この記事の監修者
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フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
認知症が原因で起こる食事拒否について困っている方のために、その原因と対応方法をご紹介します。
2022年9月30日
認知症の症状が進行すると、食事を勧めて拒否されることがあります。
介護者にとっては心配や不安を感じる食事拒否について一般的な理由と対応方法をご紹介します。
認知症の症状のひとつである失認(認知機能の低下によって目の前にあるものが何かわからなくなってしまうこと)が原因で食べ物を正しく認識できていない場合があります。
失認によって食べ物だと理解できず、食べられるものかどうか判断もできないため、食事を拒否している可能性があります。色や形が似ていることから食べ物ではない他のものと誤認してしまい手でさわったり、放り投げたりしてしまうケースもあります。
食べ物であることを認識してもらうためには、声をかけることが大切です。温かいお味噌汁ですよと声をかけて食事を提供しましょう。またおいしい〇〇ですよと声をかけて一緒に食べることで、目の前にあるものが食べられるものだと認識して食べ始めることもあります。
認知症の症状のひとつ失行(今まで当たり前にできていたことができなくなってしまうこと)が原因で食べ方がわからなくなっている可能性があります。
食事のシーンでは、お箸の持ち方や使い方がわからなくなったり、お箸で食べ物を取って口へ運び、噛んで食べるという一連の動作を忘れてしまうこともあります。特定のものだけを食べない、食べようとしているのに箸が進まず戸惑っているなどの様子が見られる場合は、失行の疑いがあります。
こうした症状が見られる場合は、本人から見えるところに座って一緒に食事をしてあげましょう。他の人が食べている様子を真似して食べ始めることがあります。また、並んでいる食器の数が多いとか、お皿に料理がたくさん盛られていると、どこから手をつけどのように食べればいいのか混乱してしまうことがあります。混乱を防ぐために料理は食べきれる量を小出しにするのがよいでしょう。
お皿の色を変える、ご飯にふりかけをかけるなど、些細なことがきっかけで食べ方を理解できることもあります。どうすれば本人が食べ方を理解できるのか、食事の提供の仕方を工夫してみましょう。
高齢になると嚥下機能が低下し、食べ物を飲み込みにくくなります。
口に入れてもうまく嚥下できずにむせて咳き込んだり、吐き出したりすることがあります。このようなことが続くと、食事の時間が楽しくなくなり食欲が低下、食事拒否につながります。無理して飲み込むと気管に入り、窒息や誤嚥性肺炎を引き起こす恐れもあるため注意が必要です。
嚥下機能が低下している高齢者には、具材を細かくカットしたり、食べ物の固さを変えるなど調理方法を工夫し、食べやすさと飲み込みやすさを意識した食事を用意するようにしましょう。
入れ歯の違和感、歯周病や虫歯の痛みなどの口腔トラブルが原因で食事がストレスになっていることがあります。舌苔(舌の汚れ)が厚く付いていることで味を感じにくくなり、食事をきちんと味わえていないこともあります。口腔トラブルが原因となり食欲が低下してしまいますのできちんと口腔ケアを行いましょう。
テレビの音が気になる、照明が明るすぎる、暗すぎるなど、落ち着いて食事ができない環境も食事拒否の原因となります。
他にもテーブルの高さが合っていなくて食べづらい姿勢になることに不快感を持ち、食事が楽しめないといった場合もあります。
かつての生活習慣に合わせ、本人が心地よく食事ができる環境を作ってあげましょう。
認知症の種類によっても食事拒否をする理由は異なってきます。
認知症の種類別に食事拒否の理由をご紹介します。
アルツハイマー型認知症の場合は脳全体が萎縮して認知機能が低下する症状が原因で食事拒否があらわれます。
失認により食べ物であることを認識できない、失行によりお箸の持ち方や使い方がわからなくなるなどが食事拒否の理由になります。
レビー小体型認知症の場合は幻視やパーキンソン病のような症状が原因で食事拒否があらわれます。
手の震えによってお箸やスプーンが使いにくく食べ物がうまく掴めない、幻視の症状によって料理の中に虫が入っているように見えるなどの理由で食事拒否があらわれます。
血管性認知症の場合は、脳梗塞や脳出血などによって脳がダメージを受けた部分の違いで食事拒否の症状が異なります。
身体の麻痺によってお箸やスプーンを使うことが難しいことが理由の場合、麻痺によって口が開きにくく食べにくいことが理由で食事拒否があらわれることもあります。
食べやすいように食材の大きさや固さを工夫しましょう食材が飲み込みにくい場合はとろみ食を使う方法がありますが、あまり好まない人もいるので本人の希望を聞いてみましょう。
また、認知機能が低下している人は、お皿の柄と食べ物の区別がつきにくいことがあるので、無地のシンプルな食器を使うことをおすすめします。
お箸を使うことが難しい人は、スプーンやフォークに変えるなどしましょう。
栄養のバランスがもちろん大切ですが、口に合わない物ばかりだと食欲を出させるのは難しいです。好きなメニューをベースにして、少しずつ他の食べ物も提供するようにしましょう。
また体を動かすことも食欲増進につながります。簡単な体操やウォーキングなど、できるだけ体を動かす機会をつくりましょう。
毎日の体調管理も大切です。便秘でお腹に不快感があり食欲がないこともあります。お腹がスッキリすると食欲が出て食べ始めることもあります。日々の様子をチェックしておきましょう。お口の中の不快感や痛みから食欲がわかないこともあります。日頃から口腔ケアをしっかり行い、毎日の食事を楽しめるようにしましょう。
テレビの音が気になる、反対に静かすぎて落ち着かないなどが原因で食事に集中できず食べなくなってしまうことがあります。
これまでの生活習慣に合わせ、本人がリラックスして食事ができる環境をつくることが大切です。美味しいですか?などと気を使い声をかけすぎることがストレスに感じたり、誤嚥の原因になる場合もあるので、声かけはほどほどにしましょう。
またテーブルの高さを合わせる、椅子の高さを調整するなど、食べやすい姿勢をとる工夫も忘れずに行いましょう。食べやすい姿勢は、食事を楽しんでもらうためだけでなく誤嚥防止にもつながります。
食事をとらないからといって、無理強いするのはやめましょう。
強引に食事を勧める、食べないことを責めるなどすると、さらに食事の時間がストレスとなり食事拒否を強めてしまいます。無理やり食べさせてしまうと誤嚥を引き起こす可能性にもつながります。
きちんと食事をとることは大切ですが、一食抜いただけですぐに体に大きな影響が出ることはありません。水分補給を忘れず、食欲がないときでも食べられそうなものを探して準備するようにしましょう。食事介助をするときは、見守る姿勢でいることが大切です。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
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