この記事の監修者
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合同会社小森塾
代表 小森敏雄フリーランス介護講師
資格取得講座 運営兼校長
介護福祉士
准看護師
認知症ケア専門士
介護のために仕事を休まなければいけないときには、介護休暇・介護休業という法で定められた制度があることを知っておきましょう。
2022年9月30日
介護休暇とは、要介護状態にあるご家族の突発的・短期的な介護のために、休みを取得できる制度です。
介護休暇の場合、取得可能な休暇日数は対象となる家族1人につき年間5日まで、2人以上の場合は年間10日まで取得することができます。これまでは、1日または半日単位でしか休暇を取得できませんでしたが、令和3年1月1日からは法改正により時間単位で取得できるようになりました。
対象家族(被介護者)の範囲
【対象家族】
・配偶者(事実婚を含む)
・父母(養父母を含む)
・子(養子を含む)
・配偶者の父母
・祖父母
・兄弟姉妹
・孫
対象家族と同居していなくても、介護休暇の取得が可能です。叔父や叔母、いとこ等は対象外となります。
介護休暇を取得できる対象者(家族側の範囲)
介護休暇を取得できるのは要介護状態のご家族を介護している労働者であれば性別を問わず取得可能です。ここで言う要介護状態とは、ケガや病気などで2週間以上の期間にわたり常時介護が必要な状態を指し、必ずしも要介護認定を受けている必要はありません。要介護状態にあるかどうかの判断については基準が定められています。詳しくは下記のページをご確認ください。
■厚生労働省「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」
介護休暇を取得できない人
日雇いで労働されている方は、介護休暇を取得することができません。また、会社と従業員との間で交わされる労使協定を締結している場合、下記のいずれかに当てはまると介護休暇を取得できない可能性があります。
・雇用期間が6ヶ月未満
・1週間の所定労働日数が2日以下
・時間単位で介護休暇を取得することが困難な業務に従事している(※) ※1日単位であれば介護休暇を取得することが可能。
介護の範囲
介護の範囲は、食事介助などの直接的な介護だけに限らず、通院の付き添いや介護保険に関する手続きなど、間接的な介護も対象となります。要介護者の急なケガや体調不良など、突発的に休みが必要になったときにも利用できます。時間単位での取得も可能ですから、ケアマネジャーとの打ち合わせなど短時間の用事があるときにも活用できます。
休暇中の賃金に関して法的な定めはありません。支払われないケースが多いですが会社の規定に従うことになるため、お勤めされている会社の就業規則を確認してみましょう。
介護休暇は、書面での手続きは必要なく、口頭で会社に伝えるだけで取得可能です。会社によっては申請書が用意されていることもあるため申請方法をあらかじめ確認しておく必要があります。
1)介護休業給付金は対象外
介護休暇の場合、介護休業給付金の申請はできません。
2)法令では中抜けが定められていない
法改正により介護休暇を時間単位で取得できるようになりましたが、法令では就業時間の途中に抜けて再び戻ってくる、中抜けを認めることまでは求めていません。しかし、法を上回る制度として中抜けを認めている会社もありますので、勤務先に確認してみてください。
介護休暇は、育児・介護休業法(正式名称:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)」という法律によって定められている制度です。この法律によって事業主は介護休暇(休業)の申請を拒否できない、介護休暇(休業)を取得しても解雇される理由にはならないとされ、労働者が休暇を取得する権利が認められています。 労働者が人生の各段階に応じて多様な働き方を選ぶことができる社会を目指し、仕事と家庭の両立ができるよう支援する目的で設けられた法律で介護離職ゼロに向けた対策が強化されるなど、時代のニーズに合わせた法改正も度々行われています。
介護休業とは、要介護状態にあるご家族の介護のために、長期の休みを取得できる制度です。
介護休業は、対象となる家族1人につき通算93日まで取得することができます。最大3回まで分割して取得することが可能です。
対象家族(被介護者)の範囲
【対象家族】
・配偶者(事実婚を含む)
・父母(養父母を含む)
・子(養子を含む)
・配偶者の父母
・祖父母
・兄弟姉妹
・孫
対象家族と同居していなくても、介護休業の取得が可能です。叔父や叔母、いとこ等は対象外となります。
介護休業を取得できる対象者(家族側の範囲)
介護休業を取得できるのは、介護休暇と同じく要介護状態のご家族を介護している労働者です。要介護状態にあるかどうかの判断基準も介護休暇と同じで、対象家族が要介護認定を受けていなくても休業することが可能です。
介護休業を取得できない人
パート・アルバイト、契約社員など、期間を定めて雇用されている労働者の場合は、介護休業取得予定日から93日経過した日を基準として、そこから6ヶ月経過するまでに労働契約が満了し、更新されないことが明らかであれば介護休業を取得できません。また、労使協定を締結している場合、入社1年未満または1週間の所定労働日数が2日以下の労働者も対象外となる可能性があります。その他、日雇い労働者についても介護休業を取得できません。
介護の範囲
介護の範囲は、直接的な介護はもちろんですが、それだけでなく仕事と介護の両立ができる体制を整えるための準備も含まれます。例えば、遠距離介護から同居に変更するための準備、施設入所に向けた手続きなど、調整のためにある程度の時間をかける必要があるときに利用できます。
介護休業中の賃金について法的な定めはありません。会社の規定により支払われないことも多いですが、介護休業の場合は介護休業給付金制度を利用できます。
介護休業は、取得予定日の2週間前までに書面で会社に申請します。会社によっては、社内様式の申請書が用意されていることもあるため申請方法をあらかじめ確認しておく必要があります。
当日の申請でも休みが取得できる介護休暇とは違い、介護休業は原則として2週間前までに書面で申請する必要があります。休業開始予定日と終了予定日を決め、会社の規定に従って期日までに申請しましょう。介護休業給付金制度を利用する場合は、事業主がハローワークに申請する必要があることも覚えておくとよいでしょう。
介護休業は、介護休暇と同じく、育児・介護休業法という法律で定められた制度のひとつで仕事と家庭の両立を支援する目的で設けられました。上司や同僚に迷惑をかけたくない、減給や降格になったらどうしよう、などと考えて、休業取得を言い出しづらいという方も多いかもしれません。しかし、介護のために休みを取ることは法律で定められた労働者の権利です。事業主が介護休業の取得を理由に不利益な扱いをすることは法律で禁止されており、上司や同僚からのハラスメント防止措置も講じなければならないという規定もあります。介護離職を防ぐためにもこうした制度があることを知っておき、上手く活用しましょう。
介護休暇と介護休業の違いで大きく異なるのは、取得できる日数と申請方法、そして給付金の有無です。それぞれの違いについて下記の表で内容を比較しながら確認してみましょう。
介護休暇 | 介護休業 | |
取得できる 休暇日数 |
対象家族1人につき年5日まで (対象家族2人以上の場合は年10日まで) |
対象家族1人につき通算93日まで (3回まで分割可能) |
対象家族 | ・配偶者(事実婚を含む) ・父母(養父母を含む) ・子(養子を含む) ・配偶者の父母 ・祖父母 ・兄弟姉妹 ・孫 |
・配偶者(事実婚を含む) ・父母(養父母を含む) ・子(養子を含む) ・配偶者の父母 ・祖父母 ・兄弟姉妹 ・孫 |
主な取得条件 | ・要介護状態にある家族を介護している | ・要介護状態にある家族を介護している |
申請方法 | 口頭で会社へ申し出る (社内規定により書面提出が必要な場合もある) |
休業開始予定日の2週間前までに書面で会社に申請する |
給付金 | なし | 申請可能 |
介護が必要になったときに、介護休暇と介護休業のどちらを選べば良いのか悩む方もたくさんいます。ここからは、どちらを取得すればいいのか目安となる基準や具体的な利用例をご紹介しますので、参考にしてください。
介護休暇を選ぶことが良いのは、突発的な用事ができたときや短時間の休みが必要になったときです。時間単位で取得できるので介護休暇がおすすめです。具体的な利用例として、下記のような場合が挙げられます。
●要介護者の急な体調不良
●自宅から病院までの送迎
●通院や買い物の付き添い
●役所などでの手続き
●ケアマネジャーとの面談
●身の回りの介護 など
介護休暇の申請は、会社による規定がない限り口頭で伝えるだけで済むので、急に休みが必要になった際に取得しやすいと言えます。ただし、介護休暇は賃金が発生しないケースが多いので、給与面が気になる場合には有給休暇を利用することも検討しましょう。有給休暇を使い切っている、または有給休暇の利用をなるべく避けたい場合には、介護休暇を利用しましょう。
介護休業を選ぶことが良いのは、介護するために長期的に休みが必要な場合はもちろんのこと、仕事と介護を両立するための準備が必要な場合にもおすすめです。具体的な利用例として、下記のようなケースが挙げられます。
●遠距離介護をやめて同居し、在宅介護をするための準備
●施設入居に向けた準備
●看取りが近づいていると感じられるとき
遠距離介護をやめて同居で介護を行う場合は、引越しだけでなく在宅介護に向けた環境づくりなど、様々な準備に追われることになります。施設へ入居する場合も、施設選びから入居までに済ませないといけない手続きや準備などが多く、まとまった休みが必要になると考えられます。仕事復帰したときのことも考えて、仕事と介護が両立できる体制が整っているか、実際に試して調整しておくと安心です。
最近の法改正で大きく変わったポイントは下記の3つです。
■改正前:半日単位でのみ休暇取得が可能。
■改正後:時間単位での休暇取得が可能。
令和3年1月1日に施行された法改正によって時間単位での休暇取得が可能になり、1時間だけ休みを取るなど短時間の用事があるときに活用しやすくなりました。原則は中抜けなしでの休暇取得となっていますが、指針では中抜けありで取得できるように事業主が配慮することを求めています。
■改正前:1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は介護休暇取得の対象外。
■改正後:日雇い契約を除くすべての労働者が介護休暇を取得できる。
この法改正も上記と同じく令和3年1月1日に施行されたものです。労使協定を締結している場合は、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者または入社6ヶ月未満の労働者は対象外となる可能性があるため注意が必要です。
■改正前:介護休業の取得対象になるのは入社1年以上の労働者。
■改正後:雇用期間に関係なく介護休業の取得が可能。
令和4年4月1日から「入社1年以上である」という介護休業の取得要件が廃止されました。ただし労使協定を締結している場合は、入社1年未満だと介護休業を取れないこともあるため注意しましょう。
雇用保険の被保険者であれば、介護休業給付金制度を利用できます。ただし、受給するには一定の条件を満たしていなければなりません。
・介護休業開始日前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上の月が12ヶ月以上あること
・介護休業中、就業日数が10日以下であること
・介護休業中の賃金が、休業前の賃金の80%未満であること
介護休業給付金の支給額は、下記の計算式で算出されます。
休業開始時賃金日額×支給日数×67% 支給額には上限があり、毎年8月1日に支給限度額が見直されます。令和4年8月1日時点の支給限度額は、335,871円となっています。
介護休業給付金は、原則として事業主がハローワークに申請します。申請期間は、介護休業終了日の翌日から2ヶ月後の月末までとなっています。
■給付金を受け取るのは介護休業期間終了後
介護休業給付金の申請ができるのは介護休業期間が終了してからになるため、休業中に給付金を受け取ることはできません。
■休業していないとみなされることもある
介護休業期間中の就労日数が10日を超えた場合は、休業していないとみなされて給付対象外となってしまいます。
■退職予定の場合は給付の対象にならない
この制度は、介護休業が終了してから職場復帰することを前提としています。介護休業を取得する時点で退職を予定している場合は利用できません。
■制度を利用できるのは原則1回まで
たとえ要介護状態が悪化したとしても、過去に同じ対象家族を介護するために介護休業給付金制度を利用した場合は受給対象外となります。ただし、介護休業を分割して取得したなどの理由により限度である93日分を受給していない場合は、残りの日数分を受給することができます。
介護のために仕事を休まざるを得ない状況になったときは、介護休暇や介護休業を上手く活用し、仕事と介護の両立を目指しましょう。仕事を休むとなると、どうしても収入面で不安を感じるかもしれませんが、一定の条件を満たせば介護休業給付金制度を利用することもできます。介護を理由に一度仕事を辞めてしまうと復職が難しいため、なるべく退職は避けたいものです。まだ介護が始まっていない方も、家族の介護が必要になることもあります。介護休暇、介護休業の制度が活用できることを覚えておきましょう。
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