介護耳より情報2024年9月号(Vol.180)

編集協力:シルバー産業新聞社

居住費の基準費用額引上げ 
介護保険施設・短期入所 日60円引上げ 8月から

24年改正で、水光熱費の高騰に対応して、8月から介護保険3施設(特養、老健、介護医療院)と短期入所の居住費の基準費用額が日額60円引き上げられる。生活保護受給者など利用者負担第1段階の多床室利用者は、現行の利用負担なしを維持する。
基準費用額は、食費・居住費の平均的な費用額を勘案して定められている。多床室の居住費の基準費用額については、家計調査の水光熱費を参考に設定。22年の家計調査では月の支出1万2,451円で、19年に比べて1,581円増となったのを受けて、今回の引上げになった。食費の基準費用額は、従来の日額1,445円(月4.4万円)で変わりはない。
60円の引き上げは、世帯全員が市町村民税非課税で、預貯金額一定(個人1,000万円~500万円)以下の補足給付受給者(利用者負担段階第1~3)が対象で、補足給付の対象でない人の負担額は、施設と利用者の契約により決まる。社会福祉法人等により利用者負担軽減が行われる場合がある。

24年介護報酬改定の改定率は+1.59%で、このうち介護職員等の処遇改善分が+0.98%、その他の改定率+0.61%。これに居住費の基準費用額60円アップ分を加えると、改定率は+2.04%相当になる。ただし、アップ分は利用者の自己負担になるため、「+2.04%相当」と説明される。

熱中症搬送者5月2,799人
高齢者54% エアコンや水分摂取を 消防庁

総務省消防庁は、24年5月の熱中症による救急搬送は、全国で2,799人と公表。昨年と比べると、856人少なかった。このうち65歳以上の高齢者が1,519人(54.3%)で最も多く、次いで成人(18~64歳)が709人(25.3人)、少年523人(18.7%)、乳幼児48人(1.7%)だった。医療機関での初診時の傷病程度別の割合では、軽症(外来診療)70.2%、中等症(入院)27.5%、重症(長期入院)1.5%で、入院が必要な中重度は3割に及ぶ。発生場所別割合では、住居27.0%、道路19.1%、公衆(屋外)18.0%、教育機関11.5%の順だった。
県別(5月)では、大阪府157人、福岡県154人、愛知県151人、東京都139人、埼玉県134人、神奈川県130人の順。曜日では、金曜、土曜、日曜が多い傾向がある。
昨年、23年の救急搬送者は年間で9万1,467人、前年の7万1,029人より、2万増だった。例年7、8月がピークになる。

消防庁は、「予防対策として、エアコンや扇風機をためらわずに使用すること、こまめに水分補給を行うこと、屋外では帽子をかぶること。こどもは大人に比べて暑さに弱いため、周りにいる大人が気をつけましょう。また、高齢者は暑さに対する感覚機能や体温の調節機能が低下しますので、特に気をつけてほしい」と呼びかけている。

外国人介護人材 技能実習生の訪問介護解禁へ
受入れ要件緩和

厚労省「外国人介護人材の業務の在り方検討会」は6月26日、介護福祉士資格のない外国人の訪問系サービスの従事や、技能実習生受入れ事業所の要件緩和などを盛り込んだ中間まとめを示した。現状では訪問介護に従事できない技能実習生や特定技能「介護」でも、介護職員初任者研修を修了し、一定期間のサービス提供責任者等の同行など受入れ事業所が要件を満たせば訪問介護を提供できる案を大筋で了承した。
受入れ事業所の要件に、①研修に、訪問介護の基本事項や生活支援技術、利用者や家族などとのコミュニケーションスキル、日本の生活様式など含む②一定期間、サ責等が同行するなど必要なOJTを行う③本人の意向等を確認しつつ、キャリアパス構築に向けた計画を策定する④事業所内で、ハラスメント防止対応マニュアル作成・共有等、相談窓口の設置などの環境作り、利用者・家族に対する周知を行う⑤外国人材の負担軽減、介護ソフトやタブレット端末活用による記録業務の支援を掲げた。
技能実習生受入れ事業所の開設後3年経過の要件については、開設3年未満であっても、法人設立から3年経過または同一法人によるサポート体制があるなどの場合は、受入れ可能とする。
訪問入浴での外国人介護職には、複数人で行うため、介護職員初任者研修等の修了は求めないとした。

特定技能「介護」1号在留者数は23年12月末時点で、2万8,400人。24年度から向こう5年間で、介護分野の技能実習性の受入見込み数は、これまで最大で5万900人としていたが、これを最大13万5,000人に引き上げる。全分野の受入見込み数は、同じく、34万人から82万人に引き上げる。

伸びる健康寿命 10年間で男2.26年 女1.76年
平均寿命の延び上回る

2024年版高齢社会白書(内閣府)によると、健康寿命(健康上の問題で日常生活に制限のない期間)は、2010年~19年の10年間で、男性は70.42歳から72.68歳に2.26年、女性は73.62歳から75.38年に1.76年それぞれ延びた。同期間の平均寿命の延び(男性79.55歳→81.41歳、1.86歳。女性86.30歳→87.45歳、1.15歳)を上回っている。
同10年間の75歳以上の男女の運動習慣のある人(1回30分以上の運動を週2回以上、1年以上継続)の割合は、男性は40.3%から46.9%に、女性は28.8%から37.8%と大幅に向上している。
24年版世界保健統計(WHO)によると、健康寿命がもっとも長い国はシンガポール(73.6歳)で、2位日本(73.4歳)、3位韓国(72.5歳)と発表している。

世界保健統計では、アフリカ地域では依然として感染症、母体、周産期、栄養状態が全死亡の半数を占めていることや、健康寿命の改善速度が非感染性疾患の増加により近年鈍化していると報告する。また、COVID-19パンデミックの影響により、世界の平均寿命と健康寿命が1年前の水準に逆戻りした。日本でも、新型コロナ禍によって、男女の平均寿命は2020年がピークで22年まで、男性81.56歳から81.05歳に、女性は87.71歳から87.09歳にともに低下した(厚労省・簡易生命表)。

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