介護耳より情報2023年1月号(Vol.160)

編集協力:シルバー産業新聞社

24年改正「給付と負担」議論本格化
年内とりまとめへ 介護保険部会

厚労省は10月31日、社会保障審議会介護保険部会を開催し、2,3割負担の拡充やケアマネジメント有料化など「給付と負担」をテーマに審議を行った。具体的な検討事項として示されたのは7項目(下表)。
この中で、④「ケアマネジメントの給付の在り方」は、居宅介護支援費の利用者負担の是非を検討する。財務省は、ケアマネジメントが定着した現在、利用者負担がある他サービスとの不均衡を理由に利用者負担の導入を主張。これに対して日本介護支援専門員協会は、「すべての利用者が公平に過不足なく支援を受けられる環境を維持すべき」として、これまで通りの10割給付の維持を求めている。
⑥「現役並み所得、一定以上所得の判断基準」では、自己負担3割、2割対象拡大が争点に。現行は、2割負担となる基準は単身世帯なら280万円以上(月額23万3000円)、3割負担は340万円。この基準を維持するか、引き下げるか(引き下げると、対象者は増加する)。今年3月時点で、2割負担者は5.0%、3割負担者は3.9%が該当する。一方、後期高齢者医療制度では、今年10月から「一定以上所得者」が2割負担者になった(負担増加額月3000円までの経過措置がある)が、「一定以上所得者」の判断基準が介護保険とは異なり、後期高齢者の所得上位25%にあたる200万円以上(月額16.7万円にあたる)の所得とされる。論点として、後期高齢者医療制度との関係をどう考えるかとされた。「単身者の2割負担者の収入が、現行の月額23.3万円と後期高齢者医療保険基準の月額16.7万円とでは、この差は高齢者の生活にとって大きい」(高齢社会をよくする女性の会理事・石田路子委員)などの反対意見が述べられた。

「給付と負担」の検討事項と争点 ①被保険者範囲・受給権者範囲
⇒要介護の理由や年齢を問わず、介護が必要な全ての人に支給する「制度の普遍化」をめざすか
②補足給付のあり方
⇒在宅サービス利用者などとの公平性の観点から見直しが必要か
③多床室の室料負担
⇒老健、医療院の多床室の利用者負担導入
④ケアマネジメントに関する給付のあり方
⇒居宅介護支援費の利用者負担導入
⑤軽度者への生活援助サービス等に関する給付のあり方
⇒要介護1、2の生活援助サービスの総合事業移行
⑥「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準
⇒2、3割負担対象者拡大
⑦高所得者の1号保険料の負担のあり方
⇒9段階の所得別1号保険料設定の見直し、応能負担の強化

次期改定は人員不足や財政難から給付の引き締めに焦点があたる。今年の「骨太の改革」でも、「(経済)能力に応じて皆が支え合うことを基本に」と述べた。比較的に収入の多い被保険者や受給者の負担割合を高めるねらい。12月に部会の取りまとめを行う。23年1月末~2月初めに介護保険等改正法案が国会に上程され、審議を経て、例年は国会会期末の6月に成立し、24年4月施行となる。同時に、介護給付費分科会において24年4月施行の介護報酬改定の論議が始まる。

介護分野の文書負担軽減策で
「電子申請・届出制システム」運用
22年度下期より

「介護分野の文書負担軽減に関する専門委員会」(座長・野口晴子早稲田大学政治経済学術院教授)は11月7日取りまとめを行い、文書負担軽減に向けた進捗状況は着実に進展しているとした上で、ICT等の活用の取組として「電子・届出制システム」の運用を22年度下期から順次開始するなど、5項目について文書負担軽減策の推進策を取りまとめた。5つの推進策はつぎの通り。
① 指定申請・報酬請求・実地指導関連文書の国が定める標準様式の推進
標準様式の浸透状況の調査、ガイドラインの作成、介護保険施行規則と告示への明記、これらを24年介護報酬改正と合わせて行う。
② 専用窓口の設置
簡素化や利便性向上に係る要望を提出できる専用の窓口が今年9月29日に厚労省HPに設置された。今後、厚労省は、受け付けた要望の内容及び件数、処理状況を整理し、本専門委員会に報告を行い、公表を行うべきとした。
③ 「電子申請・届出制システム」
また、国は9月29日、22年度下期から運用開始される「電子申請・届出制システム」において、電子メールの提出方法について周知した。同システムの使用を基本原則化し、2027年度までに全自治体で利用開始するための法令上の措置を行うべきとした。
④ 地域による独自ルール
老人保健健康増進等事業による調査を行い、地方公共団体における独自ルールの有無・内容を整理し公表を行うべきとした。
⑤ その他の課題
処遇改善加算等を含めて、介護報酬において、制度創設以降の加算項目の増加により提出書類が増えていることや、事故報告の報告方法は国に標準様式があるものの、様式の異なるケースがあること、またケアプランは情報収集等アナログで対応することが多いことなどから、事務負担があるとした。

社会保障審議会介護保険部会内に設置された、事務負担のある介護文書の負担軽減に向けた本専門委員会は、27年度までに「電子申請・届出制システム」の全国の自治体での実施をめざして、様式の標準化や電子メール化などのほか、実施状況の調査・「見える化」や専用の相談窓口設置などを行うとした。

ケアマネ試験受験者数5万4,449人
3年前より受験者数戻り傾向に

10月9日実施の今年度の第25回介護支援専門員実務研修受講試験の受験者は5万4,449人で、前年より159人の増加になった。18年度には、2級ヘルパーなどを除外した受験資格の厳格化により受験者数が急減したが、3年前より受験者数は戻り傾向にある。
受験者数の多い都道府県は、東京都4,183人、神奈川県3,078人、大阪府3,687 人、北海道2,834人、兵庫県2,572人、埼玉県2,418人、愛知県2,401人、福岡県2,182人の順。
合格発表は12月2日の予定。

ケアマネ試験受験者数で最も多かったのは、第1回試験(1998年)20万7,080人。以降、受験者数は、第4・5回に9万人台となるが、2014年度まで12~16万人台で維持した。しかし、受験資格が国家資格者等に厳格化された第21回(2017年度)に4万9,332人に急落。翌年に底を打った以降、徐々に戻しつつある。在宅介護を支えるキーパーソンとして、ケアマネジャーの処遇改善策の実施が求められる。

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