27年度改定 地域区分の
「激変緩和」が焦点に
公務員地域手当改定で
厚労省は8月5日の社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=岩村正彦・東京大学名誉教授)で、2027年度介護報酬改定に向けた「地域区分」の見直しに関する議論を開始した。地域区分が原則準拠する公務員の地域手当は、24年の人事院勧告を受けて大幅に見直され、国家公務員では支給地域を従来の市町村単位から都道府県単位を基本とする仕組みに広域化し、級地区分も7区分から5区分へ再編された。これを介護報酬に反映すると、地域によって報酬単価が大きく変動する可能性がある。委員からは、事業運営や人材確保、保険料への影響を懸念し、急激な変化を避けるよう慎重な対応を求める声が上がった。
新たな公務員地域手当では、現在の介護報酬で5級地(10%)の茨城県つくば市は2級地(16%)、4級地(12%)の神戸市や埼玉県朝霞市は4級地(8%)に位置づけられている。これを介護報酬の地域区分に機械的に反映すれば、つくば市は6ポイント上昇する一方、神戸市や朝霞市は4ポイント低下することになる。
他にも新たな地域手当を介護報酬へ機械的に反映した場合、地域手当の対象となる1都2府13県では、現在、介護報酬上「その他(0%)」となっている自治体も4%以上となる。東京都では地域手当上、特別区が20%、それ以外の市町村は原則16%となるなど、現行の介護報酬の地域区分にそのまま置き換えれば、全国各地で大きな変動が生じる。
介護報酬における地域区分は、人件費などの地域差を報酬に反映させるため、1単位当たりの単価を10円~11.40円の範囲で設定する仕組み。原則として、公務員(国家・地方)の地域手当の区分に準拠して設定されている。
24年の人事院勧告では、国家公務員の地域手当の支給地域を広域化した。都道府県単位で級地を設定することを基本とし、都道府県庁所在地や人口20万人以上の市については、その地域の民間賃金を反映して個別に設定する。あわせて、従来の7区分を5区分に再編した。
分科会では、とりわけ地域区分の引き下げによる経営への影響に配慮を求める意見が出た。全国老人福祉施設協議会副会長の小泉立志委員は、「厳しい経営環境の中で地域区分が大幅に引き下げられれば施設経営への影響が大きい」として、急激な減収を緩和する措置の継続などを求めた。
「生活関連情報」に見守り・配食など
介護サービス情報公表制度で
厚労省は8月14日、介護サービス情報公表制度の「生活関連情報」について、自治体が公表する対象や項目を改めて示した。生活関連情報は従来からある仕組みで、新制度の創設ではない。対象は、見守り・安否確認、配食、家事援助、通いの場、介護者支援、外出支援など。スーパーによる食材配達やコンビニの配食、新聞販売所による見守りといった介護保険外サービスのほか、総合事業の訪問型・通所型サービスなども含む。公表項目は、活動主体の名称・所在地、実施日時、実施区域、サービス内容・利用料などで、地域の実情に応じて市町村が追加できる。
新設「登録施設介護支援」
基準・報酬を議論
ケアマネ負担増に懸念
6月に公布された「社会福祉法等の一部を改正する法律」では、中重度の要介護者など、特に入居者保護の必要性が高い人を入居対象とする有料老人ホームへの登録制導入とともに、新たな相談支援類型「登録施設介護(予防)支援」の創設が盛り込まれた。同サービスでは、登録施設介護(予防)支援事業者がホームと対等な立場でケアプランを作成し、「地域生活相談」(地域活動等への参加支援)も一体的に提供する。
「介護付きホーム」等との均衡を図る観点から、原則1割(一定以上の所得者は2~3割)の利用者負担を導入する。当面、既存の居宅介護支援(介護予防支援)事業所は、経過措置として登録施設介護(予防) 支援事業所とみなされる。登録施設介護(予防)支援の施行日は、法律の公布から3年以内に政令で定める。
もう一つの争点が、高齢者住まいの入居者に提供する訪問介護などの居宅サービス報酬のあり方だ。現行制度では、訪問系・通所系サービスなどで、事業所利用者のうち一定割合以上が同一建物等の居住者である場合などに「同一建物減算」が設けられている。
分科会では、併設・隣接事業所の利用が多いケースなどについて、支払側委員からさらなる適正化を求める意見が出た一方、事業者・職能団体側からは、利用者の状態に応じたサービスを適切に評価することや、地域のサービス基盤を維持する観点から慎重な検討を求める意見が出た。今後、いわゆる「囲い込み」への対応と、必要なサービス提供をどう両立させるかが焦点となる。
どこまでを地域生活相談の業務とするのか、ケアマネジャーとの兼務や人員配置、報酬をどう設定するのかが今後の焦点となる。
2024年度介護保険事業状況報告
給付費11兆1,826億円、3.3%増
厚生労働省がまとめた24年度介護保険事業状況報告によると、年度末の第1号被保険者は3,584万人で、前年度から5万人、0.1%減少した。一方、要介護・要支援認定者は721万人と12万人(1.8%)増え、サービス受給者も月平均620万人と12万人(1.9%)増加した。
第1号被保険者全体の認定率は19.4%から19.7%へ0.3ポイント上昇した。
認定者の要介護度別構成をみると、要支援1は14.4%から14.7%、要支援2は14.1%から14.3%へそれぞれ上昇し、要介護5は8.3%から8.0%へ低下した。構成比はわずかに軽度側へ動いた。
給付費も増加した。介護給付・予防給付の費用額は11兆7,186億円から12兆952億円へ3,766億円、3.2%増。利用者負担を除く給付費は10兆8,263億円から11兆1,826億円へ3.3%増えた。第1号被保険者1人当たりの給付費は30万2,000円から31万2,000円へ3.4%増加した。
また、第1号被保険者の保険料収納額は2兆4,320億円から2兆5,862億円へ6.3%増加した。収納率は99.4%で、前年と同水準だった。普通徴収(納付書や口座振替などによる納付)に限ると93.8%から94.5%へ改善した。介護給付費準備基金は年度末で1兆1,054億円となり、前年から296億円増加した。
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