この記事の監修者
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フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
高齢者のリハビリについて、リハビリテーションを行う目的や必要性、注意点、介護保険を利用したリハビリなどをご説明します。
2022年9月30日
リハビリテーションは、なじみのある言葉ですがリハビリテーション、リハビリと言葉だけ聞くと、病院などで受ける機能回復訓練を思い浮かべる方が多いかもしれません。
これもリハビリテーションのひとつの意味ではあるのですが、実は本来あるべき状態まで回復し、自分らしく生きることを目指す活動のことという幅広い意味があります。
リハビリテーション(Rehabilitation)という言葉は、re(再び)とhabilis(適した、ふさわしい)という意味のラテン語の組み合わせでできています。ただ単に失った機能を回復するだけでなく、再びその人らしい姿に戻すこと、その人にふさわしい状態まで回復して生きていくことなどの目的を持って行われるすべての活動をリハビリテーションと呼びます。
(1)医学的リハビリテーション
医学的リハビリテーションは、医師の指示のもとで理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、臨床心理士などといった専門職によって行われるリハビリです。主に病院や診療所で行われ、ひとりひとりに合ったリハビリテーションの計画を立てて心身機能の維持、向上を目指します。
(2)社会的リハビリテーション
社会的リハビリテーションは、社会生活力を高めるために行われるリハビリのことです。社会生活を送る上で必要となる外出や公共交通機関の利用練習などといった生活支援や、相談機関の活用方法や利用できる制度について学ぶことなど、その人のニーズを満たしつつ可能な限り豊かな社会参加ができるように支援、訓練する活動を社会的リハビリテーションと言います。
(3)教育的リハビリテーション
教育的リハビリテーションは、障がいのある方の能力向上を図って自己実現ができるようにサポートすることを目的とするリハビリです。障がいのある児童を対象とした特別支援教育と呼ばれる自立支援に向けた取り組みや、社会人向けの生涯教育や社会教育もこれに該当します。
(4)職業的リハビリテーション
職業的リハビリテーションは、障がいのある方が適切な職業に就けるように、そしてその職業を継続していけるように支援を行うリハビリのことです。本人の希望や身体状況、社会的側面、学力等の基礎能力などから適正を判断する職業評価、仕事で必要となるスキルを身につける職業訓練を受けるなどして就職や復職を目指します。
高齢者がリハビリテーションを行う目的は、病気やケガなどによって低下してしまった身体機能を回復することだけではありません。筋力の強化、関節可動域の改善などを行って身体機能の向上を目指すのはもちろんですが、それだけでなく高齢者が自立した生活を送れるようにすることもリハビリテーションを行う目的のひとつです。食事や排泄、移動、入浴など日常生活上の基本的な動作から掃除や洗濯などの家事、外出などを自力で行うための練習をし、高齢者のQOL(=生活の質)を高めることが重要とされています。地域住民との交流や趣味のイベントへの参加など再び社会復帰するためにもリハビリテーションは欠かせません。その他にも寝たきりや要介護状態になることを防ぐためなど、高齢者のリハビリテーションにはさまざまな目的があります。
高齢者は複数の疾患を抱えている可能性があり、疾患が慢性化して機能障害につながることが考えられます。合併症の併発や、環境や社会的要因などによって症状が変動しやすいということもあり、全ての疾患を完治させることが難しいことも少なくありません。そのため慢性疾患を持ちながらも自立した生活を続けられるように、そしてこれ以上状態が悪化しないようにリハビリテーションを行うことがとても重要なのです。脳血管疾患、転倒、骨折、認知症などが原因で要介護状態になることが多いため、介護予防のためにもリハビリテーションで身体機能の維持、向上を目指すことが大切です。
―廃用症候群について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。―
▶ 「廃用症候群(寝たきりの原因)とは?症状や原因・予防法からリハビリのポイントまで解説!」
リハビリテーションの対象となる疾患はたくさんあります。
例えば、骨折した後や膝関節・股関節の人工関節置換術後、腰椎圧迫骨折の術後など、骨、筋肉、関節などの動きに関わる機能低下が見られる疾患には運動器のリハビリテーションが行われます。脳出血、脳梗塞、くも膜下出血、パーキンソン病関連疾患、筋萎縮性側索硬化症などといった脳血管疾患もリハビリテーションの対象となります。肺がんや肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など呼吸機能が低下する呼吸器疾患、心筋梗塞や狭心症発作、開心術後、大動脈解離などの心大血管疾患がある場合もリハビリテーションが行われます。また摂食・嚥下機能の低下を引き起こす疾患、誤嚥性肺炎などで食べること、飲み込むことが難しい場合にもリハビリテーションが実施されます。その他、悪性腫瘍、糖尿病を対象としたリハビリテーションもあります。
要介護認定を受けた方であれば、介護保険を利用してリハビリテーションを受けることができます。利用できるサービスは以下のとおりです。
通所リハビリテーションとは、介護老人保健施設(老健)や病院などに日帰りで通ってリハビリを受けるサービスのことをいいます。デイケアとも呼ばれ、生活機能向上に向けた機能回復訓練に力を入れており、食事や入浴、排泄などの介助も受けられます。またレクリエーションが血圧測定など看護師による健康チェックも行われます。
デイサービス(通所介護)で行われる機能訓練は、身体機能の維持・向上を目指した内容でありリハビリテーションとよく似ていますがひとつ大きく異なる点があります。それは「医師の指示のもと」で行われているかどうかです。リハビリテーションは医師の指示のもとで理学療法士や作業療法士などの専門職によって行われるものです。一方でデイサービスの機能訓練は、医師の指示を受ける必要がなく機能訓練指導員と呼ばれるスタッフによって歩行訓練や口腔体操、脳トレなどの機能訓練が実施されます。デイサービスの施設によっては機能訓練のことをリハビリと呼んでいることもありますが、デイケアで受ける本来の意味のリハビリテーションの方がより専門的だと言えます。
リハビリテーションを強要すると嫌がって拒否することもあり、リハビリテーションの時だけ動いておけばいいという考えになってしまいます。たとえ寝たきりの状態から回復したとしても、リハビリテーションの時だけ仕方なく動くといった状態であれば、運動習慣が得られず筋力低下の原因になることも考えられます。だからといって、本人のリハビリはしたくないという希望を受け入れるだけでは身体機能の維持、向上は期待できません。無理強いは禁物ですが、本人の意思を尊重しつつやる気が出るような声かけを行う、無理をしすぎないようにさりげないアドバイスを行うなど、見守る姿勢を大切にしながら本人が積極的にリハビリテーションに取り組めるような働きかけをしましょう。
リハビリテーションは、本来あるべき姿まで回復すること、そしてその人らしく生きていくことを目指して行われるもので、単なる機能回復訓練ではありません。特に高齢者においてはリハビリテーションがQOL(=生活の質)を高めることにつながり、要介護状態や寝たきり状態になることを防ぐ役割も担うことから介護する家族の負担軽減にもなります。だからといって周囲がリハビリテーションを強要してしまうとやる気を失いかねません。本人が自らの意思で前向きに取り組めるようにサポートしていくことが大切です。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
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