介護耳より情報2026年8月号(Vol.203)

編集協力:シルバー産業新聞社

27年度改定へ 
小多機 医療連携 
地域拠点機能が焦点

5月25日の介護給付費分科会で、2027年度介護報酬改定に向けた各論がスタートした。初回は、地域包括ケアの受け皿として期待される地域密着型サービスが議題となった。人材確保、利用者確保、医療・看取り対応、地域偏在、加算体系の複雑化などが課題に挙がった。委員からは、柔軟なサービス提供を支える報酬評価や、本人・家族が安心して利用できる継続的な支援の仕組みを求める意見が相次いだ。(表は、小多機、看多機=看護小規模多機能型居宅介護、認知症共同生活介護=認知症グループホームの事業状況)。
小多機(小規模多機能型居宅介護)は、「通い」を中心に「訪問」「泊まり」を組み合わせ、中重度になっても在宅生活を続けられるよう支えるサービス。登録定員は29人以下で、報酬は要介護度別の月単位定額制。平均利用回数は月当たり、通い14.8回、訪問17.4回、泊まり6.0回で、訪問・泊まりを含めた柔軟な支援を行っている。
請求事業所数は、26年1月時点で5,247事業所(前年同月比2.5%減)。19年度以降は横ばいで推移してきたが、直近3年は連続して減少した。受給者数も11.1万人(同2.1%減)で、21年3月をピークに減少傾向にある。要介護3~5が42.9%、独居が約46%、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上が約37%を占める。収支差率は22年度3.5%、23年度5.2%、24年度6.0%で推移している。
この日、国は論点として、「人材確保や利用者確保に困難を感じる事業所がある中で、小多機のサービス提供体制をどう確保するか」「中重度となっても在宅生活を継続するための受け皿としての役割や評価をどう考えるか」「算定率の低い加算や高い加算の整理をどう進めるか」などを示した。
委員からは、「小多機は在宅支援に重要なサービス。地域の実情に応じた柔軟な人員基準の検討を求める」(自治体)、「登録者が一定数に達しないと経営が難しい。利用者が増えるまではサテライト型に近い基準を適用する緩和策を」(居宅介護支援専門員協会)、「ケアマネジャーの交代は負担が大きい」(認知症の人と家族の会)などの声が上がった。

看多機や認知症GHに関する委員の発言では、「看取り期などで通いが難しくなった利用者が入浴を希望する場合、事業所の設備では機械浴に対応できず、外部の訪問入浴介護を事業所負担で利用している実態がある」(日本看護協会)、「中山間地域では医療圏が広く、近隣に協力医療機関が少ない可能性がある」(日本介護支援専門員協会)、「地域密着型サービスは、地域コミュニティの中核として、利用者本人だけでなく家族や地域全体を支える役割を果たす必要がある」(日本介護福祉士会)などの声があった。

「人員基準欠如減算」
最長3カ月の猶予特例
 「やむを得ない事情」がある場合

6月1日から「人員基準欠如減算の猶予特例」の適用が始まった。「やむを得ない事情における人員欠如に係る特例的な取扱い」は、突発的で想定困難な事象によって人員欠如が生じた場合、一定の条件付きで最長3カ月間の減算適用猶予を認める措置。対象となる事象には、職員や家族の突発的な体調不良等により1カ月を超える不在が見込まれる場合、自己都合による急な離職が複数重なった場合などが挙げられる。1割の範囲内の欠如の場合、通常は発生の翌々月から減算となるが、要件を満たせば発生月の翌々月まで猶予され、発生月を含め最長3カ月間は減算なしで運営できる。
この特例の適用を受けるには、一定の要件を満たす必要がある。具体的には▽ハローワークや福祉人材センター等の無料職業紹介事業を活用して職員の確保に取り組んでいること▽民間職業紹介事業者を利用する場合は、医療・介護・保育分野における「適正な有料職業紹介事業者認定制度」による適正認定事業者を含めること▽一部の職員へ過度な業務負担とならないよう、適正な労働時間管理を行い、体制の整備を図ること――などが求められる。職員確保に取り組んでいる場合に限った取扱いとしている。
さらに事業者は、報告時点で有効な求人票の写しを添付した届出書を、人員欠如が発生した月の翌月までに指定権者へ提出しなければならない。特例適用は1年に1回に限られ、介護・看護職員が必要人員数から1割を超えて減少した場合は対象外となる。通常通り、翌月から減算が適用される点に注意が必要だ。

国は人員の最適基準を厳格に運用する一方で、「やむを得ない事情」がある場合に最長3カ月間の減算猶予を認める要件を示したのが、今回。そのうえで、生産性と成果で評価する加算を設定する。

留学生過半数 
介護福祉士養成校入学者
国内新卒は3,000人割れ

日本介護福祉士養成施設協会(澤田豊会長)の調査によると、2025年度の会員養成施設における入学者のうち、外国人留学生の割合が初めて過半数を占めた。日本人学生の減少に歯止めがかからない中、養成校と介護現場は外国人への依存度を強めている。
同協会がまとめた直近4年間(21~25年度)の会員養成施設の入学状況をみると、募集停止校を含む養成施設(課程)数は327から272へと減少。全体の入学者数は25年度で7,356人と回復傾向にあるが、その内訳は大きく変化している。
日本人学生の大半を占める「新卒者等」は21年度の4,288人から減少し続け、25年度には3,000人台を割り込んで過去最少水準となった。一方、外国人留学生は4年間で2,189人から4,074人へ急増。入学者に占める留学生の割合は55.4%に達し、初めて過半数を占めた。
留学生の内訳を国籍別にみると、最近はネパール(1,899人)、ミャンマー(747人)の急伸が際立つ一方、かつて主流を占めたベトナムは490人に減少している。
27年度卒から「5年以内の合格」必須へ
こうした中、国会に上程中の社会福祉法等改正案には、社会福祉士及び介護福祉士法の見直しが盛り込まれている。
現行制度では、26年度卒業者までを対象に「国家試験に不合格であっても卒業後5年間は暫定的に資格を付与し、その間に5年間介護実務に従事すれば6年目以降も資格を継続できる」とされている。
改正案では、深刻な人手不足への対応として、卒業後5年間の暫定的な資格付与を31 年度卒業者まで延長する一方、5年間現場に従事すれば試験を経ずに資格を継続できる規定は、当初の予定通り26年度卒業者で終了とする。
これにより、27年度以降の卒業生は、5年以内に国家試験に合格しなければ介護福祉士の資格を喪失することになる。なお、不合格となった場合でも在留資格を「特定技能」へ変更すれば、現場での就労継続は可能だ。

改正法案が成立すると、卒業後5年間の暫定的な資格付与は31年度卒業者まで延長される一方、その間に国家試験に合格しなければ、介護福祉士としては仕事を続けることができなくなる。

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