介護耳より情報2024年3月号(Vol.174)

編集協力:シルバー産業新聞社

24年度介護報酬改定 改定率1.59%

2024年度介護報酬改定の改定率はプラス1.59%で決着した。12月20日の厚労・財務両大臣の予算編成折衝の中で決まった。24年度は医療、介護、障がい福祉のトリプル改定で、診療報酬はプラス0.88%、障がい福祉サービスはプラス1.12%となった。
今改定により、給与アップ率を24年度2.5%、25年度2.0%をめざすことになる。介護報酬は、改定率の外枠として処遇改善加算の一本化による賃上げ効果や、水光熱費の基準費用額アップによる施設の増収を加えるとプラス2.04%になると国は説明する。

介護報酬の改定率が診療報酬より上回ったのは今回が初。「雇用動向調査」で、22年度の介護分野の退職者数が入職者数を超えた。

2割負担者の対象者拡大第9期は見送り

介護保険の利用者負担2割対象者の拡大について、第9期介護保険事業計画期間(24〜26年度)は見送ることが大臣折衝で決まった。ただし、第10期が始まる27年度までに再検討される。合わせて、金融資産の保有状況などの反映や、より細分化した負担割合のあり方についても検討される。

医療費や介護費の自己負担割合は前年の収入額に基づいているが、財務省は今後、金融や不動産の保有資産も対象にしたい考え。すでに介護保険施設の減免が受けられる補足給付(特定入所者介護サービス費)は、1人1,000万円を超える預貯金があると対象外とされている。

24年3月末経過措置終了
感染・自然災害対策BCP策定 高齢者虐待防止

2023年度末で経過措置が終了する介護保険全事業者の感染症・自然災害対策、BCP(業務継続計画)、高齢者虐待防止の推進の期限が迫ってきた。全サービスで、これらの項目について、委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施(虐待防止では担当者を決めること)を義務付ける。24年4月1日以降、未実施の場合は運営基準違反となる。

元日に発生した「令和6年能登半島地震」は、あらためて災害発生時のBCP対応の必要性を意識づけた。24年改定では、BCP未策定の事業所に減算が導入される。同時に一定の条件のもと、25年3月末までの減算をしない規定も設けた。

新認知症治療薬レカネマブ年間費用298万円

23年12月20日、新認知症治療薬「レカネマブ」(商品名「レケンビ」、エーザイと米パイオジェンの共同開発)の保険収載が決まった。対象者は、アルツハイマー病による軽度認知障害および軽度の認知症患者。費用は年間298万円(体重50kgの場合、体重に応じて投与量が決まる)になる見込みで、70歳以上の年収156万〜約370万円の一般所得の人の場合、自己負担の上限は年14万4,000円となる。

本剤は、アルツハイマー病の病因の一つとされる脳内のアミロイドベータを減少させ認知症の進行を抑制することが期待されている。厚労省が定める専門性の高い最適使用推進ガイドライン適合施設で投与される。

ケアマネ試験合格者1万1,844人
合格率21.0% (昨年比2.0ポイント増)

12月18日、昨年10月8日の第26回介護支援専門相談員実務研修受講試験の結果が発表された。全国で5万6,494人が受験し、1万1,844人が合格、合格率は前年より2.0ポイント増えて21.0%となった。職種別の合格者比率は、最多は介護福祉士62.4%、看護職18.6%、社会福祉士8.0%、理学療法士5.2%の順だった。

5年前の2018年度(第21回)に受験資格が原則医療と介護福祉の国家資格者に限定されて以来、受験者数は4万人台と半数以下に減ったが、徐々に戻りつつある。

健康保険証24年12月2日廃止へ
「資格確認書」で対応

政府は現在の健康保険証を今年12月2日に廃止することを閣議決定した。マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」に移行する。廃止後も最長1年間は猶予期間として今の保険証を利用できるほか、マイナ保険証のない人には代わりとなる「資格確認書」を発行するとしている。

2025年度以降の介護保険証とマイナンバーカードの一体化も検討されている。要介護認定の申請や通知、ケアプランの作成依頼や提出なども一体化されたカードで可能になる。

伸びる介護サービス ベスト5
20~22年度2年間の伸び率 医療系占める

介護給付費実態統計に基づく2020年度から22年度の2年間の年間費用額伸び率の上位5サービスは、医療系サービスが占めた。1位は看護小規模多機能で、22年度年間費用額は676億円(20年度比34.6%増)。同じく、次いで介護医療院2,062億円(24.6%増)、定期巡回・随時対応型訪問介護看護811億円(24.6%増)、居宅療養管理指導1,587億円(20.2%)、訪問看護3,557億円(16.4%増)となり、利用にあたり医師の指示書が必要なサービスが占めた。介護療養型医療施設(同じく、313億円、61.9%減)は24年3月末で廃止となり、18年4月創設の介護医療院が受け皿となる。

医療がこれまでの病院完結型から、介護保険サービスの充実の中で、徐々に地域完結型への転換が図られている。

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