この記事の監修者
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フランスベッド
メディカル営業推進課
課長 佐藤啓太福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具プランナー、
社会福祉主事任用資格、知的障害者福祉司任用資格、児童指導員任用資格、
可搬型階段昇降機安全指導員、スリープアドバイザー
高齢者の転倒は大きなけがにつながるなど非常に危険です。転倒をなるべく防ぐために、転ぶ原因や転びやすい場所、予防グッズをご紹介します。
2022年9月30日
高齢者が転倒すると、骨折や頭部外傷などの大きなけがを招きやすくなります。転倒によるけがが原因となって介護が必要な状態になることもあります。
内閣府が公表している「令和3年版高齢社会白書(全体版)」によると、介護が必要になった主な原因として、1番多いのが認知症で18.1%、ついで脳血管疾患(脳卒中)が15.0%、3番目が高齢による衰弱で13.3%、そして骨折・転倒は4番目で全体の13.0%を占めています。
若い時なら軽いけがで済む程度の転倒でも、高齢者の場合は大事故になる可能性があります。若い時に比べて回復までに時間がかかるため、安静にしている期間が長くなる傾向にあります。その間に体力や筋力が衰えて、そのまま寝たきり状態になってしまうことも少なくありません。
けがをせずに済んだとしても、転倒したことで自信を失くす、歩くことへの恐怖心が生まれるなどで体を動かす機会が減ることがあります。このような状態が長く続けば、筋力の衰えだけでなく、内臓がうまく機能しないなど、心身機能の低下につながる恐れもあります。
転倒の危険性を理解し、転倒防止に向けてきちんと対策しておくことでこのような事態にならないようにすることが大切です。
高齢者が転倒しやすくなる要因は、主に以下の4つがあげられます。
視力の低下など加齢による身体機能の低下。感覚の鈍化による注意力の低下など身体状況の変化も転倒の要因となるので注意しましょう。
高齢になると徐々に、筋力や身体機能が低下しバランスを崩しやすくなります。瞬発力や柔軟性なども衰えるため転倒しやすくなるのです。加齢とともに本人が思っている動作と実際の動作に差が生まれ、思ったとおりに動けず転倒してしまうこともあります。
とっさの反応や、スムーズな動きもが難しくなり、ひとつひとつの動作に時間がかかってしまいます。このような状況で焦りや緊張が生まれ、注意力が低下し、転倒してしまう恐れもあります。
パーキンソン病や脳卒中などの病気や、服薬している薬の影響で転倒しやすくなる場合があります。薬にはなにかしらの副作用がある場合がほとんどで、ふらつきや立ちくらみなどの副作用が現れることもあります。高齢者は複数の薬を飲んでいることが多く、体調に変化があってもなかなか口に出さないこともありますので、周囲がよく観察するようにしましょう。 薬の副作用が転倒の原因になることを知らない方も多いです。知識のひとつとして覚えておきましょう。
運動不足も転倒を引き起こす要因のひとつです。体を動かす機会が減ると、運動機能や感覚機能が衰えて転倒するリスクが高まります。例えば、関節痛や麻痺などで動く意欲をなくした方がそのまま体を動かさずにいると、関節の動きが鈍くなり、筋力も弱まっていくなどして体が思うように動かなくなります。こうなると外出や運動がますます億劫になるため、さらに体を動かす機会が減るという悪循環に陥ってしまいます。
日頃からこまめに体を動かし、身体機能の維持・向上を目指すことが転倒を予防するために大切です。
生活環境が要因となり転倒することもあります。住み慣れた自宅であってもわずかな段差につまずく、濡れた床で足をすべらせる、置いてある物につまずくなど転倒するリスクはたくさん潜んでいます。手すりやスロープの設置など、本人の身体状況に合わせた生活環境に整備することも転倒予防において重要となります。
【1.リビング】
<転倒の原因>
・電気コードに足をひっかける。
・カーペットやこたつ布団につまずく。
・床に置いていた雑誌や新聞紙の上で足をすべらせる。
<対策ポイント>
・電気コードは壁に沿わせるなど、動線の邪魔にならないようにする。
・めくれやすいカーペットの下にはすべり止めを敷いておく。
・つまずきやすいカーペットやこたつ布団の使用は控える。
・床には物を置かず、整理整頓された部屋をキープする。
【2.玄関】
<転倒の原因>
・靴を着脱する際にバランスを崩す。
・玄関マットですべる、つまずく。
・上がりかまちなどの段差を踏み外す。
<対策ポイント>
・手すりを設置する。
・椅子に座って靴の着脱をする。
・玄関マットを使用する場合は、下にすべり止めを敷く。
・高さのある上がりかまちには、踏み台を設置する。
【3.階段・廊下】
<転倒の原因>
・階段や廊下の素材がつるつるすべりやすい。
・スリッパを履いたままで踏ん張りにくい。
・足元が暗くてよく見えない。
<対策ポイント>
・手すりを設置する。
・階段にすべり止めを付ける。
・廊下はすべりにくい床材にする。
・すべりやすい靴下やスリッパの使用は控える。
・足元を明るく照らす。
【4.寝室】
<転倒の原因>
・ベッドから転落してしまう。
・夜間にトイレへ行こうとするなど、高齢者がひとりでベッドから降りようとする。
<対策ポイント>
・ベッドの片側を壁につけるように配置する。
・ベッドガードなどの転落防止グッズを使用する 。
・万が一の転落に備えて、低床ベッドを使用する。
【5.浴室】
<転倒の原因>
・濡れた床で足をすべらせる。
・浴槽の出入りでバランスを崩す。
<対策ポイント>
・手すりを設置する。
・すべりにくい床材に変更するまたはすべり止めマットを使用する。
・高い段差がある場合は、踏み台やスロープなどを使用する。
【1.店舗】
入り口の段差やマットにつまずく、雨の日に濡れた床ですべるなど、転倒につながるリスクは外出先にもたくさんあります。買い物中は商品に気を取られて足元や周囲の危険に気づかないことが多いため特に注意が必要です。
【2.道路・駐車場】
側溝やわずかな段差につまずくことや足を踏み外してしまうことがあります。雨の日にはマンホールのふたがすべりやすくなりますので避けて通るようにしましょう。駐車場では車止めにつまずいて転倒してしまうことが多いため、足元に注意しながら移動しましょう。
骨の強さを表す骨強度が低下すると骨折しやすくなります。骨がスカスカになってもろくなる骨粗しょう症になれば、わずかな衝撃でも骨折してしまう可能性が高くなり転倒して大けがをするリスクも高まります。このようにならないために丈夫な骨を維持することが大切です。骨の健康は、食生活がポイントです。骨を構成するのに重要なカルシウムを十分に摂取し、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。
下半身の筋肉を維持するためのトレーニングや体操は、転倒予防に効果的です。簡単にできるトレーニングを紹介します。
【自宅でも簡単にできるトレーニング】
<ヒールレイズ>
両足で立った状態でかかとを上げ、ゆっくりかかとを下ろす動作を繰り返します。立位や歩行が不安定な方は、椅子の背もたれなどをつかんで行うとよいでしょう。レベルを上げたい方は、壁に手をつくなどして片足だけでチャレンジしてみましょう。
<フロントランジ>
立ったまま両手で腰をつかみ、片足をゆっくりと大きく前に踏み出します。太ももが水平になるくらいまで腰を深く下げ、身体を上げて踏み出した足を元に戻します。
転倒リスクを軽減し安全で快適に過ごせる生活環境を整えましょう。床に物を置かないようにする、電気コードを壁に沿わせるなど、転倒の要因になるものをなるべくなくすようにしましょう。段差やすべりやすい床などの転倒リスクが高い場所は、住宅改修・介護リフォームも検討しましょう。要介護認定を受けている方は、介護保険を利用して住宅改修・介護リフォームを行うことができます。
―フランスベッドの住宅改修について、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください―
▶ 「フランスベッド 住宅改修」
脱げやすい靴や、サイズが合っていない靴を履いていると転倒しやすくなります。つま先が少し上がっているデザインの靴や、足の形に合わせやすいマジックテープ付きの靴など、転倒防止につながる靴を選ぶようにしましょう。歩行を安定させるために、杖などの介護用品を利用するのもよいでしょう。
フランスベッドでは手すり、靴、杖、踏み台、スロープなど転倒防止のための様々な介護用品・福祉用具を取り扱っております。福祉用具専門の資格を持った相談員が、お客様のご要望にあった最適な製品をご提案します。お気軽にご相談ください。
高齢者の転倒は大けがにつながりやすく、寝たきり状態になってしまう危険性もあります。高齢者の方は転倒予防のために、日頃から体を動かすようにして、身体機能の維持を目指しましょう。周囲の方は高齢者の身体状況や生活環境に注意を向け、転倒予防に向けた対策をしてください。
フランスベッドは、日本で初めて療養ベッドのレンタルを始めたパイオニアとして40年以上にわたり介護用品・福祉用具のレンタル事業で選ばれ続けてきました。
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