介護耳より情報2025年3月号(Vol.186)

編集協力:シルバー産業新聞社

認知症施策推進基本計画
国や自治体に施策推進義務 「新しい認知症観」

政府は12月3日、認知症基本法(24年1月施行)に基づく認知症施策の基本計画を策定した。この基本計画を踏まえて都道府県は推進計画の策定を行う。
2022年の日本の認知症高齢者数は約440 万人、軽度認知障害(MCI)の高齢者数は約559 万人と推計。高齢者の約3.6人に1人が認知症または予備軍とされる。
基本計画は、共生社会の実現を目指して、認知症の人本人の声を尊重する「新しい認知症観」に基づき施策を推進する。「新しい認知症観」「自分ごととして考える」「認知症の人等の参画・対話」「多様な主体の連携・協働」──の4つの重点目標を設定する。

認知症施策は、共生と予防の車の両輪で取り組む。介護保険法24年改正では、高齢者虐待防止の推進を位置付けている。

介護職員等処遇改善加算 職場環境等要件 
来年度中は誓約で可

厚生労働省は、今年4月から厳格化される介護職員等処遇改善加算の要件などについて、加算算定の阻害要因とならないように弾力化を図る。12月23日の社会保障審議会介護給付費分科会で提案し、了承された。
同加算では、賃金改善要件とキャリアパス要件に加え、職場環境改善の取組みの実施を求める「職場環境等要件」が設けられている。この職場環境等要件が、今年4月から厳格化され、取組みの内容を一部見直した上で、①入職促進に向けた取組み ②資質の向上やキャリアアップに向けた支援 ③両立支援・多様な働き方の推進 ④腰痛を含む心身の健康管理 ⑤生産性向上のための業務改善の取組み ⑥やりがい・働きがいの醸成――の全6区分において、これまでよりも取組みの数を増やさなければ現行通りの算定ができなくなる予定だった。
この厳格化について、通知改正を行い、2025年度中に要件を満たす環境整備を行うと誓約することで、職場環境等要件を満たしたものと認める。また今年度の補正予算で実施する「介護人材確保・職場環境改善等事業」を申請した場合にも、25年度は職場環境等要件を満たす。ほかにも、昇給の仕組みや賃金体系等の整備、研修の実施(キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲ)なども、25年度中まで誓約で可とした。

国は、介護現場で働く職員の給与について、24年度に2.5%、26年度に2.0%のベースアップに繋がるよう、処遇改善加算を一本化するとともに加算率を引き上げている。人材確保のための環境整備を推進させつつも、現場の過度な負担増にならないよう、慎重な舵取りが行われている。

医療・福祉で入職者上回るも入職者・離職者ともに減少 
24年上半期雇用動向調査

厚労省が発表した24年上半期の雇用動向調査の結果では、全産業で入職率9.0%、離職率8. 4% 、入職超過率は0. 6ポイントで前年同期より0.4ポイント縮小した。その中で、医療・福祉は、入職率9. 3%(76.2万人)、離職率8.6%(71.0万人) で0.7ポイントの入職超過(同0.6ポイント縮小)となった。入職者は3.2万人減少し、離職者も2.0万人減少した。

22年度に福祉職の離職者数が入職者数を上回ったが、その後は入職者数が上回る状況が続いている。介護職員処遇改善加算の拡充など賃金アップが功を奏している可能性はある。この状況が続いてほしい。

訪問介護 24年6月サービス 対前年同月 
受給者数+0.5% 給付費+3.4%

厚労省の介護保険事業状況報告(24 年8月)によると、24年6月サービス分の訪問介護は、受給者数が106 .0万人( 前年同月比+0.5% )、給付費は867.5億円(同+3.4%)となり、基本報酬の引き下げがあった状況で、1人当たり費用は8万1,816 円( 同+2.8% )に上昇した。
訪問介護の24年報酬改定は、「身体介護30分以上1時間未満」が387単位( 改定前396単位、▲2.23% )、「生活援助45分以上」220単位(改定前225単位、▲2.23%)など、マイナス改定となり、ホームヘルパー不足の中での改定による影響が懸念されていた。受給者数の前年同月比は、24年4月で▲0.8%と減じたが、同5月には+1.1%と伸び、6月も+0.5% の増加になった。
しかし、同じく給付費(1 人費用)は、24 年4月は+2.0%( 前年同月比+2.8% )、5月は +4.7%( 同+3.6% )、6月は+3.3%( 同+2.9% ) と、マイナス改定だったにもかかわらず、給付費と1人費用はともにプラスとなった。なお、24年6月には、処遇改善加算の一本化が実施され、その分も費用に含まれている。

訪問介護の事業性は、個々の事業所による格差があり、地域展開型か居住系施設併設型かによる差や、過疎地での展開など、平均値だけで読み取るのは難しい。介護現場では、自立支援に向けて、生活援助を単価の高い身体介護に切り換えるなどの取り組みも進んでいる。

要介護認定の審査期間 今年度中に保険者ごとに公表

厚生労働省は今年度より、都道府県や市区町村ごとに要介護認定に要している審査期間を公表する。保険者別の認定審査期間を公表することで、認定期間を短縮する取組みを促したい考えだ。
介護保険法では、保険者である市区町村は、申請を受けてから原則30日以内に認定を行わなければならないと規定している。しかし、高齢化の進展などを背景として認定までにかかる平均日数は40.2日と、30日を超える状況が全国的に常態化している。
同省は認定審査期間が30日以内となるよう、認定調査の調整・実施や主治医意見書の依頼・受領、認定審査会の準備・実施といった、各段階における目安となる期間も設定する。

市区町村への調査で、保険者が主治医へ意見書を依頼して受領するまでの期間は、平均17.8日。今年6月の政府「2024年規制改革実施計画」で、今年度中に「要介護認定の全国集計、都道府県別、保険者別に毎年度、厚生労働省ホームページにおいて公表する」と明記。介護保険部会でも、委員から「医師意見書の項目や記載方法もより簡略化すべき」といった意見が多く寄せられた。

補正予算成立
 介護職等への一時金や職場改善経費に充当
 806億円

政府の総合経済対策の裏付けとなる24年度補正予算が成立した。人手不足や物価高騰などで苦しむ介護現場への補助金として、常勤介護職員1人当たり5.4万円の一時金を支給できる規模として806億円を計上。対象は、今年度の報酬改定で一本化された処遇改善加算取得の事業所・施設のため、居宅介護支援や福祉用具貸与は対象外となる。
事業の具体的な内容は今後になるが、手続きは、介護事業所から都道府県に、「介護人材確保・職場環境改善等事業」計画書を提出し交付決定を受ける。介護職員等の人件費や職場環境改善等の経費に充当する。

一時金支給や職場改善の機器導入などによって、介護職員の確保や定着につなげるねらい。介護職員以外の職員を一時金の対象にすることや、介護助手等の募集や研修の費用などにも使えるなど使途は幅広い。

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