認知症による暴言・暴力の原因や対応方法は?

認知症により起こる暴言や暴力について、どんなときに表れるのかその原因から対応方法、改善策までをご紹介します。

2020年9月30日

認知症の方の暴言・暴力の原因は?

認知症の症状のひとつである暴言・暴力は、理由もなく起こすわけではなく、様々な要因が重なって起きてしまうと考えられています。暴言や暴力の原因となることをいくつかご紹介します。

原因1:感情のコントロールが難しい

認知症によって脳の機能が低下し、脳の感情を抑制する部分がうまく働かずコントロールが難しくなり感情が爆発して暴言や暴力といった行動をとってしまうことがあります。同時に理解力も衰えるので不安や苛立ちを感じやすくなり、感情を上手く表現できず暴言・暴力につながります。また、興奮しているときに大きな声で注意されると恐怖心を感じさらにパニックになってしまうこともあります。暴力的な言動は、本人の性格や意思とは関係なく起こるものだと知っておきましょう。

原因2:薬の影響

服用している薬が影響して暴言や暴力が起きる可能性があります。認知症の進行を抑える薬の副作用によって強く症状が出ることや、複数の薬の飲み合わせの悪さが原因で起こることもあります。薬に関して不安に思うことがあれば、自己判断せず必ず医師に相談しましょう。

原因3:認知症の種類によるもの

認知症の種類によって暴言や暴力が強く表れることがあります。
前頭側頭型認知症になると感情表現や理性をコントロールする前頭葉が萎縮するため、穏やかな性格だった人でも急に怒りっぽくなります。レビー小体型認知症は、幻視や幻聴の症状が表れやすくそれらを取り払おうとして暴れたり興奮したりすることがあります。

どんなときに暴言や暴力が表れるの?

認知症による暴言や暴力はどのような状況のときに表れるのでしょうか、実際の例をご紹介します。

●自尊心が傷つけられたとき

本人のことを思って行う何気ない行動で自尊心が傷つけられ、暴言や暴力が表れることがあります。例えば、ひとりで大丈夫ですか?と過度に心配することが本人の気に障り自尊心を傷つけ暴力的な態度につながる場合などがあります。また、本人を制止するために大きな声を出したり、否定することで嫌な気持ちにさせ、感情を暴言や暴力によって表現してしまう場合もあります。

●不安を感じ混乱しているとき

不安を感じ混乱しているときに暴言や暴力が表れることがあります。 例えば、認知症により理解力が低下した状態で自分が置かれている状況がつかめず不安に感じることがあります。外出するときに行き先を途中で忘れてしまいどこへ向かうかわからず不安を感じ、混乱して暴言や暴力に発展することなどがあります。

暴言や暴力への対応方法は?

暴言や暴力は認知症の症状であることを理解し、冷静に対応しましょう。

対応方法1:距離をとりましょう

少し距離をとってみましょう。
暴言や暴力に対して強く言い返す、力で対抗するなどは厳禁です。身を守るために仕方ない場合もあるかもしれませんが、抑えつける、責めるなどしても状況は改善されません。興奮している状態で防戦すれば、さらに状況を悪化させてしまう場合もあります。暴言や暴力が始まったときは、少し距離をとり、可能な場合は介護を別の人に代わってもらう、ショートステイなどの介護サービスを利用するなどしてみましょう。
物理的な距離だけでなく、心理的な距離もとってみましょう。暴言や暴力が認知症の症状であるとわかっていても、介護する側にとっては心身ともに大きな負担になります。無理をしすぎて介護者が体調を崩してしまうケースもありますから意識的に介護から離れ息抜きすることも大切です。趣味を楽しんだり、気分転換に出かけたりするなど、自分だけの時間を設けて気持ちを落ち着かせましょう。

対応方法2:誰かに相談しましょう

暴力や暴言で悩んでいることを家族や親族、医師、ケアマネジャーなどに相談してみましょう。一人で抱え込まず、周囲のサポートを得ることが大切です。感じている不安や辛さを吐き出すことで気持ちが楽になります。また、第三者の意見から暴言や暴力の原因が何なのか気付く場合もあります。介護の専門家であれば経験から効果的な対応策や最適なアドバイスをしてくれます。相談することに抵抗がある、話し相手が見つからないなどの場合はノートに記録するだけでもよいです。記録を残しておけば、今後相談するときの資料にもなります。

暴言や暴力を改善するには?

改善方法1:原因を探りましょう

普段の様子を観察し、原因を探りましょう。
接し方や環境の変化などにより本人の気持ちが不安定になっていることが原因の場合や、便秘・寝不足でイライラしているなど体調不良が原因の場合、薬の副作用や飲み合わせの悪さが原因となっている場合などがあります。暴力的になるきっかけや要因がわかれば、改善策を考えることもできます。


改善方法2:本人の意思を尊重しましょう

本人の気持ちに寄り添い、意思を尊重しましょう。
本人が望んでやろうとしていることを制止する、嫌がっていることを無理にさせるなどは大きなストレスとなり暴言や暴力の原因になります。また過剰に心配して本人に代わって何でもやってしまうことで自尊心を傷つけてしまうこともあります。本人がどうしたいのかという気持ちを大切にしましょう。


改善方法3:他のことに関心を向けましょう

興奮しているときは、他のことに関心を向けてみましょう。
好きな音楽をかける、かわいがっている孫の写真を見せるなど注意をそらすことで自然と気持ちが落ち着くことがあります。一緒に散歩して気分転換するのもよいでしょう。いざというときのために、日頃から注意をそらす方法を考えておきましょう。


改善方法4:コミュニケーション方法を工夫しましょう

置かれている状況、これから何をするのかなど本人が理解できるようにコミュニケーション方法を工夫してわかりやすく説明してあげましょう。
一度伝えたことでも忘れてしまうので頻繁に声をかけてあげましょう。突然体に触れる、介護者がイライラしながら接するなどすると恐怖心や不安を感じ暴力的な態度をとってしまうことがあります。介護するときは感情的にならず、丁寧にわかりやすく話しかけることを心掛けましょう。


改善方法5:医師に相談しましょう

体調不良や服用している薬が原因となっている可能性もあるため、医師に相談してみましょう。便秘など体の不調に対する治療を行うことで、暴言や暴力がおさまることもあります。また、服用している薬を変えてもらい症状が改善したというケースもあります。普段の様子を医師に伝えられるように日常的に不調や痛みを感じていないかなど体調をチェックしておくとよいでしょう。