この記事の監修者
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フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
認知高齢者への接し方は大切です。接し方によっては症状を悪化させることもあるのでコミュニケーションの大原則、接し方に気をつけましょう。
2022年12月24日
目線を合わせて、目を見て話すことも原則です。
ベッドで横になっている方や、車椅子に座っている方に話しかけるときは、介護者が立ったままの状態でいると見下ろすことになり、威圧感や不安を与えてしまう恐れがあります。介護者が目線の高さを合わせ、しっかりと目を見て話すように心がけましょう。
耳元でゆっくり、大きな声で話すことも原則です。
年齢を重ねるにつれて老化により聴力は衰えてしまい、これまでのように話しかけても声が届かず、無視されてしまうことがあります。ただ老化で耳が遠くなっているだけにも関わらず、もう言葉すら理解できなくなってしまったなどと勝手に思い込んでしまうケースもあります。このような誤解がないためにも、コミュニケーションをとるときは、本人の耳元で大きな声でゆっくりと話すことを心がけましょう。
ほめる、感謝する、相槌を打つことを、認知症の方とのコミュニケーションでは意識しましょう。まずは、ほめること。認知症により、自分ひとりでできないことが増えると、自分は役に立たない、誰からも必要とされていない、などと思い込んでしまうことがあります。このような気持ちにさせないために、できなくなったことや失敗したことに目を向けるのではなく、うまくできたことをしっかりほめることが大切です。無理なくできることや得意なことをお願いして、自分も誰かの役に立っているということを感じてもらうのです。
次に感謝すること。何かをしてもらった後には、きちんと感謝を伝えることも忘れないようにしましょう。そうすることで誰かの役に立っていることを自覚してもらえます。そして相槌を打つこと。本人の話を聞くときは、しっかりと相槌を打ち、うれしいことは一緒に喜ぶなど共感しながら話を聞くことが大切です。話を聞いてもらえた、認めてもらえたという喜びや安心につながります。
認知症の高齢者との会話では、目線を合わせて大きな声ではっきりと話しかけることを心がけましょう。
具体的な例をいくつかあげてみます。
■簡潔な言葉でわかりやすく・・「いいお天気ですね」・「お上手ですね」
■相槌・・「そうなんだね」・「大変だったね」
■褒める・・「すごいですね!」・「頑張りましたね!」
■感謝する・・「ありがとうございます」・「○○さんのおかげですね」
認知症の高齢者がいちばん不安であることを覚えておきましょう。
認知症の進行によって、できていたことができなくなる、思い出せないことが増えるなどの症状がでます。状況を目の当たりにした家族は、ショックでなかなか現実を受け止めることができません。ですが、いちばん不安に感じているのは認知症である本人です。内面で起こる変化に不安を抱き、突然塞ぎ込んでしまう、八つ当たりのように怒りっぽくなるなど、様子が変わってしまうことがよくあります。介護者にとっては理解できない行動をとることがあるかもしれませんが、認知症になった本人はとても不安に感じているのです。そのことを理解し、できるだけ本人の気持ちに寄り添ってコミュニケーションをとることが大切です。
―認知症の介護ストレスについてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
認知症の方は判断する認知機能が低下しているため、どうしても言葉や動作に時間がかかってしまいます。そのため対応する側は、「なんでできないの!」「早く!」と思ってしまうことがあるかもしれません。しかし何もかもができないわけではなく時間をかければできることもあります。では認知症の方への対応で、どのようなことに注意しなければいけないのでしょうか?
認知症の方に対してしてはいけない行動をまとめました。
認知症の方の言動を否定すること、叱ることは原則しないようにしましょう。
認知症が進行しても、本人の羞恥心やプライドまで失われるわけではありません。認知症によって否定されたことや叱られた理由を忘れてしまっても、そのときに感じた不安や不快な気持ちは残ってしまうのです。安全上問題がない言動に関しては、否定せずに受け入れるようにしましょう。受け入れることで自尊心を傷つけないように接することが大切です。
言ってはいけない言葉としては以下のような言葉があります。
<言ってはいけない言葉の例>
「ご飯さっき食べたでしょ!」・「さっきも言ったでしょ!」
「いいから早くして!」・「また失敗したの!」・「なんでそんなこともできないの!」
このような「相手を否定する言葉」は認知症の方に対してNGです。
認知症の方は叱られる原因が理解できなくても「否定された」「叱られた」という感情はしっかり残ります。
そのような負の記憶が積み重なると認知症の症状がますます悪化する可能性が高くなります。
介護する側は否定的な言葉を使わないよう配慮しましょう
もの忘れを思い出させようとしないことも原則です。
認知症になると、ついさっき起きた出来事を忘れ、何度も同じことを周囲に確認することや、繰り返し同じことを話すことがあります。このような状況で、本人に思い出させようと、さっきも言ったでしょ、などと言ってもすんなり納得してもらうことは難しく、本人は記憶がないので不安や嫌悪感が残るだけです。このような場合は、忘れていることを思い出させるのではなく、話を合わせて本人の不安を和らげてあげましょう。
例えば、食事したことを忘れて、食事はまだ?と聞かれたときは、今から用意しますからもう少し待ってくださいね、などと話を合わせてあげましょう。そして少し時間を空けることで食事を欲していたことを忘れてもらうようにします。食事のかわりにお腹にたまらないような軽いデザートを提供してみるのもひとつの方法です。
このように、もの忘れを思い出させるのではなく、話を合わせてあげることが大切です。
無視や放置するなどでストレスを与えないことも原則です。
どれだけ寛大な方でも、何度も同じ質問に答えるのは苦痛に感じると思います。だからといって無視や放置などは、本人に孤独や不安を感じさせてしまい、ストレスの原因になります。ストレスがたまると、大きな声を出す、暴力的になるなど不満が表面化するケースもあるので接し方には十分注意しましょう。
家族が不安になり焦って話さないことも原則です。
認知症になると、言われたことをすぐに理解することや、とっさに反応してスムーズに動くことが難しくなります。日常の簡単な動作でも時間がかかり、周囲のペースに合わせられないことが出てきます。そのようなときに、介護する家族は急かさず、焦って次から次へと話すようなことは避けましょう。本人はそれをみて、責められているように感じ、不快感を覚えてしまいます。
認知症が進行すると深夜徘徊など、勝手にどこかに行ってしまうこともあります。だからと言って認知症の方を外出しないよう家に閉じ込めてしまうと、かえって症状を悪化させることもあるので注意しましょう。閉じ込めてしまうと、出たいという欲求が高まり、やっとの思いで出られた時には元の状況に戻ることが苦痛で、どんどん家から遠ざかって自力では帰ってこられないようになることもあります。一緒に暮らす側は対応に大変なこともありますが、こちら側の都合で認知症の方を閉じ込めてしまわないようにしましょう。
もしかして認知症かも?と気づいたときは、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。早期に正しい診断と適切な治療を受けることで、症状の改善や進行をゆるやかにすることにつながります。
周囲が異変に気づいて受診を勧めても、本人が否定する、怒りだすことも考えられます。受診を勧めるときは、責めるような言い方にならないように注意しましょう。これからも元気に過ごせるように、高齢者検診を受けてみましょうなどと持ち掛けるのがよいでしょう。家族からの説得が難しい場合は、かかりつけ医から専門医の意見も聞きたいので受診してみませんかなどと勧めてもらうのもよいでしょう。認知症は、自分で気づきにくいため、周囲の気づきが早期発見につながると言われています。少しでも異変に気付いたら、なるべく早く医療機関を受診するようにしましょう。
―認知症の症状と原因についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
認知症になると、しまい忘れや置き忘れたものを盗まれたと信じ込むといった、もの盗られ妄想がよく見られます。
財布などの探し物が見つからないと、誰かに盗られたと、家族やヘルパーなど身近な人を疑ったりすることが多いです。このようなとき、否定しても納得してもらうことは難しいので、本人の気持ちを受け止めて一緒に探しましょう。家族が探し物を見つけて手渡すと、盗まれたという疑念が残ってしまうこともあるため、なるべく本人の手で発見できるように誘導するようにしましょう。
―もの盗られ妄想についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
別の人と思い込んでしまう、人物誤認も認知症の方によく見られる症状です。
本人の両親や兄弟、幼馴染などと間違われることがあります。認知症だとわかっていても、自分をきちんと認識してもらえないのは辛いことです。しかし、間違いを指摘しても、本人は混乱し不安になるだけです。このようなときは、本人の話に合わせ、その人物になりきることが大切です。もし、あまりよく思っていない人と誤認している場合は、騒ぎになることも考えられるため、刺激しないように一旦その場を離れ、落ち着くのを待ちましょう。
認知症になると、自宅にいるにも関わらず家に帰るなどと言って、ふらっと徘徊してしまうことがあります。
少し目を離した隙に出て行くこともあるので、本人にGPS端末を持たせる、服や持ち物に連絡先を書いておくなど、いざというときに周囲の方が見つけてくれるような対策をしておきましょう。近所の方には、徘徊の恐れがあることを伝えて、もしひとりで歩いている姿を見かけたら連絡してもらうようにお願いしておきましょう。地域の方と連携し、見守りの体制を作っておくと安心です。
―徘徊について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
失禁や便いじりは、介護者を悩ませる行為のひとつです。本人には悪意がなく、不快感や羞恥心など何かしらの理由があっての行動だと言われています。
たとえ失禁や便いじりをしてしまっても、叱る、責めるなどせずに、すぐにきれいにしますね、などと声をかけ穏やかな対応を心がけましょう。感情的になって、きつい口調で接しても、傷つけてしまうだけで状況は改善されません。落ち着いた態度で、できるだけ優しい言葉をかけるようにしましょう。
―弄便の原因についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
認知症により、幻覚が生じるときがあります。実際にないものが実在するものとして見え、突然興奮しておびえることがあります。虫が動き回っている、あそこに誰かいるなど、介護者には理解できない内容かもしれません。
しかし本人の恐怖心や不安を否定せず、受け入れてあげることが大切です。怖がっているものを追い払うしぐさや、一緒にその場から立ち去るなど、守ってあげる姿勢を見せましょう。幻覚症状は、服用している薬が影響している可能性もあるため、繰り返し続くことがあれば医師に相談してください。
―認知症の幻覚についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
介護は何の心の準備もないまま突然始まる場合がほとんどです。介護する側は急な生活の変化に身体的・精神的な負担がのしかかるので、追い詰められた介護者が「介護うつ」を訴えることも少なくありません。そうならないために、介護疲れにならないよう心がけたいことをまとめました。
肉体的な負担はもちろんですが、介護する相手が、なかなか言うことを聞いてくれないなど精神的な負担も伴います。いろいろな負担、介護生活と上手に向き合うには、抱え込まないことが一番重要です。介護する人が1人で抱え込むことがないよう、家族で分担することを考えましょう。他にも各種介護サービスを上手く活用して、介護者のよき相談者・理解者を携えながら進めていくことがストレスを溜めないコツです。まだ介護が必要でない段階で介護生活を具体的に思い描くのは難しいかもしれません。しかし高齢化社会が進む今、急に介護生活が始まることは珍しいことではありません。いざという時にために、自宅近くの介護サービスの有無を調べて準備して多くのもいいでしょう。
先にも述べたように、認知症は発症により昨日までできていたことが急に全部できなくなるわけではありません。こちらがゆっくり待ってあげれば実は自分でできることがたくさんあります。
介護する側はつい色々と手伝ってしまいがちですが、できることはなるべく自分でやってもらうことが大切です。認知症の初期の頃は本人も自分の症状を理解できているため、「できない」と言うレッテルを貼られてしまうとショックを受けてしまいます。できることを自分の力でやってもらうことは本人の自尊心を守り、認知症の進行を緩やかにする効果もあるので、できることは自分でしてもらい、介護側は最低限のフォローにとどめるよう心がけましょう。
介護する際にどう接するのが正解なの?と悩むことがあるかもしれません。しかし、認知症の症状や進行には個人差があるので、明確な正解があるわけではありません。他の認知症患者の例と比べて症状の進行が早いときに、「なぜうちはこうなの?」「介護方法が間違っているのではないか?」などと悩むことがあるかもしれません。しかし認知症の進行は人それぞれです。同じ頃に発症した人より認知症の進行が早いと悩むかもしれませんが、それは決して環境や介護の仕方が原因ではありません。認知症の人個々に最適な対処法は異なるので、その人にあった方法を見つけることがお互いの幸せな生活につながります。
近年では介護用品・福祉用具も多様化し、自宅での介護を便利にするものもたくさんあります。積極的に活用することで自宅での介護の負担を軽減させましょう。介護保険制度の認定を受けている場合は介護保険を利用し福祉用具をレンタルすることもできます。要介護度によって支給限度額があるため負担額が異なります。介護保険を利用しない場合、全額自己負担となりますが、月額一定の料金で介護用品・福祉用具をレンタルできるサービスがあります。
―介護用品・福祉用具のレンタル・購入について、詳しく知りたい方はこちらへ―
<フランスベッドの介護用品・福祉用具商品一例>
ベッドからの離床を受信機にお知らせします。
認知症による徘徊行動に早く気づくことができます。
認知症による変化に最も不安を感じているのは、認知症である本人です。できていたことができなくなったことによる情けなさや、この先どうなるのかという不安や苦しみを抱えています。このような本人の気持ちを理解してあげ、少しでも安心してもらえるような接し方を心がけるようにしましょう。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
専門の資格をもつプランナーがお客様一人ひとりに対して、5000種類以上の介護用品の中から最適なものをご提案、また全国に多数の営業所があるから実現できる最短でのお届け、きめ細やかなサービス、シルバーマークによる商品の安全性、消毒工程管理認定マークによる消毒工程の安心などフランスベッドには選ばれる理由があります。
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