この記事の監修者
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たがしゅうオンラインクリニック院長
田頭 秀悟日本糖質制限医療推進協会提携医療機関
患者さんと様々な健康課題に対して、じっくりと相談に乗ることのできる、オンライン診療専門のクリニックを運営。
脳神経内科全般(特に認知症、神経難病)をメインに、西洋医学の枠に捉われず、東洋医学はもちろん、ホメオパシー、アロマテラピー、サプリメントなどの様々な代替医療も駆使して患者さんの健康管理を遠方からサポートしている。
認知症の初期症状いついて、どのような原因があるか?発見のポイントや進行を遅らせる方法、軽度障害(MCI)との違いなどを解説します。
2026年7月15日
認知症とは、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障をきたす状態のことをいいます。一度発症すると、完全に治すことは難しい場合が多く、できるだけ進行をゆるやかにし、日常生活を苦痛なく送れるようにすることを目標として治療が行われます。 認知症の原因は、脳の病気や障害など様々ですが中でも一番多いのが、アルツハイマー型認知症です。原因はまだ解明されておらず、世界中の研究者がその原因解明に向けて研究を行っています。現時点では脳に特殊なたんぱく質がたまり、それによって神経細胞が傷つけられているという仮説が有力です。その次に多いのは、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって発症する脳血管性認知症です。脳の損傷した部分によって症状の出方は異なります。その他にも、幻視やパーキンソン症状などが現れるレビー小体型認知症や、50歳代くらいの比較的若い方が発症しやすい前頭側頭型認知症など、認知症と一言でいってもいくつかの種類があり、現れる症状にもそれぞれの特徴があります。

―認知症について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「認知症の4つの種類とは?特徴や症状、割合を一覧で解説」
軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)とは、加齢による物忘れと認知症の中間段階にいる状態をいいます。本人や周囲が以前より物忘れが増えたと気付くこともありますが、おおむね自立した日常生活が送れていることが多いです。軽度認知障害(MCI)は、2022年時点では65歳以上の高齢者の中で15.5%(559万人)、認知症の方が12.3%(443万人)となっているので、合わせると27.8%ほどになると推計されています。
軽度認知障害(MCI)は、記憶力、判断力、注意力などの認知機能が低下しているものの、認知症ほど生活への支障が強くありません。厚生労働省によると、軽度認知障害(MCI)は次のような位置づけになっています。
●正常と認知症の中間の状態
●物忘れはあるが、日常生活に支障がない
●年間10~30%が認知症に進行する
●一方、正常なレベルに回復する人もいる
●認知症治療薬の効果はないとする研究が多い
軽度認知障害(MCI)の原因は、複数の要因が関係しているとされています。その中でも特に多い原因が、アルツハイマー型認知症の前段階として起こっているケースです。アルツハイマー型認知症は、認知症の中でも最も多く全体の70%近くを占めており、脳の神経細胞が徐々に減り、アミロイドβというたんぱく質が脳内で蓄積され発症します。このアミロイドβの蓄積が軽度認知障害(MCI)につながります。他にも、脳血管障害、高血圧や糖尿病などの生活習慣病や運動不足、ストレスなどが重なることが原因で起こることもあります。
―アルツハイマー型認知症について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
軽度認知障害(MCI)と診断された方すべてが認知症へ進行するわけではありません。軽度認知障害は、認知症の前段階ともいわれますが、現在の状態を維持する人、改善する人、認知症へ進行する人と経過には個人差があります。ただ軽度認知障害でない一般の高齢者と比べると認知症に進行するリスクが高いとされています。認知症以外のうつ状態、生活習慣の乱れなどが原因の場合は、適切な治療や対策によって健常な状態に近づくこともあります。
軽度認知障害(MCI)と認知症の大きな違いは、日常生活に支障が出ているかどうかです。軽度認知障害は、認知機能の低下はあるものの、食事、着替え、買い物、金銭管理などの基本的な生活は自分で行えることが多いです。しかし、認知症の場合は、お金の管理ができない、自宅付近の慣れた場所で道に迷う、料理手順がわからない、季節に合った服装がわからないなど生活への影響が大きく、日常生活に支障が出ている状態ですので多くの場面で介助が必要となるでしょう。
認知症による物忘れと加齢の違いについて具体的に何が違うのか見ていきましょう。大きな違いは日常生活に支障をきたしているかどうかです。それに加えて「忘れたことを覚えているのか」「体験そのものを忘れているのか」どうかが大きなポイントになります。
●加齢による物忘れ
忘れたという自覚があるのが加齢による物忘れです。体験したことの一部を忘れても体験したこと自体は覚えています。「夕食を取ったことは覚えているが、何を食べたか忘れた」などが例として挙げられます。
●認知症による物忘れ
忘れたという自覚が乏しいのが認知症による物忘れです。夕飯を食べたのに食べていないと言ってしまうなど、体験したことそのものが抜け落ちてしまうという特徴があります。
―出典―
―物忘れと認知症の違いについて詳しくはこちらをご覧ください―
▶ 「物忘れと認知症の違いとは?見分け方や特徴、予防・対処法を解説」
認知症の初期症状としては、次のようなものがあるといわれています。
様々な初期症状の中でも、物忘れがきっかけで認知症に気付くことが多いといわれています。物忘れは誰にでもあるものですが、下記のように頻度が高くなってきた場合は認知症による物忘れの場合があるので注意が必要です。
●何度も同じ話や行動を繰り返す
●置き忘れ、片付けたことを忘れるなど常に探し物をしている
●ついさっき話した人の名前を忘れる
認知症は、初期の段階から理解力や判断力の低下が見られることがあります。
次のような場合は認知症の初期症状の可能性があります。
●外出するときに、ふさわしい服装を選べない
●お財布の中に小銭があっても、お札で支払う
●周囲の話しているスピードについていけない
●歩き方が変わった
集中力・注意力の低下も認知症の初期症状としてあります。これは一度に情報を処理するための能力が低下することによって見られる症状です。注意散漫になることも増えるため、物事に注目したり、配慮したりするなどの行動が困難になる場合もあります。次のような場合は初期症状の可能性があります。
●以前は読んでいた新聞や本などの活字を読まなくなる
●最後まで人の話を聞かない
●ぼーっとすることが増え、話しかけても反応が遅くなる
認知機能が低下することによって趣味嗜好や性格が変化し以前は好きだったことをしなくなる傾向があります。精神的に落ち込みやすくなったり、物がなくなると人のせいにしたり、わがままになるなど性格が変わったように感じる場合もあります。
●好きだった趣味に興味を示さなくなる
●思い込みが激しくなった
●以前より怒りっぽい
●以前と比べて顔つきや表情の変化を感じることがある
認知症は自覚しにくいこともあるため、早期発見には周囲の気付きが大切になります。認知症の初期症状として見られる物忘れなどは、高齢になると誰にでも見られる症状のため、認知症だと気付くまでに時間がかかってしてしまうことがあります。認知症の発見が遅れると、周りのサポートなしでは生活が困難になる可能性も十分に考えられます。本人ができる限り自立した生活を長く送るために、家族や周囲の人はどうすればよいのか、具体的な例をご紹介します。
―認知症について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
認知症の初期症状が起こったときに、すぐに気付けるように別々に住んでいたとしても高齢の家族とは定期的に会話するようにしましょう。例えば、今日が何月何日なのかわかない様子だったり、毎回同じ話をしていたり、やる気がないように感じるなどの違和感から気付くこともあります。神経質な性格でネガティブな口癖が多い高齢者は、認知症になりやすいともいわれていますので、より気を配るようにしてください。
―認知症になりやすい人の口癖について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
認知症の疑いがある場合はなるべく早めに医療機関を受診するようにしてください。認知症は治らないから、病院へ行っても進行を防げないと考えているかもしれませんが、それは間違いです。認知症は、早期の段階で速やかに治療を開始することで改善できる場合があります。認知症治療を目的とした薬を服用することや、本人に合った適切なリハビリやケアを行うことは、進行をゆるやかにする効果が期待できますので必ず医療機関に相談しましょう。
物忘れ外来とは、認知機能の低下について専門的に相談・検査をする病院やクリニックのことです。認知症が疑われる行動や症状が見られるときには、物忘れ外来で専門家にしっかりと診てもらうことをおすすめします。ただまだ疑われる状況の場合は、本人が受診を拒否することも多いです。物忘れ外来は、本人不在の場合でも、家族からの相談に応じてくれるところもあるので調べてみるとよいでしょう。
1.問診・診察
症状がいつからあるのか、生活へどれくらい影響がでているのか、家族から見た状態の変化などを詳しく聞き取ります。身体状態や神経心理学的な検査も行います。
2.認知機能検査
質問に答えながら、記憶、計算、見当識など認知機能の検査を行います。を確認します。代表的なものとして、HDS-R、MMSEなどがあります。
3.画像検査
MRIなどの画像検査で脳の状態を調べます。
4.血液検査
血液検査を行い甲状腺機能低下などの認知症以外の原因がないか確認します。
認知症の疑いを感じても、本人は、「そんなことはない」と否定し専門の医療機関を受診することを嫌がるかもしれません。その場合は、無理に受診させようとするのではなく、まずはかかりつけ医に相談してみることをおすすめします。医療観点からの言葉は説得力があり、顔なじみの信頼できる医師からの助言であれば、耳を傾けてくれるかもしれません。事前にかかりつけ医に相談し、連携しながら認知症の診察をするように促すとよいでしょう。
認知症の中でも、アルツハイマー型認知症と判断された場合は、薬物療法と非薬物療法の2つの治療法があります。
薬物療法には、記憶障害や見当識障害など、脳細胞が破壊されて起きる直接的な症状・中核症状の進行をゆるやかにすることを目的とした認知機能改善薬(抗認知症薬)があります。近年では、アルツハイマー病の原因に関連する物質に働きかける新しいタイプの薬も国内で承認されるなど、日々新しい治療法の研究開発が進められています。ただ一方で、副作用や適応条件などに注意が必要な薬もあります。使用に際しては、厳格に基準が定められており、使用可能な医療機関も限られています。治療費が高額となる場合もあるため、医師と相談しながら適切に検討することが重要です。
薬物を使わない非薬物療法としては過去を振り返り、脳に刺激を与える「回想法」、家事や園芸などの日常の動作を通して認知症の進行を予防する「作業療法」などがあります。「音楽療法」「脳トレ」「適度な運動」などもありますので、本人の気持ちや希望に配慮しながら、治療方法を検討してみるようにしてください。
認知症の予防法としては、初期段階に発見し進行をゆるやかにすることと認知症になることをできるだけ遅らせるための取り組みがあります。具体的な予防法としては、認知症と密接な関係があるといわれる「生活習慣病」「コミュニケーション」「運動」「食事」の4つについて日常生活の中で気をつける次のような方法があります。
生活習慣の乱れは、認知症の発症リスクを高めるといわれています。運動習慣、食習慣、休養、喫煙、飲酒など見直すことで、生活習慣病を予防しましょう。認知症のリスクを下げるだけでなく、がんや心臓病、脳血管疾患などの大きな病気の予防にもつながります。
コミュニケーションをしっかりとるようにしましょう。コミュニケーションをとり相手の気持ちに配慮したり、自分の考えを述べたりすることで脳が刺激され、活性化されていきます。よく外出する、友人など周囲と会話する機会が多い方は、認知症の発症リスクが低いという調査結果もあるくらいコミュニケーションをとることは大切なのです。
運動をして体を動かすことは、脳を動かすことにもなります。実際に、運動することが認知機能低下の防止につながっているという研究結果も多数報告されているくらいです。激しい運動をする必要はありませんが、1日に30分程度外を歩くなどの有酸素運動は認知症予防に効果的といわれています。
普段何気なくとっている食事も、認知症の予防に大きく関わっています。野菜や果物、青魚などをバランス良く食べると認知症の発症予防につながり、一方で脂身やマーガリンなどの脂肪酸は、認知症の発症リスクを上げるという報告もあります。

家族や友人が認知症によって別人のようになったと感じた時、ショックを受けるかもしれませんが、認知症を患う本人も大きな不安を感じています。認知症のことをよく理解し、本人に合った治療を続けていくことが大切です。
【薬物療法の場合】
薬物療法を続ける場合は、薬の副作用による体調異常の有無をしっかり観察しましょう。傾眠などによる転倒リスクが上がるため、歩行時には注意が必要です。
少しでも気になることがあればメモを残し、医師と相談しましょう。複数の医療機関を利用の場合は、お薬手帳を活用して、薬の飲み合わせなどの情報をしっかり管理しましょう。
【非薬物療法の場合】
非薬物療法を行う場合は、本人が楽しんで取り組めるものを選びましょう。認知症が進行するとできなくなることが徐々に増えていきます。本人ができることや無理なくできそうなことをおすすめし、自尊心を傷つけないよう配慮しましょう。
【正しい接し方】
何度も同じことを聞かれるなど困った言動によって、つい強く言い返してしまうことがあるかもしれませんが怒ったり、否定したりするのは禁物です。話していることが間違った内容であっても「そうでしたね」と否定せずに受け入れてあげましょう。
認知症について相談したいときにどこにすれば良いかも知っておきましょう。家族や身近な人が認知症の症状が出ているかもしれない、と思ったときは誰でも不安になるものです。一人で悩みを抱えてしまわないように、次の相談先に相談してください。
最初にかかりつけ医に相談してみるのがおすすめです。受診そのものを嫌がる場合はもちろんですが、そうでない場合も医師同士のつながりからより専門性の高い医療機関や医師を紹介してもらえるかもしれません。何科を受診すればよいのかわからないというような悩みを含めて家族だけで抱え込む時間を短くすることができます。
地域包括支援センターは、各自治体に設置されている地域に密着した高齢者の総合相談窓口です。高齢者が住み慣れた場所で安心して暮らせるように保健医療、介護などの情報や、介護事業所の紹介などもしてくれます。認知症に詳しい認知症疾患医療センターなどの関係機関とも連携しながら様々な支援を行ってくれるので、相談先に迷ったら問い合わせしてみてください。
電話で認知症についての悩みを相談できるところもあります。経験者の方のアドバイスを受けたり、愚痴を聞いてもらったりすることで心が軽くなることもあります。一人で考え込まず悩みを打ち明けてみましょう。
―認知症の人への対応について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「認知症の人への正しい対応方法とは?やってはいけないこと・言葉・接し方のポイントも解説」
認知症には種類があるため、すべての認知症が一気に進むわけではありません。認知症の中でも一番多いアルツハイマー型認知症は、比較的ゆっくり進行するとされています。ただし高齢者の場合、体調不良、生活習慣病、ストレス、環境の変化などをきっかけにして認知機能が大きく低下することも考えられます。急激な悪化を防ぎ、進行をゆるやかにするためにも、こまめに身体を動かす、生活リズムを正す、人との交流を持つなどの対策をするようにしましょう。
認知症が始まるサインとしては次のようなものがあります。
●さっき聞いたことをまた聞く
●財布やメガネなど日常的によく使う物を探す
●今日の日付がわからなくなる
●慣れた道で迷う
認知症の初期は、加齢による物忘れと区別がつきにくいこともありますが、両者の大きな違いは「日常生活に影響」が出始めているかどうかが挙げられます。もしもこれらのサインが見られたら、専門的な病院を受診することや、早めにかかりつけ医に相談することが大切です。
認知症の初期症状は、加齢による物忘れと区別がつきにくく、見逃されることもあります。以前はできていたことが難しくなったり、日常生活にも影響が出始めたりするなどの場合は注意してください。認知症は、できるだけ早い段階で気付いて適切な対応を始めることが重要です。少しでも気になる変化が続いていると感じた場合、「まだ軽いから大丈夫だろう」と決めつけずに物忘れ外来の受診やかかりつけ医や地域包括支援センターなどの専門機関へ相談するなど早めの対応をしてください。相談するとよいでしょう。
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