総合事業 住民主体の多様なサービス参入促進めざし
今夏工程表作成へ
4月10日、厚労省「第1回介護予防・日常生活支援総合事業充実検討会」(座長・粟田主一東京都健康長寿医療センター研究所副所長)が開催され、住民主体など多様なサービス参入促進により市町村の総合事業を活性化するための検討が始まった。2015年にスタートした介護予防・日常生活支援総合事業は、要支援者の通所介護と訪問介護を国の一律な予防給付から市町村の地域支援事業に移行させ、地域の実情に応じて、住民等の主体が参画する多様なサービスとして再構築された。
総合事業は、事業所ベースで、介護予防サービスと同等の従前相当サービスが7割を占め、多様なサービスが3割という現状。支え手不足により全体として事業参入やサービス育成が進んでいない。前21年改正では、サービス対象者をこれまでの要支援者と事業対象者に加えて要介護者への拡大や、サービス単価の上限を市町村の判断による引上げ余地を拡大する「総合事業の弾力化」が行われた。
検討会では、中長期的な視点に立った取組の方向性を議論し、工程表に盛り込む内容を検討する。今後、各種団体等のヒヤリングなどを行い、今夏には中間取りまとめを行う。
福祉用具貸与の契約 押印不要 厚労省が再通知
厚労省は4月11日、介護保険の福祉用具貸与において事業者が利用者と契約する際の押印を必要としないことを都道府県などにあらためて通知した。事業者の業務効率化や利用者の利便性の向上を図る。
厚労省はこれまでにも、デジタル庁など関係省庁と調整の上、21年介護報酬改定で電磁的な対応を認めるとともに「押印等を求めないことが可能であること」「そのための代替手段として、メールでのやりとりを残す電磁的対応など、利用者等への説明・同意を書面以外でする場合」を明示した経緯がある。しかし、自治体によっては現在でも押印を求める事例もあることから、改めて自治体に「押印等がないこと」を理由として是正を求めないことや、押印に依らない具体的な様式案も示した。
新型コロナ5類移行 特例見直しへ
医療・介護施設発症後5日間外出自粛を推奨
厚労省は5月8日、新型コロナウイルス感染症の感染症法の位置づけを「2類相当」から季節性インフルエンザと同等の5類感染症に移行した。これに伴い、法律に基づく一律の要請から個人の選択による自主的な取組による対応に変わり、介護サービス事業所の人員基準の取扱等が見直された(表参照)。
全サービス共通でワクチン接種に伴う減算は行わない措置は「当面の間継続」となったが、幅広く認められていたコロナの影響による人員基準違反・減算の未実施は利用者、職員にコロナ患者が発生した場合に限ることになった。そのほか、ケアプランに基づくサービス提供未実施の場合の居宅介護支援費の算定などは「取扱終了」となったほか、(入所系)コロナの影響による自宅訪問できない場合の連携に関わる加算の算定、(通所・訪問系)サービス提供が短時間となった場合でも最短時間の報酬算定が可能、安否確認・療養指導・福祉用具貸与計画等の説明を電話で行った場合の算定の取扱いなどについても終了とした。
同時に、5類移行によって自宅療養期間等は個人や事業所の判断に委ねられることになったが、医療・介護施設については、①発症翌日から5日間は外出を控え、かつ5日目に発熱やのどの痛みなどがあった場合、症状軽快後24時間経過するまで外出を控える②発症後10日間が経過するまでは不織布マスクを着用し、高齢者等のハイリスク者との接触を控える――などの感染対策が推奨された。また家族など同居者が新型コロナに感染した場合、発症後7日間までは、マスク着用、手洗いや換気等の基本的感染対策のほか、高齢者等のハイリスク者との接触を控えることも推奨された。
医療も幅広い通常対応に移行した。介護施設への療養支援を維持するため、施設等のコロナ患者への緊急往診や薬剤師による服薬指導については「2類相当」時の水準が維持されている。