介護耳より情報2025年12月号(Vol.195)

編集協力:シルバー産業新聞社

ケアマネ資格取得要件見直しなど検討
専門職範囲拡大 実務経験3年

厚生労働省は10月27日の介護保険部会で、「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」として、質の高いケアマネジメント推進に向けた見直し案を示した。主なポイントは、①ケアマネジャーの資格取得要件の見直し、②業務の整理、③更新制・法定研修の見直し、④主任ケアマネジャーの位置づけの明確化――の4点である。
まず、資格取得要件の見直しでは、人材確保の観点から受験対象となる国家資格を拡大する。診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士、公認心理師の5職種を新たに受験資格として認める方針を示した。また、現行で5年必要な実務経験年数について、3年への短縮を検討するとした。

次に、法定業務のうちケアプラン作成業務については、ケアプランデータ連携システム等のICT活用により効率化をさらに進める。生産性向上や適切な業務分担を実現するための環境整備を図る。一方、身寄りのない高齢者などへの対応として行われている法定外業務(いわゆるシャドーワーク)は、地域ケア会議を通じて地域課題として取り組むべきと整理された。
資格更新制については、介護支援専門員証の有効期間更新の仕組みを廃止する。一方で、必要な研修の受講は引き続き求めるべきとし、その受講時期について、例えば5年間のうちに受講を完了すればよいなど、柔軟な仕組みを検討する。
また、2006年の地域包括支援センター開設時に創設された主任ケアマネジャーについては、地域の関係者との連絡調整の中心的役割を果たす存在として、法律上の位置づけを明確にする方針を示した。

ケアマネジャーの従事者数は横ばいから減少傾向にある。個別ケアの実践を支えるケアマネジメント機能を維持するためには、人材確保とともに、役割を十分に発揮できる環境整備が急務とした。委員からは、処遇改善加算を含む処遇改善の充実を求める声が多く上がった。

100歳以上高齢者10万人時代

厚労省は、全国の100歳以上の高齢者は9月1日現在、9万9,763人と発表。前年比4,644 人増えた。うち女性が8万7,781人で全体の88.0%を占める。100歳以上人口は、調査開始の1963年に158人だったが、2012年に5万人を超えた。

現在、85歳以上人口は、5年ごとに100万人ずつ増加している。2040年には総人口の8.9%にあたる1,006万人に達すると推計されている。

ケアプランデータ連携システム
3カ月で7,000件増
フリーキャンペーン効果

厚労省は9月20日、ケアプランデータ連携システムの普及状況を発表、今年6月から開始した1年間の利用料を無料にする「フリーパスキャンペーン」により、利用事業所数が直近3カ月で約7,000件増加した。10月2日時点のWAMNET掲載件数は1万5,168件に及ぶ。

「25年5月末時点で約7%だった利用率が、8月末には9.8%まで上昇した」と国は説明。今回の無料化策が一定の後押しになった。一方で「連携先の事業所が導入しなければ結局は使えない」という声が根強い。政府は今後、同システムを医療・介護情報を全国で一元的に共有する介護情報基盤と統合し、さらなる業務効率化をめざす方針。

利用者情報を医療介護など関係者間で共有する介護情報基盤は、26年度以降、準備が整った自治体から順次運用が始まる予定。国は、ケアプランデータ連携システムの拡大を好事例にしたい考え。

介護保険部会
訪問介護に包括報酬導入など議論
中山間の介護サービス維持へ

厚生労働省は9月8日、社会保障審議会介護保険部会を開き、2040年を見据えた介護サービス提供体制のあり方を議論した。特に担い手不足が深刻な中山間・人口減少地域の対策として、人員配置基準の緩和や、訪問介護への月単位の包括報酬導入などを提案した(下表)。
中山間・人口減少地域での介護サービス確保として、訪問介護に、現行の出来高報酬制に加えて、月単位の包括報酬制を事業者が選択できる仕組みが提案された。利用者の急なキャンセルに左右されず、事業者の経営を安定させるねらい。全国老人保健施設協会の東憲太郎会長は「選択制であれば」と賛意を表明した一方、認知症の人と家族の会の和田誠代表理事は、「出来高報酬の範囲内しか給付が保障されず、実質的なサービス抑制につながるおそれがある」と懸念を示した。経団連の井上隆専務理事も「定額報酬に見合ったサービス提供が行われているか検証する機能が必要」と指摘した。
このほか、人口減少の実態に応じた既存の特別地域加算の対象拡大の方針が示された。市町村内でも人口減少の状況に地域差があるため、特定エリアのみの指定も可能にする。サービス事業所間の連携を前提に、管理者や常勤・専従要件、夜勤要件などの緩和も提示された。


◆事業化と社福法人補助金免除特例も
民間事業者の採算が合わない地域では、市町村が介護保険財源を使い、利用者ごとの給付ではなく、「事業(委託事業)」としてサービスを確保する案も示された。また、サービス需要の減少に対応する既存施設の有効活用ができるよう、国庫補助を受けて整備した施設(建設後10年未満)で、たとえば特養が障がい者施設へ転用するなどの際、補助金の返還を免除する特例を設ける提案も行われた。

今回示された中山間・人口減少地域に限定した介護サービス確保策は、今後の実施状況を踏まえて、将来は広範囲に適用される可能性がある。社会福祉法人の補助金返還免除策案は、「災害危険地域に立地する施設の移転にも適用を拡大すべき」という意見があった。

福祉用具レンタル
用具別利用状況 選択制導入の影響も

介護保険の福祉用具レンタルの利用者(2025年4月審査分=前月サービス分)は、全サービス中最も多い275万人。訪問介護や通所介護などとともに、在宅介護の自立支援、介護負担軽減を担っている。最も使われているのは、特殊寝台(付属品含む)4,519千台。手すり3,529千台、車いす(付属品含む)1,112千台と続く(表)。スロープと歩行補助つえの落込みは、24年4月から始まった選択制の導入の影響が見られる。

福祉用具貸与の総単位数383千万単位は介護保険全サービスの4%で、マンパワー不足のなかで、重要な役割を果たしている。

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