介護耳より情報2026年1月号(Vol.196)

編集協力:シルバー産業新聞社

特養における食事サービス1人1,787円
基準費用額1,445円を大きく上回る

全国老人福祉施設協議会(大山知子会長)は9月16日~10月3日、特養902施設の(管理)栄養士を対象に食費に関するWeb調査を行った。結果、25年6月の利用者1人あたり食費は1,787円(うち給食材料費972円、調理員人件費814円)となり、前年同月比87円増加した。契約により定める利用者負担(第4段階)は平均1,561円で、定員80人規模では年間約1,000万円の赤字となることが分かった。
食材費高騰に対し、安価な食材への変更、仕入れ方法の工夫、職員ロス削減、ふりかけやおやつの廃止など、施設側は対応しているが限界がある。24年改定では「経営実態調査の結果、食材費の支出は全体として大きく伸びていない」として見送られた経緯がある。

老施協は「食事摂取基準に応じた提供が難しい」「利用者から『物足りない』『お金を払っても質を上げてほしい』との声がある」とし、調査では77.1%の特養が「これ以上、質を維持する工夫の余地はない」と回答している。10月24日、高市早苗首相は所信表明で、医療・介護の物価高対策として「報酬改定前に支援実施」の考えを示した。

地域差を踏まえた各地の人材確保の取組
都道府県がプラットフォーム構築へ

11月10日の社会保障審議会福祉部会・福祉人材確保専門委員会で、介護人材確保に向け、自治体・ハローワーク・福祉人材センター・介護事業者・養成校など地域関係者が実践的課題に取り組む「プラットフォーム」を組織する方針が示された。主体は都道府県である。
課題は、介護職員の処遇改善、多様な人材の確保・育成、離職防止・定着支援・生産性向上、介護職の魅力向上、外国人材の受入環境整備など。地域の課題に応じたプロジェクトチームを設置し、福祉人材センターがコーディネーターとして中核機能を担う。

現任介護福祉士にも届出の努力義務を課すことで、地域内の人材実態の把握とキャリア支援につなげる仕組みへ発展させる狙いがある。

インフルエンザ流行期に

国は11月3日~9日の1医療機関あたりインフルエンザ様疾患報告が21.8件に達したと発表した。患者数は7万6,846件で、10~11月にかけて2.3件→3.2件→6.2件→14.9件と急増。前年同期(患者数1,871人、報告数1.0件)を大きく上回った。ワクチン効果について国は「65歳以上の高齢者福祉施設の入所者では34~55%の発病阻止、82%の死亡阻止効果があったとされる。現行ワクチンは接種しても絶対に感染しないものではない」と説明している。

国は感染症予防の原則として「必要な防護」「早めの予防・処置」「正しい知識」の3点を掲げる。予防法として、流行前のワクチン接種、手洗い・手指衛生、咳エチケット、適度な湿度、十分な休養・栄養、不要な人混みを避けることを示している。

26年度介護報酬の期中改定 実施へ
総合経済対策「医療・介護支援パッケージ」

高市内閣は11月21日、総合経済対策をまとめ、医療・介護・福祉サービスを地域の生活環境を支える基幹産業に位置づけ、物価高騰に対応するため、2026年度に介護報酬の期中改定を行う「医療・介護等支援パッケージ」の緊急措置を講じると発表した。今年度補正予算による経済対策として、介護従事者への月1万円支給や病院の建て替え等の経営安定化策の実施も示した。
経済対策として盛り込まれた『介護従事者全般への月1万円・半年分の支給』については、ケアマネジャーやリハビリ職も対象とする方針だ。あわせて、医療機関の従事者に対しても、半年分でプラス3%の賃上げを実施する。一方、26年度の介護報酬期中改定については、さらなる処遇改善の具体的な手法や処遇改善加算の対象範囲拡大などを検討し、年内に結論を得る。
同パッケージの施策例として、〇医療、介護、障がい福祉分野のおける物価上昇・賃上げ、〇同分野の生産性向上と職場環境改善、〇福祉医療機構(WAM)による優遇融資と資本性劣後ローン創設、〇訪問介護等サービス提供体制確保支援事業、〇地域のケアマネジメント提供体制確保支援事業、〇病床数の適正化に関する支援、〇医師偏在是正総合対策、〇中央ナースセンター事業、〇医療、介護等の人材不足分野におけるハローワークでのマッチング支援などが示された。
同日開催の介護給付費分科会において、国は、「骨太の方針2025の記載通り、医療介護障がいの経営の安定や幅広い職種の賃上げ、特に介護分野職員の多職種と遜色のない処遇改善に向けて緊急的に対応する必要がある」と説明した。

国は、「医療機関・介護施設は国民の命と暮らし守るための基幹産業として、人材流出を防ぐため」と、理由を説明する。

住宅型有料ホーム 「登録制」や基準法定化を提言

厚生労働省の「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方検討会」は10月31日、サービスの質確保と運営の透明化に向けた「とりまとめ案」を公表した。現行の届出制を、特に入居者保護の必要性が高いホームについて「登録制」へ移行することを検討するほか、職員配置基準の法定化や「囲い込み」対策の強化などを盛り込んだ。
入居者保護の強化として、行政の関与を強める「登録制」による事前規制の導入を検討。対象は、中重度の要介護者や医療的ケアを要する高齢者など、安全確保の必要性が高いホームを想定する。
指導監督の実効性を高めるため、現行の「標準指導指針」を老人福祉法に基づく基準として法定化し、都道府県が事業開始前・開始後を問わず効果的に対応できるようにする。人員基準では、入居者の介護・医療ニーズ、夜間対応を踏まえた体制整備を求め、設備基準では1人あたり床面積13㎡以上などハード面の規定を盛り込む。
また、ホームと資本・提携関係にある居宅介護支援事業所の利用を入居条件とすることや、かかりつけ医・ケアマネジャーの変更を強要する行為を禁止するなど囲い込み対策を強化する。実態として重度者が多く入居する住宅型については、介護付き(特定施設入居者生活介護)への移行促進を提言した。

今後、このとりまとめ案を基に制度設計が進む見通しである。事業者にとっては、基準の法定化や登録制移行により、人員確保や設備改修などの新たな対応が必要となる。一方で、制度全体としての信頼性向上が期待される。

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