この記事の監修者
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フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
家族が認知症になったときにどのように対応したらいいのか、症状や対応方法についてご紹介します。
2024年4月16日
認知症とは、脳の病気や障害など様々な原因に伴って、脳の神経細胞の機能が徐々に低下し、記憶や判断力などの認知機能が下がり、日常生活全般に支障をきたす状態のことを言います。加齢による、もの忘れはあくまでも自然の老化現象で、忘れたことを自覚しているのが特徴です。しかし、認知症の場合は体験したこと自体を忘れてしまうため、自分がもの忘れしている自覚がないままで日常生活に支障が出ます。
―もの忘れと認知症の違いについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「「認知症」と「物忘れ」の見分け方は?対処法も解説」
―若年性認知症について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「若年性認知症(アルツハイマー)とは?初期症状やなりやすい人の特徴、相談先について解説」
近親者や知り合いが認知症かもしれないと感じた時、どのように対応するかは大変デリケートな問題です。接し方次第で、症状が落ち着くことも悪化することも考えられます。認知症のご本人も不安なので、決して無理強いせず、さりげなく受診を促してみましょう。ご家族の心配も計り知れないので、抱え込まずに専門機関などに相談することをお勧めします。
では、認知症の方に接する際の心得を具体的にまとめてみます。
認知症の症状は、大きく中核症状 と行動・心理症状(周辺症状BPSD)の2種類に分けられます。
認知症は認知機能が低下するため、行動を起こすまでに考える時間が必要になり、結果として常に動作がゆっくりになりがちなため、認知症の方と接する際は、3つの「ない」をモットーにして対応を進めましょう。
(1)急がせない … 時間をかければできると考えること
(2)驚かせない … 穏やかに見守る気持ちで
(3)自尊心を傷つけない
出典:認知症サポーター養成講座標準テキスト (認知症サポーターキャラバン発行)
また、認知症の方のために家族は何ができるのでしょうか?まとめてみましたので、参考にしてください。
認知症はちょっとした物忘れなどの異変から始まりますので、その変化に気づくことができるのは、身近にいる家族です。早期発見のためにも、何か気になることがあれば早めに病院を受診しましょう。
認知症と言っても、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症などいくつか種類があり、それぞれ特徴が異なります。症状や対応の仕方など、認知症に対する正しい知識を身に付けておくことが大切です。
認知症になると、言われたことをすぐに理解することや、とっさに反応することが難しくなり、何をするにも時間がかかってしまいます。介護者が急かすと不快な気持ちにさせてしまいますし、次から次へと話しかけると混乱のもとになりますから、決して急かさず、本人のペースに合わせるようにしましょう。
コミュニケーションを取るときは、しっかり目線を合わせ、優しい口調で話しましょう。聞こえづらくなっていることもあるため、ゆっくりと大きな声で話すことを心がけましょう。
本人の話にしっかりと耳を傾け、たとえ話の内容が間違っていても否定せず、そうでしたねと話を合わせて受け入れてあげましょう。
認知症になってからもできることはたくさんありますので、今できることに目を向け、本人ができることを進んでやってもらいましょう。
本人の気持ちに寄り添い、その人らしい生活が続けられるようにサポートしていきましょう。
認知症の方は、事実や体験は忘れても、そのときの気持ちや感情はしっかり記憶しているのが普通だと言われています。例えば、家族から注意されたり叱られたりした場合には、実際のやり取りや事実関係は忘れていますが、怒られて嫌だったというネガティブな感情は、長く残ってしまいます。認知症の方に絶対にすべきでない対応が7項目ありますので、詳しくまとめてみます。
(1)叱ること … ネガティブな感情は残りやすいので否定しないように
(2)強制すること … 自尊心が傷つきやすい、ストレスを与えがち
(3)命令すること … 自尊心が傷つきやすい、反発することも
(4)行動を制限すること … 精神的苦痛、嫌がらせと思われる
(5)役割を取り上げること … 精神的苦痛、嫌がらせと思われる
(6)子ども扱いすること … 自尊心が傷つきやすい、感情的になりやすい
(7)何もさせないこと … 存在価値を見失う恐れがある
―認知症高齢者の接し方について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「認知高齢者の接し方。間違った接し方は症状を悪化させることも」
認知症の方と接するときは、責めたり叱ったりせず、落ち着いて対応することが大切です。ここでは、シチュエーション別に対応するときのポイントをご紹介しましょう。
ただ大声を出しているわけではなく、何か理由があるはずですから、冷静に対応しながらその原因を探ってみましょう。攻撃的な態度が見られる場合は、落ち着くまで少し距離をとって見守るか、別の人に交代してもらいましょう。
他のことに気をそらし、得意な手仕事を頼むなどすると、外へ出ようとしていた理由を忘れて落ち着くことがあります。本人の話を否定せず、もうすぐお迎えの車が来るのでお茶でも飲んで待ちましょう、外は冷えるので上着でも着ましょうか、などと別の行為につなげて落ち着くのを待ってみましょう。
本人の気持ちを受け止め、一緒に探しましょう。探し物を家族が手渡すと盗まれたという疑念が残ることもあるので、なるべく本人の手で発見できるように誘導するとよいでしょう。
―妄想について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「認知症の妄想(作り話)・幻視・見間違いとは?原因や対応方法を徹底解説!」
今から用意しますからもう少し待ってくださいね、と言って少し時間を空け、忘れてもらうのもひとつの方法です。お腹にたまらないような軽いデザートを提供するのもよいでしょう。
羞恥心を和らげるように落ち着いた態度で接することが大切です。トイレの場所がすぐわかるように貼り紙をする、早めにトイレへ誘導するなど、失敗の回数を減らす対策も考えましょう。
―排泄介助について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「排泄介助の正しい方法とは?適切な排泄方法の手順とポイントについて解説」
汚れる範囲を最小限にするためにも、まずは手をきれいに拭き取り、その後にお風呂へ誘導して汚れをきれいに洗い流します。介護する方にとっては大きな負担ですが、感情的にならず穏やかに対応することを心がけましょう。壁に保護シートを貼る、ベッド周りに防水シートを敷くなど、掃除しやすい環境にして、後始末の負担を減らす工夫をしておくとよいでしょう。
―弄便について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「弄便(ろうべん)はなぜ起きてしまうの?原因と対策を解説」
徘徊などで行方不明になってしまったときは、すぐに周囲の協力を求めることが必要です。家族や近所の方で確認が取れない場合は、警察、ケアマネジャー・地域包括支援センター、自治体などへ至急連絡しましょう。軽度の認知症でも自力で帰宅できず行方不明になる場合がありますので、無事に保護するまでの時間を最短にすることが大切です。日頃から冷静に対応できるよう、ある日突然行方不明になり得ると想定し事前準備をしておきましょう。
【対策例】
・家内でもセンサー類や徘徊防止かぎ等を使用 (過剰な行動制限は禁物)
・外出時、GPS機や氏名・連絡先を記載したタグを利用
・近所の人や警察に徘徊情報の提供を事前に依頼
・ケアマネジャー、役所の担当、かかりつけの医療機関や主治医などに普段から相談
介護を行うことによって、身体的・精神的な負担を抱え、介護者自らが疲労してしまう、介護疲れですが、どのように防ぐことができるのでしょうか。
日常的に介護が続くことで、身体的・精神的な負担が重なり、介護疲れを引き起こしやすいのは当然のことです。少しでもこの介護疲れを防ぐために、いくつか方法を紹介します。
―介護うつについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「介護うつとは?特徴や原因、ならないための対処法をご紹介」
介護サービス利用することで、介護する家族の息抜きの時間を確保できるだけでなく、専門知識を持ったプロによるケアが受けられるというメリットもあります。家族以外の人と接するよい機会にもなりますし、要介護認定を受けていれば介護保険が適用されます。 全て家族だけで何とかしようとせず、介護サービスを上手く活用することが大切です。
友人や知人、ご近所さんなど周囲の力を借りるのもひとつの方法です。家族以外の第三者から促されると受診する気になる場合もありますので、介護経験者の方の体験談を聞くこともよいでしょう。もしも徘徊などの恐れがある場合は、普段から様子を気にかけてもらう、見かけたら声をかけてもらうなど、見守りの体制を作っておくと安心です。
介護ばかりに追われる生活では、介護者も体調を崩しかねません。介護者にも自分の生活があります。たまには息抜きをして、自分だけの時間を持ちましょう。介護者の気持ちが疲れているとその気持ちは認知症の方にも伝わります。
認知症の方を一方的に否定したり責めたりするのではなく、なぜそのような行動や言動をするのか、理由や背景について考えるようにしましょう。気持ちや感情をぶつけることは互いを傷つけるだけで、よい解決策とは言えず、精神的に追い込まれると余裕がなくなり、介護疲れにもつながりやすくなります。
理不尽で不可解に思える行動であっても、本人なりの目的や理由が裏に隠れていることが多いので、相手の行動を主観的に捉えず、客観視して分析すれば、相手の意図することが理解できるはずです。状況が少しでもわかれば、冷静な判断や対応が可能になるでしょう。
認知症の度合いや症状、進行速度などは個人によって異なるため他の事例と比較しないようにしましょう。認知症の診断を受けて短期間で急激に症状が進む場合もあれば、診断後の進行速度が遅く症状がさほど悪化しないケースもあります。また進行の過程で現れる症状も千差万別で、他の認知症の事例と比べてしまうと、何か変化が起きる度に介護者や家族が喜んだり落胆したりして気持ちが動揺しがちになります。認知症の方だけでなく家族や介護者自身が追い詰められる状態にならないように、他との比較は避けましょう。
認知症について気になることや困ったときに以下のサイトも参考にしてみてください。
■認知症の症状について細かく説明を知ることができます。
厚生労働省 政策レポート 認知症を理解する
■厚生労働省が行う認知症施策について紹介されています。
厚生労働省 認知症施策
■厚生労働省 認知症に関する相談先の一覧が紹介されています。
厚生労働省 認知症に関する相談先
■家族や自分が認知症になったときのために知っておきたいことを紹介しています。
政府広報オンライン 暮らしに役立つ情報 | もし、家族や自分が認知症になったら 知っておきたい認知症のキホン
■家族が認知症でないかと心配している方へのアドバイス。
公益社団法人認知症の人と家族の会 家族が「認知症ではないか」と心配しているあなたへ | 認知症を知る |
■若年性認知症についての相談ができます。
社会福祉法人 仁至会 認知症介護研究・研修 大府センター若年性認知症コールセンター
■認知症について幅広く紹介しています。
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 「こころの情報サイト」
認知症になると、理解しがたい行動をとることもありますが、本人にとっては何かしらの理由があってのことです。感情的にならず、本人の気持ちに寄り添いながら、落ち着いて対応することを心がけましょう。認知症介護は、身体的にも精神的にも負担が大きくなります。必ず介護を一人で抱え込まず、周囲の方に協力してもらう、介護サービスを活用するなど、自分自身も大切にしてください。
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