BCP(業務継続計画)未実施減算 1年間の経過措置
2024年介護報酬改定で「業務継続計画未実施減算」が新設された。前21年改定でBCPの策定、研修、訓練(シミュレーション)の実施が義務化された。3年間の経過措置を経て、24年4月からは、BCP未策定の場合は運営基準違反となるとともに、基本報酬の減算も実施される。
減算幅は、施設と居住系サービスで所定単位数の3%、その他のサービスは同1%相当の単位数とする。
ただし、「感染症の予防及びまん延の防止のための指針の整備」と「非常災害対策計画」を策定している場合には、事態発生後の事業継続を見越した事業継続計画ができていなくても、25年3月31日までの1年間は減算しないこととされた。
また、訪問系サービスと福祉用具貸与、居宅介護支援事業所は、前提条件なしに1年間の経過措置が設けられる。さらに、居宅療養管理指導はBCP策定について27年改定まで3年間の経過措置が設けられる。
特養8494施設、訪問介護3万6420事業所、
通所介護2万4569事業所
厚労省はこのほど22年10月1日現在の「介護サービス施設・事業所調査」の結果を公表した。特養は8494施設(前年同月比80施設増)、老健は4273施設(同6施設減)で、在宅サービスで最も増加したのは訪問看護の1万4829事業所(1270事業所増)、次いで訪問介護は3万6420事業所(同808事業所増)、通所介護は2万4569事業所(141事業所増)だった。
能登半島地震 介護職員 3200人派遣登録
厚労省は、1月1日発生の能登半島地震で介護職員の派遣登録が3,200人になったと発表した(2月4日時点)。石川県の被災施設や1.5次避難所などへ2月13日時点で約182人が活動する。日本介護支援専門員協会から派遣された15人のケアマネジャー(2月12日時点)が1.5次避難所でアセスメントや2次避難所へのマッチング活動に従事している。
2024年度介護報酬改定 基本報酬サービスで明暗
特養2.8%増 訪問介護2.4%減
厚労省は1月22日、今年4月(一部サービスは6月) に改定される介護報酬案を示した。全体の改定率はプラス1. 59%だが、基本報酬の増減率をサービス別にみると、プラス4%の老健(在宅強化型) から▲2%超のマイナスとなった訪問介護まで大きな差がある。居宅介護支援は基本報酬の引き上げに加え、逓減制が緩和される一方で、同一建物減算が導入される。
【特養・老健】赤字経営解消へ施設報酬増に
「改定前後の基本報酬を比較すると、要介護3で、特養(従来型居室)は2.8%増、老健(在宅強化型・多床室)は4.1%増と引上げ幅が高くなった。介護事業経営実態調査で、収支差率が特養▲1.0%、老健▲1.1%と初めての赤字になったのを受けた。
【訪問介護】 報酬引き下げ 6月の介護職員処遇改善加算で対応と国説明
「基本報酬増の施設がある一方で、介護経営実態調査で比較的安定した収支差率だった訪問介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護は、基本報酬が引き下げられた。厚労省は6月に一本化する介護職員等処遇改善加算において、同加算の最上位(Ⅰ)は24.5%とするなど、「高い加算率を設定している」とマイナス改定の理由を説明する。
【居宅介護支援】報酬増+逓減制緩和も 介護予防支援は2 区分に同一建物減算導入
居宅介護支援は0.9%のプラス。あわせて逓減制も緩和する。現行では、ケアマネジャー1人あたりのケアプラン取扱件数は40件以上になると基本報酬が半減するが、改定後は45件以上に緩和される。さらに、事務職を配置して、ケアプランデータ連携システムを活用する場合には、居宅介護支援費( Ⅱ ) として、逓減制の適用が「50件以上」まで緩和される。また、介護予防ケアプランの取扱件数も、現行の2分の1でカウントするところから3分の1へ緩和される。
法改正により、4月から居宅介護支援事業所は直接に介護予防支援の指定を市町村から受けることができるようになる。介護予防支援は「地域包括支援センターが行う場合」442単位、「指定居宅介護支援事業所が行う場合」472単位の2区分になる。また、指定居宅介護支援事業所の区分に限り、特別地域加算などの対象とする。
一方で、同一建物居住者へのケアプラン作成に対し、今回初めて減算(基本報酬の▲5%)が設けられる。居宅介護支援事業所と同一か隣接敷地内の建物、または同一建物に住む利用者と、居宅介護支援事業所の利用者が1月あたり20人以上居住する建物(上記以外)で暮らす利用者が対象となる。