介護情報基盤 26年4月施行を提起
厚労省は7月8日の社会保障審議会介護保険部会で、2026年4月からの介護情報基盤の稼働を目指す方針を示した。介護情報基盤は、紙からデータによる情報共有をめざして、利用者本人、市町村、介護事業所、医療機関などが利用者の介護情報を電子的に閲覧・共有できる仕組みで、業務の効率化を図る。
介護事業所は、利用者の同意のもとで、要介護認定情報やLIFE(科学的介護情報システム)、ケアプランなどのデータを閲覧できる。ケアマネジャーは、要介護認定の結果や主治医意見書などを介護情報基盤上で確認できることになり、自治体への問合せや開示請求にかかる手間や時間を削減できる。
厚労省は、利用者はマイナポータル経由で、介護事業者は新たに構築予定の「介護保険資格確認等ウェブサービス」を通じて、それぞれ基板へアクセスして必要な情報を得ることを想定している。昨年5月の法改正で、地域支援事業として整備することになり、今回、26年4月1日の施行が示された。
また、介護情報基盤に、被保険者の資格情報(介護保険証や負担割合証の記載事項など)が入るころから、マイナンバーカードを活用したペーパーレス化などの検討も行う。
介護福祉士筆記試験「パート合格」検討
介護福祉士国家試験を見直して、筆記試験の13科目を3パートに分け、パートごとに合否を出す。一部不合格だった場合は翌年に該当パートのみを受験するだけでよいとする案を、7月12日、国の検討会で提示された。早ければ2025年度から実施される。3年間介護に従事することで介護福祉士国家試験の受験資格が得られる実務経験ルートの受験者が8割を占めることから、働きながら資格取得をめざすため、就労と学習の両立が課題との声が上がっていた。パート合格の導入によって、外国人介護人材についても、在留期間の制限がある中で、永続的な日本での就労や家族の帯同が認められる介護福祉士資格の取得がしやすくなる。外国人合格率は、EPA候補者の場合で43・8%に止まり、日本人を含めた全体の合格率82・8%よりも低い(第36回国家試験)
高齢者ポリファーマシー対策で通知
薬剤調整支援者ら決めて支援
厚労省は、7月22日、「地域における高齢者のポリファーマシー対策」について自治体などに通知した。ポリファーマシー(多剤内服)は、多剤内服に伴う薬物有害事象のリスク増加や、服薬アドヒアランス(医師の処方通りに服薬できている状態)の低下などの問題が発生する状態を指す。今回の通知で、ポリファーマシー対策には多職種連携が必須で、医師や薬剤師などの医療従事者が、患者や介護関係者と顔の見える関係を築くことが重要と訴えた。
病院の地域連携室の医療従事者や地域の薬剤師などによる「地域ポリファーマシー<コーディネータ-」を定めることや、患者の薬剤を一元的に把握するキーパーソンとして、薬剤調整を支援する者(薬剤調整支援者)を患者と相談して決めることも効果的だとした。また、連携の場として、地域ケア会議の活用が挙げられた。
内閣府「終身サポート事業者ガイドライン」
高齢利用者守るチェックリスト策定
内閣府は6月、各関係省庁を通じて、事業者が適正に運営し、利用者が安心してサービスを利用できるようにするための指針「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を策定した。身寄りがない高齢者や頼れる家族がいない高齢者の意思決定を支援する「高齢者等終身サポート事業」が増加、その需要の更なる増加が見込まれている。
ガイドライン策定にあたり、同サービスの契約・履行・事業所体制についてのチェックリストを作成。解約料の適正な金額設定、不当な勧誘の禁止、利用者が求めた際のサービス状況の報告、委託契約終了後の報告、解約手順の説明など、消費者契約法や民法で定められた内容を中心に明記されている。
ケアマネの確保・定着へ
研修費用・事務職経費の一部補助
東京都は、今年度、事業者を補助対象に、ケアマネジャーの法定研修受講料の4分の3補助と、居宅介護支援事業所での事務職員雇用経費として各事業所1人分(最大187.5万円)を支援する。都内で勤務するケアマネジャー数は2019年度をピークに横ばいで推移し、介護支援専門員証の新規交付数も低調、ケアマネジャーの確保・定着が課題になっている。