この記事の監修者
-
フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
ロングショートステイとは何か、利用条件や期間、費用など利用する上での注意点をご説明します。
2022年9月30日
ロングショートステイとは、本来は短期間だけ施設に宿泊するショートステイという介護サービスを長期にわたって利用することをいいます。ショートステイは介護者の用事や休息などのために在宅介護を行うのが難しい期間に利用するものです。ほとんどの場合は数日から1~2週間程度の短期間の利用となっています。しかし、やむを得ない事情がある場合にはロングショートステイが認められることがあります。ロングショートステイだからといって特別なサービスが受けられるわけではなく、通常のショートステイのサービス内容と同じものが長期間提供されることになります。
ショートステイは、在宅介護によって生活している高齢者が少しの間だけ施設に宿泊し、介護や生活支援を受けられるサービスです。ショート(=短い)ステイ(=滞在)という名前の通り、ショートステイは短期間の宿泊を想定しています。ショートステイの利用シーンとしては次のような例が挙げられます。
<ショートステイの利用シーン例>
■介護者が冠婚葬祭などで出かけるとき
■介護者が仕事や旅行などで家を空けるとき
■介護者の体調が優れないとき
■介護者が介護から少し離れてリフレッシュしたいとき
■介護施設への入所前に施設での生活に慣れるため など
様々な目的で利用されるショートステイですが、特別養護老人ホームや有料老人ホームのように長期的に入居することを想定した施設ではありません。ショートステイはあくまでも短期的に利用するものであり、生活拠点として利用する施設ではありません。 しかし最近では、特別養護老人ホームに入居するまでの待機期間にショートステイを利用することが多くなっています。待機期間が数ヶ月~数年と長くなる場合にはショートステイを長期に渡って利用する方もいるようです。長期的なショートステイの利用が増えてしまうと空きがなくなり、本来の目的に沿って利用したい方がショートステイを利用できないといったこともあるようです。 介護者の体調不良などやむを得ない事情により在宅介護ができない場合にはロングショートステイを利用するのは仕方のないことです。しかし、初めから生活拠点にするつもりでの利用や原則として認められていない目的でのショートステイ利用はやめましょう。本来ショートステイがどのような目的で利用され、どのようなサービスを提供する施設なのかをきちんと理解した上でロングショートステイの利用を検討するようにしましょう。
―ショートステイについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください―
▶ 「ショートステイとは?費用や期間、選び方などについて解説!」
ロングショートステイの利用期間については次の2つの条件があります。
【1】介護認定の認定有効期間の半数を超えないこと
介護認定には認定有効期間があり、ショートステイの利用日数はその半数を超えない日数にしなければなりません。例えば介護認定の認定有効期間が180日の場合、90日まで利用可能ということになります。
【2】連続利用の上限日数が30日を超えないこと
ショートステイを連続して利用する場合は上限30日までと決められています。たとえ別のショートステイ施設に移ったとしても、同サービスを受けているとして日数はリセットされず連続利用としてカウントされます。
費用負担が大きくなることがデメリットです。介護サービス費には介護保険が適用されますが、食費や滞在費、日用品費などといった介護保険適用外の費用は全額自己負担しなければならず、利用日数が多くなればなるほど費用の負担が大きくなります。長期にわたってショートステイを利用することになれば、要介護度によっては介護保険の支給限度額を超えてしまう可能性があり、超過分は全額自己負担になります。
医療機関での受診に制限があることもデメリットです。ショートステイ利用中は基本的に施設内の医師による診察を受けることになっています。他の医療機関での受診は原則として認められていません。ただし施設内での対応が難しいと医師が判断した場合は、施設からの紹介状を持参して他の医療機関を受診することは可能です。受診する病院までは家族が付き添う必要があります。
環境の変化でストレスを感じる可能性があるのもデメリットです。通常のショートステイにも共通することですが、生活環境が変わることによって利用者が大きなストレスを感じることがあります。短期的に入所する施設であるため顔なじみの利用者がおらず、孤独を感じやすくなります。特に認知症の方は環境変化が苦手で症状が悪化してしまう恐れもあるため注意が必要です。
ロングショートステイにかかる費用は、宿泊する施設の種類や居室タイプによって異なります。特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)といった介護保険施設、医療施設など介護保険を利用できるショートステイ施設では、原則として費用の1割(所得に応じて2~3割)の自己負担額となります。ただし介護保険が適用されるのは介護サービス費のみで、食費や滞在費、日用品費などは自費となります。食費と滞在費については所得に応じた負担限度額が定められています。
要介護度や利用条件等にもよりますが、目安としては1泊2日で3,000円~8,000円程度が必要となるでしょう。これに利用日数をかけた金額がロングショートステイにかかるおおよその費用と考えてください。ただし全てのショートステイ施設で介護保険が適用されるわけではなく、有料老人ホームが提供しているショートステイは全額自己負担となるためさらに高額となります。
ロングショートステイを利用するためには、理由届出書とケアプランを自治体に提出する必要があります。どちらもケアマネジャーが作成するため本人や家族が作成する必要はありませんが、どのような書類が必要なのかは知っておきましょう。
理由届出書とは、なぜショートステイを長期的に利用する必要があるのかという理由を記載する書類です。書類の形式や記入方法は自治体により異なりますが、介護者の体調不良によって一時的に在宅介護が困難である、などやむを得ない事情があってロングショートステイの利用が必要であることを記載します。前述したとおり、書類はケアマネジャーが作成し、自治体に提出してもらいます。
ケアプランとは、どのような介護サービスをどれくらいの頻度で利用するかなどをまとめた介護計画書のことです。ショートステイを利用する際は居宅ケアマネジャーにケアプランを作成してもらうことになります。さらに長期的にショートステイを利用する場合は滞在する施設のケアマネジャーにも別途ケアプランを作成してもらう必要があります。これは長期的にショートステイ施設で生活するにあたりどのような介護を実施する必要があるのかという具体的な支援方針をまとめた計画書で、居宅ケアマネジャーが作成したケアプランを基にして作成されます。
ケアプランには記載しなければならない項目がたくさんあり、利用者の状況に応じて内容も異なります。今回は、ロングショートステイのケアプランが具体的にどのような内容になるのか、いくつかの項目の記載例をご紹介します。
【利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果】
■本人:家の中で過ごすことがほとんどで楽しみもない。日常生活上のことは夫に頼らざるを得ない状況だが、夫にはなるべく迷惑をかけたくない。
■家族(夫):自身も高齢であるため介護の負担が大きく、今後も在宅介護を続けていく自信がない。入所申し込みをしたがなかなか順番が回ってこず、もし入所までに自分が倒れてしまったらと万が一のことを考えると不安に感じる。 本人の身体状況と家族の介護力を勘案すると、夫婦2人で在宅生活を送ることは難しいと思われる。ロングショートステイを利用し、介護負担の軽減を図りながら特別養護老人ホームの空きが出るまでショートステイの利用を継続していく必要がある。
【生活全般の解決すべき課題(ニーズ)】
介護者の負担を減らし、見守りのある環境で安心して生活を送りたい。
【目標】
■長期目標
介護に関わる不安を解消し、本人が生活への意欲を持って安心して過ごせるようにする。
■短期目標
介護者が休養できる時間を確保し、本人には他者との会話や活動などを楽しんでもらう。
【援助内容】
ロングショートステイの利用
・介護者に代わって日常生活の介護を行う
・レクリエーションへの参加
・職員や他の利用者とのコミュニケーションを楽しむ
※上記はあくまでも一例ですので参考程度にお考えください。
―ケアプランについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください―
▶ 「ケアプランとは?介護に必要な計画書の作成方法と注意点について解説」
ショートステイはあくまでも短期的に入所する施設であるため、看取りを前提としていません。しかし最近は看取りの必要性が高まっている傾向にあり、看取り介護を実施している施設もあるようです。もしロングショートステイ利用中に容体が悪化したらどうなるのでしょうか?
ロングショートステイ利用中に病状の悪化や急病などがあれば、基本的には専門的な医療が受けられる病院に救急搬送されます。これまで元気に過ごされていた方でも、突然容体が急変することもあります。施設内で対応できる医療は限られているため、緊急時に必ずしも施設で診てもらえるわけではないということを覚えておきましょう。
ロングショートステイの利用中に十分な食事摂取ができなくなり食事量が減ってしまうことがあります。老衰によって食事が摂れなくなることはよくありますが、これにより容体が悪化すれば病院へ搬送することになるでしょう。病院搬送後、介護力が乏しい状況であれば胃ろうなどの延命措置が行われる確率が高くなります。
本人や家族の強い希望によってショートステイ施設で看取りが行われることもあります。先にも述べたとおり、本来は短期的に利用する施設であるため看取り体制が整っていることは少ないでしょう。特別養護老人ホーム(特養)などに併設されている施設であれば特養での看取りケアの経験を活かせますが、職員同士の連携なども必要なため簡単なことではありません。
利用日数が介護認定の認定有効期間の半数以上を超えた場合または利用日数制限の30日を超えた場合、超過分に介護保険は適用されず全額自己負担となります。また要介護度別に定められた支給限度額を超えた分に関しても全て自費となるため注意しましょう。
―介護保険制度について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「介護保険制度とは?仕組みやサービス内容など、制度について解説」
▶ 「介護認定調査とは?当日に心がけるべきこと」
別事業所の利用も連続日数にカウントされるので注意が必要です。例えば、1日目から29日目にAという事業所を利用し、30日目、31日目に別のBという事業所でショートステイを利用した場合。同じサービスを利用しているとみなされ、連続利用日数としてカウントされます。
連続利用とみなされないのは以下のような場合です。
<連続利用とみなされない場合>
●30日目に一度自宅に帰宅する(自宅で2泊3日過ごす)
●他の介護サービス施設に入所する
●利用期間の途中に自費でサービスを利用する
介護保険サービスの1つの福祉用具貸与サービス。このサービスを利用し車いすや歩行器など在宅介護で役立つ介護用品・福祉用具をレンタルすることができます。しかしロングショートステイの利用中は福祉用具貸与が認められていません。在宅介護中に福祉用具をレンタルしていた場合は返却しなければならない可能性があります。在宅介護が少なからず発生する場合はサービスの利用が認められることもあるため、事前に確認しておきましょう。
生活保護受給者もロングショートステイを利用できます。サービス費や食費には軽減制度が適用されるため、費用が高額になることはありません。ただし年金受給者の場合、年金額よりもロングショートステイの利用にかかる費用が少ないと生活保護が停止される可能性がありますので確認が必要です。
今回は、ショートステイを長期的に利用するロングショートステイについてご紹介しました。何度もお伝えしていますが、ショートステイは短期間の利用を想定したサービスであり、ロングショートステイは本来のショートステイの利用目的と異なるものです。ロングショートステイの利用が認められるのは、やむを得ない事情があって自宅での生活が難しい場合に限られることを知った上で利用するようにしましょう。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
商品やサービスに関するご質問、
ご相談にお答えしています。
商品やサービスに関するご質問、
ご相談にお答えしています。
まずはお気軽に資料請求を。
無料カタログをご送付致します。
今回発送いたしますカタログは、一部商品の仕様や価格など異なる場合がございます。ご了承ください。