この記事の監修者
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合同会社小森塾
代表 小森敏雄フリーランス介護講師
資格取得講座 運営兼校長
介護福祉士
准看護師
認知症ケア専門士
要介護3の方の在宅介護ができるかどうか不安を感じているご家族へ、負担を軽減する介護サービスや施設サービス、直面しがちな課題と対処法について紹介します。
2025年8月13日
要介護3の方の在宅介護は無理なのでしょうか?要介護3は、自力で立ち上がったり、歩いたりするのが難しく、認知症の症状が見られることもあり、食事や排泄など身の回りのことほぼ全てに介護が必要な状態となっています。要介護2の段階で在宅介護を続けていたご家族でも、要介護3になると、必要な支援の質・量が大きくなるため身体的・精神的な負担が増し、在宅介護はかなり大変になります。
要介護3の方を在宅介護する場合は、訪問介護や通所介護、福祉用具の活用などの介護保険サービスを利用するなど介護を担うご家族の負担を減らす適切な支援環境を整えることで在宅介護をすることができます。
介護保険サービスの利用は、ケアマネジャーに相談してしっかりとしたケアプランを組んでもらうようにしましょう。
―要介護3について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「要介護3とはどんな状態?特徴や受けられるサービス・要介護度との違いを解説!」
要介護3の状態で在宅介護を無理なく続ける方法は、介護をする方の負担を軽減しながら、継続的な支援体制を整えることが重要になります。介護保険制度が提供する多様なサービスや、自治体・民間の支援制度を上手に活用しましょう。
まずはケアマネジャーに相談しましょう。ケアマネジャー(介護支援専門員)は要介護・要支援認定を受けた方のケアマネジメントを行うスペシャリストです。
ご家族の状態に応じて、訪問介護や通所介護、福祉用具の利用などを組み合わせたケアプラン(居宅サービス計画)を作成してもらえるため、安心して介護を進めることができます。
―ケアマネジャーについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「ケアマネージャー(介護支援専門員)とは?相談できることや役割・資格について解説」
ケアマネジャーが作成するケアプランに基づいて介護保険サービスを利用しましょう。介護保険制度によって介護を必要とする方に費用が給付され適切なサービスを受けることができます。要介護3と認定された方の在宅介護は訪問サービスや通所サービスなど、様々な選択肢があります。例えば訪問介護や訪問看護を利用すると本人の希望や状況に応じて入浴介助や食事介助、排泄介助だけでなく、看護師による医療的なケア、あるいは理学療法士などによるリハビリテーションも自宅で受けられます。また、自宅にこだわらず、デイサービスやデイケア、ショートステイの活用も視野に入れると良いでしょう。
―介護保険制度について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「介護保険制度とは?仕組みやサービス内容など基礎をわかりやすく解説」
福祉用具をレンタル・購入し活用したり、住宅改修によって在宅介護の環境を整えたりするのも有効な手段です。介護ベッドや車椅子などの福祉用具は、介護保険を利用してレンタルや購入が可能です。要介護3の認定を受けた方の介護のために住宅を改修し、手すりの設置や段差の解消などを行う場合も介護保険が適用され、居宅介護住宅改修費として支給されます。これらの費用助成を活用すれば、経済的な負担も抑えつつより安全で自立した生活を送るための環境を整備できます。
―福祉用具・住宅改修について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「介護用品・福祉用具のレンタル」
要介護3と認定された方が在宅介護にあたって利用可能な介護サービスは、大きく分けて「訪問サービス」「通所サービス」「短期入所サービス」「福祉用具・住宅改修」の4つに分類され、それぞれが異なるニーズに対応しています。
訪問サービスは、介護スタッフや医療専門職者が要介護者の自宅を直接訪問し、日常生活の支援や医療的なケアを提供してくれるサービスです。要介護者は住み慣れた環境で必要なサポートを受けられ、家族の負担も大きく軽減させられるでしょう。訪問サービスは大きく分けると以下の5種類に分けられます。
訪問介護とは、訪問介護員(介護福祉士や初任者研修修了、ヘルパー2級等の有資格者)が利用者の自宅を訪問し、食事や入浴、排泄などの身体介護や、洗濯、掃除、買い物などの生活支援を行うサービスです。要介護3の場合は、排泄介助や入浴介助、衣服の着脱といった身体介護の割合が多くなる傾向があります。
訪問リハビリテーションでは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などが利用者の自宅を訪れ、医師の指示に基づきリハビリを行います。寝返りや歩行など日常生活を送るのに必要な機能訓練を行い、身体機能の維持・回復を目指して自立をサポートします。利用者に積極的なリハビリの姿勢が見られれば、要介護3から回復する可能性もあります。
訪問入浴介護は、介護スタッフが専用の簡易浴槽を利用者宅に持参し、入浴介助を行うサービスです。自宅の浴槽では入浴が難しい場合におすすめです。寝たきりの方でも寝室で入浴することができ、部分浴や清拭(せいしき)のサービスも受けることができます。
訪問看護は、看護師などが利用者の自宅を訪れ、医師の指示に基づき健康観察や診察補助、療養上のアドバイスなどを行うサービスです。たんの吸引や点滴などの医療処置も可能です。自宅で急に体調が悪化した際には緊急訪問をしてくれるため安心です。
居宅療養管理指導は、医師や薬剤師、管理栄養士などの専門スタッフが利用者宅を訪問し、自宅療養する上で必要な指導やアドバイスを行います。健康管理や栄養ケア計画の作成、正しい口腔ケアの方法など、それぞれの分野のエキスパートが療養生活をサポートしてくれます。
通所サービスとは、通所介護(デイサービス)や通所リハビリテーション(デイケア)などの施設に日帰りで通い、食事や入浴、機能訓練、レクリエーションなどを受けられるサービスです。自宅から外出する機会が増えることで社会参加を促す効果も期待でき、介護者の負担軽減にもつながります。
以下の2種類があり、それぞれ特徴があります。
通所介護は、デイサービスセンターなどの施設に日帰りで通って、食事や入浴などの介護サービスを受けることができます。生活機能訓練としてレクリエーションなども行われ、日常生活機能の向上を目指します。
通所リハビリテーションは、介護老人保健施設や病院などに日帰りで通って、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士のもとでリハビリを受けることができるサービスです。デイサービスよりも機能回復訓練に力を入れており、医療的なケアが受けられるのが特徴です。
短期入所サービスは、要介護者が一時的に施設に入所して生活援助や機能訓練、医療的ケアなどが受けられるサービスです。介護者の病気や冠婚葬祭、出張などで一時的に介護ができない場合や介護者の休息(レスパイトケア)が必要な際に利用するとよいでしょう。
短期入所生活介護は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに短期宿泊し、食事や入浴、トイレ介助など日常生活上の支援や機能訓練などを受けられるサービスです。家族の病気や冠婚葬祭、出張などで数日間介護ができないときや、介護者の休息が必要なときに利用されます。連続利用できる日数は30日間です。
福祉用具・住宅改修に関するサービスは、要介護者の身体状況や生活環境に合わせて、日常生活をより安全で快適にするための福祉用具のレンタルや購入、自宅の改修を支援するためものです。在宅介護の負担を軽減し、要介護者自身の自立を促進します。
福祉用具貸与とは、介護保険制度を利用して介護用品・福祉用具をレンタルできるサービスのことです。自己負担は原則として1割(所得に応じて2~3割)となります。介護保険を使用して連絡可能な福祉用具は全部で13種目ありますが認定された要介護度に合わせてレンタル可能な品目が決まっています。要介護3の方は、基本的に13品目すべて利用可能ですが、自動排泄処理装置をはじめとする一部の品目は、身体状況や医師の判断により例外的な扱いとなる場合があります。
―福祉用具貸与について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「介護保険でレンタルできる福祉用具について」
福祉用具を購入する場合も、介護保険が利用できる特定福祉用具購入の対象となる、入浴・排泄用具などの5種目は購入費が補助されます。支給される上限は1年につき10万円、注意点は、購入に充てた費用のうち1〜3割は自己負担となること、10万円を超える場合は全額自己負担になることを覚えておいてください。
―福祉用具購入について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「介護用品・福祉用具の購入」
介護のために手すりの取付けや段差の解消などの住宅をリフォームしたり、改修したりすると、介護保険制度により補助金の支給を受けることができます。この費用の限度額は20万円まで、そのうち原則1割(所得に応じて2~3割)が自己負担の金額となります。20万円分の限度額を超えた分は全額自己負担となります。
―住宅改修について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「住宅改修」
要介護3の方の在宅介護では、身体介護の度合いが増すため介護者の負担も増大し、様々な課題に直面する可能性が高くなります。特に、排泄介助や移乗・移動介助は介護者の身体的・精神的な負担が大きくなります。このような課題の対処法についてご紹介します。
排泄介助は介護者にとって特に大きな負担になる場合が多いです。
排泄の一部またはほとんどに介助が必要となる場合が多く、おむつ交換やトイレへの誘導、失禁時の処理なども行うため介護者の肉体的にも精神的にも負担がかかります。夜間の排泄介助で慢性的な睡眠不足が続くケースも見られます。介護用ベッドやポータブルトイレの活用、適切な排泄機器やおむつの活用、訪問介護サービスなどを活用し少しでも負担を小さくできます。
ベッドから車椅子への移乗や室内での短い距離の移動にも介助が必要となる場合が増えるでしょう。移乗・移動介助の際に介護者の腰や膝に大きな負担をかけ、介護者自身の身体を痛めてしまうリスクもあるなど介護者にとって身体的な負担が特に大きくなります。特に介護者の体格と要介護者の体格に差がある場合や、要介護者が体重を支えるのが難しい場合は介助の難易度が高まります。このような場合の対処法として、ケアマネジャーに相談して適切な介助方法、福祉用具の提案を受ける、訪問介護の活用、移乗動作のアドバイスを受けるなどで負担の軽減を図りましょう。
要介護3の方の在宅介護は、介護者の身体的・精神的負担が非常に大きくなってきます。もしも、在宅介護に限界を感じたら、無理につづけるのではなく要介護者本人と介護者家族の双方がより良い生活を送るために、次にご紹介するような介護施設への入居も検討しましょう。
介護老人福祉施設は、特別養護老人ホームとも呼ばれ、在宅での生活が困難な要介護3以上の認定を受けた高齢者が入居できる公的施設です。食事、入浴、排泄などの介護サービスに加え、健康管理やレクリエーションなども提供されます。費用負担が比較的少ない点が大きな特徴ですが、地域によっては待機者が多いため入居までに時間を要することもあります。
介護老人保健施設は、在宅復帰を前提とした施設で医療面と介護面の両方で支援が必要な要介護者を対象にしています。入所期間は基本的には3ヶ月間と定められており、リハビリテーションの他、利用者の自立支援や早い在宅復帰を目的としています。
サービス付き高齢者向け住宅は、「安否確認サービス」と「生活相談サービス」の提供が義務付けられています。施設によっては食事提供やレクリエーションなど、多様なサービスを提供している場合もあります。必要に応じて外部の介護事業所と個別に契約して利用するため、自身の介護度や、介護が必要な度合いに応じてサービスを選択できる自由度の高い点が特徴となっています。
介護付き有料老人ホームは、入居者が支払う費用に応じて24時間体制で介護スタッフが常駐し、食事、入浴、排泄などの介護サービスをはじめ生活支援、健康管理なども一体的に提供される民間施設です。要介護度が高くなっても安心して生活できる点が大きな特徴で、費用は施設によって異なりますが、高額であるほど手厚い介護や多様なサービスを受けられるでしょう。
要介護3の段階での在宅介護は、負担が大きくなるので無理と感じる方も多いでしょう。しかし、住み慣れた自宅での生活を継続できることで家族や地域とのつながりが精神的な安定をもたらし、平均余命の延伸につながる可能性があるとも言われています。身体的、経済的負担も大きくはなりますが、要介護3の認定を受けた方を経済的にサポートする制度もあります。直接的な現金給付ではなく、介護サービスの費用を軽減する形が中心のため、必要に応じて事前に調べておくことをおすすめします。
家族だけで抱え込まず、早い段階で自治体や地域包括支援センター、担当のケアマネジャーに相談し、最適なサポートを見つけるようにしましょう。無理しすぎないようにして限界を感じた場合は施設への入居も検討しましょう。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
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