認知症の症状と原因について、介護のポイントを解説

認知症について、もの忘れとの違い、認知症の原因と症状・種類。そして介護する際のポイントなどをご紹介します。

2020年8月25日

認知症とは?どんな症状のことを指すの?

認知症によるもの忘れと老化によるもの忘れの違い

もの忘れには、老化によるものと認知症によるものがあり、症状が少し異なります。もの忘れがある人がすべて認知症というわけではありません。では老化によるもの忘れと認知症によるもの忘れにはどのような違いがあるのでしょうか?

老化によるもの忘れの特徴

「忘れている」という自覚があるのが特徴。
体験したことの一部を忘れても、体験したこと自体は覚えています。
例えば、夕食を取ったことは覚えていても何を食べたか忘れる、財布をどこにしまったか忘れるなどは、誰にでも起こる老化によるもの忘れだと考えられます。

認知症によるもの忘れの特徴

もの忘れの自覚がなく、体験したこと自体を忘れていることが特徴。
例えば、食事をしたのにそのことを覚えていない、財布をしまったことを忘れて盗まれたと言う、何度も同じものばかり買ってくるなどの症状があります。認知症の症状が進行すると、年齢や住んでいる場所が思い出せないなど判断力や理解力が低下して生活にも支障をきたします。

認知症の症状とは?

「認知症」は病名ではなく、脳の機能が低下することで引き起こされる特有の症状のことです。症状は、大きく分けて「中核症状」と「行動・心理症状(BPSD)」の2種類に分けられます。

1.中核症状とは

脳の神経細胞が破壊されることで現れる直接的な症状で認知症を患っていれば、誰にでも見られます。

●主な症状
・記憶障害
直近の出来事や昔のことなど物事を記憶できなくなる

・見当識障害
今日の日付や自分のいる場所などいつ・どこがわからなくなる

・判断力の障害
ものごとの良し悪しなど考えて判断することができなくなる

・実行機能障害
計画を立てる、順序よく行動することができなくなる

・失行
ボタンをとめる、服を着るなど以前できていたことができなくなる

・失認
親しい人が誰かわからなくなる、日常で使っていた道具の使い道がわからなくなるなど

・失語
うまく言葉にできなくなる、ものの名前がわからなくなる、読み書きができなくなるなど
   

2.行動・心理症状(BPSD)とは

行動・心理症状(BPSD)は、中核症状を基盤にして身体的、環境的、心理的な要因が加わることによって起こる二次症状。
現れ方には個人差があり、必ずでる症状ではなく要因を取り除けばおさまることもあります。

●主な症状
・不安、抑うつ・妄想・幻覚・徘徊・不潔行為・暴言、暴力・介護拒否など

認知症の種類と特徴について

アルツハイマー型認知症

原因

アルツハイマー型認知症は認知症の中でも最も多いとされています。
脳に特殊なたんぱく質がたまり神経細胞が死んでしまうことで、脳全体が萎縮して認知機能が低下すること。脳の中でも記憶を司る海馬を中心に萎縮がはじまり脳全体に広がります。

症状

初期症状として記憶障害が見られます。新しい出来事が記憶できず、体験自体をすぐに忘れてしまうのが特徴です。症状が進行すると見当識障害や実行機能障害といった症状も現れます。

主な症状

・記憶障害
食事の直後に「食事はまだか」と言いだす
自分でどこかにしまったものを「誰かに盗まれた」と言い出す など

・見当識障害
家族など親しい人の顔を見ても誰なのか認識できない
季節がわからず、適した衣服を選べない
自宅にいるのに「家に帰る」と言い出す など

・実行機能障害
今まで使っていた家電の操作がわからなくなって使えない
料理の手順がわからなくなり、焦がしたり味付けが変わったりする
箸やスプーンの使い方がわからなくなって使えない など

レビー小体型認知症

原因

原因は不明ですが、「レビー小体」と呼ばれるたんぱく質のかたまりが脳のさまざまな部位に現れ、脳の神経細胞が破壊されて引き起こされる認知症。

症状

幻視やレム睡眠行動障害、パーキンソン病のような症状が見られます。記憶障害なども現れますが、アルツハイマー型と比べると症状は軽いといわれています。

主な症状

・幻視
実際には存在しないものがリアルに見える

・レム睡眠行動障害
睡眠中に奇声をあげる、暴れる

・パーキンソン症状
手の震え、無表情、筋肉のこわばり、小刻み歩行など

・自律神経症状
立ちくらみ、便秘、失禁、多汗、だるさ、動悸など

・認知機能の変動
記憶力や理解力など調子の良い時、悪い時の差が目立つ

・抑うつ
気分が沈みがちで意欲が低い

血管性認知症

原因

脳梗塞や脳出血などにより脳の神経細胞がダメージを受けることで起こる認知症。脳にダメージを受けた部分と健全な部分の機能が混在することによって、できることとできないことの差が大きく「まだら認知症」とも呼ばれます。

症状

ダメージを受けた脳の部分によって異なりますが、アルツハイマー型と同様に記憶障害や見当識障害が見られます。その他に身体の麻痺や言語障害、嚥下障害などの症状が現れます。突然症状が現れたり、落ち着いた状態から急に悪化したりと症状に変動があるのも血管性認知症の特徴です。

主な症状

・認知機能の低下(中核症状)
記憶障害、見当識障害、実行機能障害、失語、失行、失認など

・感情失禁
感情のコントロールがうまくできず、悲しくなくても泣いたり、急に怒りだしたりする

・意欲、自発性の低下
気分が沈んでいる、無気力、投げやりな態度をとる

・その他
手足の麻痺、嚥下障害、知覚障害、歩行障害など

認知症の原因と防ぐためにできること

認知症になる原因とは?

認知症の原因となる病気は様々ですが、大半を占めるのがアルツハイマー型認知症と血管性認知症です 。高血圧や糖尿病などの生活習慣病が認知症のリスクを高めると考えられるため、生活習慣の改善が認知症の予防につながるとされています。

認知症の予防になる生活習慣

1.健康的な食生活

栄養バランスのとれた健康的な食事を心掛けましょう。栄養の偏った食事は生活習慣病になりやすいとされています。糖質、塩分を控えめにし、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどを補うバランスのよい食事をとりましょう。

2.適度な運動

体を動かすことは生活習慣病の発症リスクを低くするだけではなく、脳の刺激にもなります。ラジオ体操や散歩、ストレッチなど無理のない範囲で行える運動を心がけましょう。歩きながらしりとり、足踏みしながら手拍子など、同時に2つのことを行うことで脳が活性化され、認知症予防につながるといわれています。

3.知的な刺激

ガーデニングやパズル、読書、ゲーム、手工芸などの知的活動は脳に刺激を与えます。物事を考えたり、手指を使うことで脳の多くの機能を使うため、認知症予防対策として有効です。本人が興味の持てることであれば何でもよいので、楽しんで取り組める知的活動を行いましょう。

4.社会的な交流

趣味の集まりやイベントに参加するなど、社会的な交流を持つことも大切です。人とコミュニケーションをとることで脳が刺激されます。身支度の時間を考える、行き方を決めるなど物事を考える機会が増えることで脳の活性化が期待できます。

5.充分な睡眠

脳の機能を維持するには、睡眠も大切です。睡眠時間を充分に確保するだけではなく、質の良い睡眠がとれるように心がけましょう。

認知症の方のためにできること

認知症の方のためにできること

認知症の方の介護に不安や戸惑いを感じ、接し方に悩む介護者の方も多いと思います。家族や周囲の人ができることは、まずは認知症のことをきちんと理解することが大切です。認知症になった本人も不安やストレスを感じています。気持ちに寄り添い、優しくサポートするよう心がけましょう。

【認知症の介護で気を付けること】

・本人のペースに合わせる
言われたことを理解するのに時間がかかるため、すぐに反応して動くことが難しいなど何をするにも時間がかかります。 次から次へ話しかけると混乱を招きます。急かされると責められているように感じて不快な気持ちになります。決して急かさず、ゆっくり話すことを意識して本人のペースに合わせましょう。

・責めたり、叱ったりしない
言動に対して、責めたり、叱ったり、否定しないことが大切です。叱られた理由を覚えていなくても、そのときに感じた不安や不快な気持ちは残ります。つい言葉がきつくなることもあるかもしれませんが、問題行動は認知症が原因のため責めたり、叱ったりしてもなくなりません。自尊心を傷つけないように安全面に問題のない行動である限りは否定せずに受け入れるようにしましょう。

・気持ちに寄り添うコミュニケーション
会話をするときは目線を合わせ、相づちを打つ、うなずくなどしながら本人の話にしっかりと耳を傾けましょう。 優しく触れるなどのスキンシップを取ることで安心感を与えることができます。話すときはゆっくりとした口調で、わかりやすくジェスチャーをつけるのもよいでしょう。何か間違ったことを話していても「そうでしたね」などと話を合わせて受け入れましょう。

・かけがえのない存在と感じてもらう
無理なくできる仕事をお願いして「自分も役に立つ存在である」と感じてもらいましょう。認知症になると、今までできていたことができなくなってショックを受けたり、自分が自分でないような感覚になり不安を覚えたりすることもあります。何かをお願いしたあとはしっかり褒めて感謝の気持ちを伝え、前向きな気持ちになってもらいましょう。