介護耳より情報2024年8月号(Vol.179)

編集協力:シルバー産業新聞社

ケアマネ課題検討会
 業務範囲の明確化で議論
総合相談窓口の役割 評価求める声

厚労省の「第2回ケアマネジメント諸課題検討会」が5月9日開催され、各団体ヒアリングが実施された。ケアマネジャーの業務範囲について、「何でも屋と呼ばれるのは、利用者や家族からの信頼の表れ。総合相談窓口であることがケアマネの役割、その役割に見合った評価が最優先課題」(全国介護事業者連盟)、「業務の明確化は必須だが、相談者は主訴や問題点を明確に整理されていない。業務外の相談や依頼は必ず残る」(川崎聖風福祉会)などの意見があった。法定研修のあり方は、オンライン化やオンデマンド化の推進、更新期間内に単位を積み上げる方式、法定外研修の読み替えの導入を求める声など複数上がった。このほか、実務経験の短縮などケアマネジャー試験の受験資格の緩和を求める意見や、ITリテラシー研修の導入、居宅と施設のケアマネの研修制度の区別、居宅介護支援のLIFE(科学的介護推進)の活用やアウトカム評価の導入など、様々な意見が出された。

ケアマネジャーは、利用者のケアマネジメントを軸に、給付管理業務、家族支援、制度や報酬改定時の対応、さらに大災害時の安否確認など、多様な役割を担っている。介護保険が生んだケアマネジャーの専門性と養成研修の内容は制度の構築・運用の中で醸成されてきた。本検討会は、ケアプランの有償化検討の前段で、その役割を整理し、国として、介護人材枯渇が進む中でのケアマネジメントのあり方の検討につなげるねらいがある。

24年度エイジフレンドリー補助金
60歳以上労働者の労働災害防止などで

中小企業を対象に、24年度エイジフレンドリー補助金(厚労省)が10月31日まで、申請受付を行っている。中小企業事業者の範囲は、医療・福祉については、常時使用する労働者数50人以下、あるいは資本金5,000万円以下(社会福祉法人・医療法人は法人全体で100人以下)。
次の3コースを設けた。①高年齢労働者の労働災害防止対策コース1年以上事業する事業場で60歳以上の労働者の身体機能低下を補う設備・装置の導入その他の労働災害防止対策に要する経費(機器の購入・工事の施行等)として、補助額上限100万円(補助率1/2)②転倒防止や腰痛予防のためのスポーツ・運動指導コース年齢制限なし労働者の転倒防止や腰痛予防のため、専門家等による運動プログラムに基づく身体機能のチェック及び専門家等による運動指導等に要する経費として、補助額上限100万円(補助率3/4)③コラボヘルスコース年齢制限なし事業所カルテや健康スコアリングレポートを活用したいコラボヘルス等、労働者の健康保持増進のための取組に要する経費として、補助額上限30万円(補助率3/4)。全コース合わせて、補助額の上限100万円。

厚労省Q&A より、対象の例示として、入浴用ストレッチャー、リフトやこれらに対応した浴槽、自動浴槽等、スライディングボードを使用する際に必要となる片ひじが外せるなど高年齢労働者の身体的負担軽減に効果がある機能を有する介助式車いす。ノーリフトケア修得のための外部講師による研修参加費用等。

6月施行 医療系サービス
重度化対応を促進 予防は減算拡大

訪問介護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所リハビリテーションの4サービスの24年介護報酬改定が6月1日に施行された。同時改定となった診療報酬がシステムベンダーなどの対応の時間を取るために6月施行になったのに合わせた。基本報酬の改定はいずれも微増。通所リハビリは大規模型Ⅰ・Ⅱを統合し、リハビリ専門職の手厚い配置等を要件に、報酬が大規模型より高い通常規模型の算定を可能にする一方で、予防サービスの長期利用は減算を設けた。24年改定は、大規模化の推進と合わせて重度者対応を進める。
訪問看護は、今改定でも、理学療法士等による訪問看護を適正化。PT等の訪問回数が看護職員の訪問回数を超える場合、または緊急時訪問看護加算等が未算定の場合、介護・予防ともに1回8単位の減算を行う。訪問回数には定期巡回サービス(連携型)による訪問を含めるほか、介護・予防を一体的に運営している場合は合算する。さらに、予防訪問看護は利用開始月から12カ月を超えると1回5単位の減算を設けたほか、先のPT等による訪問看護の8単位減算がある場合は、減算を15単位に拡大し、合わせて計23単位の減算になる。12カ月超の利用時の減算は、予防訪問リハビリでも実施された。
居宅療養管理指導は、医療依存度の高い利用者に対し、薬剤師、歯科衛生士等、管理栄養士について、訪問回数の上限引き上げを行った。

医師の指示書が必要な医療系サービスの受給者数は、18~24年の6年間で、介護保険受給者数全体の伸びが12.4%であるのに対して、訪問看護54.9%、訪問リハビリ39.4%、通所リハビリ0.8%、居宅療養管理指導60.1%、定期巡回107.4%、看多機161.4%と、通所リハを除いて、大幅増となった(表)。また、6月1日からは処遇改善加算の一本化が実施され、介護職等の賃金アップを進める。

認知症、22年443万人

60年に645万人と推計 厚労省研究班

厚労省研究班は5月8日、全国4地域での認知症患者数調査結果をもとに、認知症患者数は、2025年に471万人、40年に584万人、60年には645万人(25年の45%増)になると推計した。高齢者全体に占める認知症患者の割合は、22年で12.7%だが、高年齢割合の増大によって、60年には17.7%になると算出する。軽度認知症障害(MCI)を加えると、22年は1,001万人(有病率27.8%)、60年には1,277万人(同35.1%)の増加と推計した。認知症基本法が成立し、国などの役割が位置付けられるとともに、医療・介護従事者が担う役割は大きい。

24年改定で、3年間の受講猶予期間が終わり、全サービスの職員に、150分の認知症介護基礎研修(e ラーニング可) の修了が義務付けられた。介護福祉士や初任者研修の取得者は免除されている。新人職員は1年間の受講猶予がある。

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