老老介護とは?その原因と問題・解決策を解説

老老介護とは何か?現状と原因、そして問題点の把握から解決策までをご説明します。

2020年11月27日

老老介護と認認介護

老老介護とは

老老介護とは、65歳以上の高齢者が自分と同じ65歳以上の高齢者を介護している状態のことをいいます。同世代の夫婦の間だけでなく親子や兄弟の間など老老介護は様々な間柄で生じています。老老介護の割合は在宅介護を行う世帯で年々増加しており、現代の高齢化社会における大きな問題となっています。

認認介護との違い

認認介護とは、認知症の人が自分と同じ認知症の人を介護している状態のことをいいます。お互いが認知症のため介護どころではないケースがある認認介護は、介護放棄や虐待などに発展して事件や事故を引き起こす可能性もあります。高齢者がふたりきりで暮らしている場合、家族や周囲の人が認知症に気付かずに、いつの間にか老老介護から認認介護になっていることも少なくありません。認知症の症状があっても日常生活は送れるため要介護申請をしていない方や、認知症の自覚がないまま介護を続けている方も少なからずいると考えられるため、認認介護の正確な実態を把握するのは難しいといわれています。

老老介護の現状

厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査の概況※」によると、要介護者と同居している世帯の中での老老介護の割合は59.7%、この割合は年々上昇傾向にあります。また、要介護者と介護者の両方が75歳以上である超老老介護の割合は33.1%という結果です。今後も高齢化が進むにつれてこの割合がさらに増えていくと予想されます。
※「2019年 国民生活基礎調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html

老老介護は何が問題なのか

■問題1:体力的負担が大きい

介護において、移乗や入浴、着替え、排泄介助など体力を必要とすることが多いため高齢の介護者にとっては大きな負担となります。 高齢になるとともに体力が落ちていきます。介助のひとつひとつに時間がかかってしまうため、介護される側も不安定な姿勢が続くなど負担に感じることがあります。移乗時などに要介護者の体をうまく支えることができず、転倒など事故につながる危険性もあります。介護者自身が転倒して骨折などのケガを負い、介護ができなくなるケースがあるなど、老老介護には体力の問題から共倒れになるリスクがあります。

■問題2:精神的な負担が大きくなり、認認介護のリスクも

日々の介護に追われストレスが蓄積、精神的にも追い詰められるケースも多くあります。無理に介護を続け、肉体的にも精神的にも限界をむかえ、共倒れを引き起こすことも考えられます。要介護者を付きっきりで介護していると、社会的つながりが減りコミュニケーション不足や運動不足に陥りやすく、脳の機能が低下して介護者自身も認知症を発症するとい場合もあります。介護者も要介護者も認知症の認認介護になってしまい、介護の負担はより一層大きくなります。

老老介護が増えている原因

原因1:身近な人に頼りづらい

最近は、独立後に親と同居する家庭が減少し、核家族化が進んでいます。子ども世帯が遠方に住んでいることも多く、介護が必要になっても助けを求めることができずに高齢夫婦間での老老介護になりやすいと考えられます。また、我が子に迷惑をかけたくないからという理由で、夫婦間での介護を望み、老老介護になるケースもあります。

原因2:他人を頼ることへの抵抗感

身内である自分が何とかしないという責任感やプレッシャーから他人を頼ることへ抵抗感をもち、介護を一人で抱え込んでしまうことが原因の場合もあります。他人が自宅に入ることへの警戒や、排泄・入浴などプライバシーに配慮すべき介護を誰かにお願いすることに抵抗を感じるなど、なかなか他人に頼れないことが老老介護を増加させている原因となっています。

原因3:経済的余裕がない

経済的な余裕がないことが原因で施設入所や介護サービスの利用ができず、老老介護を選ばざるを得ないというケースもあります。可能であれば第三者のサポートを得たいと思っていても、生活保護を受給しているなど金銭的余裕がないために老老介護になってしまっている方も多いのが実情です。

原因4:平均寿命と健康寿命

介護なしに日常生活を送ることができる期間のことを健康寿命と呼びます。平均寿命からこの健康寿命を引いたものが介護を必要とされる期間と考えられます。例えば「令和2年版高齢社会白書※」によると、2016年の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳。同じ年の健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳。平均寿命から健康寿命を引くと男性8.84年、女性12.35年となり、介護を必要とする期間が約10年程度になります。50代半ばで親の介護を始めたとすると介護している間にお互いが65歳以上の老老介護をむかえます。今後も高齢化がすすみ、平均寿命も年々延びていることから、老老介護がさらに増えていくと考えられます。

※「令和2年版高齢社会白書」
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/zenbun/02pdf_index.html

老老介護の解決策とは?

国のサービスを利用する

解決策のひとつとして国のサービスの利用があります。厚生労働省では、今後も予想される高齢者の増加に備えて高齢者の生活を地域でサポートする地域包括ケアシステムの構築を進めています。地域包括ケアシステムとは、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される体制のことです。介護が必要になってからでも住み慣れた地域で自分らしく自立した生活を送り続けられるようサポートするシステムです。地域の実情や特性に合わせて体制を作り上げ、団塊の世代が75歳以上となる2025年の実現を目指しています。この実現に向け、全国の自治体には地域包括支援センターが設置されています。地域包括支援センターには、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門職がいるので、高齢者の生活に関してあらゆる相談ができます。老老介護での困り事や心配事があれば、一度相談してみましょう。

介護施設への入居を検討する

老人ホームなどの介護施設へ入居も、老老介護の解決策のひとつです。訪問介護やデイサービスなどの介護サービスに比べると費用はかかりますが、介護の負担を大きく減らすことができます。施設によっては夫婦で入居可能な場合もあり、これまで通り生活を共にしながら介護をプロに任せることができるので安心です。入居にかかる費用は要介護度や事業所によって違います。サービス内容も各施設によって異なりますので入居前に施設の特色を確認し、気になることは質問するなどしてしっかり調べるようにしましょう。

老老介護を助けるサービスを利用する

介護サービスをうまく活用するのも老老介護の負担を減らす対策のひとつです。要介護認定を受けている人の場合、介護サービスの内容によっては介護保険が適用され、費用の原則1割(所得に応じて2〜3割)を自己負担すれば利用可能です。介護をひとりで抱え込まず、介護サービスを利用して少しでも負担を減らしましょう。

【介護サービス1:通所介護(デイサービス)】

デイサービスセンターなどの施設に日帰りで通い、食事や入浴などの介護サービスを受けることができます。健康状態のチェックや生活機能訓練を目的としたレクリエーションなども行われ、心身機能の維持・向上につながります。一般的には送迎サービスがついているので、老老介護の方でも安心して通うことができます。デイサービスを利用することで、介護者はその間に休息を取るなど自分だけの時間を確保できるのでストレス抑止にもなります。

【介護サービス2:通所リハビリテーション(デイケア)】

デイケアとは、介護老人保健施設や病院などに日帰りで通い、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士のもとでリハビリを受けることができるサービスです。医師が常駐しているため医療的ケアも受けられるのが特徴です。通常はリハビリを中心としたサービスですが、食事や入浴などの介助、自宅までの送迎をお願いすることもできます。デイサービスと同様、デイケア利用中は介護者の休息、息抜きなどに時間を使うことができます。

【介護サービス3:訪問介護】

訪問介護では、介護福祉士やホームヘルパーなどが自宅を訪問し、食事や入浴、排泄などの身体介護を行います。それ以外にも洗濯や掃除、買い物などの生活支援サービスを受けることもできます。

【介護サービス4:訪問看護】

訪問看護では、看護師などが自宅を訪れ、健康状態のチェックや医療処置を行います。療養上のアドバイスを得ることができるので、自宅にいながらリハビリを受けることも可能です。

【介護サービス5:短期入所(ショートステイ)】

ショートステイとは、施設に短期間宿泊し、食事や入浴、排泄介助など日常生活上のサポートを受けることができるサービスです。専門職によるリハビリや、医師・看護師による医療的ケアも受けられます。介護者の予定や体調不良などで一時的に介護するのが難しくなった場合や、介護者の休息を取るために利用することができるサービスです。

【介護サービス6:福祉用具貸与(介護用品・福祉用具のレンタル)】

福祉用具を活用することも介護の負担軽減につながります。車椅子や介護用ベッド、手すり、スロープなど、一部の福祉用具は介護保険を利用してレンタルすることができます。福祉用具のレンタルによって介護者の心身の負担を軽減するだけでなく、購入よりも費用が抑えられることもあり経済的負担を減らすことにもつながります。

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