若年性認知症の特徴
若年性の認知症は高齢の場合と症状は大きくは変わりませんが、若い年齢で発症するということでの特徴や影響があります。
【1】経済的ダメージが大きい
若年性認知症を発症すると、これまでのように仕事を続けられず、収入が減少する場合が大半です。働き盛りで家計を支えている方が発症すると経済的ダメージが大きくなります。介護のために配偶者も仕事を続けられなくなる、住宅ローンの支払いや子供の教育資金の不足など、家族の生活に大きな影響を及ぼします。
【2】精神的ダメージが大きい
認知症は、高齢者がなるものというイメージが強いため、若年性認知症と診断されると、この若さで認知症になったというショックから現実を受け止められなくなります。これまでに描いていた将来設計の変更を余儀なくされ、本人だけでなく、周囲の方にとっても精神的ダメージは大きくなります。
【3】若年性認知症を専門としたサービスが少ない
最近は、若年性認知症の方を受け入れるサービスも増えつつあります。しかし、身近な地域にないことも多く、適切なサービスがまだまだ不足しているのが現状です。高齢者向けのプログラムを行なっているデイサービスに通っても、年齢層が合わず本人の意欲につながりづらいこともあり、本人や家族からは、同じ悩みを持つ仲間と出会える場所が欲しい、軽度でも通いやすい施設が欲しいなどの意見が多くあります。
【4】発症が男性に多い
高齢者の認知症は女性の方が発症される割合多いのですが、若年性認知症は女性よりも男性の方が多いことが調査でわかっています。働き盛りの男性が若年性認知症になり、休職や退職となり収入減、生活が大変になる場合もあります。
【5】受診が遅れる
認知症は高齢者がなるものという思い込みによって、仕事中のミスが増加、怒りっぽくなるなどしても、疲れやストレスが原因だろうと深く考えずに放置し、受診が遅れやすいというのも特徴の1つです。異変に気付いて病院を受診しても更年期障害やうつ病など別の病気であると診断されてしまうこともあり、認知症だとわかるまでに時間を要することもあります。
【6】家庭内の課題が増える
若年性認知症は発症年齢が若いことから子供が未成年であることも多く、養育や進学など親が必要とされる時期と重なりやすくなります。親の介護と重なることもあり、家族で乗り越えなければならない課題が増加します。介護が原因で夫婦喧嘩が増える、経済状況等を理由に生活スタイルが変わるなどして子供の精神にも影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。
【7】周囲から理解されづらい
認知症は高齢者が発症するものであるというイメージが強く、若年性認知症は周囲から理解されにくいのも特徴のひとつです。何度も同じことを言う、聞くなど認知症でよく見られる症状は、高齢者ならよくあることとして受け入れられやすい傾向にあります。しかし年齢が若いとそう簡単には受け入れられず、おかしな目で見られる、関わらないように距離を置かれるなどすることもあります。