この記事の監修者
-
フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
家族が認知症になったときにどのように対応したらいいのか、症状や対応方法についてご紹介します。
2024年11月18日
家族や近親者、知り合いなどが認知症になった場合にどのように接したら良いのかは大変デリケートな問題です。
認知症は認知機能が低下する症状ですが、行動を起こすまでに考える時間が必要になってしまい、結果として常に動作がゆっくりになりがちです。認知症の方と接する際は、「急がせない」、「驚かせない」、「自尊心を傷つけない」の3つを常に考慮してください。認知症の方の立場を思いやり、気持ちに寄り添いながらサポートすることが望ましいです。接し方次第で症状が落ち着くこともありますし、逆に悪化することも考えられます。認知症のご本人も不安な気持ちを抱くため、決して無理強いをせず、さりげなく受診を促してみましょう。ご家族の心配も計り知れないので、決して抱え込まずに専門機関などに相談することをおすすめします。
認知症の方は、何かを考えて行動を起こすまでにどうしても時間がかかります。周囲がご本人を急がせるのは心にプレッシャーをかけることになり、逆効果になります。慌てずにゆっくり考えれば、やれることも多くありますので遅いからといって急かさないようにしましょう。
驚かせないことも大切です。認知症の方の場合、驚かせるとパニックを起こしやすい傾向があるので、本人のペースを乱さないように注意が必要です。できる限り、ご本人の視界に映る正面から話しかけるなど驚かせないようにしましょう。
自尊心を傷つけないことも大切です。例えば、「こんなこともできないの!」「勝手にやらないで!」などと言ってダメ出しをすると、自尊心を傷つけ、感情にしこり残し心を閉ざすこともあります。このようなことでさらに症状が進行する場合もありますので気をつけましょう。
認知症の方は、事実や体験は忘れても、そのときの気持ちや感情はしっかり記憶しているといわれています。例えば家族から注意されたり叱られたりした場合、実際のやり取りや事実関係は忘れていても、怒られて嫌だったというネガティブな感情は長く残ってしまいます。認知症の方への対応でやってはいけいない9つのことを紹介しますので参考にしてください。
叱られた原因を理解できず、叱られた時のネガティブな感情だけが残ってしまうので、叱ることには気をつけてください。叱るようなことがあった場合でもすぐに叱るのではなく、行動の背景などを考えるなど間をあけて冷静さを持つようしてください。
強制して認知症の方が好まないことや嫌がっていることをさせるとご本人に大きなストレスがかかります。認知症の状態でも、感情面は常に作用していしますし、何より無理強いはご本人のプライドを傷つけるので、はじめから避けるようにしてください。
「今これして!」「あれやって!」と命令するのも、認知症の方の自尊心を傷つける原因となります。時間の余裕がなく、寛容な気持ちが欠けているとつい命令口調になってしまいますが、マイナスの感情を抱かせると反発されやすくなりますので気をつけてください。
ご本人の行動を過剰に制限してしまうのも良くないです。できることまで制限すると、精神的な苦痛につながりやすくなりますので、なるべくできることは周囲がサポートをして行い自信を持ってもらえるようにしましょう。反対に、危険の高い自動車の運転などは、きちんと話をして制限に納得してもらう必要があります。
役割を取り上げることも良くないです。認知症だからといって、すべてのことができないわけではありませんので役割を取り上げてしまうと、やりがいや楽しみまで奪ってしまうことになりかねません。精神的苦痛からうつ状態を招くリスクもあるため可能な範囲で家事や仕事、趣味などの活動の場を作ってあげるようにしましょう。
認知症の進行につれて、子どもがえりをすることもありますが子ども扱いはやめてください。あくまでも敬意を持ち、大人として接するように心がけないと、自尊心を傷つけると感情的になり、周囲のサポートを受け付けなくなる可能性もありますので気をつけてください。
何もさせないことも良くないです。危ないからといって本人ができることまですべて周囲が代わりに行うと、自分の存在価値を見失ってしまう恐れもあり、それによって認知症進行のリスクを高める可能性もありますので注意が必要です。
大きな声を出さないようにすることも大切です。認知症の方に大きな声を出すと、不安な気持ちから相手に対して恐怖心を抱いてしまいます。ご本人には原因や状況の判断がつかないため、大声を出す人は「怖い人」だと勘違いをし、警戒されるますのでできるだけ優しい声で話かけるようにしてください。
ご本人が何かミスや失敗をしても、細かく指摘しないようにしましょう。例え大きな間違いだったとしても、ご本人は正しいと信じているので、まずは受け入れてあげるようにしてください。むやみに指摘を繰り返すと、ご本人は何が正しいのかがわからなくなりパニック状態に陥りやすいので気をつけてください。
認知症の方に何気なく言ってしまった言葉であっても気持ちを傷つけたりペースを乱したりしてしまうことがあります。「否定する言葉」、「責める言葉」、「急かす言葉」の3つはご本人に言ってはいけない言葉ですので認知症の方と接する際には極力避けるようにしてください。
認知症の方が話す内容に対して、最初から否定する言葉を使うのは良くないです。例えば、認知症の初期症状として記憶障害が現れる場合が多いですが、このような時に本人へ物忘れについて直接指摘しないようにするのが基本です。ご本人が覚えていることや信じていると思っていることを否定してしまうと、ご本人が戸惑うばかりでなく、怒りを感じて孤立してしまう恐れもあります。食事直後なのに「まだ食事をしていない」と訴えたり、すでに引退した仕事を「まだ現役で働いている」と信じ込んでいたりする場合、あえて否定はせずに、ご本人に寄り添った言葉をかけてあげましょう。
責める言葉も認知症の方に使ってはいけない言葉です。もし言動が普通でなかったり、物事がうまくできていなかったりしても、できないことを「なぜできない?」と問い詰めたり、ありもしないことを「嘘でしょう?」と疑ったりするのもNGです。認知症の症状の一つに「物盗られ妄想」がありますが、「どこかで落としたんじゃない?」「勘違いでしょ?」などの返答は避けてください。決してご本人が間違っていることを責めない言動を心がけ、「今から一緒に探してみよう!」とサポートする姿勢をご本人に伝える、あえて別の話にすり替えるなどの対応が良いでしょう。
急かす言葉もNGです。認知症の方が自分のペースでゆっくりやっていることに、周囲がイライラして急かす言葉をかけるのは絶対に避けましょう。例えば、食事の際やトイレに入っている時など、時間がかかっていて待ちきれずに「早くして!」「もっと急いで!」などと不用意に言葉をかけるとご本人のペースが乱れ、気持ちを萎縮させたり、不満を抱かせたりすることになります。できる限り、「今困っていない?」「手伝いは必要?」などと尋ねるようするなど気遣う姿勢を維持しましょう。
周囲の人が慌てず焦らずに、ご本人の気持ちに寄り添ってサポートする姿勢が最も効果的です。
―認知症高齢者の接し方について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「認知症の方との接し方のポイント・してはいけないこととは?具体例をシーン別に解説」
認知症の方と接するときは、責めたり叱ったりせず、落ち着いて対応することが大切です。ここでは、シチュエーション別に対応するときのポイントをご紹介しましょう。
ただ大声を出しているわけではなく、何か理由があるはずですから、冷静に対応しながらその原因を探ってみましょう。攻撃的な態度が見られる場合は、落ち着くまで少し距離をとって見守るか、別の人に交代してもらいましょう。
他のことに気をそらし、得意な手仕事を頼むなどすると、外へ出ようとしていた理由を忘れて落ち着くことがあります。本人の話を否定せず、もうすぐお迎えの車が来るのでお茶でも飲んで待ちましょう、外は冷えるので上着でも着ましょうか、などと別の行為につなげて落ち着くのを待ってみましょう。
本人の気持ちを受け止め、一緒に探しましょう。探し物を家族が手渡すと盗まれたという疑念が残ることもあるので、なるべく本人の手で発見できるように誘導するとよいでしょう。
―妄想について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「認知症の妄想(作り話)とは?症状の特徴や原因、対応方法まで解説」
今から用意しますからもう少し待ってくださいね、と言って少し時間を空け、忘れてもらうのもひとつの方法です。お腹にたまらないような軽いデザートを提供するのもよいでしょう。
羞恥心を和らげるように落ち着いた態度で接することが大切です。トイレの場所がすぐわかるように貼り紙をする、早めにトイレへ誘導するなど、失敗の回数を減らす対策も考えましょう。
―排泄介助について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「排泄介助の正しい方法とは?適切な排泄方法の手順とポイントについて解説」
汚れる範囲を最小限にするためにも、まずは手をきれいに拭き取り、その後にお風呂へ誘導して汚れをきれいに洗い流します。介護する方にとっては大きな負担ですが、感情的にならず穏やかに対応することを心がけましょう。壁に保護シートを貼る、ベッド周りに防水シートを敷くなど、掃除しやすい環境にして、後始末の負担を減らす工夫をしておくとよいでしょう。
―弄便について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「弄便(ろうべん)はなぜ起きてしまうの?原因と対策を解説」
徘徊などで行方不明になってしまったときは、すぐに周囲の協力を求めることが必要です。家族や近所の方で確認が取れない場合は、警察、ケアマネジャー・地域包括支援センター、自治体などへ至急連絡しましょう。軽度の認知症でも自力で帰宅できず行方不明になる場合がありますので、無事に保護するまでの時間を最短にすることが大切です。日頃から冷静に対応できるよう、ある日突然行方不明になり得ると想定し事前準備をしておきましょう。
【対策例】
・家内でもセンサー類や徘徊防止かぎ等を使用 (過剰な行動制限は禁物)
・外出時、GPS機や氏名・連絡先を記載したタグを利用
・近所の人や警察に徘徊情報の提供を事前に依頼
・ケアマネジャー、役所の担当、かかりつけの医療機関や主治医などに普段から相談
認知症について気になることや困ったときに以下のサイトも参考にしてみてください。
■認知症の症状について細かく説明を知ることができます。
厚生労働省 政策レポート 認知症を理解する
■厚生労働省が行う認知症施策について紹介されています。
厚生労働省 認知症施策
■厚生労働省 認知症に関する相談先の一覧が紹介されています。
厚生労働省 認知症に関する相談先
■家族や自分が認知症になったときのために知っておきたいことを紹介しています。
政府広報オンライン 暮らしに役立つ情報 | もし、家族や自分が認知症になったら 知っておきたい認知症のキホン
■家族が認知症でないかと心配している方へのアドバイス。
公益社団法人認知症の人と家族の会 家族が「認知症ではないか」と心配しているあなたへ | 認知症を知る |
■認知症について幅広く紹介しています。
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 「こころの情報サイト」
認知症になると、理解しがたい行動をとることもありますが、本人にとっては何かしらの理由があってのことです。感情的にならず、本人の気持ちに寄り添いながら、落ち着いて対応することを心がけましょう。認知症介護は、身体的にも精神的にも負担が大きくなります。必ず介護を一人で抱え込まず、周囲の方に協力してもらう、介護サービスを活用するなど、自分自身も大切にしてください。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
商品やサービスに関するご質問、
ご相談にお答えしています。
商品やサービスに関するご質問、
ご相談にお答えしています。
まずはお気軽に資料請求を。
無料カタログをご送付致します。
今回発送いたしますカタログは、一部商品の仕様や価格など異なる場合がございます。ご了承ください。