この記事の監修者
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フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
認知症を予防する方法として生活習慣の改善(運動・食事・社会活動)が重要だと考えられています。今回は、認知症の予防効果があると言われる運動や食事、おすすめのゲームをご紹介します。
2025年3月21日
認知症は予防できるのか?というと認知症を予防できる方法は確立されていないのが現状です。アルツハイマー病の原因に働きかけて進行を抑制する薬が2023年9月に国内で初めて承認され、12月に発売されるなど認知症の進行を遅らせたり、症状を改善したりするための薬はいくつか出ていますが、予防薬はまだ開発されていません。
ただ、最近の研究結果では、認知症は生活習慣に大きく関わってくる可能性が高く、生活習慣を改善すれば発症のリスクが低下すること明らかになってきました。厚生労働省「e-ヘルスネット」によると、生活習慣病(life-style related diseases)とは、食習慣・運動習慣・休養・喫煙・飲酒などの生活習慣で発症や進行に関与する疾患群です。代表的な生活習慣病には、糖尿病・高血圧・脂質異常症・肥満などが挙げられます。
アルツハイマー型認知症や血管性認知症は特に、この生活習慣病がリスク要因になりやすいといわれているため、生活習慣の見直しや改善を行うことが、認知症予防につながるといえるでしょう。
認知症の予防に効果的な食べ物としては洋食よりも和食が適しているとされており、タンパク質、炭水化物、脂質、ミネラル、ビタミンをうまく配分したバランスの取れた食事をとることが大切です。また、塩分を過剰摂取しないように、カリウムを多く含んだ野菜・果物・海藻を適度に摂取することや、野菜やキノコなど食物繊維を多めに摂取し、パンやうどんなど炭水化物中心にならないようにすること、血糖値コントロールのために、糖分を多く含むお菓子類を間食で食べるのは控えるなど認知症予防のために注意をして食事をとるようにしましょう。
―認知症の人の食事で気を付けることについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「認知症予防に効果的な食事とは?認知症の方の食事についても解説」
次に、認知症予防に効果的なおすすめ食材をご紹介します。
代表的な青魚は、サバ・サンマ・イワシ・アジです。青魚はDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を多く含有していて、コレステロールを減少させる効果があります。米国の調査によれば、月に1回だけ魚を食べる人と週2回魚を食べる人を比べるとアルツハイマー型認知症発症率は41%減少したと報告されています。
アルツハイマー型認知症や脳血管系の疾患に適した栄養素と言われるビタミンB群の葉酸成分が多いと言われるのが小松菜・ほうれん草、バナナ・イチゴ・キウイなどです。大豆製品にはコレステロール・中性脂肪を抑える栄養素が含まれていて、生活習慣病の対策になり、毎日摂取した場合に脳内の情報伝達がスムーズになるので認知症予防になると考えられます。
コーヒーや緑茶に含まれるカフェインは、血圧上昇を抑え、認知機能の低下を妨げる効果があるとされています。ただし過剰摂取すると自立神経を損ない、逆効果になる場合があるので注意してください。
また、コーヒーや赤ワインに含まれるポリフェノールは、強い抗酸化作用により、高血圧・動脈硬化や認知症の予防ができると見込まれています。しかし、あくまでも適量を摂取した場合に効果が期待されるので、飲みすぎないように気を付けましょう。
認知症の予防に運動は効果があるのでしょうか?また、予防効果があるとすればどのようなタイプの運動をすれば認知症対策に有効なのでしょうか?ここでは認知症と運動の関係について詳しく解説していきます。
メタボリックシンドロームは認知症を発症する危険因子と見なされています。メタボリックシンドロームとは厚生労働省のe-ヘルスネットによると内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態を指します。食事や運動習慣・喫煙や飲酒などの生活習慣が深く関係し、それらが発症の要因となる生活習慣病の前段階の状態を示すものです。
認知症の中でも、6割超を占めているアルツハイマー型認知症はメタボリックシンドロームなどによる生活習慣病の影響があると指摘され、発症率第2位の血管性認知症も、高脂血症や高血圧による動脈硬化から引き起こされる脳血管障害(脳出血・脳梗塞)が原因の場合が多いと考えられています。日頃から生活習慣を見直して改善を心がけ生活習慣病を抑止することができれば、認知症の予防効果も期待できます。
メタボリックシンドロームなどの生活習慣病が認知症に関係しているのであれば、運動でメタボリックシンドロームを予防して生活習慣病を防ぐことができると、アルツハイマー型認知症や血管性認知症の発症率を抑えることにつながると言えます。
世界保健機関(WHO)が推奨している「運動・認知的介入による認知症リスク低減」では、認知機能低下のリスクを軽減するために、正常な認知機能を有する成人には身体活動を推奨すべきであるとしています。推奨される身体活動は、65歳以上の成人に対して1週間に150分の中強度の有酸素運動、または75分の高強度の有酸素運動を行うこと、有酸素運動は1回につき、少なくとも10分以上続けることなどが挙げられています。
実際に仕事中や自由時間に運動量が多い人はアルツハイマー型認知症の発症率が低下するという日本や海外の調査でも、運動は認知症の予防策となることが多く報告されており、運動は認知症予防、認知機能の低下を抑制できることが世界的に認められているのです。
では、認知症の予防にはどのような運動が効果的なのでしょうか?
生活習慣病のリスクを取り除いて脳を良好状態に保つためには、一時的にハードな運動を行うよりも、毎日の生活で運動や身体活動を積極的に取り入れ、週2~3回以上の頻度で、30分以上軽めの運動を継続することがおすすめです。
効果が高いとされるのが有酸素運動で、その中でも特に、様々な運動やトレーニングの中で最も気軽に取り入れやすく、高齢者でも続けやすいのがウォーキングです。朝や夕方に景色を楽しみながらの散歩や、駅などの公共施設で無理のない範囲での階段の利用、電車やバスで一つ前の駅で降りてみるなど身体への負担も少ないため、日常生活の中に取り入れてみるのも良いでしょう。
高齢になり、定年などで仕事を辞めると家で過ごす時間が多くなり、人との関わりや出かける機会が減り、会話する相手も家族だけになりがちです。外出自体が面倒で自宅から出なくなってしまう場合もありますが、家に引きこもると行動自体がパターン化して最小限で済むため、自然と脳の機能を使わなくなり、認知症の発症につながるリスクが高まります。逆に、外に出て社会活動に参加し、いろいろな刺激を脳が受けると、認知症予防につながります。外出前に必要なものを用意して身だしなみを整え、場所と時間を確認して出かけるまでに自ら段取りを考えて行動することも脳への刺激となります。できる限り外に目を向けて、人や社会と関わるように社会活動を行いましょう。
普段から自分で順序を考えて行動できるようにするため、いろいろなことに興味を持って社会活動に参加することを心がけることが大事です。趣味を持ち仲間ができれば外出することも楽しくなるでしょう。
身近で行える社会活動にはどのようなものがあるのか、具体例をいくつか挙げてみましょう。
●地域の講座やサークルに参加する
●定期的にデイサービスへ通ってみる
●高齢者向けイベントに参加してみる
●図書館へ行く … 読書する、新聞/雑誌を読む
●映画館や美術館・博物館へ行く
●ウォーキングや高齢者向けスポーツの会に
参加する
●料理教室や手芸教室などに参加してみる
●俳句や短歌の会などに入会する
●サロンで交流する … 会話やゲームなど
●地域ボランティアに参加する … 清掃活動など
●シルバー人材センターに登録する … 経験や特技を活かして社会に貢献する
認知症の予防効果が期待できるのは、一体どのようなゲームなのでしょうか?
テレビゲームやアプリでできるアクションゲームは、認知症予防に効果的と言われています。アクションゲームは、視覚的な情報を脳ですぐに処理して指を動かすことが必要となるため、認知機能の維持・向上につながると考えられているからです。
頭を使うクイズは、認知症の予防や症状の進行をゆるやかにするために、介護施設のレクリエーションとしてよく取り入れられています。漢字クイズや都道府県クイズなど、楽しみながらできるクイズがおすすめです。書店にあるクイズ関連の本の購入、無料のクイズアプリの利用などで、認知症予防に取り組んでみましょう。
脳トレ・パズルゲームは、色の判別や記憶力、空間把握力などが求められるため、脳を活性化させるのに良いと言われています。ジグソーパズルをはめる際に指先を使うことで、脳が刺激されて認知症の予防効果が期待できます。ジグソーパズルだけではなく、クロスワードパズルや立体パズルもおすすめです。無料で楽しめる様々な種類のパズルアプリがあるので、スマホやタブレットにインストールして楽しんでみるのもよいでしょう。
テニスやグラウンドゴルフなどのスポーツは、身体を動かしながら頭で考え、他の人とコミュニケーションを取るので、認知症予防につながると言われています。介護施設で行われるレクリエーションでは、うちわテニスや風船バレーなど、身近にある道具で誰でも簡単にできるようにアレンジされたスポーツゲームもたくさん行われています。
―レクリエーションについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「デイサービスのレクリエーション代表例15選!盛り上がるレクのコツも解説」
―認知症の方向けのレクリエーションについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「認知症の方向けのおすすめレクリエーションは?その効果や楽しんでもらうコツを紹介」
ゲームの内容があまりにも簡単すぎると飽きてしまいますし、バカにされているのではないかと感じ自尊心を傷つけてしまう恐れがあるので注意しましょう。反対に難しすぎる内容だと、うまくできないことに自信を失くしてしまうこともあるため、ほどよいレベル設定で行いましょう。
身体状況や好みなどを考慮して、無理なく参加できる内容のゲームを行いましょう。昔からの趣味に関するゲーム、特技を生かせるゲームなど、興味を持ってもらいやすい内容で、自然と楽しめるような工夫をしましょう。
ゲーム中に転倒やケガがないように、安全に配慮しましょう。周りに危険なものはないか、顔色や様子に異変はないかなど、ゲームを行っている最中にも気を配るようにしましょう。
対戦ゲームは、勝ち負けにこだわりすぎて人間関係のトラブルに発展する可能性も考えられます。勝ち負けよりも、参加することへの楽しさや満足感を味わってもらえるような内容のゲームを行いましょう。レクリエーションなどで対戦ゲームを行う場合は、勝っても負けても仲間同士で気持ちを分かち合えるように、数人でグループになってチーム戦にするのがおすすめです。
公益財団法人 認知症予防財団が提唱する「認知症予防の10カ条」というものがあります。これは、認知症が生活習慣と密接な関係にあり、日常的に生活習慣やライフスタイルの改善を始めることによって予防が可能になると期待されることから提唱されています。
1.塩分と動物性脂肪を控えたバランスのよい食事を
→塩分/動物性脂肪は控え、栄養が偏らないようにしましょう。
2.適度に運動を行い足腰を丈夫に
→適度な運動で足腰が衰えないようにしましょう。
3.深酒とタバコはやめて規則正しい生活を
→生活のリズムを一定にし、酒やタバコは極力控えましょう。
4.生活習慣病(高血圧、肥満など)の予防・早期発見・治療を
→定期検診などで生活習慣病の早期発見/治療を目指しましょう。
5.転倒に気をつけよう 頭の打撲は認知症招く
→頭部の打撲を避けるため、転ばないよう注意しましょう。
6.興味と好奇心をもつように
→好奇心を忘れないで何ごとにも興味を持つようにしましょう。
7.考えをまとめて表現する習慣を
→気持ちや考えをできるだけ伝えられるようにコミュニケーションを取りましょう。8.こまやかな気配りをしたよい付き合いを
対人関係を大切にし、相手の気持ちを思いやるようにしましょう。
9.いつも若々しくおしゃれ心を忘れずに
→身なりやおしゃれに気をつかい若さを保つようにしましょう。
10.くよくよしないで明るい気分で生活を
→くよくよ考えないで気持ちを明るくしましょう。
―出典―
▶︎公益財団法人 認知症予防財団 「認知症予防の10カ条」
今回は、認知症を予防する方法として効果がある運動や食事、おすすめのゲームについて紹介しました。食事や運動による生活習慣の改善は認知症の予防につながりますので、バランスの取れた食事と適度な運動を心がけましょう。また、ゲームはただ頭を使うだけでなく、他の人とのコミュニケーションのきっかけや、身体を動かす機会が作れるなどたくさんのメリットがあります。最近では、スマホやタブレットで気軽にプレイできるゲームも多く、脳トレクイズなど脳の活性化につながるゲームも豊富です。どんなゲームも、何より楽しんで行うことが大切ですので、無理のない範囲で安全に配慮しながらゲームを楽しんで、認知症予防に取り組みましょう。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
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