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高齢者の脱水症の原因は?見逃してはいけないサインや予防法を解説

高齢者によくみられる脱水症について原因と見逃さないようにするためのサイン、そして対処方法、予防方法をご紹介します。

2020年11月30日

高齢者によくみられる
「脱水症」とは

脱水症とは

脱水症とは、体の機能を維持するために不可欠な体液が不足している状態のことをいいます。血液・リンパ液・消化液などから構成されている体液は、体温調節や栄養分を体中に運ぶなど生命を維持するために重要な役割を担い、成人の体の約60%を占めています。高齢になると水分を蓄える筋肉量が減るため、体液が占める割合は約50〜55%に減少するといわれています。汗や尿などによって体外へ排出される水分量・塩分量と、体内に補給する水分量・塩分量が同じくらいのときは体液のバランスは保たれていますが、大量に汗をかいたり、下痢や嘔吐などの体調不良によって体外に出ていく水分が増加すると体液のバランスが崩れてしまい脱水症を引き起こします。

脱水症の危険性

脱水症により体液が不足すると、酸素や栄養素を体の中に届けることができなくなります。これを放置しておくと思わぬ病気につながる可能性があります。血液の濃度が上がり固まりやすくなると血栓ができるリスクが高まり、脳梗塞や心筋梗塞の発症につながり命を落とす危険性もあります。糖尿病や排尿障害などの病気の予兆として脱水症になるケースもあるため、できるだけ早いうちに発見することが重要です。

熱中症による高齢者死亡数の年次推移

厚生労働省の発表によると、熱中症による死亡者のおよそ80%が65歳以上の高齢者となっています。

熱中症による高齢者死亡数の年次推移

年間
死亡総数
(人)
65歳以上の
死亡者数
(人)
65歳以上の
死亡者割合
(%)
2019年 1224 1000 81.7
2018年 1581 1288 81.5
2017 年 635 496 78.1
2016年 621 492 79.2
2015年 970 783 80.7
引用:厚生労働省 年齢(5歳階級)別にみた熱中症による死亡数の年次推移(平成7年~令和元年)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/necchusho19/dl/nenrei.pdf

高齢者は、温度に対する感覚が鈍っていることや、体液の減少によって体温調整がしにくいこともあり、夏の暑い日でもクーラーを使用せずに過ごして熱中症になるケースが多くみられます。体の1〜2%の水分量が失われることで起こる軽度の脱水状態を「かくれ脱水」と呼び、この状態からさらに脱水が進行して熱中症を引き起こす場合があります。熱中症になってから脱水が原因だと判明することも少なくありません。

高齢者が脱水症になりやすい原因

原因1:体内の水分量が減っている

食事の全体量が減る、嚥下(えんげ)障害によって水分摂取量が減るなど、体内の水分量が不足することが原因で脱水症を引き起こします。加齢によって筋力が低下し、水分を蓄える筋肉量が減ることも脱水症を引き起こす原因のひとつと考えられます。

原因2:腎臓機能が低下している

加齢による腎臓の機能の低下も脱水症に陥る原因と考えられています。腎臓は体内の水分量を調整する役割がありますが、機能が低下すると体内に必要な水分や電解質を留める力が弱まってしまいます。これにより体液のバランスが崩れて脱水症を引き起こしやすくなります。

原因3:のどの渇きを感じにくい

加齢による感覚機能の低下によってのどの渇きに気づかないことが原因で、摂取する水分量が少なくなり脱水症になるリスクが高まります。認知症によって飲み物を飲んだかどうかを忘れて長時間水分を摂らないまま過ごしてしまい脱水症になることもあります。

原因4:薬が影響している

服用している薬が影響して脱水症になることも考えられます。血圧を下げる降圧薬の種類によっては利尿作用があり、尿の排出によって必要な塩分や水分が不足して脱水症を引き起こすことがあります。

こんな症状が現れたら注意!
脱水症のサインとは?

軽度

皮膚のかさつきや唇・口の中が乾燥しているときは軽度の脱水症を疑いましょう。汗で湿っていてもおかしくない脇の下が乾燥している場合も注意が必要です。その他にも、前胸部(胸骨の上部)や手の甲の皮膚をつまんだとき元に戻るのに時間がかかる、爪を押した後すぐにピンク色に戻らないといった状態であれば、脱水している可能性があります。ぼーっとしている、うとうとと傾眠(けいみん)気味になる、手足が冷たい、めまいやふらつきなどの症状があれば、脱水症の恐れがあるため注意深く観察しましょう。

中度

脱水症が中度に進行すると、頭痛や吐き気などの症状が見られます。血圧が下がる、嘔吐や下痢など明らかな体調の異変が見られることがあります。トイレへ行く回数が少なくなるのも脱水症のサインのひとつなので、トイレの回数やおむつの尿量、尿の色が濃くなっていないかなどをチェックしましょう。

高度

症状が悪化して高度になると意識がもうろうとしたり、話しかけても反応がなくなったりします。ひどい場合は意識を失う、痙攣を起こすこともあります。

脱水症への対処法

軽度

軽度の症状のあいだは、水分を摂取するだけで改善することが多いです。日常生活での水分補給は水やお茶でも構いませんが、脱水症になったときには水分とミネラルを補う必要があるため、水分・塩分(電解質)の両方を効率よく摂取できる経口補水液を飲むのがおすすめです。経口補水液を常備していない場合は、自宅で作ることも可能です。

【経口補水液の作り方】
容器に水500ml、砂糖20g、食塩1.5gを入れ、よくかき混ぜれば完成です。レモン汁を少し加えると飲みやすくなります。

中度

中度の脱水症の場合も経口補水液を摂取しましょう。下痢の症状がある場合は、排泄する度に水分を摂取します。嘔吐したときは、吐いた量と同じくらいの経口補水液を飲ませましょう。

高度

重症化し高度の脱水症の場合は、口からの水分補給だけでは対処できない可能性が高いです。点滴などの処置が必要になるため、病院を受診しましょう。意識がない、痙攣を起こしている場合は、命の危険もあるため速やかに医師の処置を受けましょう。

高齢者による脱水症の
予防方法

予防法1:1日に必要な水分摂取量を把握する

1日に必要な水分量を把握してきちんと摂取できているか、本人だけでなく周囲も意識して確認するようにしましょう。高齢者の場合、1日に必要な水分量の目安は体重1kgあたり約40mlといわれています。体重が60kgの場合は、約2.4Lの水分が必要ということになります。食事の際、食べ物から約1Lの水分が摂取できますが、それ以外に約1〜1.5Lの水分を補給が必要になります。その日の体調や運動量などによって、普段より多めに水分補給が必要なこともあるため注意が必要です。

予防法2:部屋の湿度・温度を調整する

室内の湿度・温度管理をしっかり行いましょう。冬場、部屋が乾燥している場合は、加湿器を使用したり濡れタオルを干すなどして湿度を上げます。夏の暑い日はエアコンを使用して室内の温度を適温に保ちましょう。就寝中にエアコンを使わずに脱水症を引き起こすケースは少なくありません。エアコン嫌いや節電のためにエアコンの使用を避ける方もいますが、命に関わる危険もあるため積極的に使用して室内環境を整えましょう。

予防法3:こまめに水分補給をする

普段からこまめに水分を摂取するようにしましょう。起床時、入浴の前後、就寝前など、水分補給をする時間を決めておくのがおすすめです。場合によってはのどが渇いている自覚がないこともあるので、周りの人が声をかけて水分の摂取を促しましょう。

脱水症を予防する水分の摂り方

常に飲み物を手元に置いておき1日7〜8回以上、コップ1杯分の水分を摂取することを心がけましょう。起床時、食事中、次の食事までの合間、入浴前後、就寝前のように水分を摂るタイミングを決めておき、定期的に水分補給することが大切です。水分を多く含むゼリーや水ようかん、フルーツなどで水分補給するなど、水分の摂り方を工夫してみるのもよいでしょう。