(1)各体位の名称を理解する

体位変換を行うにあたって、まずはそれぞれの体位の名称を知っておきましょう。介護の現場では一般的に使われる用語ですので、理解しておくことで介護ヘルパー等と会話する際にも役に立ちます。
【主な体位の名称】
① 仰臥位(ぎょうがい)・・・仰向けに寝ている状態のこと。
寝たきりの場合、仰臥位(ぎょうがい)の状態でいるのがいちばん長くなります。仰臥位(ぎょうがい)の状態のときには、おしりの中央にある仙骨部、肩甲骨、ひじ、かかと、後頭部などに床ずれができやすいといわれています。
② 腹臥位(ふくがい)・・・うつ伏せで寝ている状態のこと。
清拭(せいしき)や治療を行うときに、この状態になることが考えられます。腹臥位(ふくがい)の状態のときには、頬、肩、ひざ、つま先に床ずれができやすいといわれています。女性は乳房、男性は性器に床ずれができる場合もあります。伏臥位(ふくがい)と書く場合もあります。
③ 側臥位(そくがい)・・・横向きで寝ている状態のこと。
側臥位(そくがい)の状態は不安定でバランスを崩しやすいので、手や足の位置に気をつけ、安定した姿勢にしてあげることが大切です。側臥位(そくがい)の状態のときには、太ももの付け根の外側にある大転子やひざ、くるぶし、骨盤の左右に張り出している腸骨に床ずれができやすくなります。耳や肩、ひじなど上半身にも床ずれができることもあります。
④ 長座位(ちょうざい)・・・上半身だけを起こし、両足を伸ばして座っている状態のこと。
長座位(ちょうざい)の状態のときには、臀部(おしり部分)に床ずれができやすいといわれています。
介護ベッドの背上げ機能を使用すれば、簡単に長座位(ちょうざい)の姿勢をとることができます。

⑤端座位(たんざい)・・・椅子やベッドの端などで足を下ろして座っている状態のこと。
車椅子に腰をかけているときも端座位(たんざい)の状態になります。端座位(たんざい)の状態のときには、臀部(おしり部分)などに床ずれができやすいといわれています。
車椅子の場合は、背もたれやひじ掛けが付いているため、背中やひじに床ずれができることもあります。