介護耳より情報2025年10月号(Vol.193)

編集協力:シルバー産業新聞社

ケアプランデータ 
介護情報基盤への搭載了承 
介護保険部会

厚生労働省は6月30日の社会保障審議会介護保険部会で、利用者データを関係者で活用するための「介護情報基盤」にケアプランデータ連携システムを統合することを了承した。介護分野のDX推進に向け、ケアプランデータに基づく介護保険利用者の基本情報やサービス提供状況が搭載されることになる。

ケアプランデータ連携システムは2023年4月に運用を開始。ケアプラン標準仕様に基づき、異なる介護ソフト間でケアプラン情報の安全な送受信が可能となる。紙・FAX・郵送を不要とし、転記ミス防止、作業時間削減、心理的負担軽減を図る。送受信対象は利用者基本情報、居宅サービス計画(第1~3表)、サービス利用票・別表(第6・7表)である。25年5月末時点の全国事業者利用率は7.2%にとどまり、6月から1年間の利用料(年間2万1,000円)が無料となる国の「フリーパスキャンペーン」が実施されている。介護情報基盤は国民健康保険中央会が開発する介護情報連携システムで、利用者、自治体、介護事業所、医療機関が本人同意のもとに要介護認定情報やケアプラン、LIFE情報などを電子的に閲覧・活用できる。保険者(市町村)の地域支援事業に位置づけられる。

両者の統合による運用の一本化により、Web上でのケアプラン閲覧・蓄積・連携の一元化が図られる。26年度以降、標準化対応を終えた市町村から順次データ送信を開始し、28年4月1日には全市町村での介護情報基盤活用開始を目指す。

国の介護DX化は、介護情報基盤(国保中央会)のもとに、介護事業所が持つケアプランやLIFE情報と、自治体(介護保険事務システム)の資格・認定情報を集約し、介護データの一元化を図るイメージである。

ケアプラン作成プロセス 
AIで下書き 
専門職が確認・追記 
2040年介護体制

厚生労働省の「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会」は7月25日、最終とりまとめを公表した。報告書は、加速する人口減少と高齢化の下でも必要な介護サービスを持続させるため、制度運用の弾力化、DX推進、事業者間の協働を軸に方針を整理。その中で、科学的介護の推進による業務効率化の具体策として、ケアプラン作成やサービス担当者会議の議事録を生成AIで下書きし、「2段階運用」を例示した。LIFEなどのデータ活用によりエビデンスに基づく介護(定量評価)を標準化し、質の高いサービス提供につなげる必要性を示した。
また、業務負担軽減策として、訪問先での福祉用具貸与の活用も提起されている。

「今後、さまざまな介護現場において、AIによるケアプラン作成支援をはじめ、いかに組み込むかを検討する必要がある」と記述している。

高齢者単独世帯900万超え 
女性の平均寿命40年連続で世界1位

厚労省の24年国民生活基礎調査によると、高齢者世帯は全体の31.4%に当たる1,7207万世帯で、3年連続で3割超えとなった。このうち単独世帯は903.1万世帯(51.6%)で前年より47.8万世帯増。単独世帯の64%は女性で、85歳以上が25.6%で最多。男性は70~74歳が27.0%で最多であった。また厚労省が発表した平均寿命は、女性が87.13歳で40年連続世界1位、男性は81.09歳で世界6位だった。

1980年に65歳以上の1人暮らしは88.1万世帯(男性4.3%、女性11.2%)であったが、45年間で高齢者単独世帯数は10倍を超えた。日常生活支援サービスへの対応が求められている。

要介護認定の申請代行 認知症GH 
看多機・小多機 特定施設もOKに

厚労省は6月30日の介護保険部会で、26年度から要介護認定の申請代行を、ケアマネジャーが在籍する認知症グループホームや看護小規模多機能型居宅介護などにも拡大する方針を示し、了承された。
要介護認定の申請は本人・家族が行うが、現在は居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、介護保険施設(特養、老健、介護医療院)、地域密着型特養に限り申請代行が認められている。今回これを認知症GH、看多機、小規模多機能型居宅介護、特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設など、ケアマネジャー配置が指定基準に定められている介護保険サービス全般に広げる。
国は24年度地方分権改革提案に基づき、要介護認定の更新申請においても申請書提出代行ができる者に認知症GH、小多機、看多機を加えるよう見直しを求めていた。26年度の実施をめざし改定作業を進める。24年4月末時点の要介護認定者数は計710万人(東日本大震災被災地域1市13町を除く)。12~19年は年500万件台で推移してきた要介護認定申請件数は、20年の新型コロナウイルス感染症発生時に有効期間延長特例で約400万件に低下したが、23年度には547万人に回復。24年度の申請件数は523万人で、そのうち代行は410万件(代行割合78.4%)であった。

要介護認定は、利用者の申請を受け、認定調査と医師の意見書に基づき要介護度を判定し、介護給付、予防給付、総合事業が提供される。

この日の部会では、東憲太郎委員(全老健)が「地域包括支援センターはすでに限界」と述べ申請代行の対象拡大に賛意を示した。山本則子委員(日本看護協会)も「退院後に看多機等を利用する単身・老々世帯では申請代行は不可欠」と指摘。認知症GHなどの追加に異論はなかった。

要介護認定の期間は平均40.2日(法定は原則30日以内)に達し、短縮が求められている。また、認定期間の長期化の主要因となっている主治医意見書の事前入手・提出についても、明確に認められることとなった。

介護職の離職率12.4% 
全産業平均を下回る 
24年度介護労働実態調査

介護労働安定センターは24年度「介護労実態調査」を公表した。介護職員の離職率は12.4%となり、全産業平均(15.4%)を下回った。訪問介護員と介護職員を合わせた2職種の離職率は、前年度より0.7ポイント低下し、07年度以降で最も低い。採用率は3年ぶりに低下し14.3%となった。

一方、全産業平均の離職率は15.4%、採用率は16.4%(23年雇用動向調査)であり、介護職員の離職率は相対的に低くなった。

ただし、前年の23年度は介護離職者が、入職者数を上回り、介護職の他分野への移行が注目された。従業員の過不足状況(20~24年)を見ると、「大いに不足」「不足」の合計は、訪問介護員で54.1%→58.1%、介護職員で32.4%→36.5%と不足感は拡大している。

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