若年性認知症とは?症状や予防法とは?

若年性認知症について症状や原因と予防方法、診断された場合の対処法などを紹介します。

2020年9月30日

若年性認知症とは?

高齢でなくても認知症になる?

若年性認知症とは65歳未満の人が発症する認知症のことです。認知症は高齢者だけでなく、働き盛りの若い世代でも発症することがあります。

もしも若年性認知症と診断されたとしても、まだ若いのに認知症なんてと思ってしまい、現実をなかなか受け止められないものです。本人だけでなく周囲も不安を感じ、精神的負担から抑うつ状態になることもあります。

原因は高齢者の認知症と違う?

若年性認知症で最も多いのが、脳梗塞やくも膜下出血といった脳の血管の病気が原因となって起きる脳血管性認知症です。脳全体が萎縮することで引き起こされるアルツハイマー型認知症は、高齢者の認知症としては最も多いですが、若年性認知症では2番目に多いとされています。
若年性認知症は働き盛りに発症するため、休職や退職の必要がでてくることから経済的に厳しくなる場合もあります。子どもが若年性認知症を発症し、高齢の親が介護するケースも考えられます。高齢の親の方が要介護状態になるリスクが高い世代のため、複数介護になることもあります。

若年性認知症の
初期症状や特徴は?

若年性認知症は高齢者の認知症の2倍以上の速さで進行するといわれています。認知症であることを自覚するのが難しい場合もあるため周囲ができるだけ早く異変(初期症状)に気づいてあげることが大切です。

【初期症状の例】

1.忘れっぽくミスが増える

・同じことを繰り返し聞く・人の名前や約束を忘れるようになる・最近の出来事も思い出せない・ガスの火を消し忘れる


2.今までできていたことができなくなる

・仕事や家事など慣れている作業ができなくなる・簡単な計算を間違える・慣れているはずの料理を焦がすようになる


3.やる気がない

・今まで夢中になっていた趣味に興味を示さなくなる・周囲への関心がなくなる・服装や身だしなみがだらしなくなる


4.別人のような性格に変わる

・温厚な性格が怒りっぽくなる・今までの性格からは考えられない言動が目立つ


若年性認知症とアルツハイマーの初期症状に違いはある?

若年性認知症の症状は高齢者の認知症とほぼ変わりはありません。
症状は同様でも認知症は高齢者がなるものというイメージを持っているため、発見が遅れてしまうケースが少なくありません。
物忘れなどで仕事のミスが増えたり、不安やイライラなど精神症状が目立つようになってもまだ若いからと認知症を疑わず、疲れやストレスのせいだと思い込んで発覚を遅らせてしまうことがあります。また、精神症状が出て病院へ行っても、うつ病や更年期障害などと診断されて認知症の発覚が遅れるケースもあります。

若年性認知症の症状は?

若年認知症の症状は大きく中核症状と行動・心理症状(BPSD)の2種類に分けられます。脳がダメージを受けることで現れる中核症状は高齢者の認知症の症状とほぼ変わりありませんが、行動・心理症状は環境や心理的な要因によって引き起こされるため、若さゆえの苦しみを感じることもあります。

【中核症状】

●記憶障害

記憶障害は新しいことが記憶できず、直近の出来事もすぐに忘れてしまいます。部分的な物忘れとは異なり、出来事全体を忘れてしまい忘れたという自覚もありません。取引先との大切な打ち合わせを忘れてしまう、何度も同じ内容の電話をかけるなど、仕事や対人関係に支障をきたすケースが多くあります。


●見当識障害

見当識障害は日付や時間、自分のいる場所がわからなくなってしまいます。身近な人を別の人物と混同する、通い慣れた道で迷う、取引先の人に気付かないなどの症状があります。


●理解力・判断力の低下

理解力・判断力の低下により言われたことをすぐに理解できない、物事の良し悪しが判断できないことなどがあります。同時に2つ以上のことをお願いされる、早口で話されるなどすると理解が難しくなります。車を運転中、瞬時に判断ができずブレーキが遅れる、信号を無視するなどの危険を伴う行動をとる場合もあります。


●実行機能障害

実行機能障害は計画を立てて順序よく行動することが難しくなります。
今まで使っていた機械や家電の使い方がわからなくなる、慣れているはずの料理の手順がわからなくなって焦がしてしまったり、味付けが変わったりするなど 日々の生活に支障をきたします。


【行動・心理症状(BPSD)】

●不安・抑うつ

不安・抑うつにより失敗が続く、今までできていたことができなくなるなど強い不安や焦りを感じます。意欲がなくなり無気力(アパシー)状態になることもあります。


●妄想

自分で片付けたものや失くしたものを盗まれたと言い出す、物盗られ妄想。仕事の失敗からあの人が私を陥れようとしているなどと言う被害妄想などがあります。


●幻覚

幻覚により実際には存在しないものが見えたり、聞こえたりすることがあります。


●徘徊

自分のいる場所がどこなのかわからなくなり徘徊することがあります。まわりから見るとあてもなくうろついているように見えますが、本人にとっては家に帰るためや出勤するためなど目的があっての行動です。若年性認知症の場合は若く体力があるため、遠方まで歩き続けて行方不明になるケースもあります。
徘徊についてくわしくはこちら


●暴言・暴力

若年性認知症を発症したことによる不安や焦り、悔しさなどの抱えきれない感情から攻撃的になってしまい、暴言や暴力につながることがあります。


若年性認知症の
原因になる病気は?

認知症には、脳血管性認知症やアルツハイマー型認知症、前頭側頭型認知症、アルコール性認知症など様々な種類があり、発症の原因となる病気は認知症の種類によって異なります。ここでは、若年性認知症の中でも圧倒的に多く見られる脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の原因についてご説明します。

【脳血管性認知症】

脳血管性認知症は脳梗塞やくも膜下出血など脳の血管の病気によって引き起こされる認知症です。血管の詰まりや出血によって脳細胞にうまく酸素が行き渡らず、脳がダメージを受けてしまうことが原因で起こります。血管の病気は動脈硬化によって引き起こされることが多く、荒れた食生活や不十分な睡眠、過度の飲酒や喫煙など生活習慣の乱れが関連していると考えられます。

【アルツハイマー型認知症】

アルツハイマー型認知症は脳に特殊なたんぱく質がたまって神経細胞が死んでしまい、脳全体が萎縮することによって引き起こされる認知症です。若年性のアルツハイマー型認知症は、遺伝によって発症する可能性があるともいわれています。

若年性認知症
と診断されたら?

1.相談先を見つける

医療機関のソーシャルワーカー、地域包括支援センターなど相談できる場所を見つけましょう。
若年性認知症コールセンターは、電話で専門の教育を受けた相談員が対応してくれます。また、都道府県ごとに配置されている若年性認知症支援コーディネーターが利用できる制度やサービスの紹介、各種手続きや関係機関との連絡調整などをサポートしてくれます。適切な制度やサービスを知るためにまずは専門知識を持つ人に相談することが大切です。

2.職場の理解を得る

上司や人事担当者、産業医などに相談し、職場の理解を得ましょう。一度退職すると再雇用が難しいケースが多いため可能であれば今の職場で仕事を継続するのがよいと考えられます。若年性認知症であることを説明し、労働時間の短縮や配置転換をしてもらえるか相談してみましょう。これまでの職場で働き続けるのが難しい場合は障害者雇用枠(※)に入るという方法もあります。

※障害者雇用枠として働くには、障害者手帳が必要です。

3.社会保険制度を利用する

若年性認知症をサポートする様々な制度を活用しましょう。

・自立支援医療制度
若年性認知症で通院治療を受けていると医療機関や薬局で支払う医療費の自己負担が1割(または所得等によって定められた上限額)に軽減される場合があります。市区町村の窓口で申請が必要なため、住まいのある市区町村や通院中の医療機関に確認しましょう。

・障害者手帳
認知症などの精神疾患によって日常生活に支障をきたす場合は精神障害者保健福祉手帳、脳血管性認知症などで身体的障害がある場合は身体障害者手帳を申請できます。どちらも初診日から6ヶ月経過した時点で申請が可能です。手帳が交付されると税金面での優遇措置、公共交通料金や施設利用料の割引などを利用できます。

・障害年金
障害年金は病気やケガなどで障害を負って仕事を続けることが難しくなった人に給付される公的年金です。国民年金や厚生年金など公的年金の受給資格があり、定められた障害等級に該当している場合に申請できます。初診日から1年6ヶ月経過した時点で請求が可能です。

・傷病手当金
傷病手当金は病気やケガなどで仕事を休んで給料をもらえない場合、その期間の生活を保障するために給付されます。傷病手当金については加入している全国健康保険協会(協会けんぽ)または健康保険組合に確認しましょう。

・医療費や介護費の減免制度
医療費や介護サービス費などの自己負担額が一定の額を超えたときに超過分の金額が減免され支給される制度があります。手続きについては加入している健康保険組合や市区町村などに確認しましょう。

4.運転免許証の返納

認知症と診断されたあとに運転を続けるのは大変危険です。自尊心を傷つけるような発言に気を付け本人に納得してもらった上で、運転免許証を返納しましょう。家族のから説得が難しいときは、主治医や警察署や免許センターの運転適性相談窓口に相談して説得してみましょう。
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5.住宅ローン返済の相談

住宅ローン契約時に加入した保険の種類にもよりますが、若年性認知症の症状が高度障害状態と認定されている場合、返済が免除されることがありますので住宅ローンを契約した金融機関の担当者に確認しましょう。

6.介護保険サービスの利用

介護保険サービスを利用できるのは原則65歳以上ですが、認知症と診断された場合は40歳以上であれば利用可能(※)です。多くの介護サービスが高齢者向けのため利用しにくいかもしれませんが、最近は若年性認知症を受け入れる若い人向けのデイサービスも増えてきています。福祉用具のレンタルや住宅リフォームにも介護保険が適用されますから必要に応じてうまく活用しましょう。

※認知症などの特定疾病により、要支援・要介護認定を受けた人が対象

7.日常生活自立支援事業

日常生活自立支援事業は認知症の症状によって判断能力が低下しても、自立した生活が送れるように、福祉サービスの利用援助や金銭管理などを地域でサポートする事業です。市区町村の社会福祉協議会の窓口で申請により利用できます。

8.成年後見制度

成年後見制度は認知症などにより判断能力が不十分な人を法的に保護してサポートする制度です。 家庭裁判所に認められた成年後見人が本人に代わって財産の管理や必要な契約を結ぶなどの支援を行います。

早期発見・早期診断が大切

若年性認知症は進行スピードが早いため、早期発見・早期診断が重要です。本人が認知症を自覚するのは難しいため、疑わしい症状があれば、周りの人も受診を促すようにして、かかりつけ医への相談や認知症に詳しい脳神経内科、心療内科、精神科などに受診をしましょう。
若年性認知症と診断された場合でも、薬物治療や生活習慣の見直し、適度な運動、脳トレなどによって進行を遅らせることもできます。認知症を完治させることは難しいため、早いうちに発見して進行を緩やかにすることが大切です。