介護耳より情報2024年6月号(Vol.177)

編集協力:シルバー産業新聞社

23年度の介護ロボット導入支援1,500件へ

国の介護ロボット導入支援事業の補助件数が増加しており、23年度は11月末時点で、同事業の補助を利用して介護ロボットを導入した介護事業所は全国で1,491件になった。同事業は、移乗、移動、排泄、見守り・コミュニケーション、入浴の各支援と介護業務支援の6分野の対象製品を施設や介護事業所で導入する場合の補助制度で、12年度から介護人材不足の対応策として始まった。24年4月の改正介護保険法では、生産性の向上の取組促進が都道府県の努力義務とされ、全都道府県で、介護現場革新会議の実施やワンストップ型の総合相談センターの設置が行われる。

24年度は、これまでの介護ロボット導入支援補助金などの補助制度とともに、23年度補正予算(24年度に繰越し実施)で介護ロボットやICT導入などに取り組む介護事業者への支援に351億円が計上された。介護報酬改定においても、介護保険施設などに生産性向上推進体制加算が新設された。国は介護ロボットやICT活用の成功事例を積極的に拡大していく。

介護情報利活用 介護情報の
利用者自身の閲覧や
介護事業者間の共有に向けて

介護情報利活用を検討する厚労省「健康・医療・介護情報利活用検討会」のWGは、3月29日、介護事業所、利用者、市町村、医療機関が共有する情報として、当面、「要介護認定情報」、「主治医意見書」、「請求・給付情報」、「LIFE情報」、「ケアプラン」を掲げた。介護情報基盤により情報を共有する主体は、利用者のほか、保険者(市区町村)、介護サービス事業所、居宅介護支援事業所と医療機関を基本とする。現在、紙ベースの介護情報を作成・保有している関係者も含める。このうち、介護事業所と医療機関は、マイナンバーカード等を用いる方法で情報共有する。利用者の同意は、各介護事業所が利用者の資格確認を行う契約時に一括して取付け、原則としてその事業所を利用している期間、有効にするなどの考え方が示された。

24年改定で、ケアマネジャーの取扱件数を、ケアプランデータをデータ連携するケアプランデータ連携システムの活用などを要件に、ケアマネジャー1人平均49件まで持てるなど、国は介護DX化を徐々に加速させている。

障がい者雇用数 大幅増加

厚労省は、障がい者雇用実態調査の結果を公表。23年6月時点の常用労働者5人以上を雇用する民営事業所の障がい者の雇用数は110.7万人で、前回(5年前)比25.6万人(30.1%)の増加になった。身体障がい52.6万人、知的障がい27.5万人、精神障がい21.5万人、発達障がい9.1万人の内訳。

24年4月から民間企業の法定雇用率が、2.3%(対象事業主43.5人以上)から2.5%(同40.0人以上)に引き上がっている。

今年のケアマネ試験 10月13日(日)
合格発表は11月25日(月)

今年の介護支援専門員実務研修受講試験(第27回)は、例年通り10月の第2日曜日、10月13日(日)に実施される。合格発表は11月25日(月)で、例年の12月上旬より早まる予定。

昨年の試験問題には、「地域医療介護総合確保基金」や「介護サービスの提供開始時に報告すべき情報」が初登場し、受験者を手こずらせた。近年の合格率は、昨年の第26回は21.0%、第25回は19.0%、第24回は23.3%で推移、難関が続いている。

24年介護報酬改定の
パブリックコメント 1,190件の応募

24年介護報酬改定のパブリックコメント(意見募集)が1月23日~2月21日の約1カ月実施され、計1,190件の応募があった。3月15日、厚労省は意見に対する考え方を示した。
その中で、「業務継続計画未策定事業所に対する減算の導入」について、「罰則だけでなく、実効性のある支援が必要ではないか」との意見に対して、厚労省は「意見を踏まえて、介護報酬や運営基準等のほか、既存の予算事業による対応やガイドラインの見直し・普及啓発等を組み合わせて、総合的に取組を進める」と回答している。

今回の報酬改定に対して1,200通近い意見表明があったことは、介護人材の確保が困難な状況で、それを打破する制度改正や報酬改定を望む介護現場の強い発露といえる。

国家試験合格者 介護福祉士6万1,747人
合格率82.8%に 過去2番目の高さ

24年の福祉・介護関連資格の国家試験の合格者が発表された。介護福祉士は、受験者が7万4,595人で、6万1,747人が合格。合格率は過去2番目に高い82.8%(昨年64.3%)だった。EPA(経済連携協定)に基づいて来日した外国人介護福祉士候補者(インドネシア、フィリピン、ベトナムの3国)は、今回、521人が受験し、228人が合格(合格率43.8%)。看護師は合格者5万5,557人、合格率は87.8%だった。このうち、EPAに基づく外国人看護師候補は、294人が受験し17人が合格、合格率は5.8%だった。社会福祉士は、3万4,539人が受験し、合格者は初めて2万人を超えて2万50人に。合格率も過去最高の58.1%を記録した。

今回、合格率90%を超える資格は、助産師98.8%と保健師95.7%と歯科衛生士92.4%、医師92.4%の4職種、これに対して社会福祉士58.1%、管理栄養士49.3%と試験問題の難易度や合格点の設定次第で、毎年の合格率は左右される。

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