10月以降は介護報酬対応に
「介護職員月9000円賃上げ」
10月以降は、臨時改定を行い、介護報酬での対応に切り替える。政府が打ち出した「介護職の月9000円賃上げ」に向けて、今年2~9月に実施される全額国費の「介護職員処遇改善支援補助金」に続いて、10月以降は、臨時改定を行い介護報酬で対応することが、12月22日の財務・厚労両大臣の折衝で決まった。これを受けて、1月12日の介護給付費分科会で、概要案が示された。追加の事務負担が発生しないよう、9月までの処遇改善支援補助金の取得要件などを基本的に引き継ぐ(表1)。
介護給付費分科会で示された10月以降の加算率は、2~9月の補助金交付率とは異なる(表2)。新加算の申請は8月に受け付け、10月分から介護報酬として毎月支払われる(実際の支払は12月から)というスケジュール案も示された。
コロナ特例
まん延防止地域の通所系サービス
半分の提供時間で算定可に
厚生労働省は2月9日に「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱い(第27報)」を出し、まん延防止等重点措置の適用地域にある通所系サービス事業所について、訪問サービスへの切替えや、通所の提供時間の短縮を行った場合で、実際のサービス提供時間がケアプランに位置づけられた時間を下回っても、提供時間が半分以上であれば、プランに位置づけられた提供時間での報酬算定を認めるとした。この取扱いは、2月からまん防が終了する月までの間が対象となる。
現在、通所系サービスでは感染拡大防止の観点から、利用者の同意のもと、利用者宅への訪問サービス提供や電話での安否確認などでも、介護報酬算定が認められている。ただし、報酬は実際の提供時間に応じた区分で算定することとし、提供時間が報酬設定上の時間区分に達しない場合、最短の時間区分(通所介護2~3時間未満、通所リハビリ1~2時間未満)で算定することとされている。今回、まん延防止地域に限って、提供時間が半分以上であれば、プランに位置づけられた提供時間での報酬算定を認めるとした。
居宅介護支援 (Ⅱ)取得率 9.7%
取扱件数44件までの新区分 21年9月時点
厚労省が2月9日に発表した、21年9月サービスの介護給付費等実態統計によると、ケアマネジャー1人平均の逓減制適用件数をICTの導入などを要件に40人から45人に引き上げる新設区分、居宅介護支援(Ⅱ)を算定した件数は27.5万件で、取得率は全284.7万件の9.7%に止まるなど、21年改定への対応は、改定後6カ月を経て低調だった。
新区分は、「情報通信機器(人工知能関連技術を含む)の活用または事務職員の配置を行っている場合」に、ケアマネジャー1人平均の取り扱い件数を、従来(Ⅰ)の「40件未満」から(Ⅱ)「45件未満」まで5件引き上げるもので、従来(Ⅰ)では40件以降、介護報酬が半分以上に引き下げされる逓減制の適用を45件以上に改め、ケアマネジャーの持ち件数を引き上げるねらいだった。
また、常勤専従ケアマネジャーの複数配置や地域連携の推進などを要件とする「特定事業所加算」の取得は、同(Ⅰ)~(Ⅲ)計で、ケアプラン全体の60.1%に当たる171.1万件だった。21年改定で新設のケアマネの配置基準を緩めた特定事業所加算(A)は2.2万件(取得率0.8%)に止まった。国は、介護人材が不足する中で、居宅介護支援事業所に限らず、1事業所の規模拡大によって、サービスの向上と事業の安定を目指している。
このほか、通院同行を行う「通院時情報連携加算」は1.3万件(同0.7%)、スムーズな在宅復帰をめざして情報提供を行う「特定事業所医療介護連携加算」8.3万件(同2.9%)だった。