この記事の監修者
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フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
耳が遠い原因について、難聴のタイプや原因と症状、難聴のチェック項目についてご紹介します。
2022年9月30日
一般的によく言う、耳が遠いというのは老人性難聴(加齢性難聴)と呼ばれる加齢が原因の疾患である可能性が高いです。老人性難聴とは、音を感じる耳の中の細胞が加齢によって減少し、聞こえづらくなる疾患のことを言います。 耳と脳の関係についてあまり深く考えることはないかもしれませんが、実は耳が遠いことで脳にも悪影響を及ぼすと言われています。音というのは、耳が感じた振動を電気信号に変換し、それを脳に伝えることで聞くことができます。つまり、鼓膜に伝わったものが音ではなく、正確には電気信号として脳に伝わったものが音なのです。 年齢を重ねるごとに音を感じる耳の中の細胞が減っていくことで、脳に伝わる電気信号も徐々に少なくなり、脳への刺激が減ってしまいます。加齢が原因の耳が遠いというのはこの状態のことです。耳が遠くなり脳への刺激が減ると、認知機能が低下するなど認知症を発症するリスクが高くなります。また、耳が遠いことで他人とのコミュニケーションが億劫になる、外出をためらうなど社会とのつながりも減り、さらに脳への刺激が少なくなり認知症を進行させてしまう恐れもあります。耳が遠くなることでこのように脳にも悪影響を与えてしまうのです。耳が遠くなるのは、加齢だけが原因ではなく、何かの病気が原因の場合もあります。耳が遠くなる、難聴の種類や原因についてもご紹介していきます。
伝音難聴は、外耳や中耳といった音を内耳に伝える部分の炎症や損傷が原因の難聴のことを言います。耳が詰まったように感じ、音が聞こえにくくなります。通常の音量では聞き取りにくく、音量を大きくすれば聞こえやすくなります。
感音難聴は、内耳やその奥の神経系など音を感じる部分の異常によって起きる難聴のことを言います。難聴の程度は人により異なりますが、単純に聞こえにくいと感じるだけでなく音の内容がわからない、言葉が聞き取れないなどの症状があります。
混合性難聴は、伝音難聴と感音難聴の両方が合わさった難聴のことをいいます。伝音難聴が強く出る場合もあれば、感音難聴の方が強いこともあり、どちらが強く出るかは人によって違います。
耳の中で炎症が起きていると、膿などの液体がたまって聞こえにくくなります。代表的な疾患として挙げられるのが中耳炎ですが、中耳炎にもいくつか種類があり、進行すると骨を溶かして難聴を引き起こすタイプもあります。 耳元で爆発のような大きな衝撃音が起きた、耳を殴打された、耳かきで突いてしまったなどの理由から鼓膜を損傷し、聞こえづらくなっていることも考えられます。機械の作動音が絶え間なく響く工場で働いている場合や、ライブ会場などで聴く大音量の音楽、ヘッドホンの使い過ぎなども耳の中の感覚細胞を傷つけることにつながり、難聴の原因になります。
疲労を感じているときや、睡眠不足・栄養不足のような生活習慣の乱れからくる身体的ストレス、仕事や人間関係などによる精神的ストレスなどが原因となり難聴を引き起こす場合があります。疲労の蓄積やストレスは自律神経の乱れにつながり、耳が聞こえにくくなると考えられています。耳の聞こえづらさを引き起こす疾患の中には、未だに原因がはっきりと分かっていないものもあるのですが、その中のいくつかは疲労やストレスが引き金になっているのではないかと言われています。耳が聞こえにくいという症状だけでなく耳鳴りやめまいを伴うこともあり、それがさらなるストレスとなって症状を悪化させることもあるため注意が必要です。
先に述べた通り、耳の中にある音を感知する細胞が加齢とともに減ってしまうことで、耳が遠く感じるようになります。耳の機能の衰え方には個人差がありますが、誰にでも起こりうる老化現象です。50~60代で耳が遠くなったと自覚することが多いですが、早い場合は30代で自覚症状を覚えることもあります。残念ながら減ってしまった細胞が再生することはありません。しかし、脳の活性化によって聞こえづらさが少し改善することもあるようです。年だから耳が遠くなるのも仕方ないと諦めてしまうと、認知症になるリスクも高まります。テレビやラジオを大きな音で聴くことを避ける、生活習慣を見直すなど予防に向けた取り組みを行うことや、補聴器を使用して聞こえづらさを改善するようにしましょう。
難聴がどのような状態なのかを理解できていなければ、自分がそれらしき症状を発症しても気付かないとか、難聴ではないと勝手に判断して病院を受診する機会を逃してしまうなどの可能性があります。早期発見のためにも、下記に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
□ 会話が聞き取れずよく聞き返す
□ 会話中の聞き間違いが多い
□ 会議など複数人での会話が聞き取りにくい
□ 後ろから接近する自転車や車に気付かない
□ 後ろから声をかけられても気付かない
□ 話し声が大きいと言われる
□ テレビの音量が大きいと言われる
□ 電子レンジや体温計のような電子音が聞こえない
上記はあくまでも目安ですが、もし当てはまる症状があれば難聴の恐れがあります。難聴にもさまざまな種類があり、早期治療によって症状が改善する疾患もあります。聞こえにくさだけでなく、耳に詰まった感じや違和感を覚えるなど何か気になる症状があれば、早めに耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。
だんだん耳が遠くなっている場合に疑われるのが、慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎、老人性難聴、耳硬化症などの病気です。徐々に聞こえづらくなることから気のせいかもしれないと深く考えずに過ごしてしまい、受診が遅れることもあるため注意が必要です。
慢性中耳炎とは、中耳に炎症が起きて膿がたまり、耳だれや難聴を引き起こす疾患です。風邪やインフルエンザなどの感染症にかかった後に急性中耳炎を発症することがあり、これが治りきらずに慢性化することが原因で慢性中耳炎になるケースが多くあります。 慢性中耳炎のひとつである真珠腫性中耳炎は、鼓膜の一部が内側に凹み、そこに耳垢や老廃物がたまって真珠のような塊ができる病気です。治療せずに放置すると重度の難聴や顔面神経麻痺、髄膜炎など命に関わる病気に進展する恐れがあります。 耳の洗浄を行って膿を排出する、抗生剤を服薬するなどして一時的に耳だれを止める程度に症状を軽減することはできますが、根本的に治療するには手術が必要な場合がほとんどです。
老人性難聴(加齢性難聴)は、加齢とともに内耳の感覚細胞の数が減っていき、音が聞こえにくくなる病気のことを言います。初めに高音域が聞こえにくくなり、その後だんだんと中音域、低音域も聞こえにくくなるのが特徴です。難聴以外にも、キーンという高音の耳鳴りが起きることもあります。日常生活を送る上ではなかなか気付かないことも多いため、定期的に聴力検査を受けることをおすすめします。 老人性難聴の治療法はないため、聞こえづらさを解消するためには補聴器を使用することになります。最近は小型で目立ちにくい補聴器も多く、装着時の違和感が少ないもの、音質がとてもクリアなものなど、これまでに比べてデザイン・性能ともに良くなっています。
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耳硬化症は、音の振動を内耳に伝えるアブミ骨の動きが悪くなり、だんだん耳が聞こえにくくなる病気のことを言います。両耳に症状が出るケースが多く、耳鳴りやめまいを伴うこともあります。男性よりも女性に多い病気で、妊娠や出産をきっかけに悪化することもあります。発症の原因として麻疹の潜伏感染や遺伝、女性ホルモンが影響していると考えられていますが、まだはっきりとした原因はわかっていません。 耳硬化症は手術によって聴力の改善が期待できる病気ですので、治療には手術が積極的に勧められます。補聴器の効果も大きいことから、難聴の程度や年齢、身体状況によっては手術ではなく補聴器で対応することもあります。手術を行うか、補聴器を使用するかは医師と相談して決定します。
突如耳が遠くなっている場合に疑われるのが、突発性難聴、メニエール病、耳管狭窄症などの病気です。発症後すぐに治療を開始することが重要な病気もあるため、疑わしい場合は早めに病院を受診することをおすすめします。
突発性難聴になると、ある日突然片方の耳が聞こえにくくなります。発症前後に耳鳴り、めまい、吐き気などを伴うこともあります。左右どちらかの耳が聞こえにくくなるケースが大半ですが、ごくまれに両耳に症状が出ることもあります。発症の原因はまだわかっていませんが、ウイルス感染や内耳の血流障害、過労、ストレスなどが要因になっていると考えられています。 突発性難聴の治療には、ステロイドの点滴投与や内服薬が有効とされています。また、生活リズムを見直して、しっかりと休息をとることも大切です。この病気は早期発見・早期治療が重要で、発症して1週間以内に治療を開始すれば高い効果が得られると言われています。突然耳が聞こえにくくなった場合は、できるだけ早く病院を受診しましょう。
メニエール病は、突然耳が聞こえにくくなるだけでなく、回転性のめまい、耳鳴りが同時に起こる病気です。こうした症状が繰り返し起き、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。この病気は内耳にリンパ液が溜まってむくむことで引き起こされるのですが、発症の原因ははっきりとわかっていません。几帳面な性格の人、ストレス耐性の低い人などが発症することが多いと言われ、ストレスや疲労、睡眠不足などが引き金になっているのではないかと考えられています。 治療には、内耳に溜まったリンパ液を解消するための利尿剤、めまいを抑えるための薬、難聴改善のためのステロイド剤を使用するのが一般的です。発症や症状の悪化にはストレスが大きく関わっていると考えられるため、できるだけストレスを回避し、しっかり休息することも大切です。
耳管狭窄症とは、耳の中の圧力を調整する耳管が狭くなってしまう病気です。耳管の働きが悪くなると、鼓膜が振動しづらくなり音が聞こえにくく、耳が詰まった感じや耳鳴りなどの症状が現れます。自分の声がこもって聞こえたり、呼吸音が響いたりする症状もあります。この病気は、風邪やアレルギーなどで鼻やのどに炎症が起きたとき、登山や飛行機など急激な気圧の変化があったときなどに発症しやすくなります。成人の耳管狭窄症の場合、まれに鼻の奥に腫瘍ができている可能性もあるため、内視鏡検査も行った方がよいと言われています。 耳管狭窄症の治療は、鼻汁の吸引と薬物療法が基本です。副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などが原因であれば、そちらの治療も行う必要があります。
耳が遠いのは病気の可能性があるとお伝えしましたが、単純に耳垢がつまっていて聞こえにくくなっていることもあります。耳掃除をしているから大丈夫だと考えているかもしれませんが、実はそれが原因で耳垢が詰まっていることもあります。本来耳垢は自然と外へ出ていくようになっており、それほど耳掃除を行う必要はありません。耳を綺麗にするつもりで綿棒を使ってグリグリして、反対に耳垢を奥へ押し込んでしまい、耳垢が詰まり音が聞こえにくくなる恐れがあるため注意が必要です。
今回は耳が遠くなる主な原因・病気をご紹介しましたが、上記以外にも脳腫瘍の一種である聴神経腫瘍や耳性帯状疱疹などの病気もあります。耳が遠いのは年齢のせいだと思い込まず、気になり始めたら早めに医師の診察を受けましょう。早期発見、早期治療のためにも、定期的に聞こえ方の検査を受けることをおすすめします。 たとえ老人性難聴であったとしても、自分にぴったりの補聴器を使うことで聞こえ方が改善し、家族や友人たちとのコミュニケーションなど日々の楽しみも増えてくるはずです。これ以上悪化させないためにも、騒音が大きい場所はなるべく避ける、大音量でのテレビ視聴はやめるなど、普段から耳にやさしい生活を心がけることが大切です。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
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