この記事の監修者
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フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
デイサービスで行われる体操について、目的や効果基本的なやり方、注意点、楽しくするポイントなどについてご紹介します
2022年11月4日
デイサービスで行われる体操の目的は、身体機能の維持と向上を目指すこと、そして日常生活の中で運動習慣をつけることなどがあります。高齢者が自宅で運動すると転倒などのリスクがあり不安ですが、デイサービスではスタッフの見守りがあるので安心です。他の利用者と共に体操を行うことで孤立感の軽減にもつながりますし、利用者同士が励まし合うなどコミュニケーションをとる機会にもなります。仲間と共に体操に参加するという楽しみができ、あの人も頑張っているから私も頑張ろうという気持ちが芽生えれば、運動が苦手という方でも前向きに取り組むことができます。
―デイサービスについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。―
▶ 「デイサービスとは?特徴や費用、利用方法について解説」
病気やケガなどで安静状態が長く続く、運動量が減るなどすると廃用症候群を引き起こす恐れがあります。廃用症候群とは心身の機能が大幅に低下してしまうことで、これを予防するにはとにかく体を動かすことが重要だと言われています。そのため廃用予防にはデイサービスでの体操が効果的と言えます。体操でしっかりと体を動かすことで廃用症候群を引き起こすリスクを減らすことができますし、運動習慣をつくるきっかけにもなります。また筋力や体力の維持・向上によって寝たきり状態や要介護状態になることを防ぐという効果も期待できます
―廃用症候群について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。―
▶ 「廃用症候群(寝たきりの原因)とは?症状や原因・予防法からリハビリのポイントまで解説!」
デイサービスの体操には個人で行う体操と、他の利用者と一緒に行う集団の体操があります。どちらがいいとは一概に言えませんが、それぞれにメリットがあり実施する内容も少し異なります。いずれも参加する方の体調や状況に合わせて機能訓練指導員が適切な内容を考えてくれるので、病気やケガなどで周りについていけるか不安な方でも安心して参加できます。
【デイサービスの体操①】個人体操
個人体操は、他の人との交流が苦手な方や、集団だとどうしても集中できないという方などのために行われます。利用者が日々の生活を送る上で不安に感じている動作の訓練や、こんなことがしたいという本人の希望を実現させるためのメニューが実施されることもあります。施設によっては、マシントレーニングが行われることもあります。
【デイサービスの体操②】集団体操
集団体操は、多くの施設がレクリエーションの1つとして行っています。座ってできる体操など、あらゆる身体状況の方でも安心して参加できる内容になっています。他の利用者と一緒に行うことで利用者同士が交流するきっかけにもなりますし、みんなと楽しむことが良い刺激となります。
次に、デイサービスの体操で必要となる準備や進め方についてご紹介していきます。
(1)椅子
参加する人数分の椅子を用意して並べましょう。前に立つ指導者の動きがよく見えるように、そして両手を広げた状態で隣とぶつからないように気をつけて配置します。
(2)バイタルチェック
体温、脈拍、血圧などを測定し、体調に問題がないかを確認しましょう。測定時は異変がなくても、時間が経ってから状態が変わることもあるため注意しましょう。
(3)水分補給
高齢者は脱水症状を起こしやすいため、体操の前後は水分補給を忘れずに行いましょう。
―高齢者の脱水症状について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。―
▶ 「高齢者の脱水症の原因は?見逃してはいけないサインや予防法を解説」
体操を進める上で、座り方と音楽には気をつけましょう。
■座り方
両足の裏全体が床につくように浅く腰をかけて座ってもらいます。可能であれば背もたれは使用しないでおきましょう。身長が低い方は足が床に届かないことがあるため、低めの椅子を使用するか、足が置ける台を設置します。
■音楽
体操に合わせた音楽選びも重要です。ストレッチなどゆっくりとした動きのときは、ピアノや自然の音などリラックスした気持ちになれるヒーリング音楽がよいでしょう。トレーニング系のしっかりと体を動かす体操のときは、アップテンポで楽しい気持ちになれる曲が取り組みやすいです。365歩のマーチや上を向いて歩こうなど、高齢者にも馴染みのある曲がおすすめです。
参加者によっては、椅子に座って行う体操が簡単に感じられることもあります。そのような参加者には立って行う体操や道具を使って行う体操など、無理なく行える範囲でステップアップをしていくとよいでしょう。
デイサービスでの体操で重要なのは、参加者に楽しんでもらうことです。周囲に言われるがまま渋々やっているよりも、自ら意欲を持ち楽しんで取り組む体操の方が得られる効果も大きくなります。ここからは参加者に体操を楽しんでもらうためのポイントを4つご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
元気な笑顔はその場の雰囲気を明るくします。指導する側も楽しみながら笑顔で行いましょう。全体を見渡しながら参加者の表情を確認し、目が合ったときにはニコッと微笑み返すなどアイコンタクトをとることも心がけましょう。度が過ぎて元気すぎるのも不自然ですので、あくまでも自然な明るさで楽しい雰囲気を作ることが大切です。
誰しも褒められるのは嬉しいものです。やる気も湧いてきます。よく動けていますね、その調子ですといった前向きな言葉でしっかりと褒めましょう。声をかけるときは、ハキハキとした明るい声で行います。上手だね、などため口での声かけは子ども扱いされているように感じて不快に思う方もいるため、失礼のないように丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
体操の後は、ほっと一息つける休憩時間を設けましょう。運動後にリラックスできる時間を確保しておけば、それを楽しみに体操を頑張ろうというモチベーション向上にもつながります。深呼吸でクールダウンや参加者同士でお話しするのもよいでしょう。水分補給、健康状態の観察、トイレ誘導の時間を兼ねるのもおすすめです。
体操を行う際は、程よいレベル設定にすることが大切です。レクリエーションには体操以外にも脳トレクイズ、工作、集団ゲームなど様々な種類がありますが、あまりにも簡単すぎるとバカにされていると感じて自尊心を傷つけてしまう恐れがあります。逆に難しすぎると自信を失ってしまうこともあります。参加者1人1人の状態をきちんと把握し、楽しみながらできるレベルに設定することが大切です。
―デイサービスのレクリエーションについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。―
▶ 「デイサービスのレクリエーション代表例15選!盛り上がるレクのコツも解説」
一見問題なく体操ができているようであっても、身体状況によっては思っている以上に身体に負担がかかっている可能性もあります。無理をしないこと、無理をさせないことが大切です。疲れや辛さを感じている場合は一旦休んでもらい、本人のペースを優先して取り組んでもらいましょう。
体操中は、参加者の様子に気を配りましょう。急な体調不良の恐れもあります。辛そうにしていないかなど異変がないかしっかり観察することが大切です。また指示した動きについていけているかどうかもチェックし、必要に応じて難易度やスピードを変更しましょう。
体操を実施する際は、リスク管理が欠かせません。適度な運動は健康維持のために大切ですが、体調が優れないときに無理をするのは危険です。以下の土肥・アンダーソンの運動基準をもとに体操を行うべきか、中断すべきかをしっかり見極めましょう。
参考
■厚生労働省 多面的運動プログラムの実践(P6)
https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-sankou7-1-3.pdf
ここからは、デイサービスでできる体操を10種類ご紹介します。簡単な体操だけでなく少しステップアップした体操もご紹介しますので、安全に配慮しながら実施してみてください。
首周りの筋肉をほぐすことは、咀嚼・嚥下機能の維持や肩こりの予防、バランス能力の維持に効果的です。無理をすると首の筋肉を傷めてしまう恐れがあるため、気持ちいいと思う程度にしましょう。
【肩の上げ下げ体操】
【肩まわし体操】
肩まわりを動かして柔軟性を保つことで、衣服の着脱や入浴時の動作などがしやすくなります。肩先だけでなく肩甲骨からしっかり動かすイメージで体操を行うとよいでしょう。
ハムストリングスと呼ばれる太もも裏の筋肉は、下半身だけでなく腰にも影響を及ぼします。そのためストレッチを行うことで腰痛予防や姿勢改善の効果が期待できます。しっかりと太ももの裏を伸ばすために、前に出した足のつま先を天井に向けることを意識して行ってみましょう。座り姿勢で過ごすことが多い高齢者には特におすすめの体操です。
【パタカラ体操】
パタカラ体操は口と舌をしっかり使うので、食べ物を噛んだり飲み込んだりするときに必要な筋肉を鍛えることができ、誤嚥防止に効果的とされています。また表情筋のトレーニングにもなり、表情を豊かにすることにもつながります。童謡など耳馴染みのある曲を「パ・タ・カ・ラ」を使った歌詞にアレンジして歌うのもおすすめです。
【足指じゃんけん】
足裏の筋力が低下すると足のアーチが崩れてしまい、外反母趾や偏平足など足の変形につながる可能性があるため、こうした体操で筋力をつけましょう。踏ん張ってバランスを保つ、地面をしっかり蹴って歩くときにも足裏の筋力や柔軟性が欠かせません。足が勝って手が負けるようにする一人じゃんけんや、後出しじゃんけんをするのもおすすめです。
深呼吸が体操になるのかと疑問に思う方もいるかもしれませんが、高齢者は呼吸筋が衰えて浅い呼吸になっていることが多いため、意識して深呼吸をすることは非常に大切です。腹式呼吸によって腹筋を鍛えることができれば姿勢を安定させることにもつながりますし、深呼吸によるリラックス効果も期待できます。お腹の膨らみとへこみを意識しながら深い呼吸をしてみましょう。
手足を動かす足踏みは、腕や太もも、お尻の筋肉を鍛えることができます。ウォーキングが難しい方でも簡単にできますし、全身運動になるためクールダウンとしての効果も期待できると言われています。立ち姿勢を保つのが難しい場合など立ったまま足踏みをするのが難しければ、椅子に座りながら行うこともできます。1、2、3、4と足踏みをカウントしながら行い、5の倍数の時に手を叩くというルールを設けて脳トレの要素も加えてみるとよいでしょう。
頭を使いながら手を動かすことは脳に刺激を与え、認知症の進行をゆるやかにする、予防するなどの効果があると言われています。簡単なレベルから始めたいときは、両手を前に出してグー・パーを繰り返すところから始め、徐々に難易度を上げていくのもよいでしょう。前に出す手をグー、胸の前に持ってくる手をパーにするなど手の動きのアレンジや、スピードアップするなどステップアップしていくのもおすすめです。
ボールを足に挟むことで、内ももや腹筋を鍛えることができます。また体幹を安定させることにもつながります。まずは数をカウントしながら左右交互にゆっくりと10回叩いてみましょう。隣の人のボールを叩いたり歌に合わせたりするなど、バリエーションを増やすと飽きずに楽しめます。慣れてきたら10秒間にどれだけ多く叩けるかをチャレンジするのもよいでしょう。ボールが落ちにくいように、軽くボールの空気を抜いておくのがおすすめです。
【ドンパン体操】
ドンパン節の曲に合わせて「ドン」の時はひざを叩き、「パン」のパンの時は手を叩きます。みんなで歌いながらやってみましょう。
【ラジオ体操】
ラジオ体操は座ったまま行うことができ、動きの手順を知っている方も多いためおすすめです。全身を使うので、普段あまり使わない部分のストレッチにもなります。
音楽に合わせて行う体操は、体を動かしながら楽しめるというメリットがあります。オリジナルの振付をレクチャーして参加者に覚えてもらい、記憶力を鍛えながら踊るのもよいでしょう。高齢者がよく知っている曲を使うとより楽しめます。
運動習慣のない高齢者にとって、デイサービスでの体操は体を動かす良い機会になります。外出が億劫、他の人と交流する機会が少ないといった高齢者にとっては、参加者同士でのコミュニケーションが楽しみになるなど、脳への良い刺激にもなるでしょう。体操で体を動かすことは大切ですが、参加を強制する、無理をさせるのは禁物です。参加者に充実した時間を過ごしてもらえるように、みんなで楽しめる程よいレベルの体操を考えてみましょう。
よいレベルの体操を考えてみましょう。
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