万円以下 |
第2段階 | ・世帯全員が市町村民税非課税で、 本人の年金収入金額+合計所得金額が80万円以下 |
・単身の場合650万円以下 ・夫婦の場合1,650万円以下 |
第3段階① | ・世帯全員が市町村民税非課税で、 本人の年金収入金額+合計所得金額が80万円超120万円以下 |
・単身の場合550万円以下 ・夫婦の場合1,550万円以下 |
第3段階② | ・世帯全員が市町村民税非課税で、 本人の年金収入金額+合計所得金額が120万円超 |
・単身の場合500万円以下 ・夫婦の場合1,500万円以下 |
第4段階 | ・市町村民税課税となっている方 ・世帯に課税者がいる方 |
ー |
第4段階の方の居住費は下記の基準費用額が適用され、第1段階~第3段階の方は基準費用額から負担限度額を差し引いた金額が介護保険から支給されます。
居室タイプ | 基準費用額 | 負担限度額 | ||
第1段階 | 第2段階 | 第3段階 | ||
多床室 | 855円 | 0円 | 370円 | 370円 |
従来型個室 | 1,171円 | 320円 | 420円 | 820円 |
ユニット型個室的多床室 | 1,668円 | 490円 | 490円 | 1,310円 |
ユニット型個室 | 2,006円 | 820円 | 820円 | 1,310円 |
食費は、1日3食分の基準費用額が定められており、何かしらの理由で1日2食しか食べなかった場合でも1日分の費用は発生します。食費も居住費と同様に世帯収入に応じた負担限度額が定められています。
基準費用額 | 基準限度額 | ||||
第1段階 | 第2段階 | 第3段階① | 第3段階② | ||
食費 | 1,445円 | 300円 | 390円 | 650円 | 1,360円 |
-介護保険施設における負担限度額が変わります-
▶ 厚生労働省「負担限度額」
日常生活費とは、医療費や理美容、嗜好品の購入にかかる費用のことです。レクリエーションとして外出することもあるのですが、その際の入場料などが別途必要になることもあります。クリーニングなしの洗濯代やおむつ代は施設が負担してくれるため費用はかかりません。
では特別養護老人ホームと有料老人ホームにはどのような違いがあるのでしょうか?どちらも高齢者のための施設ですが、施設の目的や入居対象者、費用などに違いがあります。どちらに入居すべきかと悩んでいる方も多いと思います。それぞれの特徴を下記の表にまとめましたので参考にして検討してください。
<特別養護老人ホームと有料老人ホームの違い>
特別養護老人ホーム | 有料老人ホーム | |
運営主体 | 社会福祉法人・地方公共団体 | 主に民間企業 |
施設の目的 | 長期間安定した介護を受けるための施設 | 介護や各種サービスを受けながら生活をする施設 |
対象者 | 要介護3以上の方 | 概ね65歳以上であれば誰でも入居可(ただし施設によって要介護度等の条件あり) |
初期費用 | 不要 | 0円~数千万円 |
居室 | 多床室のような相部屋が多い | 基本的に個室で広め |
医療ケア | 夜間や常時医療ケアが必要な方の対応が難しいこともある | 看護職員が24時間配置されている施設やクリニックが併設されている施設もあり施設によって異なる。 |
有料老人ホームには、介護型、住宅型、健康型の3種類があります。対象者やサービス内容がそれぞれ異なりますが概ね上記の表の内容になります。介護や生活支援を行うことが目的の特別養護老人ホームとは違い、有料老人ホームは介護や生活支援が受けられる快適な住まいを提供することが目的とされています。そのため有料老人ホームは日々の生活を豊かにするサービスが豊富で、施設ごとに特色も大きく異なります。例えば食事に力を入れている施設、カラオケルームやシアタールームなどの娯楽を楽しめるスペースを設けている施設など特別養護老人ホームに比べて設備が充実しているところが多くあります。充実したサービスが提供される分、公的施設に比べてどうしても費用が高くなる傾向にあります。
特別養護老人ホームと介護老人保健施設(老健)は何が違うのでしょうか?共に、公的な介護保険サービスとして利用が可能ですが、施設の目的をはじめ入所の条件など異なる点がいくつか挙げられます。項目別に違いを説明していきます。
【施設の目的】
■特別養護老人ホーム・・・・介護サービスを受けながら長期的に生活することを目的とした施設で、生活の支援だけでなくレクリエーションなども行ってくれるため、老人ホームに近い存在と言えます。
■介護老人保健施設・・・・介護サービスを受けてリハビリしながら在宅生活へ復帰することを目指す施設。リハビリや医療ケアが主で、厚生労働省の定義でも、在宅復帰のための施設・リハビリを提供して機能改善を図る病院的な施設と考えられています。
【入所条件】
■特別養護老人ホーム・・・・・65歳以上で要介護3以上の認定を受けた方。40〜64歳で特定疾病によって要介護1 以上の認定をされた方、40〜64歳で特定疾病によって要介護3以上の認定をされた方が対象。
■介護老人保健施設・・・・65歳以上で要介護1から5の認定を受けリハビリ/医療ケアが必要な方、40〜64歳で特定疾病によって要介護1以上の認定をされた方が対象。医療ケアやリハビリが必要な方は、要介護状態であっても入所できないので注意が必要です。
【入所期間】
■特別養護老人ホーム・・・・終身利用が可能
■介護老人保健施設・・・・通常3〜6ヶ月程度まで
在宅復帰の可否を3ヶ月ごとに判定されて、復帰可能と認められると退所することになります。
【医療/介護ケア】
■特別養護老人ホーム・・・・通常は非常勤の医師のみ。介護職員の割合が高い。
■介護老人保健施設・・・・1名以上の医師の常勤が義務付け、看護職員も特別養護老人ホームと比べて多く配置され、経管栄養・たんの吸引・インシュリン注射などにも対応してくれます。
【その他】
■特別養護老人ホーム・・・・空きが少なく入所待機者が多い
■介護老人保健施設・・・・待ち時間が少なく入所が比較的難しくない
老健は理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が配置され、医療ケアやリハビリが重視されます。
参考
▶︎ 厚生労働省 「介護老人保健施設」
特別養護老人ホームは入居希望者が多く待機者が多数でした。そのため在宅介護での生活が難しい重度の要介護状態の方に優先的に入居してもらえるように法改正が行われました。この法改正により2015年4月から特別養護老人ホームの入居条件は下記のいずれの条件を満たしていることが必要となりました。
<特別養護老人ホームの入居条件>
●65歳以上で要介護3以上と認定された方
●40歳~64歳で特定疾病によって要介護3以上と認定された方
上記の条件を満たしていても、常時医療処置が必要な方に対応ができないため受け入れを断られる場合があります。また感染症を持っている、認知症などが原因で周囲に危害を加える恐れがあるなど集団生活に適していないと判断された場合も入居ができません。原則として要介護3以上という条件が設けられているものの、このように利用者の状況によって受け入れが難しいこともあります。
―要介護3について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。―
▶ 「要介護3ってどういう状態?他の要介護度とどう違う?」
―「厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方」―
▶ 「厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方」
特別養護老人ホームへの入居は原則として要介護3以上の方を対象としていますが、要介護1~2の方でも特例的に入居が認められることがあります。特例として入居が認められるのは以下の要件に当てはまる場合です。
【要介護1~2の方の入居が特例的に認められる要件】
1.認知症で、日常生活に支障を来すような症状や行動が頻繁に見られること
2.知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状や行動等が頻繁に見られること
3.深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難であること
4.単身世帯である、同居家族が高齢または病弱である等により家族等による支援が期待できず、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分であること
上記のようにやむを得ない事情があって特別養護老人ホーム以外での生活が難しいという場合には、特例的に入居が認められることがあります。
―要介護1要介護2について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。―
▶ 「要介護1ってどういう状態?他の要介護度とどう違う?」
▶ 「要介護2ってどういう状態?他の要介護度とどう違う?」
2022年の厚生労働省の発表によると、特別養護老人ホームの待機者は全国に25.3万人となっています。2014年3月に発表された待機者数が全国で52.4万人だったとことを考えると、2015年に入居条件が要介護3以上と厳しくなったことで待機者数が大幅に減少したことがわかります。法改正によって待機者数は減少しているものの、未だに何万人もの待機者がいるため待機解消に向けてさらなる取り組みが必要と言えるでしょう。
特別養護老人ホームは2019年時点で全国に10,000施設以上あり、都市部だけでなく山間部や離島などの過疎地にも設置されています。地域によって入居待機者の数が多くなかなか入居できないところがある一方、郊外では定員割れを起こしていることもあります。入居を考えていた施設の待機期間が長くなりそうであれば、住み慣れた地域だけでなく少しエリアを広げて探してみるのも1つの方法です。
参考
―厚生労働省「2022年4月発表の待機者数」―
▶ 厚生労働省「2022年4月発表の待機者数」
―厚生労働省「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」―
▶ 厚生労働省「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」
特別養護老人ホームにおいて介護サービスをスムーズに提供して、入所者が問題なく安心して生活が送れるようにするため、人員および施設に関する設置基準が法令で決められています。老人福祉法のもと、人員配置と設備基準がしっかりと定められていて、特別養護老人ホームが法令を遵守することで、入居者全員が快適に生活できることを目指しています。
特別養護老人ホームでは、快適なサービス提供のため人員基準を次のように定めています。
職種 | 人員基準 |
医師 | 健康管理と療養上の指導のため、入所者に対しての必要数 |
看護/介護職員(常勤換算) | 入所者数が3またはその端数を増すごとに総数1名以上 (入所者3名に対し看護職員および介護職員が1名以上) |
看護職員(常勤換算) | ・入所者数〜30名 : 1名以上 ・ 31〜50名 : 2名以上 ・ 51〜130名 :3名以上 ・ 131名以上 : 4名以上 |
生活相談員 | 入所者数が100またはその端数を増すごとに1名以上(常勤) |
栄養士または管理栄養士 | 1名以上 |
機能訓練指導員 | 1名以上 |
介護支援専門員 (ケアマネジャー) |
1名以上(入所者数が100またはその端数を増すごとに1名を標準) |
なお、特別養護老人ホームでは医師常勤は義務づけされていないため、一般的に医師は業務委託契約により非常勤で診察することが多いです。
特別養護老人ホームの設備についても一定の基準が定められているため、施設の環境面を整えなくてはいけません。
設備 | 設備基準 |
居 室 | 定員1名が原則、入所者1名につき10.65㎡以上の床面積 ブザー類の設置 |
医務室 | 医療法に規定する診療所とする 医薬品/医療機器を完備、必要に応じて臨床検査設備 |
食堂/機能訓練室 | 入所者定員 × 3㎡以上の床面積 |
廊下 | 原則1.8m以上の幅、中廊下幅は2.7m以上 |
浴室 | 要介護者の入浴に適したもの |
洗面設備 | 居室のある階ごとに設置、要介護者の使用に適したもの |
トイレ | 居室のある階ごとに近接して設置、要介護者の使用に適したもの ブザー類の設置 |
ユニット型の場合は上記に加え、居室近くに共同生活室を設置することやユニットの定員をおおむね10人以下にすることなどの基準が設けられています。
【ユニット型の場合】
・共同生活室の設置
・共同生活室に近接して一体的に居室を設置
・1ユニットの定員はおおむね10名以下
・介護職員または看護職員の配置は、昼:1ユニットごとに常に1名以上 夜:2ユニットごとに1名以上
・ユニットごとに常勤のユニットリーダー配置など
特別養護老人ホームのサービス内容についてみていきましょう。
食事は、管理栄養士によって考えられた栄養バランスのとれたメニューが1日3食提供されます。嚥下機能が低下している方にはきざみ食やミキサー食などが提供されるなど、入居者の状況に応じたメニューが用意されます。誕生日には特別メニューの用意、季節のイベントに合わせた旬の食材や献立など食事の内容も工夫されています。
入浴は、介護スタッフにより入浴介助が行われます。入浴回数は週2回の施設が多く、入浴しない日は清拭を行って身体を清潔な状態に保ちます。施設には機械浴槽などの設備があるため、寝たきり状態の方でも入浴することが可能です。
排泄介助については本人の身体能力を最大限に活かしてもらうような介助が行われます。本人だけで行うのが難しい部分については介助が行われますが、できることはなるべく自力でしてもらうことを基本としています。寝たきりの場合はベッド上で介助を行いますが、トイレまでの移動が可能な場合はできる限りトイレで排泄できるようにサポートしてくれます。
生活の支援としては、居室や共有スペースの清掃、衣類等の洗濯が施設の職員または委託業者によって行われます。こうした生活支援にかかる費用は介護サービス費用に含まれているため都度支払う必要はありません。ただしクリーニングなどが必要な場合は別途費用が発生するため注意しましょう。
医師や看護師による健康管理もサービスの1つです。夜間や緊急時に看護師がいないときのためにオンコール体制が敷かれているなど、すぐに適切な対応ができる体制がとられています。栄養士など他の職種とも連携して食中毒や感染症などを予防する対策もされています。
リハビリは、機能訓練指導員によって行われます。生活リハビリが中心となり、食事や排泄など日常生活上で必要となる機能の維持・改善を目的とした訓練が行われます。レクリエーションやイベントを通じてリハビリが行われることもあり、利用者が前向きに取り組めるように訓練内容も工夫されています。
脳トレクイズ、身体を使ったゲームや体操など様々な種類のレクリエーションが行われます。誕生日会の開催や季節のイベントに合わせた創作活動、お花見、紅葉狩りなど楽しめる内容となっています。利用者同士の交流につながるだけでなく、脳や体を使うことによって認知症の予防などとしても役立ちます。
近年は看取りの対応をしている施設が多くなっています。本人や家族には必要事項についてきちんと説明をし、同意を得た上で看取り体制を整えて介護が提供されます。医師、看護職員、介護職員など施設のスタッフが連携し、その人らしい最期を迎えられるような介護を目指します。看取りを行った場合は、看取り加算という費用が発生します。
特別養護老人ホームには居室タイプが、ユニット型個室、ユニット型個室的多床室、従来型個室、多床室、多床室(準ユニットケア加算)の大きく分けて5タイプあり、タイプによって特徴や費用に違いが見られます。プライバシー保護の面で安心なのは従来型個室やユニット型個室、費用を優先するなら多床室、従来型個室の順でおすすめです。最も費用負担が大きいのはケアの手厚いユニット型個室になります。
ユニット型個室とは、10人程度を1ユニット(生活単位)とし、食堂やリビングなどの共用スペースを囲むように個室が配置されているタイプのことです。完全個室でプライベート空間が確保されています。ユニットごとに専任スタッフがいるため入居者の状況を把握しやすい体制が整えられています。
ユニット型個室的多床室とは、10人程度を1ユニット(生活単位)とし、共用スペースを囲むように個室が配置されていますが完全個室ではなくパーテーションなどで仕切って個室のようにしている居室タイプです。以前は、ユニット型準個室と呼ばれていました。
従来型個室とは、従来どおりの完全個室タイプで、病院のように個室が廊下に面しているタイプです。完全なる個室であるためプライバシーが保護されているのが特徴です。
多床室とは、1つの部屋に複数人分のベッドやクローゼットが配置されており、カーテンなどの簡易的な仕切りで個人のスペースが区切られているタイプのことです。音や匂いなども伝わるためプライバシーの確保が難しいです。
多床室ですが、個人のスペースはプライバシーに配慮した個室的なしつらえになっています。12人程度を1ユニット(準ユニット)とし、質の高い個別ケアを提供できるような体制が整えられています。また従来の多床室とは異なり、準ユニットごとに共用スペースが設置されています。
特別養護老人ホームの主なメリットとして挙げられるのは以下の4つです。
【メリット1】経済的負担が比較的少ない
特別養護老人ホームは、民間の介護施設で必要になることが多い入居一時金などの初期費用が不要です。また所得に応じた負担限度額制度も設けられているため経済負担が比較的少ないのがメリットです。
【メリット2】24時間いつでも介護が受けられる
特別養護老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐しています。ですから日中はもちろん夜間も必要なケアが受けられるため安心です。
【メリット3】終身利用が可能
特別養護老人ホームは、入居期間に制限がなく、長期入所を前提としています。看取り対応もしてもらえるので終身利用が可能なのもメリットです。
【メリット4】倒産の心配が少ない
特別養護老人ホームは、公的施設です。そのため民間の介護施設のように倒産などのリスクが少ないのもメリットです。
もちろん特別養護老人ホームにもメリットだけではなくデメリットもあります。どのようなデメリットがあるのでしょうか?
【デメリット1】入居条件がある
特別養護老人ホームに入居できるのは原則として要介護3以上の方に限られます。その他、認知症によって周囲に危害を加える可能性があるなど集団生活が難しいと判断された場合も入居できないことがあります。
【デメリット2】待機期間がある
先にも述べたとおり入居を希望しても待機者が多く、地域によって待機期間が異なるなどすぐには入居できないことがあるのもデメリットです。
【デメリット3】医療体制が整っていないことがある
看護師を24時間常時配置する義務はないことから、施設によっては夜間のたん吸引といった医療ケアが必要な方の受け入れ体制が整っていないことがあります。
入居者の要介護度・年齢の割合は、厚生労働省が発表している資料によると、特別養護老人ホームの入居者の要介護度で最も多いのは要介護4で37.8%、次いで要介護5が32.3%でした。年齢階級別に見てみると85歳~94歳が46.8%で最も多いという結果でした。95歳以上の入居者が14.1%いることから入居者の約6割が85歳以上であることがわかります。
特別養護老人ホームに入居することになったきっかけは人それぞれ異なり、理由も様々です。要介護度が上がって専門的なケアが必要になった、認知症の症状が現れ在宅介護が難しくなったなどをきっかけに入居する方が多いようです。 独立行政法人福祉医療機構の「2019年度 特別養護老人ホームの入所状況に関するアンケート調査※」によると、家族が住む場所から施設が近いこと、そして本人の住み慣れた地域に施設があるという理由で特別養護老人ホームの入所申し込みをした方が多いようです。 在宅介護だと介護疲れで介護者が倒れてしまう恐れもありますので、家族が限界を迎える前に特養への入居の検討をおすすめします。
―在宅介護について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。―
▶ 「在宅介護のアドバイスや利用できるサービスを紹介」
▶ 「認知症の介護ストレスや介護うつを悪化させないためには?」
特別養護老人ホームについてご紹介してきました。人気が高く待機者が多いと言われる特別養護老人ホームですが、法改正によって待機者は減少傾向にあり地域によっては待機期間が短いこともあります。介護施設選びは、施設に関する様々な情報を集めることが大切です。どの施設に入居しようかと悩んでいる場合は、今回ご紹介した内容を参考に特別養護老人ホームも選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
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