この記事の監修者
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フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
寝たきりが原因で起こる「廃用症候群」。その原因や対処法を紹介しますまたそもそも寝たきりになる原因や、寝たきりの高齢者の介護の方法についてもあわせて考えていきましょう。
2023年2月8日
「生活不活発病」とも呼ばれる廃用症候群とは、長期間の安静状態や運動量の減少によって身体機能が衰え、心身の様々な機能が低下してしまうことです。
体を動かすことは、筋肉や関節を動かすだけでなく、たくさんの臓器の働きにも関わっています。そのため、体を動かさない状態が長く続くと、身体能力が低下するだけではなく、内臓の機能も低下してしまいます。
病気やケガなどで安静を保つ必要があったり、関節の痛みなどで動くことが億劫になってしまうと、体を動かす機会が減ってしまいます。その状態が続くと筋肉や関節、臓器などがうまく機能しなくなり廃用症候群を引き起こします。
廃用症候群から回復するために要する期間は、廃用症候群になっていた期間の数倍にわたると言われ、 一度なってしまうと回復するのは困難になります。さらに廃用症候群になると、全身の筋肉量が低下した状態であるサルコペニアが進行することも考えられます。ですから、長期的に安静状態になることはなるべく避けるように意識し、やむを得ない場合でも積極的にリハビリを行い廃用症候群の予防をすることが大切です。
サルコペニアとは、ギリシャ語のサルコ=筋肉、ぺニア=喪失という言葉を組み合わせて作られた造語で、筋肉の喪失を意味しています。加齢や病気によって筋肉量が減っていく現象をサルコペニアと呼び、歩く速度が遅くなる、杖や手すりが必要になるなどの身体機能の低下が見られます。一方、廃用症候群は筋肉以外にも骨や臓器、精神機能など全身に影響を及ぼすものです。廃用症候群とサルコペニアの2つの違いとしては、全身のさまざまな部位の機能低下が見られるのが廃用症候群、筋肉量と筋力の減少を特徴としているのがサルコペニアと覚えましょう。
廃用症候群の代表的な症状として、以下のような症状があります。
・筋萎縮(筋肉がやせ衰える) ・関節拘縮(関節が硬くなり動きが悪くなる) ・骨萎縮(骨がスカスカになりもろくなる) ・腰痛(腰が痛くなる) ・筋力低下(筋肉の力が弱くなる)
・誤嚥性肺炎(食べ物や唾液などが誤って気管支や肺に入って起きる肺炎) ・心機能の低下(心臓の働きが悪く、全身に十分な血液を送り出せない) ・血栓塞栓症(血のかたまりが血管で詰まってしまう) ・起立性低血圧(急に立ち上がったりした時に、血圧が下がり立ちくらみ等を起こす) ・肺塞栓症(肺の動脈に血液の塊が詰まってしまう、エコノミークラス症候群のこと) ・換気障害(肺において酸素と二酸化炭素の交換が妨げられる状態)
・うつ状態(気分が落ち込む) ・せん妄(周りの状況が理解できず、ぼんやりして幻覚や錯覚が見られる) ・見当識障害(今いる場所や時間がわからなくなる) ・睡眠障害(睡眠が異常になる状態、不眠症や過眠症など) ・認知症(脳の病気や障害により認知機能が低下して、日常生活に支障が出る状態)
・尿路感染症(尿路で細菌が繁殖して炎症が起きることで、高熱、腰や背部に痛み、排尿時の痛み、血尿などが見られる) ・尿路結石(尿路に結石がとどまることで、腰やわき腹の激しい痛み、吐き気や嘔吐、冷や汗、血尿、残尿感などが見られる) ・排尿障害(尿をためて排出するまでの過程に異常がある状態のこと、頻尿や尿失禁など)
・褥瘡(床ずれのこと。皮膚が圧迫されて血の巡りが悪くなり、赤みや水ぶくれ、内出血などが見られる。悪化すると傷が筋膜や骨まで達することもある) ―床ずれについて、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「床ずれはなぜ起こる?床ずれ防止のポイントと、おすすめ介護・福祉用具までご紹介」
▶ 「床ずれを防止するための介護・福祉用具の選び方」
・逆流性食道炎
(消化途中の食べ物や胃液が食道に逆流し、胸やけ、のどの違和感、酸っぱいものが上がってくる感じなどが見られる) ・食欲低下(積極的に食べなくなることで、栄養不足や体重減少にもつながる) ・便秘
・耐糖能異常(空腹時の血糖値が正常値と異常値の間にある状態で、糖尿病予備軍とも言われる)
高齢になるに従って、糖尿病を発症しやすくなります。また耐糖能異常を放置すると、糖尿病に進行する確率が高くなります。軽度なら自覚症状は出ませんが、ひどい場合は意識障害につながることもありますので気を付けましょう。耐糖能異常と診断された方は、まずは油断せずに、できるだけ日頃から食事改善に努め、運動療法も実践するようにしましょう。
廃用症候群は体を動かさない状態が続くことで発症することはわかりました。では、具体的にどのような状況が発症の原因となるのでしょうか?
病気やケガなどで長期間安静を保つ必要がある場合、体を動かさない状態が長く続くことで運動能力が低下し、運動することが億劫になってしまいます。それによって、体を動かす機会が更に減ってしまい、廃用症候群がどんどん進行するという悪循環に陥ります。過度な安静は廃用症候群を引き起こすリスクを高めるため、積極的にリハビリをする、日常生活でできることは自分で行うなど、必要以上の安静をとらないことが大切です。
関節痛や麻痺などによって動く意欲をなくし、運動量が大幅に減ることも廃用症候群の原因のひとつです。外出する機会が減少すると、関節の動きが鈍くなり、筋力の低下が進みます。そうなると思うように動けなくなり、外出や運動がますます億劫になることで廃用症候群が進行します。脳機能が低下して認知症の進行につながることや、精神神経系の機能が低下してうつ状態などの精神疾患を発症することもあります。また自力で動ける時から車いすやおむつを使用することは、廃用症候群の原因となるため避けましょう。
寝たきりとは、長期間にわたって一日の大半をベッドの上で過ごし起き上がれない状態をいいます。
病気やケガなどをきっかけに寝たきり状態になり、筋力が著しく低下することが多くなります。特に高齢者は進行が早く、寝たままの状態が1週間続くと約10〜20%の筋力低下が見られると言われています。寝たきりで活動量が少ないと食欲不振になることも多く、栄養不足に陥って筋肉や骨の破壊が進行しやすいため注意が必要です。 脳卒中や認知症、転倒による骨折は寝たきりの原因になりやすいので、これらを予防するためにも生活習慣を見直すことをおすすめします。寝たきり状態になっても、進行しないようにできる範囲で体を動かすことが大切です。
外出するときに階段が避けられない環境で暮らしている、必要以上の介護が行われ本人が体を動かす機会がほとんどないなど、周囲の環境に問題があり廃用症候群を引き起こすことも考えられます。階段や大きな段差など、外出する際に不安に思う要素があれば、なかなか出かける気になれず、家に閉じこもってしまいやすくなります。また、本人が自力でできることまで周囲が手伝ってしまうと、体を動かす機会を奪ってしまうことになります。
廃用症候群の検査には決まったものがありません。しかし、活動ができなくなった経緯がわかれば、正確に診断してもらうことはできます。
気づいた時点から可能な範囲で詳しく情報提供をしましょう。
廃用症候群は医師だけに限らず、看護師、リハビリ関係者、家族によって発見されることもあります。
廃用症候群には決定的な検査がないため、診断が難しく場合によっては診断が遅れがちになります。ただし廃用性筋収縮の兆候は見つかりやすくなっています。廃用性筋収縮があるかどうかは廃用症候群の診断の目安となります。安静にしている時間が長く、今までできていたことが急にできなくなる、生活に支障が出始める、動けない病気になるなどした場合は、廃用性筋収縮の疑いがあります。また、関節自体の可動範囲が減ってきた場合は関節萎縮の恐れがあります。
少しでも違和感がある時は、ためらわずに医師へ相談してください。
身体の動きは、筋骨格、循環器・呼吸器、代謝・内分泌、精神神経など多数の臓器と関連しています。 内的/外的な要因が影響し合って、不活発な状態が長引くと、各臓器の機能が低下し、負のスパイラルが起きやすくなります。 廃用症候群は合併症の症状が出やすいので、診断が難しいと言われています。 認知症を一例に考えると、発症したら活動量そのものが激減し、さらに認知症の進行を早めるケースも多くあります。こうした悪循環のため、もとの原因が廃用症候群なのか認知症なのかすぐに正しい判断をすることができづらくなります。 認知症が先で廃用症候群になったのか、廃用症候群が先で認知症になったのかによって、治療方針も変わります。認知機能の低下や、活動性がダウンする原因を、血液検査や画像検査などでしっかり調べて分析してもらいましょう。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
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