この記事の監修者
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フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
認知症の初期症状と早期発見のポイントや進行のスピードについて。また早期発見・早期治療のために家族ができることなどを紹介します。
2025年3月25日
認知症とは、病気などをきっかけに脳の神経細胞が損傷し、認知機能が低下する症状のことです。
人の言動をコントロールしている大事な司令塔である脳の認知機能が低下するため、物忘れ、判断力や理解力の低下、精神的混乱など様々な症状があらわれます。症状が進行すると日常生活にも支障がでてくるため、周囲や家族のサポートが欠かせなくなります。
認知症は、主に「アルツハイマー型認知症」「血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」4つの種類があり、それぞれに特徴的な症状や進行が見られ、対処法・治療法も異なります。認知症の進行を遅らせたり、悪化を防いだりするためには家族や周囲の人が早めに異変に気付くことがとても大切になります。普段から本人の様子を気にかけるようにして、医師に具体的な症状を伝えられるようしておいてください。
認知症になるリスクは、年齢を重ねるほどに高まるといわれ、高齢化する現代の日本社会では誰もが発症する可能性があります。一人ひとりがそのことを踏まえ、認知症に対する正しい知識を身につけておくべきです。
認知症の症状は「中核症状」と「行動・心理症状(周辺症状/BPSD)」の大きく2つに分けられます。
中核症状は、認知機能が低下することによって生じる記憶障害や理解力・判断力の低下、見当識障害、実行機能障害、言語障害(失語)などの直接的に起こる症状のことをいいます。
行動・心理症状(周辺症状/BPSD)は、中核症状の原因から二次的に起こる症状のことです。「長年趣味でガーデニングをしていたのに思うようにできなくなり、そのことが原因でうつ状態になった」「見当識障害によって自宅までの道がわからなくなり、その後徘徊するようになった」というように、行動・心理症状(周辺症状)は中核症状に関連して起き、それに対応するための医療機関向けのガイドラインも作られています。
認知症の中核症状とは、脳の神経細胞が破壊され、脳の働きが低下して発生する直接的な症状のことをいいます。次の5種類の症状があり、中核症状の覚え方として「排水口で密室は危険」という語呂合わせがあります。
排・・判断力の低下 水口・・遂行機能障害。 密室・・3失(失語・失行・失認)危・・記憶障害 険・・見当識障害・
時間や季節、場所など、自分が置かれている状況が把握できなくなります。今日の日付・時間、自分のいる場所がわからなくなります。
【症状の例】
・自分の年齢がわからない
・真夏に冬服を選ぶ
・近所でも迷子になる
・自宅のトイレの場所がわからない
新しいことが覚えられなくなり、自分の体験した出来事や過去の記憶を忘れてしまいます。幼い頃の思い出など、昔の記憶は比較的覚えているのが特徴です。
【症状の例】
・何度も同じ話を繰り返す
・食事したこと自体を忘れる
・約束をすっぽかす
・何を買いにきたかを忘れる
事前に計画を立て、順序よく行動することが難しくなるため、並行して作業を進めることが苦手になり、症状が進行すると単純な作業でも手順がわからなくなります。
【症状の例】
・料理の手順がわからなくなり焦がしてしまう
・今まで使っていた家電の操作方法がわからなくなる
・衣服を着る順番がわからなくなる
物事の理解に時間がかかり、適切に判断することが難しくなる為、2つ以上のことが重なると処理がうまくできなくなります。急かしたり、長い説明をしたりすると、情報が処理できず余計に混乱します。
【症状の例】
・言われたことをすぐに理解できなくなる
・信号を渡るタイミングがわからなくなる
・言われるがまま、高価なものを買ってしまう
日常的な動作がうまくできなくなり、状況を正しく認識することもできず、言葉をうまく使うこともできなくなります。
【症状の例】
・時計の文字盤が読めなくなる
・はさみなどの使い方がわからなくなる
・言葉がすぐに出てこなくなる
周辺症状は、最近では同じ意味を持ち、より症状を的確に表す、行動・心理症状(BPSD)と呼ばれることが多くなっています。行動・心理症状(BPSD)は、本人の性格や環境、心理状態などによって引き起こされるため、症状の現れ方には個人差がありますが、次のような症状が一般的です。
【興奮、暴力や暴言、介護への拒否】
前頭葉の神経細胞のはたらきが低下することにより感情のコントロールが難しくなります。自分の気持ちを上手く伝えられないことにイライラして大声をあげる、攻撃的になって暴言を吐いたり暴力を振るったりします。また、服薬や介護などを拒否し、病院を受診することを嫌がることもあります。
【徘徊】
自宅と認識できずに外出しようとする、買い物に出かけたはずが目的を忘れて何時間も歩き続けるなど、記憶障害や見当識障害によって自分の居場所がわからなくなり、自分のいる場所や時間の感覚が曖昧になっていくことが主な原因と考えられています。
環境が変わって居心地が悪く落ち着かないことも徘徊を引き起こす原因となります。周囲には理解し難いですが、本人は「家に帰るため」「会社へ行くため」「落し物を探しに行くため」など、きちんと理由があっての行動と言われています。
―徘徊について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「徘徊とは?原因や予防法・対処法をご紹介」
【不安、抑うつ】
日常生活の中でできないことが増えたと感じることで、落ち込む、自信をなくす場合があります。やる気が出ず無気力になることもあります。
【妄想】
財布を盗まれたなど、物を盗られる妄想があらわれるケースが多くあります。あの人が悪口を言っているなど被害妄想をすることもあります。
―妄想について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「認知症の妄想(作り話)・幻視・見間違いとは?原因や対応方法を徹底解説!」
【幻覚】
実際には存在しないものが実在するかのように体験する症状です。ハンガーにかかっている衣服を人や動物に見間違える、誰かに話しかけられているような声が聞こえるなど症状は多種多様で、レビー小体型認知症を患う人によく見られます。
―幻覚について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「認知症の妄想(作り話)・幻視・見間違いとは?原因や対応方法を徹底解説!」
【不潔行為】
排泄物を手で触って布団や部屋などを汚す、口に運ぶなどの行為などが挙げられ、弄便(ろうべん)とも呼ばれます。排泄物であることを認識できずトイレの失敗を隠す、おむつの不快感などが原因で行為に及ぶと言われています。
―弄便(ろうべん)について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「弄便(ろうべん)はなぜ起きてしまうの?原因と対策を解説」
認知症の代表的な4種類について、原因・症状・進行速度、発症の特徴を以下の分類表にまとめました。
認知症の種類 | 原因 | 症状 | 進行速度 | 発症の特徴 |
アルツハイマー型認知症 | 脳(海馬)の萎縮 | 物忘れ 見当識障害 判断力低下 |
長い年月をかけゆっくりと進行 | 65歳以上の高齢者だけでなく、 18〜64歳の若い世代でも発症が多い 女性の発症率が高い |
レビー小体型認知症 | 特殊なタンパク質の脳への蓄積 | 幻覚・妄想・うつ パーキンソン症状 |
調子が良い時と悪い時を繰り返して進行 | ― |
血管性認知症 | 脳梗塞や脳出血などの脳血管障害 | 物忘れ 手足のまひや痺れ 嚥下障害・感情のコントロール喪失 |
急に発症し段階的に進行 | 男性の発症率が高い |
前頭側頭型認知症 | 脳の前頭葉と側頭葉の萎縮 | 意欲低下・無感情 言語障害 同じ行動の継続・行動異常 |
緩やかに進行 | ほとんど70歳までに発症 |
―認知症の種類・症状について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「認知症の4つの種類とは?特徴や症状、割合を一覧で解説」
認知症の進行を早める原因としては、睡眠不足や栄養の偏りといった生活習慣の乱れ、本人による認知症の自覚や、親しい人を失うなどの大きな変化によるストレス、コミュニケーション不足や過度なサポートによる脳への刺激の減少が挙げられます。
進行を遅らせる方法としては、習慣的なパズルやクイズなどの脳トレーニングによる脳への刺激、ラジオ体操や散歩など週に2回以上の適度な運動があり、規則正しい生活習慣は生活習慣病の予防につながり、睡眠障害や神経障害の症状に対しても効果が期待されますので、無理のない範囲で取り入れ、専門家や介護施設のサポートを受けつつ実践することが重要です。
―認知症の進行を進めてしまう原因と進行を遅らせる方法について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「認知症が一気に進む原因とは?進行を遅らせる方法や種類別進行速度を解説」
認知症の予防として大切なのは、早期からの認知症予防対策をする、早期発見・早期治療する、認知症の進行速度を落とすことです。
特に、アルツハイマー型認知症や血管性認知症は、生活習慣病の影響があると考えられているため、糖尿病・高血圧・高脂血症などの生活習慣病を予防、治療するようにしましょう。
塩分摂取量をコントロール、飲酒・喫煙を控える、規則正しい生活、バランスの良い食事、適度な運動を心がけるなどが効果的です。定期健康診断や毎日の健康チェックも必ず行うようにしましょう。
人とのコミュニケーション、趣味やレジャーも、認知症対策として有効とされており、家族や友人との会話、地域の交流などを行うことで脳に刺激を与え認知症の対策になると言われています。
料理・カラオケ・楽器演奏、ゲームや脳トレなどは、楽しみながら認知症の予防につながるので、是非試してみましょう。
―認知症の予防方法について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「認知症予防に効果的な食事とは?認知症の方の食事についても解説」
認知症は、早期発見・早期治療が大切です。認知症の種類によっては、適切な治療により症状の進行を遅らせたり、改善したりすることができます。認知症であることを周囲が早めに理解することで接し方に気をつけることができるだけでなく、本人に合った介護サービスを利用するといった適切なケアにもつながります。
認知症は自覚しにくいため、早期発見には周囲の気付きが大切です。様々な初期症状がありますが、もの忘れをきっかけに認知症と気付くケースが多いと言われています。判断力の低下や精神的混乱なども初期から見られることがありますので、気になる症状があれば早めに病院に行くようにしましょう。
認知症予備軍とも呼ばれる軽度認知障害(MCI)であれば、専門医による治療が可能です。認知症と診断された場合でも 、認知機能改善薬や向精神薬などを使った薬物療法や、脳トレ、作業療法などの非薬物療法などによって症状を軽減したり進行を遅らせたりするなどの認知症治療が行えます。早期発見、早期治療のためにも普段から本人の様子を気にかけておくようにしましょう。
家族・友人など周囲の方が認知症かなと気付いた場合や自分自身について認知症かもと思った場合など、認知症の可能性に気づいたときは、できる限り早めに専門家へ相談してください。
認知症に関連する相談先をご紹介いたしますので、気になる方は相談してみてください。
■かかりつけの医師
■相談先病院/医療機関の 「認知症外来」「もの忘れ外来」
全国もの忘れ外来一覧 (公益社団法人 認知症の人と家族の会)
認知症に関する電話相談 (公益社団法人 認知症の人と家族の会)
・電話番号: 0120-294-456
・携帯電話の場合(有料): 050-5358-6578
・受付時間: 月〜金曜(祝日除く) 10:00〜15:00
・全国47ヶ所の支部でも電話相談受付: 同会ホームページ 支部 一覧 東京都認知症疾患医療センター
■認知症関連の相談窓口 (市区町村の相談窓口や地域包括支援センターなど)
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索
認知症は、病脳の神経細胞が損傷し、認知機能が低下する症状のことで加齢による物忘れとは違い、いったん発症すると進行し、生活に支障をきたす場合があります。認知症は、主にアルツハイマー型・レビー小体型・血管性・前頭側頭型の4種類があり、原因や症状、進行速度が異なります。認知症の症状は中核症状と行動・心理症状(周辺症状/BPSD)の2つに分けられます。現れ方には個人差がありますが早期発見・早期治療が何より大切ですから、家族や周囲の人が「認知症の初期症状かもしれない」と感じたら、迷わずに早めに専門家へ相談しましょう。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
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