訪問・通所の新複合型創設 介護サービスの財務状況開示
特養の特例入所実態調査へ
厚労省の社会保障審議会介護保険部会は12月20日、24年改正の介護保険制度見直しに関する意見書をまとめた(表1)。在宅サービスの基盤整備として、通所事業所から在宅への訪問介護を行う新しい複合型サービスを創設するほか、第9期中にケアマネジメントのあり方を包括的に見直す。特養は入所待機者が減少する中で、要介護1・2の特例入所の実態把握を行い、対応を検討する。また介護予防支援の指定対象を、現行の地域包括支援センターから直接に居宅介護支援事業所にも拡大する。介護ロボット等の導入を行う有料ホームの人員配置基準の緩和や、高齢者などの介護助手の制度上の位置づけを検討する。
このほか、介護事業者の財務状況の都道府県への報告や介護サービス情報の公表などが明記された。
1月召集の通常国会へ介護保険法等の改正案が上程される予定。
今後、介護保険はサービスと経営の双方の開示を求められるようになる。
インスリン投与の補助 経管栄養の準備・片付けは医行為外
介護現場で実施可能
厚労省は12月1日、医師や看護師による医行為に該当せず、介護現場で実施できる医行為外業務の新たな項目の追加を都道府県に通知した。
今回示された医行為外業務は、各一定の条件下での▼在宅などの介護現場でのインスリン投与の準備・補助、血糖値測定器の読み取り▼経管栄養の準備・片付けやチューブの固定、テープが外れた場合の再度貼付▼吸引器の汚水廃棄と水の補充▼酸素マスクや経鼻カニューレの装着・片付け▼膀胱留置カテーテルの蓄尿バッグからの尿廃棄▼水虫や爪白癬の爪への軟膏や外用薬の塗布▼パルスオキシメーターを装着しての動脈血酸素飽和度の測定など。
2005年には、厚労省は医行為外業務として、体温・血圧測定、パルスオキシメーターの装着、一包化された薬の内服、軽微な切り傷、擦り傷の処置を示している。
1号保険料多段階化、2割負担判断基準見直し、
老健の多床室室料導入 今夏までに結論
次期介護保険改正のテーマ「給付と負担」論議では、65歳以上の1号保険料の保険料段階を現行の9段階からさらに多段階化して、低所得者の負担を減らし、高所得者の負担を拡大する方向で次期9期計画(2024年度~26年度)に向けて今夏までに結論を得ることを決めた(表2)。「一定以上の所得(2割負担)」の判断基準を見直し対象者を増やすこと、老健や介護医療院の多床室の室料負担を導入することも今夏までに結論を得る。 ケアマネジメントの利用者負担導入と要介護1・2の生活援助の総合事業移行については、第10期(27年度~29年度)開始までに結論を得るとして今回見送りとした。
また、「現役並み所得(3割負担)」の対象者拡大は今回見送りとしたほか、補足給付(低所得者に対する施設・ショートステイの食費・居住費の給付)の資産要件の引上げや、被保険者・受給者範囲の40歳未満への引下げは「引き続き検討」となった。
都道府県に生産性向上の相談窓口
優れた事業所や職員の認証制度スタート
介護現場の生産性向上や人員確保などをめざしてワンストップで相談を受け付け支援につなげる「介護生産性向上総合相談センター(仮称)」を都道府県に設置する。昨年9月の都道府県宛事務連絡で地域医療介護総合確保基金を活用した23年度の新規事業として示された。介護事業者向けの様々な支援事業が実施主体や相談窓口がバラバラになっている現状から、各事業者の課題を明らかにして適切な支援へつなげられるようにする。
また、人材育成や待遇改善、生産性向上などに取り組む介護事業者を認証する制度を全都道府県で実施する。特に優れた事業者や職員を総理大臣が表彰し全国に発信するイベントを開催する。
栄養マネジメント強化加算 算定施設3割に 着実な伸び
介護報酬改定のたびに要介護者の栄養状態改善への取組が推進されてきた。21年4月改定で特養や老健、介護医療院などに新設された「栄養マネジメント強化加算」(1日につき11単位)については、算定割合が着実に増えて、このほど発表された22年8月審査分で3割前後に達していることが分かった(表3)。
同加算は、利用者個々の栄養課題にアプローチする栄養ケア・マネジメントをより重点化したもので、入所者50人に対して1名の管理栄養士を配置して、低栄養(リスクのある人含む)の入所者へ多職種による栄養ケア計画を作成するなどの要件がある。