認知症はどのように進行するの?
中核症状や周辺症状とは?

認知症の初期症状と早期発見のポイントや進行のスピードについて。また早期発見・早期治療のために家族ができることなどを紹介します。

2020年9月1日

認知症の初期症状と
早期発見のポイント

認知症とは、脳の働きが低下することで現れる特有の症状のことです。初期症状としては、物忘れ・判断力の低下・精神的混乱などが見られます。
認知症は自覚しにくいので、早期発見をするには周囲の人が異変に気付いてあげることが重要です。以下のような症状がないか普段から様子を気にかけるようにしましょう。

【認知症の代表的な症状の例】
・同じことを何度も聞いたり話したりする
・不必要に同じものばかり買ってくる
・食事した直後に食事はまだ?と言う
・杖やカギなどの置き忘れが多い
・常に探し物をしていて部屋が散らかっている
・今日が何月何日かわからない
・季節にあった服を選べない
・ゴミ出しの日を守らなくなった
・没頭していた趣味、料理などを途中で投げ出す
・近所でも迷子になって帰宅できない
・やる気がなくだらしなくなった
・急に落ち込む、怒り出すなど感情の起伏が激しい

認知症の進行や速さは
人それぞれ

認知症の進行スピードは人それぞれ違います。
段階的に症状が変わっていくこともあれば、徐々に進行していくこともあります。
認知症の中で最も多いとされるアルツハイマー型認知症は、時間をかけてゆっくりと進行するタイプです。症状は8年〜10年くらいをかけて徐々に悪化していきます。初期症状として物忘れが見られ、人や物の名前を思い出せなくなったり、置き忘れが目立つようになります。症状が進行するとひどい物忘れや理解力の低下、問題行動などが見られ、介護なしでは日常生活を送ることが難しくなります。

認知症の症状には
中核症状・行動・心理症状
(周辺症状BPSD)がある

認知症の症状は、大きく分けて「中核症状」と「行動・心理症状(周辺症状BPSD)」の2種類に分けられます。

中核症状とは?

脳の神経細胞が破壊されることで、脳の働きが低下して起きる直接的な症状。認知症を患っていれば、どんな人でも見られる症状で次のような症状があります。

見当識障害

時間や季節、場所など、自分が置かれている状況が把握できなくなります。今日の日付・時間、自分のいる場所がわからなくなります。

【症状の例】
・自分の年齢がわからない
・真夏に冬服を選ぶ
・近所でも迷子になる
・自宅のトイレの場所がわからない

記憶障害

新しいことが覚えられなくなり、少し前のできごとや体験を忘れてしまいます。幼い頃の思い出など、昔の記憶は比較的覚えているのが特徴です。

【症状の例】
・何度も同じ話を繰り返す
・食事したこと自体を忘れる
・約束をすっぽかす
・何を買いにきたかを忘れる

実行機能障害

事前に計画を立て、順序よく行動することが難しくなります。並行して作業を進めることが苦手になり、症状が進行すると単純な作業でも手順がわからなくなります。

【症状の例】
・料理の手順がわからなくなり焦がしてしまう
・今まで使っていた家電の操作方法がわからなくなる
・衣服を着る順番がわからなくなる

判断力・理解力の低下

物事を素早く理解することや、適切に判断することが難しくなります。考えるスピードが遅くなり、2つ以上のことが重なると処理がうまくできなくなります。急かしたり、長い説明をすると、情報が処理できず余計に混乱します。

【症状の例】
・言われたことをすぐに理解できなくなる
・信号を渡るタイミングがわからなくなる
・言われるがまま、高価なものを買ってしまう

失行・失認・失語

見えているものや聞こえている音が何なのか認識できなくなり、日常的に行なっている動作ができなくなります。

【症状の例】
・時計の文字盤が読めなくなる
・はさみなどの使い方がわからなくなる
・言葉がすぐに出てこなくなる

周辺症状とは?

周辺症状は「行動・心理症状(BPSD)」と呼ばれることが一般的で中核症状に精神的な要因などが加わることで現れる症状です。本人の性格や環境、心理状態などによって引き起こされるため、症状の現れ方には個人差があります。次のような症状があります。

興奮、暴力や暴言、介護への拒否

脳の萎縮などにより感情のコントロールが難しくなります。自分の気持ちを上手く伝えられないことにイライラして大声をあげる、攻撃的になって暴言を吐いたり暴力を振るったりします。また、服薬や介護などを拒否し、病院を受診することを嫌がることもあります。

徘徊

自宅にいても家に帰らないと言って外出しようとしたり、買い物に出かけたはずが目的を忘れて何時間も歩き続けたりします。記憶障害や見当識障害によって自分の居場所がわからなくなる、出かけた目的を忘れてしまうことが主な原因と考えられています。
環境が変わって居心地が悪く落ち着かないなども徘徊を引き起こす原因となります。周囲には理解し難いですが、本人は「家に帰るため」「会社へ行くため」「落し物を探しに行くため」など、きちんと理由があっての行動といわれています。

不安、抑うつ

日常生活の中でできないことが増えたと感じることで、落ち込む、自信をなくす場合があります。やる気が出ず無気力になることもあります。

妄想

財布を盗まれたなど、物を盗られる妄想があらわれるケースが多くあります。あの人が悪口を言っているなど被害妄想をすることもあります。

幻覚

実際には存在しないものがリアルに見えたり聞こえたりする症状。ハンガーにかかっている衣服を人や動物に見間違えたり、誰かに話しかけられているような声が聞こえるなど症状は多種多様です。三大認知症のひとつであるレビー小体型認知症を患う人によく見られる症状です。

不潔行為

排泄物を手で触って布団や部屋などを汚したり、口に運んだりする行為。弄便(ろうべん)とも呼ばれます。排泄物であることを認識できずトイレの失敗を隠すため、おむつの不快感などが原因で行為に及ぶといわれています。


家族にできることは?

●本人の行動を観察して気持ちを理解し変化に気づいてあげること

介護をしていると、これまでと違う本人の様子にショックを受け、どのように接するべきなのか対応に困ることもあります。しかし、不安や戸惑いを感じているのは家族だけでなく、本人も同様です。 認知症のことをきちんと理解して気持ちに寄り添ってあげるように心がけましょう。
認知症の症状によってできていたことができなくなったり、自分の気持ちを上手く伝えられないことがあります。
落ち着かずそわそわしているときは、トイレに行きたいのかな?など、何気ない行動から本人の意思を汲み取ってあげましょう。本人から出ている小さなサインに気付けるようになれば、今まで理解できなかった行動も納得できる場合があります。早めにトイレへ誘導するなど、介護をスムーズに行うことにもつながります。

●本人のペースに合わせてあげること

何かをするときに時間がかかってしまうのは、認知症の症状によるものですから仕方ありません。急かさずゆっくり話すなど、本人のペースに合わせましょう。急かしたり、本人の言動を否定したりするのは禁物です。記憶障害があっても、責められたり叱られたりしたときの感情は残るものです。たとえ話している内容が間違っていても「そうでしたね」と受け入れてあげるようにしましょう。


早期発見や早期治療が大切

認知症は、早期発見・早期治療が大切です。認知症の種類によっては、適切な治療により症状の進行を遅らせる、改善するなどできます。認知症であることを周囲が早めに理解することで接し方に気をつけることもできますし、本人に合った介護サービスを利用するなど適切なケアにもつながります。
認知症は自覚しにくいため、早期発見には周囲の気付きが大切です。様々な初期症状がありますが物忘れをきっかけに認知症と気付くケースが多いといわれています。判断力の低下や精神的混乱なども初期から見られることがあります。気になる症状があれば早めに病院に行くようにしましょう。

認知症予備軍とも呼ばれる軽度認知障害(MCI)であれば、専門医による治療が可能です。認知症と診断された場合でも 、認知機能改善薬や向精神薬などを使った薬物療法や、脳トレ、作業療法などの非薬物療法などによって症状を軽減したり進行を遅らせるなど認知症治療が行えます。早期発見、早期治療のためにも普段から本人の様子を気にかけておくようにしましょう。