この記事の監修者
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フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
介護が必要な方の自立支援や介護する側の負担軽減に役立つ介護ロボットについて、種類やメリット・デメリットなどをご紹介します。
2023年8月9日
介護ロボットとは、介護が必要な方の自立支援や、介護する側の負担軽減に役立てられるロボット機器のことです。厚生労働省の「介護ロボットの開発・普及の促進のページ」によると、情報を感知、判断し、動作するという3つの要素技術を持つ、知能化した機械システムをロボットの定義としています。
介護ロボットが注目されている背景にあるのが、介護現場における人手不足があります。高齢化が進むにつれて介護ニーズがどんどん増えている中、労働人口の減少などにより介護の担い手不足は深刻な問題となっています。こうした状況から、介護が必要な方ができるだけ自立した生活を送れるように支援すること、そして介護する側の負担軽減を目指すことが重要であるとされ、日本のロボット技術を活かした介護ロボットの開発が進められるようになったのです。実際の介護現場のニーズに合うロボットを普及させるべく、介護ロボットの開発・導入に向けて様々な取り組みが行われています。
介護に役立つものとして開発が進められている介護ロボットですが、実際の介護現場での普及率はまだまだ低いのが現状です。全国の介護保険サービス事業者を対象とした令和3年度介護労働実態調査の「事業所における介護労働実態調査結果報告書」によると、80.9%が介護ロボットを導入していないという結果がでています。導入率が最も高い「見守り・コミュニケーション(施設型)」のロボットでも2.8%という結果で、介護ロボットの導入率はとても低くなっています。介護ロボットの普及率が伸びない理由として、導入する予算がない、維持や管理が大変、うまく使いこなせるか不安などが挙げられます。介護ロボットを利用したいと考えていても、小型のロボットでも数万円~数十万円、移乗などを支援する大型のロボットにおいては数百万円という費用がかかってしまうため、コスト面で断念せざるを得ない場合もあります。それだけの導入コストをかけ、それに見合う効果が期待できるのかという実用性や安全性への不安を抱き、導入に前向きになれないという意見もあります。現段階では、1台の介護ロボットができることは限られています。介護スタッフに代わって様々な業務を任せようと思うと、多種多様なロボットを上手く組み合わせて利用しなくてはいけません。また、ロボットの使用には、人間が操作しなければならない部分もあるため、うまくロボット機器を扱えるのか、導入後に活用できるのか不安だという声もあります。その他にも、ホスピタリティを重視しているからという理由で介護ロボットの導入をためらう施設もあり、介護ロボットに対する正しい知識や理解が深まっていないことも普及率の低さに影響していると考えられます。
こうした状況もあり、介護ロボットを開発するメーカーへの支援や、介護ロボットの導入促進に向けた補助金制度、介護ロボットの開発から普及までを支援するプラットフォーム事業など、実用化や普及の加速化を目指した取り組みも行われています。今後、高齢化が進み、介護ニーズがさらに高まると、介護ロボットが活躍できる場もどんどん増えていくはずです。コスト面や実用性などの課題が解消され、介護ロボットの普及がどんどん進むことを期待したいものです。
介護支援型は移乗や入浴、排泄など、介護者の身体に負担のかかる業務を支援するためのロボットです。足腰に負担のかかる動作や無理な姿勢による作業などの身体的負担だけでなく、介護者の心理的負担の軽減にも役立ちます。介護される側も、ロボット機器であれば気遣いや遠慮することなく身体を委ねることができるため、介助してもらうことに対する申し訳なさや不安、緊張を感じることも少なくなるでしょう。
自立支援型は歩行や食事など日常生活における動作をサポートし、要介護者が自立した生活を送ることができるように支援するロボットです。例えば、膝に装着するタイプを用いると、これまで膝の痛みによって歩くことが億劫になっていた方でも、歩行時の膝への負担を軽減できて歩きやすくなります。介護ロボットの支援があれば、これまで自力では難しいと感じていたこともできるようになり自立した生活を目指すことができます。できることが増えれば高齢者の自信にもつながり、心理的な負担も軽減できるでしょう。
コミュニケーション型、セキュリティ型は人とコミュニケーションがとれる機能が搭載されているロボットや、センサーを活用して見守りができるロボットなどもあります。
コミュニケーション型は、ただ会話ができるだけでなく、歌やダンスなどのレクリエーション機能が備わっていたり、要介護者の動きを検知して声掛けを行ったりと、種類によっていろいろな機能が搭載されています。
セキュリティ型は、見守りを行い要介護者の様子に異変があれば、検知して介護者にお知らせしてくれる機能などが備わっており、高齢者の転倒予防や認知症の方の徘徊予防に役立ちます。
介護ロボットを導入するにあたり必要となる経費の一部を助成する取り組みとして、介護ロボット導入支援事業があります。介護従事者にかかる負荷の軽減や職場環境の改善、利用者の自立支援を目的にして、介護ロボットの普及を目指して支援を行います。
都道府県ごとに設置されている地域医療介護総合確保基金を利用して、介護ロボットを活用する介護事業所を対象に助成が行われます。新型コロナウイルスの影響などもあり、令和2年度には補助金額や助成対象が拡充されました。
名称などの詳細は都道府県により異なる場合がありますので、事前に確認しておきましょう。
厚生労働省と経済産業省が連携し、介護ロボットの開発・普及の促進のため「ロボット技術の介護利用における重点分野」を特定しています。
重点分野として定められているのは以下の6分野13項目です。
〇装着型
介護者が装着するタイプの機器で、パワーアシストを行います。
〇非装着型
非装着タイプで、抱え上げなど移乗動作のパワーアシストを行う機器です。
〇屋外用
高齢者等の外出をサポートする歩行支援機器です。外出時の歩行をサポートするだけでなく、荷物などを安全に運ぶことができます。
〇屋内用
屋内での移動や立ち座りをサポートする歩行支援機器です。お部屋からトイレまでの移動や、姿勢保持、立ち座りなどの動作を支援します。
〇装着型
高齢者等が装着して使用するタイプの機器です。ロボット技術を用いて、転倒予防や歩行の補助を行います。
〇排泄物処理
設置場所を調整できるトイレで、排泄物の室外への排出、袋に密閉して臭いを漏らさず簡単に処理できるシステムなどが備わっています。
〇トイレ誘導
適切なタイミングでトイレへ誘導できるよう、ロボット技術を用いて排泄を予測します。
〇動作支援
衣服の着脱など、トイレ内での一連の動作をサポートする機器です。
〇施設型
介護施設で使用されるロボット機器で、センサーや外部通信機能が搭載されており、複数の要介護者を同時に見守ることできます。
〇在宅型
在宅介護で使用することを目的としたロボット機器で、転倒検知センサーや外部通信機能が備わっています。
〇生活支援型
コミュニケーションがとれる介護ロボットです。会話や声掛け、見守り機能など、生活を支援する機能が搭載されています。
浴槽の出入りに必要な一連の動作をサポートするロボット機器です。 筋力が低下する高齢者が浴槽を出入りする際、介護ロボットの支援によって転倒リスクを抑制することができます。 介護される方がひとりで使用、もしくは介護する方1名が支援すれば使用できるもので、浴室から浴槽への出入り動作や、浴槽をまたいで湯船に浸かるまでの一連の動作を支援します。
機器を用いれば、少なくとも胸部まで湯に浸かることができます。特別な工事なしで設置が可能で、利用者一人で取り外しや収納・片付けができるので、ご家族が入浴する場合にも邪魔になりません。
ロボット技術を用いて、介護業務に伴う情報を集めます。これを基にデータを分析することで、必要な支援に活用することができます。
介護ロボットの実用化を目指して、主に厚生労働省は、開発と普及に対する数々の取り組みを実施しています。
⒈ 介護ロボット開発加速化事業として
⑴ ニーズに合う介護ロボット開発の方向性について開発企業と介護現場が提案する協議会を設置
⑵ 開発段階の試作機器を介護現場で実証支援
⑶ 介護ロボットを活用した介護技術の開発支援
⑷ 介護ロボット実用化の支援
① 相談窓口の設置 ②開発現場と介護現場とのマッチング支援 ③普及啓発活動: メーカー連絡会議・フォーラム・研修会など
⑸ 介護ロボット活用による介護技術開発支援モデル事業の取りまとめ
⑹ 介護ロボットの事業実態調査の実施
⒉ 補助金・助成金による支援*
⒊ 介護ロボット関連の基準/規格を設定*
*主に経済産業省
▶ 参考
「厚生労働省「介護ロボットの開発・普及の促進」」
令和4年度の介護ロボット導入支援事業では、介護ロボット30万円/台、特に移乗・入浴支援機器は100万円/台が補助されます。補助率は普通50%ですが、介護ソフト・見守り機器・インカム・スマホなどと組み合わせて利用すると最大75%までの補助が受けられます。
Wi-Fi導入にかかる費用も補助対象となり、事業所あたりの補助限度額が定められています。
併せて導入すれば、通常50%のところが75%まで補助されます。
また、スマホ/タブレット/インカムなどを導入した場合は、ICT機器導入支援事業により、事業所の規模にあわせ100万〜260万円の補助があります。基本は50%ですが、LIFE(科学的介護情報システム)を利用して事業所間で連携されていれば、補助率は最大75%です。持ち運びを前提としないパソコンやプリンターは対象外となります。
補助限度額と補助率の各基準で計算して、少ない方が実際の補助金額になります。各自治体によって違いがありますので、詳細を必ず確かめておきましょう。
▶ 参考
「厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)について」」
身体的にも精神的にも負担が大きい介護ですが、介護ロボットの導入によって負担軽減につながります。介助する時は、ベッドから体を起こす、抱きかかえて移動するなど介護者の足腰に負担がかかる動きが多くなりますが、ロボットを活用することでそうした負担を減らすことができます。夜間の見回りが必要な場合も、見守りセンサーなどがあれば要介護者の異変に気づきやすくなり、見回りの回数を減らすことができます。要介護者の状態が気になって睡眠不足に陥りやすい介護者も、安心して就寝できます。
▶ 立ち上がりをサポートし介護者の負担軽減になるベッド
「フランスベッドのマルチポジションベッド」
▶ 療養者の状態と安全を見守り、介助負担を軽減するベッド
「ベッド内蔵見守りケアシステムM-2」
▶ 自動寝返り機能で体位変換を行うベッド
「自動寝返り支援ベッド」
介護してもらうことに対して申し訳ない、恥ずかしいなどと負い目を感じる要介護者も少なくありません。このような場合でも、介護ロボットをうまく活用すれば、そうしたストレスを感じることが少なく済みます。見守りセンサーなどがあれば、自分に何かあったときも誰かが駆けつけてくれると安心でき、これまで不安で眠れなかった方もしっかりと睡眠をとることができるでしょう。また、コミュニケーションロボットを導入することで、コミュニケーション不足の解消にもつながり、癒し効果や認知症予防も期待できます。
▶ 抱くたびに心癒されるセラピー人形
「ヒーリングベイビー たあたん」
介護ロボットの導入で、これまで時間をかけて行っていた作業の減少によって、別の業務を行うための時間の確保など業務の効率化が期待できます。人手不足が深刻な介護現場ですが、業務を効率化することで生産性の向上を目指すことにもつながります。仕事内容がきつそうなどとネガティブなイメージを持たれやすい介護職ですが、介護ロボットにより業務が効率化できれば、そういったイメージも払拭されていき、人員確保につながるかもしれません。
介護ロボットをうまく活用すれば、安定した精神状態を保つ効果も得られるでしょう。
介護ロボットが導入されると、通常の介護を受ける場合よりも、要介護者に与えるストレスを大幅に軽減することができます。介護ロボットが支援をしてくれるおかげで、要介護者が自ら動くことができるため、身体機能の維持が図れます。さらに、介護ロボットの中には、相互コミュニケーションを取れるものもあり、ふれあいや心の癒しにつながる可能性もあります。
要介護者が安心して眠れるのもメリットです。
見守りセンサーなどを含めて介護ロボットを利用することによって、昼夜を問わず、いつも誰かが見守っていてくれる、何かあってもすぐに対応してもらえる、と要介護者が安心感を持つことができるようになります。ストレスが軽減され、落ち着いた気持ちで夜を迎えられるので、スムーズな就寝が可能になります。また、要介護者の睡眠の質自体が大きく改善されます。要介護者が安心して睡眠を取れれば、自然と体調が整いやすくなりますし、そうなることで介護する方の夜間の介護負担も減らすことにつながります。
介護ロボット導入のデメリットとして真っ先に挙げられるのが、導入コストが高いという点でしょう。介護ロボットの普及率が低いことから生産量が少なく、単価が高くなっています。介護ロボットの購入費やレンタル費だけでなく、維持費もかかることを考えると、介護ロボットを導入したくても予算がなく、利用を断念してしまうご家庭や施設も多いようです。介護ロボットの普及率が高まり、大量生産されるようになれば、今後このような問題も解消されることが期待できます。
介護ロボットは、小型から大型のものまでありますが、移乗などを支援するロボットは大型のものが多く、設置スペースを確保する必要があります。ご家庭や小規模の施設などでは使用したくても、設置スペースの確保ができない場合もあります。
介護ロボットを安全に使用するには、搭載されている機能や操作方法をきちんと理解しておく必要があります。操作に慣れるまでは、操作方法の習得や実践練習のための時間を確保しなければならず、一時的に介護スタッフの負担になってしまいます。思っていたよりも操作が難しく、うまく使用できるかと不安を抱くスタッフが出てくる可能性もあります。
介護ロボットの導入率を高めるためには、介護現場のニーズに応じた実用性の高いロボットの開発を進めていく必要があります。開発者が高い技術を用いてたくさんの機能を搭載したとしても、それを利用者が実際の介護現場でうまく活用できなければ意味がありません。開発者は、実際の介護現場でのニーズを把握して実用的なロボットの開発を目指し、利用者は、介護ロボットに対する正しい知識や活用方法を理解する必要があります。こうした両者のミスマッチをなくしていくことが、介護ロボット導入に向けた大切な取り組みとなるでしょう。
フランスベッドでも少しずつではありますが介護負担を軽減するための介護ロボット技術の利用がはじまっています。
▶ 立ち上がりをサポートし介護者の負担軽減になるベッド
「フランスベッドのマルチポジションベッド」
▶ 自動寝返り機能で体位変換を行うベッド
「自動寝返り支援ベッド」
▶ 抱くたびに心癒されるセラピー人形
「ヒーリングベイビー たあたん」
▶ 療養者の状態と安全を見守り、介助負担を軽減するベッド
「ベッド内蔵見守りケアシステムM-2」
▶ 自動寝返り機能で体位変換を行うベッド
「自動寝返り支援ベッド FB-640A」
高齢者の自立支援や介護者の負担軽減につながる介護ロボットですが、まだまだ普及率が低いのが現状です。実際の介護現場のニーズに適した介護ロボットの開発が促進されれば、活用事例も増えていき、ロボットを導入しやすくなっていくでしょう。これからどんどん介護ロボットの普及が進み、介護ロボットを使うのが当たり前となる未来も近いかもしれません。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
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