介護施設の腰痛・転倒防止
エイジフレンドリー補助金・人材確保等支援助成金継続へ
介護施設で増加する腰痛・転倒災害の防止対策を推進する。21年度の介護施設の労働災害は1万2,823件で、18年比で46.7%増加した。厚労省は、腰痛等の典型例としてベッドから車いすなどへの移乗や、体位変換時などでの発生を上げている。
国は、「介護従事者の労災防止は介護が直面する様々な問題に直結する経営上の重要課題」と位置づけ、①人材不足(新規採用・離職防止・定着促進)への対応②利用者の災害(事故)、利用者を巻き込んだ災害(事故)の防止③働き方の質の向上による介護サービスの質の向上(生産性の向上)を掲げた。介護現場の労災事故が、介護の抱える現状を反映した結果と説明する。こうした課題に対して、地域ごとに協議会を設置し対応を求めている。
23年度も介護現場の高齢化に対して、高年齢労働者のための職場環境改善に向けて「エイジフレンドリー補助金」(50%補助、上限100万円)を実施する。また、介護事業主が介護福祉機器の導入を通じて、離職率の低下に取り組んだ場合は、人材確保支援助成金(介護福祉機器助成コース、導入費等の20%補助、上限150万円)が申請できる。対象となる介護福祉機器は、移動用・昇降用リフト、装着型移乗介助機器、体位変換機能のあるエアマット・ベッド、特殊浴槽。
給付費適正化5事業 3事業に再編
「介護給付費通知」は事業対象外に
国は、3月の全国介護保険担当課長会議において、市町村の「給付適正化主要5事業」を3事業に再編することを発表した。今後、同事業は、「要介護認定の適正化」、「医療情報との突合・縦覧点検」と、「ケアプランの点検」と「住宅改修等の点検・福祉用具購入貸与調査」は親和性があることから一本化し、計3事業にする一方で、これまで取り組めなかった市町村をなくして全保険者での取組をめざす。「介護給付費通知」は費用対効果が見えにくいとして主要事業から外す。
適正化事業の点検内容の変更は行わない。
ただし、ケアプラン点検は、点検対象を「介護給付費適正化システム」(国保連)に出力される給付実績等の帳票に重点化する。質の向上を目的とするケアプラン点検や高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検は、各保険者で地域実情を踏まえてこれまで通り実施する。
昨年12月20日の介護保険制度見直し意見(介護保険部会)において適正化事業の取組の重点化が求められていた。
今年のケアマネ試験 10月8日実施
合格者の4人に1人実務に
第26回介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)は、例年通り10月第2日曜日、10月8日に実施される。都道府県の受験申込みの受付は順次5月から始まる。合格者の発表は12月4日の予定。
前回の受験生は5万4,406人、合格者1万328人(合格率19.0%)だった。第1~25回合計では、受験者300万1,312人、合格者73万9,215人(平均合格率24.6%)。職種別合格者数は、前回は①介護福祉士6,096人(全合格者の59.0%)②看護師・准看護師1,849人(17.9%)③社会福祉士815人(7.9%)の順に多かった。
ケアマネジャーの従事者数は、18万8,170人(常勤換算で15万3,597人)。全合格者のうちケアマネの実務に就いているのは、4人に1人の割合になる。従事するサービスの内訳は、居宅介護支援11.7万人、介護予防支援1.3万人、特定施設0.6万人、地域密着型サービス(高齢者グループホーム、小規模多機能型居宅介護等)1.4万人、介護保険施設2.4万人。20年10月1日現在(厚労省集計)。
今年3月、厚労省は都道府県に向けて27年末の経過措置期間の終了を再周知した。
4月20日「ケアプランデータ連携システム」利用開始
国民健康保険中央会は4月20日から、ケアプランデータ連携システムの本格運用を開始した。3月31日からヘルプデスクサポートサイトをオープンした。導入完了までの流れはつぎの通り。インターネットが使用できるパソコン(Windows10,11)と厚労省のケアプラン標準仕様に準拠した介護ソフトが必要となり、①パソコンへ連携システムをダウンロードする②パソコンへ同システムをインストールする③電子証明書の利用申請(利用していればあらためての申請は不要)し、パソコンにインストール④導入完了。サービス利用開始となる(下表ご参照ください)。
早い遅いはあっても、本システムの業務改善の効果は高く、居宅支援事業所と介護サービス事業所の必須アイテムになると思われる。