介護耳より情報2024年7月号(Vol.178)

編集協力:シルバー産業新聞社

「ケアマネ諸課題検討会」初会合 
業務範囲や人材確保をテーマに

厚生労働省は4月15日、「ケアマネジメントの諸課題に関する検討会」を開催した。ケアマネジャーの業務範囲や人材確保、法定研修のあり方など、ケアマネジャー、ケアマネジメントを取り巻く諸課題を包括的に議論する。高齢化がますます進展する中、介護人材の減少とともに、全国各地でケアマネ不足が叫ばれ、居宅介護支援事業所数も2018年の4万事業所をピークに2,000カ所以上減少している。
冒頭、間隆一郎老健局長は、「ケアマネジャーの専門性が発揮できる環境を整備するとともに人材確保対策が急務」と述べ、幅広い観点からの議論を求めた。
委員からは、「ケアマネの業務の範囲と、それにかかる労力や時間、責任の所在を明確にする。業務範囲外でやむなく対応している支援は別の枠組みを設けるなど制度の抜本的な見直しが必要」(柴口里則日本介護支援専門員協会会長)など、ケアマネの業務範囲の明確化を求める意見が相次いだ。
検討会は毎月開催されて今秋に中間整理を行う予定で、取りまとめた内容は次期制度改正の論議に反映する。

「とりあえずケアマネに相談・依頼する」という状況で、ケアマネジメントから給付管理業務、家族支援、災害時の安否確認まで、ケアマネの業務範囲は広い。業務範囲を決めることは、次期改正までに結論を得るとされるケアプランの有料化論議にもつながる裏腹の関係にある。これまでの広く在宅介護を支える役割に見直しがかかるのか。

出生率1.33に低下 
最高は沖縄の1.80 最低は東京の1.11

厚労省は、2018~22年の市区町村別の合計特殊出生率を公表。全国平均は前回(14~18年)の1.34から1.33に、0.1ポイント低下した。沖縄県が1.80で最も高く、最低は東京都の1.11だった。市町村別で最高は鹿児島県徳之島町の2.25、最低は京都市東山区の0.76だった。

出生率の上位10位の市町村は鹿児島県と沖縄県で占められ、安心して子どもを育てる地域力が残っているとみられる。

75歳以上の高齢者世帯 
向こう30年で大幅増に 社人研推計

社会保障・人口問題研究所は、総世帯数が20年の5,570万世帯から30年に5,773万世帯のピークを迎え、その後減少に転じる中で、75歳以上の高齢者世帯は、20年の1,067万世帯から、50年には1,491万世帯に達する見通しを示した。

高齢者人口は2040年頃にピークを迎えるが、医療・介護のニーズが一段高まる75歳以上、85歳以上の割合はさらに増加する予測。

介護保険料 
大阪市9,249円~
小笠原村(東京都)3,374円 
2024~26年度

第9期(24~26年度)の第1号介護保険料(65歳以上)が明らかになった。全国平均は6,225円で、前期の6,014円から221円(3.5%)アップした。最高は大阪市の9,249円(前期8,094円)。最低は東京都小笠原村の3,374円(表)。県庁所在地の最高は大阪市だが、最低は山口市の5,510円。大阪市は独居高齢者世帯が多く、高齢世帯の45.0%が独居(全国平均は29.6%)で、生活支援ニーズが高く、要介護認定率も27.4%(全国平均19.3%)。サービス付き高齢者向け住宅も多く、後期高齢者人口の伸びとあいまって、介護サービス量の増大は当面続く見込み。

65歳以上の第1号介護保険料は、その市町村の向こう3年間に想定される介護サービス量を65歳以上の高齢者数で割った金額が基本になる。保険料額の高い市町村は、高齢者1人当たりの介護サービス量が多い。実際には、基金の取り崩しなどを行い、市町村で調整する。一方、第2号保険料(40~64歳、6,276円=60円アップ)は、全国の介護サービス量をベースに加入する医療保険者ごとに決まる。

介護サービスの国際規格策定へ

昨年3月から世界169カ国が加盟する国際標準化機構(ISO)において、介護サービスの国際基準づくりが始まっている。議長国イギリスから示された規格原案に対し、参加各国から意見出しが行われ、来年にも国際投票の過半数で決まる。日本では経産省と厚労省が所管し、介護に関わる諸団体から成る国内委員会(埼玉県立大学・田中滋委員長)が設置されている。昨年10月にはヘルシンキで現地開催されて世界規格の方向性が決まった。
この規格は、各国の法律や制度のあり方を縛る法的な強制力はないが、介護サービスの品質を他国に保証する効果が想定され、世界の介護マーケットへのスタンダードになる可能性がある。規格には、基本となる要求事項と、介護のあるべき将来の方向の目安を示す推奨事項がある。

介護や福祉用具の規格は、各国の医療・保健・福祉などの制度に依拠するため自由な国際展開が困難な状況にある。介護先進国の日本にあっては、介護サービスの国際基準づくりは共通項を探るものとして注目される。来春以降と想定される国際投票の前には、規格の内容が明らかになる見込み。

外国人介護職の訪問介護 
初任者研修など条件に大筋了承

厚労省は3月27日、「外国人介護人材の業務のあり方検討会」を開催し、これまで認めてこなかった訪問介護に外国人介護職が従事できる案を示し、大筋了承された。見直し案は、日本人同様に介護職員初任者研修の修了を求めた上で、受入れ事業所に対して①利用者・家族とのコミュニケーションスキルなどの研修②一定期間、サービス提供責任者等との同行③キャリアパス構築の計画作成④ハラスメント対策⑤介護ソフトやタブレット活用-など環境整備を条件とした。

現状は、介護福祉士資格をもつ外国人は訪問介護に従事できるが、介護職員初任者研修の修了だけでは在宅で単独サービスとなる訪問介護は認められていない。これを初任者研修の修了を前提に、受入れ事業所に一定の条件に門戸を開いた。

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